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府中市立中央図書館

府中市立中央図書館 訪問記

last visit:2014/11/12
§ 図書館の場所

府中市立中央図書館は、京王線府中駅から北東方面へ徒歩10分のところにあります。道のりとしては、「府中警察署東」交差点に出るよう駅から東方向に進んでから北進するルートが最短、かつ、シンプルですが、私個人は北へ東へと適当にジグザグ進むのがお薦め。というのも、住宅地の中にひょっこりお店やケーキ屋さんがあるんです。最初に行くときには最短ルートで位置確認し、図書館の場所がわかったらぜひ周辺散歩を楽しんでください。

駅周辺にも伊勢丹をはじめ、たくさんのお店があるし、公共施設も近いし、府中駅周辺は住むのに便利そうですね。ルミエール府中からさらに700m北に行けば府中の森公園もあるし、南に1km行けば府中競馬場もある。こうして書いているうちにも、住みたくなってしまいます(笑)。

§ 図書館内の配置

ルミエール府中は、市民会館と中央図書館の複合施設で、建物の3階から5階までが中央図書館のフロアです。3階が新聞・雑誌、児童、文庫・新書、小説、技術・芸術・スポーツ・産業、家事関連本、大活字本・点字本。4階は、その他の一般書架と、辞典類・郷土資料・行政資料、中高生コーナー、CD・DVDなどの視聴覚資料。カウンターやネット閲覧PCは3,4階両方にあり、予約受取を自分でできる予約本コーナーは3階です。5階は学習室と屋上庭園があり、学習室は府中市在住・在学・在勤者しか利用できませんが、屋上庭園は誰でも利用できます。

§ 児童コーナー

3階の児童コーナーは、本が好きな子どもはもちろん、絵本デビューの子どもや、読み聞かせをしたいけどどうしたらいいのかわからない大人などにも応えられる充実のコーナーです。児童コーナーを巡っている間に、何度心の中に感嘆符を思い浮かべたことか、というくらい。赤ちゃん絵本コーナーからおはなしの部屋へと続く靴脱ぎスペースも広く、おはなしの部屋には大きい扉とは別に、小さい子どもが出入りできるような小さい扉もあります。普段は施錠されていますが、イベントのときにはここから入ったりするのかな。

絵本の棚は、日本の絵本も外国の絵本も一緒にして、絵を描いた人の五十音順で並んでいます。幼児向け絵本は出版社の五十音順ですね。紙芝居は「行事」「生活」「知識」「昔話」「物語」というジャンルで分類しています。この他、児童コーナー入口すぐの場所には人気のある絵本をまとめて置いていたりと、ただ蔵書数が多いだけでなく、絵本選びの参考になる配架になっています。

カウンター向かって左方にある「読み聞かせに向く絵本」の棚には、読み聞かせにおすすめの絵本が、どれも5~10冊ずつ揃えています。貸出中のものもあるはずだから、各絵本10冊ずつくらい揃えているのかな。ざっと数えたところ、300種類ほどの絵本があったので、300種類×各10冊=3000冊という絵本の量!

こんなにたくさんあると、どれを読んだらいいのかわからないという人もいらっしゃると思いますが、そんなときにはこの棚の中央に置かれている「読み聞かせに向く絵本のリスト」をどうぞ。このリストに掲載されている絵本も300冊強なので、おそらくこのリストに載っているものが、そのまま「読み聞かせに向く絵本」の棚にあるのだと思います。「読み聞かせに向く絵本のリスト」では、対象年齢や読み聞かせ所要時間の目安、内容が想起できるキーワードなどを一覧にしています。また、「読み聞かせに向く物語のリスト」「読み聞かせハンドブック」といった冊子もあるので、おはなし会などを開催する方はぜひ参考にしてください。

ただ、このリストは不特定多数の子どもを対象とした読み聞かせのガイドであって、「家庭で親が子に本を読み聞かせするときには、本の質よりも共に楽しむ関係が重要です」とのこと。親子で絵本を選ぶときには、このリストも参考にしつつ、他の棚も見てインスピレーションで選ぶのもいいですよね。ずらっと揃っている図書館の棚から、お気に入りの絵本を見つけてください。

