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杉並区立方南図書館

杉並区立方南図書館 訪問記

last visit:2015/11/09

杉並区立方南図書館は、杉並区では一番南で、かつ一番東に位置する図書館です。保育園との併設ということもあり、子育て支援となる本を重点的に収集しており、家事関連本も多いです。森の中にいるような児童エリアの装りつけも楽しいです。

§ 図書館の場所

方南図書館は丸ノ内線の方南町駅から道のりにして1kmほどの図書館です。駅から神田川までの商店街には本屋さんもあり、お店が並んでいながらも賑やかすぎないいい雰囲気で、静かな図書館へ向かうのにちょうどいいような散歩道になっています。

§ 図書館内の様子

建物は1階建てで、むさしの保育園方南分園との併設施設です。都内では土地の有効活用が優先されることが多いので、比較的新しい(2005年11月3日開館)施設で、地下もなく本当の1階建ての公共施設というのはとても珍しいです。周囲が住宅街なので、日照権や景観に配慮したのでしょう。

図書館の入口を入ると、左にカウンターがあり、カウンター前に旅行ガイドや雑誌の一部、育児支援コーナーがあります。奥に進むと、左が児童コーナー、右が一般書架と分かれており、新聞雑誌コーナーは一般書架エリアのうち手前付近。その他には、イベントを行う多目的室が入口右先にあるほか、児童コーナー手前の壁際には、ネット閲覧PCも2台設置されています。

館内全体が棚と棚の間隔が広くてゆったりした配置です。ベビーカーを使っている方もスムーズに通り抜けています。ベビーカーはただ通過するだけじゃなくて、止まっているときも赤ちゃんをあやすために前後に揺らしたりするものですが、そんな動作も余裕でできるくらいゆったりしています。

§ 児童エリア

児童エリアはさながら本の森に入ったかのよう。本棚の上にある地震対策用の無機質な金属柱を模造紙でくるみ、葉や鳥の切り紙を貼って、森のような飾りつけにしているのです。春に行ったら満開の桜、秋に行ったら紅葉というように、季節に応じて飾り付けを変えてくれるのも楽しい演出です。高い位置の飾り付けなので小さいお子さんは気が付きにくいかもしれないので、お子さんをお連れの際にはぜひ教えてあげてください。

児童エリア内の配置としては、手前側の棚に絵本、奥に児童向けちしきの本、児童エリア入口から見て左側に日本人作家の読み物があり、壁沿いに外国人作家の読み物が並んでいます。また、壁沿いの棚のうち、児童エリア入口の正面突き当りは中高生コーナーになっています。左手前の角には「お話の小部屋」があり、靴を脱いで床に絵本を広げて読むことができます。

絵本は日本人作家の作品と外国人作家の作品で別にしたうえで、タイトルの五十音順に並んでいます。ちしきの絵本は、内容によって「あそび・ことばの絵本」「のりもの・食べものの絵本」「自然・科学の絵本」に分けて、それぞれ出版社で分類しています。保育園との併設ということもあってか、絵本の冊数はとても充実しており、英語で書かれた絵本も約200冊棚に並んでいます。

児童読み物は、日本or外国という分類ではなく、中国のおはなし、イギリス・アメリカのおはなし、ドイツのおはなし…といったように、外国人作家の本は更に国・地域別に分けたうえで、著者姓名五十音順に並んでいます。児童のちしきの棚を眺めていると、数字3桁の分類記号でありながら、大部分は右1桁が0で実質2桁しか使っていませんが、動物に関する本は3桁使って細かく分類しています。2015年11月に行ったときには、3類の本を以前より細かくしたという掲示が出ていたので、今後児童向けちしきの本の分類をより細かくしていくのかもしれません。子ども向けも大人向けも、どんな分類にするかということもさることながら、どんな分類にしているのかが利用者にわかるよう明示することが大事だと思います。これから分類が変わっていくのか、要注目です。

児童エリアの一画にある中高生コーナーは、棚の並びとしては児童書と連続していますが、中高生コーナーだけ棚板をペパーミントグリーンにしているので、パッと見でどこからどこまでが中高生コーナーなのかがわかりやすくなっています。ここには、中高生向けの本が集まっているほか、朝日中高生新聞の「シショドク」「本屋さんの一期一会」などの本関連の連載のスクラップや、朝日中高生新聞の前身である朝日中学生ウィークリーの本の紹介コーナー「ブックパラダイス」のスクラップが置いてあります。本の紹介部分には、「区内所蔵方南あり」「区内所蔵」「未所蔵」というメモがあり、杉並区で所蔵しているかどうか、所蔵している場合は方南図書館で所蔵しているかどうかを表しています。面白そうな本を見つけたら、予約やリクエストも駆使して、ぜひ読んでみたいです。

