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千代田区立千代田図書館

千代田区立千代田図書館 訪問記

last visit:2014/10/10

千代田区立千代田図書館は、九段下駅から歩いて数分の、千代田区役所の中にある千代田区の中央館です。平日は22時まで開館しており、学生さんから仕事帰りのビジネスパーソンまで、たくさんの人に利用されています。

§ 図書館の場所

千代田図書館は、九段下駅から皇居のお堀に沿って内堀通りを竹橋方面に歩いた左手にある、千代田区役所の9,10階にあります。地下鉄の出口としては4番か6番になり、6番出口の方が距離は同じくらいで信号が一つ少ないのでいいと思います。6番出口から地上に出たら出口の向きと逆に進んで、「九段下」交差点で左折、そこから200mほど進んだ「千代田区役所」交差点の左先にある建物が千代田区役所です。

図書館を出てお堀の向こうに足を伸ばせば、北の丸公園。図書館の行き帰りに時間があれば、皇居の緑に接するのもいいですね…といっても、千代田図書館の主要な利用者の一角であるビジネスマンは忙しくて余裕はないかな。かくいう私も駅から千代田図書館に直行して、帰りも駅へ直行することがほとんど。現在の位置から見て通りの反対側にあった旧千代田図書館では、窓の方を向けばお堀が目の前だったのですが、今の千代田図書館はそこまで近くないのがちょっと残念です。

§ 省庁と併設の建物

千代田図書館は図書館単体の建物ではなく、千代田区役所内に図書館があるという構造なのですが、その千代田区役所も九段第3合同庁舎と併設施設で、同じ建物内に総務省、財務省、厚生労働省の国土交通省の施設があるんです。そんな施設だから1階には警備員さんも目立っており、千代田図書館は区市町村レベルの公共図書館の中でもっとも物々しい図書館と言えるかもしれません(笑)。

とはいえ、1階にはパン屋さんやある上に、テーブルがたくさんあるロビーもあり、自由に休憩できるのでご安心を。自習する人が多い時期(夏休み・冬休み)には、千代田図書館で席を確保できなかった人が1階ロビーのテーブルを占めていることもあります。省庁が入っているビルのロビーで、たくさんの人が勉強している光景は、ここでしか見られないのではないでしょうか。何とも奇妙な光景です(笑)。

建物としては、1階から10階までが千代田区役所、11階から上が九段第3合同庁舎となっており、千代田区役所に行く場合は奥のエレベーターを、九段第3合同庁舎に行く場合は手前のエレベーターを使います。千代田区役所側のエレベーターは更に区分があり、区役所が開いている時間帯は、4機並んでいる中で奥の2機が千代田図書館用エレベーターです。区役所が開いている時間帯は、手前の2機で9階・10階のボタンを押しても効かないのでご注意ください。土日祝日や区役所が閉まっている時間帯は、4機とも千代田図書館へ上がるのに使えるようになっています。

§ 図書館内の様子

2フロアの内訳は、9階が一般書架、10階が児童コーナー。9階はフロア全体が図書館ですが、10階は食堂や売店などもあり、図書館エリアはフロアの1/5程度といったところでしょうか。9階と10階の児童コーナーへは、階段や図書館エリア内のエレベーターでつながっています。階段からは高速道路を見下ろす景色が広がっており、夜にカーライトが流れるようすなどは、“都会の真ん中”気分を味わえます。

広い9階は、中央の立ち入れないゾーンをぐるりと囲むように、書棚や各設備が並んでいます。エレベーターを出て左に行くと総合カウンターがあり、そこから反時計回りに、ネット閲覧PCなどが並ぶ「情報探索コーナー」、館内閲覧のみのビジネス本や参考図書(辞典類)・地域資料などが並ぶ「調査研究ゾーン」、貸出できる資料が並ぶ「一般書架ゾーン」、千代田区を紹介する「コンシェルジュカウンター」、新聞・雑誌コーナー、展示ウォール・AVブース、視聴覚資料コーナーときて総合カウンターに戻る。これが9階一周の様子です。

§ 情報探索コーナー

それでは各ゾーンの紹介を、まずは情報探索コーナーから。ここはオープン当初「新書マップコーナー」としてマスコミにもよく取り上げられたエリアですが、現在は他の図書館でも見られるようなネット閲覧PCやオンラインデータベース専用PCが並ぶコーナーです。利用するのに申し込みが必要なネット閲覧・データベース閲覧PCのほか、調査研究に役立つサイトのリンク集を見られる情報ポータルサイトPC(3台)は、空いていれば誰でも自由につかます。