この「読み聞かせに向く絵本」の右隣には、点字絵本や布絵本、児童文学の大活字本もあります。布絵本や点字絵本(さわれる絵本)は障害のある子どもが優先ですが、誰でも借りることができます。布絵本は目録があり、全ての絵本の全ページの写真が見られるんです。この目録はとてもいいですね。布絵本って、どんなものがあるかを一点ずつ見るとき、いちいち袋を開けて、中を見て、仕舞って、別の袋を開けて、中を見て、仕舞って…とするのがちょっと面倒なんです。でもこの目録を見れば、どんなものがあるかが簡単にわかります。こういう目録、他の図書館でもぜひ作って欲しいなあ。

小学生向けの本についても、「とっておきの本・100さつ」という冊子を配布しています。こちらも、単なる対象学年ごとの書籍リストではなく、読むより聞いたほうがイメージしやすい本については*印をつけていたり、主人公の年齢がわかる本については主人公の年齢も付記しています。自分と同じ年の男の子・女の子のおはなしを読むのもいいですね。

児童読みものの棚は、日本人作家の作品と外国人作家の作品に分けて普通に著者名の五十音順に並んでいるように見えますが、よく見ると下の方の段は請求記号にYがついている黄色のラベルの本、上の方の段は請求記号にGがついていている緑色のラベルの本、と二層になっています。Yの黄ラベルは1,2年生向き、Gの緑ラベルは3年生から中学生まで向けとのこと。小学3年生から中学生までがひとまとめというのは、少し広すぎる気もしますが(笑)、低学年と中・高学年で棚をきっぱり分けてしまうのではなく、棚の上下で分けているので、あまり対象年齢にこだわらず、たまには上の段を見てみたり下の段を見てみたりすれば、いろんな本に出会えそう。

§ 予約本コーナー

また、3階カウンターと児童コーナーの間には、予約して届いた本を職員さんの手を介さずに利用者本人が棚から取って貸出手続できる「予約本コーナー」があります。予約資料のうち、児童向け資料・視聴覚資料・他の自治体からの借りた資料以外の資料は、このコーナーで利用者自らが探すことになります。

使い方としては、予約資料が届いたという連絡が来たら、この予約本コーナー入って左の機械に図書館カードを読み込ませます。すると、届いている本が置いてある場所が印刷されたレシートが出てくると同時に、届いている本がある棚板右のランプが光ります。レシートとランプを元に自分が予約した本を探して、予約本コーナー入口脇の自動貸出機で手続きすればOK。手続しないで予約本コーナーから出ようとすると、コーナー出口でブザーがなります。

この予約本コーナーでは、複数の本が一度に届いた場合もそれがまとまって置いてあるとは限りません。予約本コーナーの棚は、一般書架のように、日本十進分類法の、0類:総記、1類:哲学、2類:歴史…という分類にしたがって置かれています。なぜそうなっているか、私は中央図書館の自動書庫見学ツアーに参加してわかりました。この辺、詳しく知りたい方は、自動書庫見学ツアー体験記をぜひご覧ください。

予約本コーナーに、複数の人が一度に入っても、利用者ごとに棚のランプの色が変わるので、レシートに印刷されたランプの色も参考にして探せば大丈夫。また、間違えて他の人が予約した本を貸出しようとしても、自動貸出機にメッセージが出て貸出処理できないようになっています。府中市立図書館は、府中市在住・在勤・在学の人しか予約ができないため、多摩市在住・在勤の私は予約本コーナーを利用できないのですが、職員さんの手を介さずに予約受取できるので、人目が気になるような病気の本、ダイエットの本、心配事に関する本なども、気兼ねなく予約できますね。

§ 3階の書架

児童コーナー以外の書架も、とにかく広い!東京都内公立図書館図書所蔵数ランキングをご覧いただくとわかるように、府中市立中央図書館は、東京都内の区市町村立図書館の中で2番目に蔵書数の多い図書館で、その蔵書数は2011年4月1日時点で83万冊もあります。3階の新聞・雑誌コーナー隣に、本日返却された本を置く棚があるのですが、書架に足を踏み入れる前に、この棚を見ただけでびっくりしてしまいます。普通の図書館の本日返却された本って、3段の可動ラック1つだったり、大きい図書館でも棚1つ分だったりするところ、府中市立中央図書館の「本日返却された本」棚は、3.5mほどの幅の棚の表裏両面を3つ分使っているのです。

この「本日返却された本」の書棚は、棚板が茶色とクリーム色の線がうねうねしている模様の棚なのですが、この模様の棚はただの棚ではなく、置かれている本のICタグを読み取る棚なんです。館内でICタグ読取棚になっているのは、本日返却された本コーナー以外に、特集コーナー、新着本コーナー、予約本コーナー。これによって、本の場所が正確にわかるようになっています。