§ 一般書架

一般書架エリアと児童エリアの間には仕切りがありますが、透明の仕切りなので、保護者の方が一般書架にいながら児童エリアにいるお子さんを見守ることも可能なつくりです。仕切り沿いには低い棚が並んでおり、ここには裁縫や家事関連本がある。だから、児童エリアにいるお子さんを見ながら、今日の献立を考える、という過ごし方もできます。

一般書架のうち、子育てに関する本は、カウンター前の「子育て支援コーナー」にまとめてあります。保育園との併設施設ということもあり、単に置き場所をまとめて探しやすくしているだけでなく、重点的に資料収集しているのだそう。育児の本、絵本選びのブックガイド、医学のうち産婦人科・小児科に関する本、ベビー服の作り方などはこちらになるので、こうした本をお探しのときにご利用ください。

また、「子育て支援コーナー」には市販の書籍だけでなく、杉並区の施設で行われる離乳食講習会や歯磨きベビー教室など子育てに関する講習会のチラシや、児童手当に関するチラシも配布しています。一般的な子育て知識も杉並区の子育て情報が一括してみることができる、お子さんをお持ちの方はぜひ活用してください。

日本の小説は、著者名の頭文字で分類されていますが、同じ頭文字の中の分類が杉並区独特の方式で、著者名の頭文字ごとに図書館で著者に番号を振って、その順に並べています。つまり、「シ1」は誰、「シ2」は誰、みたいな番号を杉並区立図書館で独自に振って、その順番で並べている。新しい作家が登場するたびに新たな番号が振られると思うので、概ね「頭文字と文壇登場順」のような並び順になるのですが、単純な著者名五十音順と比べるとやはり探しにくいです。同じ文学でも外国文学は、国・地域別に分けた上で著者姓名の五十音順で並んでいて、この方がずっと探しやすいので、日本文学の棚もぜひ単純な著者名五十音順に変えてほしいです。

また、小説のうち、複数作家の作品集は、著者名ではなく、出版社名あるいは編者の頭文字で分類されます。この場合、新潮社の本は「シ」というように、番号が付かない頭文字だけの請求記号になり、「シ1」の前に並んでいます。いろんな作家の作品を少しずつ読んでみたいときには、大きな出版社の頭文字の先頭を見ると、アンソロジーが並んでいます。

外国の小説は、「中国文学」「英米文学」「ドイツ文学」といったように国・地域・言語系統で分けたうえで、著者姓名五十音順に並んでいます。一般書架壁際の棚の新聞・雑誌コーナーに近い辺りには、英語の図書もたくさんあります。方南図書館に限らず杉並区立図書館全体がそうなのですが、日本の小説の英訳本とアガサ・クリスティ、スー・グラフトン、トム・クランシー、パトリシア・コーンウェルなどの推理・サスペンスものの原書が中心です。

§ 個人的に懐かしい大きな特集展示コーナー

昔の方南図書館は、一般書架の奥に本棚2つ分を使った大きな特集コーナーがあったんです。それと連動した図書館だより「方南Bookステーション」も発行していて、私も2008年まで図書館だよりをいただいて特集コーナーを見るために毎月通っていました!本棚2つ分を使った特集コーナーは、私がこれまで回った中で一番大きな特集コーナーです。

ただ、その大きな展示コーナーも2008年12月をもって終了。今思えば、開館当初は蔵書数が少なかったので本棚のスペースに余裕があった、それを大きな特集展示コーナーとして活用していたんですね。展示コーナーがなくなってしまったのは、蔵書数が増えた証なのでしょう。思い返すも大きい展示コーナーで、当初はあまりの大きさに特集を担当される職員さんも戸惑ったそうです(笑)。

§ 生活密着型図書館

方南図書館は元々閲覧席が少なく、開館当初に比べたらカウンター申し込み席や臨時閲覧席を設けて増やしてくれているものの、一般用閲覧席は机席も椅子席も合わせて30席。一度机席についた人は長時間利用するので、行ったときには机席が全て埋まっているということもありえます。じっくり調べものをしたいという方は、利用者が少なそうな曜日・時間帯を選ぶといいと思います。

むしろ、住宅地の中の保育園との併設で、子育て支援資料を重点収集していることを考えると、暮らしの中で利用する図書館という色が強いです。家事関連本も充実していますし、生活に必要な本を借りるのにちょうどいい図書館という雰囲気。実際、毎日の暮らしの中に図書館利用があること自体が生活を豊かにするように思います。何か読みたい、何かの作り方を知りたいと思ったときに立ち寄れる身近な方南図書館、私は地元でないけれど地元の気分になれるような温かい雰囲気です。