昔あった新書マップコーナーとは、新書をICタグ読取機に載せると、その新書に関連する図書や関連語がパソコンに表示される仕組み。つまり、キーワードを入力して情報をたどる検索サイトに対して、本をスタートに情報をたどる仕組みだったんです。たぶん新書マップを活用する利用者がほとんどいなくて、実質ただのネット閲覧PCとして使われていたためにコーナーを廃止したのだと思うのですが、私個人の意見では、新書マップというアイデアが悪かったわけではなく、新書マップ用の新書を貸出不可にしたことが悪いと思うんですよね。現在は新書は貸出可の状態になっているので、この状態で1台だけでも新書マップ用PCを置いたらいいように思います。

現在の情報探索コーナーに話を戻すと、千代田図書館で講演会などを行う際には、この情報探索コーナーで開催されます。なので、マイクを使った講演会では、調査研究ゾーンなども含めて、情報探索コーナー周辺に音が響きます。喫茶店で読書するときみたいに、周囲に音がある状態になるので、集中力が途切れがちなときには面白い気分転換になるかも。気になる方は、公式サイトのイベント一覧で事前に確認したり、耳栓を持っていくなど、対処してください。

§ 調査研究ゾーン

情報探索コーナーの丸い棚の隣は調査研究ゾーンで、地域資料・辞典類・統計資料に加えて、ビジネス関連資料も取り揃えています。ビジネス雑誌やビジネス関連本が禁出扱いになっているので、誰かが借りているために利用できないということがありません(館内で誰かが使っている可能性はありますが)。私も、ビジネス雑誌を読み逃したときなどは千代田図書館に読みに来ており、貸出不可にしている利点を享受しています。他の区立図書館では、読み逃したから借りようと思ったときには、既に長蛇の予約待ち行列ができていますからね。

また、調査研究ゾーンの席では、持参PCを無線LANにつなげてネットに接続することができます。館内の無線LANは、メインカウンター向かって左端にマニュアルがあるので、それに従えばOK。パソコンのOSによっては、接続サービスを選ぶだけという簡単な操作で接続できます。

持参PCのネット接続に関しては、キャレル席(窓際の個人ブース席)から有線LANでネットに接続することも可能ですが、キャレル席の利用は1日1回2時間制となっています。千代田図書館で持参PCをネット接続させたい場合は、利用時間によって調査研究ゾーンとキャレル席を使い分けたいですね。といっても、とにかく利用者の多い千代田図書館の席ですので、自分の希望より、席の埋まり具合に左右されてしまいがちですが。

ここで、窓際のキャレル席の利用方法を説明すると、まずはカウンターに利用を申し込むか、カウンター前の座席予約機を使って申し込みます。カウンターに申し込む場合は、その旨伝えれば対応してくれるので、ここでは座席予約機を利用する場合を説明しましょう。メイン画面の「予約」ボタンをクリックすると、「利用者カード」と「パスワード」の入力を求められます。千代田区立図書館に登録している情報を入力た後に、ネットPCの利用かキャレル席の利用かを選ぶと、機械が直近で予約できる枠を予約して終了。「ブース利用票」というレシートが印刷されるので、それをとっておきます。この時点では「予約」なので、予約した時間がきたらカウンターへ、そこで利用のためのレシートをもらって座席を利用します。

予約する際には座席を自分で選ぶことはできず、16席あるキャレル席のうち2席が他より狭いので、そこに当たると損した気がしますが、私が狭い席の予約になってしまったとき、予約時間が来てカウンターに行ったら、「広い席が空いていますが席を変更しますか」とおっしゃっていただいて変えたことがあり、空いていれば柔軟に対応してくれるようです。

調査研究ゾーンに話を戻すと、レファレンスカウンターに近い辺りは、区内の古本屋さんの所蔵品や千代田区立図書館所蔵の古い資料がガラスケースに入れて展示されています。ここは常設展示ではなく、企画をその都度変更して展示しており、図書館にはない稀少本があったりして面白いです。古書店所蔵品展示の際には、値がつけられていて、古書店との交渉の上で購入できる場合もありますよ。

§ 一般書架ゾーン

辞書類・地域資料とビジネス関連本を除いた一般書架は、コンシェルジュカウンター側のエリアに広がっており、背の低い棚が整然と並んでいます。最近はバリアフリー面も考慮して、車椅子の方でも無理なく本を手に取れるような背の低い本棚を設置するところが増えていますが、千代田図書館は都内でも早くから背の低い棚を設置した図書館といえます。

