おたのしみ読書バッグ
visit:2014/10/27
あちこちの図書館で実施されている「福袋」企画をご存知でしょうか。中身が見えない状態で本に関するヒントだけを示し、そのヒントをもとに選んで、貸出手続きしてみてからどんな本だったのかがわかるような企画です。2014年秋、そうした企画「おたのしみ読書バッグ」が杉並区立方南図書館でも開催されると知り、私もさっそく行ってみました。
図書館に入ると、入口正面に色紙で作られた大きな木があり、葉っぱのかたちをした赤と黄色のカードにびっしりと文字が書かれています。よく見ると、葉っぱに書かれている文章は全てある本の推薦文。でも、何の本の推薦文なのかはわかりません。気になった推薦文があったら、その葉っぱカードを剥がしてカウンターにもっていくと、その本が借りられます。そう、中身は借りてからのお楽しみというのが、この「おたのしみ読書バッグ」企画です。
この手の企画でバッグに詰める場合はバッグの中に複数冊が入っていることが多いのですが、今回の方南図書館の企画は1つのバッグには1冊の本が入っているようです。赤い葉っぱは子ども用、黄色い葉っぱは大人用と、対象年齢がわかるようになっている(子ども用は更に「幼児向け」「小学校高学年から」など細かい対象年齢が書かれています)ので、子どもから大人まで楽しめます。
私があれこれ説明するより、どんなことが葉っぱに書かれているのか具体的にお伝えした方が面白さがわかると思うので、私がメモしてきたものをご紹介しましょう。
この本の事を思い出すと、とてもノスタルジックな気分になります。ゆったりとした時間の中にいるような気持ちにさせてくれるこの本が、私はたまに読みたくなり、そして読み終ると必ず美味しいサンドイッチが食べたくなるのです。
お酒の友の「つまみ」
図書館にも多くの「つまみ」の本が所蔵されていて、見ているだけでも楽しいのですが、この本は楽しさプラスちょっとビックリしたりもするのです。何故ビックリするか、と言うのは、借りて頂いてからのお楽しみです。できたらお借りになり、ちょっとだけビックリしてみて下さい!
私はここ数年見られない期間がありましたが、お正月といえば“コレ”というお正月を象徴するイベントだと思います。つい先日、この予選会が行われました。ご覧になった方もいらっしゃるのでは?このイベントに関する小説を紹介させていただきます。当日はどのような物語が生まれるのでしょうか。ひと足先にのぞいてみませんか。
孫に宛てた手紙は謎解き付きの手紙だった。謎解きを通して語られる家族への思い、バラバラだった家族はやがて一つになってゆく……。著者の祖父の詩集をヒントに執筆し自費出版したが、口コミで全国的に広がって行った愛情あふれる感動の小説。
小惑星と地球。宇宙戦艦と観測所。少年たちと天文学者。干渉する未来と、対応する過去。二つをつなぐものは時の泉を泳ぐ!!十日間の邂逅がもたらす変化におもしろさを感じる一冊です。
そんなことある?!ぜったいないとおもう。でもね、もし本当にそんなことがおこったら私はフサフサな毛をなでてみたいな〜そしていっしょに絵本を読むの。ただし、しずかにするっておやくそくね!!(幼児より)
多摩川ってみぢかな川なのにアロワナ・ピラニアが泳いでいる。まるでアマゾン川みたい!なんでこうなってしまったの?そこには、大人もびっくりする理由が!!小学校3,4年から読める本です
私が子供だった頃は、夏といえば、クーラーが無くて、扇風機と蚊取り線香が定番でした。まだまだ自然がいっぱいあって…そんな昭和の時代を思い出させてくれる1冊です。
対象小学校高学年〜一般
中学生から読める小説です。
ー「私の好きな人が身近にいて、その人らしくまじめに、懸命に暮らしていてくれる、ってことが、いまのわたしにとっては何よりうれしいの。」というセリフが気に入ってます。読むたび、家族やとおくの友人も、この本をつくった作家と絵描きも今もそれぞれ、彼らしくまじめに、懸命に暮らしているのだわ、と思い出し、そのことにじんわり励まされるのでした。
いかがでしょう。誰の書いた何という本なのか気になりませんか。例えば、私が気になったのは、大人用3番目のお正月といえばコレというイベントに関する小説。「お正月を象徴する」「先日、予選会が行われた」というヒントをもとに、10年ほど前に司会が1人から2人に増えたあのイベントではないかと思うのですが、あのイベントに関する小説があるなんて。私の推理が合っているのか、また、合っていたとしてどんな小説なのか、ぜひ読んでみたいです。
また、1番目の推薦文の本がなぜ読後にサンドイッチを食べたくなるのか、2番目の推薦文のびっくりとは何かというのもとても気になります。あらすじなどを細かく書いてしまっている推薦文もあるのですが、私個人はそのように説明しすぎると「中身は借りてのお楽しみ」要素が減ってしまうように感じました。どんな本なのかわからない方が、借りてみてその謎を解いてみたくなる。
そんなわけで、一番気になる「お正月といえばコレというイベント」の小説を借りたいところなのですが、残念ながら多摩市在住・在勤の私には、杉並区立図書館の本が借りられません。どなたか私の代わりに借りて中身を教えてください(笑)。この企画が終わったら、方南図書館に中身を聞いてみようかな。
私はこの手の福袋企画が都内の図書館で実施される際にはできるかぎり行っているのですが(図書館のイベント・展示訪問記の中にある、「福袋」「お楽しみ袋」といった名称の記事を拾うとそれらがご覧いただけます)、こうした目隠し本選び企画は自分では手に取らないジャンルの本に出会えることがあるのも面白さ。例えば、カタカナの登場人物が覚えられないから外国小説は苦手とか、絵のタッチがあまり好みでないなどの理由で避けていた本や絵本が、読んでみると意外と面白いことがある。
図書館には実にさまざまな本があるけど、ご自分が足を運ぶ棚って固定化してしまっていませんか。そんな固定化を打破してくれるのがこの企画だと思います。ちなみに、期間は2014年10月27日から11月9日までですが、用意したバッグがなくなったら会期末を待たずに終了となり、準備した分が大人用28個、子ども用12個だそうですが、私が行った2014年10月27日の閉館時刻時点では、大人用のカードが22枚、子ども用のカードが8枚残っていました。つまり1日目、しかも平日(月曜)にして、大人用6個、子ども用4個が貸し出されているので、借りてみたい方はぜひお早目に方南図書館へ。「おたのしみ読書バッグ」での未知の本との出会いを楽しんでください。