例えば、『ドラッカーの講義(1991-2003)』という本が読みたいとします。この本は、普段は一般書架の304(社会科学の論文集・講演集)の棚に置かれています。この本を借りた誰かがさっき返したばかりで、今この瞬間「本日返却された本」コーナーにあるとしましょう。検索機を使って書名で検索したとき、「304」という“いつもだったらあるはずの場所”が表示されたら、そこをどんなに探しても絶対に見つからないですよね。「ちょっとの差で誰かが持っていっちゃたのかなあ」とあきらめることになる。でも、検索機が「返却された本の棚のC-2にあります」と“今、この瞬間にその本がある場所”を教えてくれたら、見逃すことなくその本に辿りつけます。このように、一時的に本が置かれる棚をICタグ読取棚にしていることで、利用者が今読んでいる本、手にしている本以外は、中央図書館の中にある本の場所がほぼ確実にわかるといえる仕組みなんです。

ちなみに私、一時的な棚の中で、あえて本を移動してみたらどうなるかという実験をしてみました(笑)。まず、「本日返却された本コーナー」にある本を検索機で検索すると、確かに「743.5」みたいな請求記号ではなく、「返却2C-3」(本日返却された本コーナーの2列目の棚のC列の3段目)といったように、本のある場所が表示されます。そこで、返却2C-3にある本を返却2D-1に移してから検索してみたら、きちんとそれが反映されるか。試してみると、リアルタイムには反映されないけど、少し経つと移動先の場所が反映されます。何度か試したところ、1分毎にICタグ読み込みして、それを反映しているようです。

小説の棚も、読みたい本がたくさんありすぎてどうしてくれるの?というくらいの冊数です(笑)。日本の小説は著者姓名の五十音順に並んでおり、複数の著者による作品集は、タイトル名を元に五十音順の並びに入れられています。例えば、立松和平(タテマツ ワヘイ)が書いたの本の隣に、11人の作家による『堕天使殺人事件』(ダテンシサツジンジケン)という本が並び、その隣に田中ケンスケ(タナカ ケンスケ)が書いた本がある、といったかたちになります。外国の小説は、「東洋文学」「英米文学」「ドイツ文学」と国・地域別に分けたうえで、著者姓名五十音順に並んでいます。

小説よりカウンターに近いところにある、点字資料や大活字本などのハンディキャップ資料も充実しています。ハンディキャップがある方向けの資料はもちろん、布絵本の作り方や音訳マニュアル、アクセント辞典など、ハンディキャップ資料を作成する際の資料も。これらの作成用資料は、同じものを複数揃えているので、何人かで分担して作成するときにも便利です。

§ 視聴覚資料

4階のカウンター向かって左の区画には、CDやDVDなどの視聴覚資料があります。ビデオやLD、カセットテープなども所蔵しています。棚の側面を使って時節に合った資料の紹介などもしているので、そちらもご注目あれ。

DVDは貸出手続きをしないと開けられないケースに入っており、自動貸出機ではケースは開きません。なので、DVDだけはカウンターで貸出手続きすることになります。DVDコーナーにも自動貸出機にも、これでもかというくらい「DVDを借りる際はカウンターへ」という文言が貼ってあるので、初めて利用する人もわかると思います。

このロック式のケースは台東区立図書館のCDケースにも使われているのですが、CDだとライナーノーツなどの書かれた冊子もケースの中に入っていて、選ぶときにそれを見られないというのが少々ネックなんです。でも、DVDならジャケットにあらすじなどが書かれていることが多く、借りる際にもそれを見て選べるのでCDほど不便ではありません。

視聴ブースも10ブースもあり、そのうち6つは複数人で視聴できるようになっているので、友達と一緒に鑑賞することもできます。私もそうですが、家でのメディアはDVDに移行して、ビデオデッキはもう持っていない人などもいますよね。そういう人にとっても館内で視聴できるのは便利。休日のお昼過ぎあたりは満席になっていることもありますが、府中市在住・在勤・在学の方は次の時間帯の予約もできるので、ぜひ活用してください。

§ 中高生コーナー

視聴覚資料の隣には中高生コーナーがあります。棚を見ていると、中高生向けの小説や知識の本が並ぶほか、安野光雅の『旅の絵本』やショーン・タン『アライバル』といった、大人のファンの多い絵本などもあり、中高生だけでなく多くの人に見てもらいたい棚です。本の対象年齢はあくまでも目安であり、大人が絵本を読んでもいいし、小学高学年の子が中高生向けの本に挑戦するのもOK。図書館にあるいろいろな本を楽しみたいです。