書架を歩くと、ところどころに千代田区の美術館・博物館の紹介があり、さらにそれらの施設からのおすすめ本をチラシにして配布しています。例えば、「314 議会」の棚に「衆議院憲政記念館」の紹介、「916 ルポルタージュ・手記」の棚に「しょうけい館」の紹介、「700 芸術・美術」の棚に「出光美術館」の紹介、「002 知識・学問・学術」の棚に「国立公文書館」の紹介といった具合。個人的には、衆議院憲政記念館の『国会職員の仕事がわかる本』を薦める文章に大変読む気をそそられました!近いうちに読んでみようと思います。

日本の小説は著者名の五十音順、但し、著者が複数いる小説は五十音順の並びのあとにまとめて置いてあります。外国の小説は、「中国文学」「英米文学」といった具合に国・地域別に分類した上で、著者姓名の五十音順に並んでいます。一般書架は同じデザインの棚が縦へ横へと並んでいるので、回っていると今どこにいるのか、探している棚がどこなのか、わからなくなってしまいそう。迷い込まないよう表示を見ながら回ってください。

一般書架の中にある外国語図書も、英語・中国語・ハングル・ドイツ語・フランス語と揃っており、特に英語は小説や歴史・社会、中高生向けなどもいろいろ。公立図書館の外国語図書のラインナップは、外国の情報を伝えるものを中心とするところと、日本について外国語で書かれた情報を中心にするところに分かれるのですが、千代田図書館の外国語資料は後者の傾向をもっています。

一般書架の中でコンシェルジュカウンターに一番近い辺り(24番の棚)は「千代田区ゆかりの文学者」コーナーとなっており、有島武郎、泉鏡花、菊池寛、白洲正子、吉行淳之介など、明治以降の物故者で千代田区にゆかりのある文学者の書籍が並んでいます。配布している一覧を見れば、区内のどの地域にどのようなゆかり(生まれた、暮らした、学校に通ったなど)があるかもわかります。こちらに配置された文学者については、小説の棚に「吉屋信子は「千代田区ゆかりの文学者」コーナーにあります」などと注記してあるので、それを見て「この人も千代田区ゆかりなんだ!」と知った人もいるのでないでしょうか。最近は、ネットでの検索・予約によって、図書館に来てもカウンターで本を返して予約本受け取って帰る、という人も多いでしょうが、本棚での本の紹介などを活用すれば、いろんな本に出会えると思います。

§ 視聴覚資料

視聴覚資料は、CD・カセット・DVD・ビデオを所蔵しています。なぜか漫画も視聴覚資料コーナーにあるので(笑)、読みたい方は一般書架で探さないようご注意ください。

視聴ブースも8ブースあり(但し、2013年4月30日現在、節電のため数ブースしか使われていません)、CD・ビデオ・DVDを1人1日1回試聴(視聴)できます。利用の際は、聴きたい(観たい)CD・ビデオ・DVDと図書館カードを持って総合カウンターに行きます。例えばDVDの場合は、リモコン・ヘッドホン・説明書・利用時間を印刷したレシートのセットが渡されるので、それを持って指定されたブースへ向かい、あとは説明に沿って自分で操作して再生します。私はモニタの電源を入れ忘れて、「操作がわかりません~」と職員さんを呼んでしまいましたが(苦笑)、説明書を隅まで読めば大丈夫です(モニタの電源の場所が説明手順とは離れた隅に書いてある)。

利用できる時間は申込時に渡されるレシートに分単位で指定されており、私が「七人の侍」(2枚組で207分)を視聴したときには212分間の利用になっていたので、タイトルの所要時間+αの間利用できるかたちですね。終わったら、渡された視聴セットをカウンターに返して終了です。肘掛掛けの付きの椅子なので、わりとゆったり視聴できました。

§ 生きている地域資料?コンシェルジュという存在

これまで何の説明もなく「コンシェルジュカウンター」という言葉を何度か出しましたが、千代田図書館には「コンシェルジュ」というオリジナルの役割を担う職員さんがいます。図書館施設や千代田区の案内をしてくれる、と説明すると観光ガイドのような役割かと思うかもしれませんし、実際そうした案内もしてくれると思うのですが、図書館の中にいる、でも一般的な図書館員とは違うという独自の存在なのです。地域と図書館の橋渡しとでもいえばいいでしょうか。