杉並区立方南図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  おたのしみ読書バッグ 2015の答えあわせ
―2015年11月9日から22日までの企画
本を見ないで図書館職員さんのお薦め文を頼りに選んで借りる「おたのしみ読書バッグ」実施後に、お薦め文が差す本の書名・著者を明かしてくれる「答えあわせ」が展示されています。
  おたのしみ読書バッグ 2015
―2015年10月27日から11月9日まで(用意した読書バッグがなくなったら期間中でも終了)の企画
去年も方南図書館で実施した「おたのしみ読書バッグ」は、中身がわからないよう英字新聞で作ったバッグに詰めた本を、図書館職員さんのお薦め文を頼りに選んで借りる企画です。子ども向けから大人向けまで、物語もあれば社会問題などの本もあり、未知の本との出会いが楽しめます。
  おたのしみ読書バッグ
―2014年10月27日から11月9日まで(なくなり次第終了)の企画
職員さんが書いた推薦文カードの中から好きなものを選んでカウンターに持っていくと本が借りられる企画です。貸出手続するまでは書名や著者はわからず、推薦文のみで選ぶのが面白さ。子ども用と大人用が用意されているので、気になった本をぜひ借りてみてください。
  「いい店知ってます!」&「いつの日も、読書日和」
―2008年12月の展示
  「秋に読みたい名作・大作文学」&「ネコ、イヌ、読書」
―2008年11月の展示
  「やさしい政治・経済の本」&「アスリートかく語りき」
―2008年10月の展示
  「パソコンに関する本」&「美術館へ行こう~ ♪」
―2008年9月の展示
  「映画を楽しむ本」&「恋について語ってみよう」
―2008年8月の展示
  「魚本」&「英語から考える」
―2008年7月の展示
  「みんなの日本文学」&「ビジネスの計画力、実行力を強化しよう!」
―2008年6月の展示
  「絵本を考える」&「心の旅路 ― 建築探訪」
―2008年5月の展示
  「人間を考える」&「東京の現在・過去・未来を横断検索 タイムトリップ-TOKYO」
―2007年12月の展示
  「クラシック音楽の本 ~豊麗なる音の世界へ~」&「愛着の逸品 わたしの宝物」
―2007年11月の展示
  「ザ・ドキュメント」&「脳科学の神秘」
―2007年10月の展示
  「フットボールの本」&「プラス思考でコミュニケーション力UP!」
―2007年9月の展示
  「奇才!天才!「すごい人」列伝」&「憂いを軽減 地震対策本」
―2007年8月の展示
  「青春の100冊!」&「夏本番! 海からの贈り物」
―2007年7月の展示
  「ぶどうの恵み ワインで乾杯!」&「すくすく伸ばそう 子供応援本」
―2007年5月の展示
  「乙女の本棚」&「博物館は"知の泉"」
―2007年1月の展示
  「年末年始に役立つ本」&「今夜はお鍋でポッカポカ」
―2006年12月の展示
  「怪談」&「おいしい料理本」
―2006年8月の展示
  「ザ・ベストセラー再読」&「文学と雨の密なる関係」
―2006年5月の展示
  「平野甲賀装丁の本」&「旅に出たくなる本」
―2006年4月の展示

杉並区立方南図書館 データ

住所東京都杉並区方南1-51-2 →Google Mapで見る
Tel03-5355-7100
開館時間
月~土曜9:00~20:00
日曜・祝日・12月29,30日9:00~17:00
定休日第1月曜・第3木曜(祝日は開館し、翌日を休館)
12月31日~1月4日
最寄駅 東京メトロ丸ノ内線 方南町駅から徒歩14分
駐輪場建物手前に駐輪場あり
駐車場一般用駐車場なし。図書館入口向かって左に障害者用駐車場1台分あり。
所蔵資料
図書所蔵数120,945冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト図書館入口向かって左の壁面(入口より奥まったところ)にブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機なし
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC2台あり。利用は1回1時間。
持参PC利用利用申し込み制席(持ち込みパソコン優先席)2席あり。電源なし。利用時間は原則2時間、予約がなければ1時間の延長可能。持参PC利用でない人の延長時間中に持参PC利用者の申し込みがあった場合は、そこで持参PC利用でない人の延長時間が終了し、持参PC利用者に譲る仕組みです。
LAN接続館内や公式サイトには明記されていませんが、au Wi-Fi SPOTWi2 300ご利用可能エリアに方南図書館が登録されており、館内にいると各Wi-Fiの電波が入ります
飲食設備等ドリンクコーナーで飲料摂取可能