ガラスの仕切りに囲まれたスペースには、市販の本だけでなく高校や大学の学校案内をファイリングしたものがたくさん並んでいるので、中高生にはぜひそうした資料を活用して欲しいところ。図書館は静かにしないといけないところですが、このスペースは仕切られているために少しくらいなら話しても外に声が漏れず、友達と一緒に利用している中高生も多いです。周りに迷惑をかけないようにしながら、図書館を活用したいところです。

§ 4階の書架

4階のカウンター向かって右のエリアには「しごと情報資料」というコーナーがあり、ビジネスに関する資料を集めておいてあります。ただ、「経営管理」に関する本は「しごと情報資料」コーナーにもあり、一般書架の「336 経営管理」の中にもあるので、単に置き場所が2箇所になってしまっている感も否めません。強いていえば、「しごと情報資料」コーナーの本は比較的新しいものや実践的に書かれたものが多く、一般書架内の本は古い本や学問的なものが多いという印象ですが、絶対そうも言いきれないし、ビジネス関連の本をお探しの方は、「しごと情報資料」コーナーと一般書架の両方を見た方がいいと思います。

ビジネス関連資料は利用が多く、こうした特設コーナーを作っている図書館も多いのですが、どういう本が特設コーナーにあり、どういう本が特設コーナーではない一般分類に入るかが明確になってないと、利用者にとっては単に探さないといけない棚が2箇所に増えたということにもなってしまうし、人によってはどちらか一方だけを探して「この図書館には自分の求めている本はない」と判断してしまうかもしれません。この辺をもっと明確にしてくれると、更に使いやすいコーナーになるのではないかと思います。

「しごと情報資料」の奥にある辞典・白書・統計などの資料も、書棚何列分にも渡って並んでいて冊数の多さに眼がくらみそうです(笑)。ちょっとした調べものなんだけど、こんなに資料があるとどれを見ればいいんだか…、という人には、階段に近い棚の側面に、「レファレンスサービス」という黄色チラシがあり、ジャンルごとに“どの資料を見るとどんなことがわかるか”が簡単にまとめてあるので、それを参考にしてください。それに、3,4階それぞれにあるレファレンスカウンターでも、相談に乗ってもらえますよ。

郷土資料は、府中市に関する資料や、東京に関する資料、府中以外の市・区に関する資料もたくさん。府中市については、「大賀蓮」「国府・国分寺」「けやき並木」「甲州街道」「馬(競馬や馬術の資料も含む)」「多摩川」に関する資料も、それぞれコーナーを設けて集めています。

郷土資料の中にある府中在住著者の作品も、かなりの冊数。一番冊数が多いのが、斎藤茂吉の長男で精神科医・随筆家の、斉藤茂太氏の著作ですね。茂太氏が院長を務めていた斉藤病院は、府中市立中央図書館からみて北東方面、府中の森公園を越えた更に向こうにあります。その他にも、民俗学者の宮本常一、文化人類学者の山口昌男、小説家の奥泉光氏の著作もあります。ノンフィクション作家の野村進氏の著作もあって、私は井の頭線でお見かけしたことがあるのですが、彼も府中市民なんですね。

§ 外国語資料

外国語の資料もたくさんあります。4階の図書館エリア入口入ってすぐのところに、英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語・イタリア語・ロシア語・中国語・ハングル・インドネシア語・マレー語・ベトナム語・ネパール語・タイ語・ヒンディー語と、もうこれでもかというくらい(笑)、様々な言語の本が並んでいます。英語・中国語・ハングルは、ジャンルごとに見出しをつけて分類しているほどの冊数ですし、これらの言語の中で一番冊数の少ないネパール語の本でも30冊あります。英語・中国語・ハングルについては初心者向けの本をまとめたコーナーもあるので、外国語に堪能な人だけでなく、図書館の本を使って語学の勉強をしてみようかなという人もぜひ活用してください。

外国語資料のそばには、ちょっとした書斎のようなコーナーがあります。これは「ウィーンコーナー」で、府中市がオーストリアのウィーン市ヘルナルス区と友好都市になったことから、このコーナーを設置したのだそうです。ウィーンに関する本やCD、ヘルナルス区立図書館から寄贈された資料、ウィーンの写真、シェーンブルン宮殿や国立歌劇場のペーパークラフトなどがあり、書架エリア内の椅子よりもちょっといい椅子で、オーストリア気分を味わえます(笑)。