例えば、千代田区は神保町古本街を有する区で、古い出版物・昔の情報などの中には、図書館だけで調べるより古書店にも範囲を広げて調べた方がわかるものもある。それに対して、普通の図書館員だと図書館の範囲内での回答しかできないところ、千代田図書館ではコンシェルジュさんに「こうした本・情報を探しているんだけど、知っていそうな古書店を教えて欲しい」と言えば案内してもらえます。

また、「コンシェルジュと巡る神保町ツアー」というイベントを何度か開催しており、私も先日参加したのですが、実際に町を歩きながら地域の話を聞いたり、歴史を教えていただいたりして、大袈裟にいうと「生きている地域資料」のよう。図書館で地域資料を読むのとは違って質問できるし、書物の世界ではなるリアルな地域を案内してもらえる体験でとてもよかったです。

§ その他設備

視聴覚資料コーナーと新聞・雑誌コーナーをつなぐ展示ウォールはかなり広く、展示の内容は千代田区立図書館公式ホームページ展示一覧で概要を知ることができます。書棚やカウンタ―に直行すると通らないエリアにあるのですが、毎回広さを活かした展示をしているので、ちょっと遠回りして覗いてみるのもいいのでは。

また、「調査研究ゾーン」と「一般書架ゾーン」を結ぶ北西側の通路には対面朗読室や研修室があります。研修室は有料で利用する部屋で、2名以上のグループで行う学習会や研修会に利用することができ、曜日・時間帯・部屋(4つある研修室は全て広さが違う)によって2時間300円から全日3400円まである中から選んで利用できます。利用の予約は、千代田区立図書館公式ホームページからも可能です(右サイドの「研修室の予約」)。ときどき「~学習会」といった看板が扉に貼られていることがあるのを見たことはありますが、私自身はまだ使ったことがないんですよね。いつか使ってみたいです。

コンシェルジュカウンター前のカーペットが千代田区内の大きな古地図になっていることにもご注目。何となく地図を踏む\\のが申し訳ない気がして、よほど急いでいないときにはなるべく地図を避けるように歩いてしまいます(笑)。

§ 千代田Web図書館

「情報探索コーナー」には千代田Web図書館のデモ機が1台あります。千代田Web図書館とは、ネット上から電子図書を貸出・返却できるサービスで、今のところ千代田区在住・在勤・在学の人のみが利用できるようになっています。

私もデモ機を使ってみましたが、このWeb図書館では「XMLタイプ」「PDFタイプ」「Flashタイプ」の3種類の電子図書を扱っていて、それらのファイルをダウンロードして利用するのではなく、WBOOKというソフトで千代田区立図書館のサーバ内のファイルを見るという形のようです。

電子図書を見るには、まず貸出処理が必要です。カテゴリー別のリストやタイトル・著者・出版社での検索で読みたい電子図書が見つかったら、その図書の「貸出」ボタンを押します。ログインしている状態ならそれで貸出処理が終了。図書を探すだけなら、ログインしていなくても千代田Web図書館のページからできるので、どんな本があるのか知りたいかたは覗いてみてくださ。

貸出した本を読みたいときは、千代田Web図書館内の「マイライブラリ」ページにアクセス。すると、自分が貸出している本が一覧表示されています。読みたい本の「読む」ボタンをクリックすると、Wbookが立ち上がり、その本が開きます。読むこと自体は、eBookを読める他のソフトとそんなに変わらないですね。文字の大きさを変えられたり、付箋をつけたりもできます。

一度に貸出できるのは5冊14日間まで(他の人の予約がなければ1回のみ1週間延長可能)。返却の際には、「マイライブラリ」ページにある一覧の該当図書の「返却」ボタンを押せば返却終了。延長も「延長」ボタンをクリックでできるようです。

§ 10階の児童コーナー

9階から10階へは図書館エリア内の階段・エレベーターでも行けるようになっています。階段を上がりきった正面の壁は、障子のように格子状になっているところに漉き絵が貼られており、これは千代田区内の小学校で生徒たちが好きなものを和紙に漉きこむというワークショップを行ったときの作品だそうです。見ると、動物が第一人気で、食べ物が二番目に多いですね。

そこを折り返した突き当りの小さな区画が児童コーナー。児童コーナーにも貸出・返却カウンターがあり、普段は奥の事務所に職員さんがいて、カウンターに設置されているチャイムを押せば出てきてくれます。カウンター手前に児童読み物やちしきの本があり、広々とした奥のこども室に絵本があります。

そう、この「こども室」は、児童コーナー全体の面積に対してかなりの広さでびっくりしてしまいます。全体が靴脱ぎスペースになっており、壁沿いに絵本が並び、椅子がソファや椅子が少しあるほかは自由に入れる空間が広がっています。大人の私まで寝転んで本を読みたいという欲望に駆られるくらい(笑)。こども室には給湯室や子ども用トイレもあるので、小さいお子さんと一緒にゆっくり時間を過ごすのに最適です。

こども室の入って左側は「子育て情報コーナー」になっており、育児の本、しつけの本、子どもの病気の本、子どものヘアカットの本など、子育てに役立つ本が並んでいます。同じ空間で、お子さんは絵本を読み、親御さんは子育てに役立つ本を読む、という過ごし方ができるというわけですね。すぐそばに図書館の事務所があるので、お探しの本が見つからないときは気軽に職員さんに相談しましょう。

また、千代田図書館では、この広いこども室で、保護者が図書館内で読書や学習する際にお子さんを預かるサービス「こどもひろば」を行っています。但し、常時サービスではなく月2回程度の決まった日時でのサービスで、区内在住の生後6ヶ月以上小学校就学前の子どもであることや、保護者が図書館内に滞在することが条件で、1時間につき500円の有料サービスです。

図書館でお子さんの一時預かりサービスを行っているというのはとても珍しく、それも講演会などイベント参加中の一時預かりなどではなく、普段の図書館利用のための一時預かりというのは、おそらく全国的にもかなり稀なサービスだと思います。実際、お子さんから目が離せない時期にも読書や調べものをしたいし、お子さんがいるからこそ収入を上げるための勉強をしたいこともある。そうした保護者をサポートしてくれるサービスがあるのだから、千代田区にお住いでサービス対象年齢のお子さんをお持ちの方は、ぜひ活用してください。

書架の話に戻りますと、こども室があまりに広いせいか、手前にある児童読み物やちしきの本は少なく感じてしまうくらい。実際、児童資料の冊数としては、中心館である千代田図書館より、四番町図書館の方が圧倒的に多いです(『千代田区立図書館年報 平成23年度』にある平成23年度の児童資料所蔵数をみると、千代田図書館が10,989冊に対し、四番町図書館は20,545冊)。小学生くらいのお子さんの本を探しに行くのなら、千代田図書館より四番町図書館の方がお薦めです。

利用が少ないせいか、千代田図書館の児童読み物やちしきの本は何だか新しく見えてしまうので、独占気分を味わいたい子どもには千代田図書館がいいかも(笑)?!児童読み物は著者姓名五十音順に並んでおり、日本人作家 or 外国人作家という分類ではなく、中国のおはなし、英米のおはなし…といった具合に、外国人作家の本は更に国・地域別に分けたうえでの著者姓名五十音順になっています。

§ 従来の図書館を超えた活動も

その他、千代田図書館では、神保町ツアー・文章を書くワークショップ・靴磨きなど、さまざまなイベントを開催しています。文章を書くワークショップでは、開催後に作品のいくつかを図書館で配布したので私も読みましたし、朗読のワークショップでも最後に発表会をしていて、参加した方が何かを得るだけでなく、得たものを発信する場として図書館を使っているのもいいですね。まあ、職人さんによる靴磨きイベントなどは、図書館で開催する意味がよくわかりませんが…(広く考えれば技の伝承を守る文化的意味があると言えなくもないけど、ただの利用者数稼ぎという気もする)。

従来の図書館の枠からはなかなか取り入れにくいだろう「新書マップコーナー」を導入した試みは面白かったと思うし、要は「従来の図書館の枠にこだわらないスタイルが、いい方向に進んでいるかどうか」が大事ですよね。2007年の開館当初は目新しい設備や広告費で耳目を集めていたところ、開館から数年経ったこれからも利用者と知識・情報をつなぐ図書館の役割を果たしていけるかどうかが重要だと思います。

千代田図書館では、ちよぴたブログというブログも運営して、図書館に限らず様々な千代田区内の出来事やイベントを紹介しています。こうした情報もぜひチェックして、図書館をもっともっと活用しましょう!

千代田区立千代田図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  ビジネス書読者と編集者によるビブリオバトル
―2015年5月15日のイベント
「あなたのセカンドオフィス」を標榜し、かつ、出版社との連携にも力を入れている千代田図書館で、ビジネス書ビブリオバトルが開催されました。第1ゲームが一般読者によるバトル、第2ゲームがビジネス書編集者さんによるバトルという2部構成で、面白い話がいろいろ聞けました。
  コンシェルジュと巡る神保町ツアー『古本屋ツアー・イン・神保町』編
―2014年12月6日のイベント
前半が『古本屋ツアー・イン・神保町』著者の小山力也氏トークイベント、後半で千代田図書館コンシェルジュに神保町の古本屋を案内していただくという、神保町古本街をたっぷり楽しめるイベントに参加してきました。
  ビジネス書でビブリオバトル!
―2014年2月27日のイベント
「あなたのセカンドオフィスに。もうひとつの書斎に。」をキャッチコピーにしている千代田図書館で、ビジネス書を紹介するビブリオバトルが開催され、私もバトラーとして参戦してきました。
  講演会「ビブリオバトル入門 ~開催のコツ教えます~」
―2013年6月30日のイベント
千代田区役所1階区民ホールで行われた講演会「ビブリオバトル入門 ~開催のコツ教えます~」に参加してきました。
  新書マップコーナー
オープン当初は鳴り物入りで宣伝していた千代田図書館の新書マップコーナー、今はなくなってしまいました。訪問記からすっかり削除するのももったいないので、存在していた頃の訪問記をこちらに移しました。
  図書館寄席
―2007年5月7日のイベント
2007年5月7日の千代田図書館リニューアル開館のイベントで、入船亭扇治師匠による図書館寄席が行われました。

千代田区立千代田図書館 データ

住所東京都千代田区九段南1-2-1 千代田区役所9,10階 →Google Mapで見る
Tel03-5211-4289・4290
開館時間
月~金曜10:00~22:00
土曜10:00~19:00
日曜・祝日・12月29~31日10:00~17:00
定休日第4日曜
1月1日~1月3日
最寄駅 東京メトロ東西線半蔵門線都営新宿線 九段下駅から徒歩4分
東京メトロ東西線 竹橋駅から徒歩8分
東京メトロ半蔵門線都営新宿線 神保町駅から徒歩9分
都営三田線 神保町駅から徒歩11分
駐輪場建物北西側(あおぞら銀行がある方)に駐輪場あり。バイクは地下の駐輪場へ。
駐車場建物地下1階に駐車場あり。最初の30分は無料、それ以降は30分ごとに250円。65歳以上の方や障害者の方は、9階メインカウンターで無料駐車券を発行してもらえます。
SNS等
所蔵資料
図書所蔵数197,461冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
ありありなし

映像資料
DVDビデオLD
ありありなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物北西面(あおぞら銀行がある方)にある夜間休日入口を入ってすぐ左の壁面にブックポストあり
自動貸出機ICタグ式自動貸出機4台(9階3台、10階1台)あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備CD・ビデオ・DVD試聴機が個人用7台、グループ用(4席)1台あり。CD・ビデオ・DVD合わせて1日1回までの利用で、CD試聴は90分まで。
映像視聴設備CD・ビデオ・DVD試聴機が個人用7台、グループ用(4席)1台あり。CD・ビデオ・DVD合わせて1日1回までの利用で、ビデオ・DVD視聴は1点フル再生の所要時間まで。
ネット閲覧PC9階にネット閲覧PC8台あり。利用は1日1回60分、待っている人がいない場合は1回30分に限り延長可能。
9階に情報探索ポータルサイト用PC3台あり
持参PC利用窓際のキャレル席(16席)と一般席(66席)で持参PCの利用可能。電源あり。
LAN接続
  • 調査研究ゾーン・研修室・一般書架ゾーンで、館内用無線LAN(WPA/WPA2-PSKで暗号化)の利用可能。パスワードは館内に掲示しています。
  • 9階キャレル席で、有線LANの利用可能。
飲食設備等
  • 館内での蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)からの飲料摂取はOK
  • 建物1階にパン屋「さくらベーカリー」あり。平日8:00~19:00、土曜10:00~14:00、日曜祝日休み。
  • 千代田区役所10階に食堂あり。営業時間は8:00~20:00。
  • 千代田区役所10階に売店あり。営業時間は8:00~18:00。
  • 千代田区役所10階に飲物自販機2台あり
その他設備
  • 千代田Web図書館デモ機1台あり
  • 9階に有料の研修室4室あり
  • 建物10階の男性用・女性用トイレの対面に喫煙室あり