少し考えさせられてしまったのが、ヘルナルス区立図書館と府中市立図書館との往復書簡。友好都市の図書館として、やりとりした書簡をファイリングしたものがウィーンコーナーにあるんですね。私が見た時点では、1997年から2012年までの書簡が綴じてあったのですが、この15年間の間、府中市立中央図書館では館長さんが入れ替わって7人にわたる一方、ヘルナルス区立図書館はずっと同じ方が館長を務めているのです。たぶん、日本ではこの府中市のように、3,4年で館長が変わるのがほとんどだと思うのですが、ヨーロッパではこれくらい長く務めているのが普通なのかな。もしかしたら、日本は首相もころころ変わるけど、それ以外の人事もころころ変わるよなあ、なんて思われているかもしれませんね。

§ 閲覧席・研究個室

これまでの文章で、資料の多さを書いてきましたが、閲覧席もそれに見合うようにたくさんあります。書架のそばにある、広い机を複数人で使うタイプの閲覧席のほか、3階には書架とは間仕切りされた読書室があり、この部屋にある席は一人分ずつ仕切られています。

また、4階には研究個室が4部屋と、グループ研究室(2~8名用)が1部屋あり、研究の目的を明確にした上で、これらの部屋を利用することができます。府中市在住・在学・在勤者は、4時間まで利用可能で、1週間前からの利用予約も可能。府中市在住・在学・在勤以外の人は、予約はできず、利用したいときに空室があれば利用可能という形で、その際の利用時間は2時間以内です。

この他にも5階に学習室があり、こちらを利用できるのは府中市在住・在学・在勤者だけ。この学習室は図書館エリアの外にあたるので、図書館の本を使いたい場合は、貸出手続きをしてから持ち込むことになります。学習室はシステムを使って利用者が自分で座席を決めるようになっており、操作のなかで図書館カードを読み込ませることが必要なので、学習室を利用したいかたはまず図書館でカードを作ってきてください。146席ある座席のうち32席ではパソコンを利用することもできるし、1人ずつ仕切りのある机なので集中しやすいです。

このように、いろんなタイプの席があるので、府中市在住・在学・在勤かそうでないか、図書館の資料をあれこれ見たいかどうか、など、自分の利用方法に適した席を見つけてくださいね。

§ 5階の学習室・屋上庭園

5階は、4階の図書館エリアから上がれるようにはなっておらず、建物全体の階段・エレベーターを使って上がっていきます。階段・エレベーターをあがると、右に学習室があり、学習室の脇の通路を奥に進むと屋上庭園があります。

学習室については上に書いたので、屋上庭園の話を。屋上庭園は板張りの歩道部の先に植物が植えられていて、そんなに広くはありませんが、ここでは図書館員の有志の方々が毎年大賀ハスを育てています。大賀ハスというのは植物学者の大賀一郎氏が古代のハスの実から発芽・開花させたハスで、中央図書館には大賀氏の蔵書を受贈した「大賀文庫」があります。府中市立図書館ホームページの上部の写真も大賀ハスですね。中央図書館で育てている大賀ハスの様子は、府中市立図書館ホームページ内の大賀ハス日誌に掲載されているので、そちらもぜひ。

中央図書館内には、この屋上庭園以外にも、各階のエレベーター付近にテーブルや自動販売機などがある休憩スペースがあるので、そちらでも休憩できます。ただ、休日などは、この休憩スペースも勉強している人で混んでいます。

また、建物1階にはカフェレストランもありますよ。お惣菜も売っているので、お茶も食事もできるし、パンとお惣菜に関しては持ち帰りもできます。手ぶらで来ても、お金さえあれば食事もできるし、1日中過ごせますね。

§ 何を探しているかが問われます

こんなかたちで、膨大な資料を有する、広~い府中市立中央図書館。ずらっと並ぶ本を前にして、例えば「何か面白い美術の本はないかなあ」なんていう呑気な考えで本が見つかると思ったら甘い(笑)!!いや、もちろん、ふらっと来る人も大歓迎ですが、何せ美術の本だけでも膨大な冊数があるわけですから、美術の中でも特にどんなものが読みたいか、自分の興味を掘り下げていかないと、この本の森の中で迷子になってしまう可能性も大です。

実際、書棚を回っていると、本が多いわりには、細かく分類されていないところもあって、そのせいで探しにくいところもあります。医学の棚は、内科はその中でさらに小分類してありますが、外科や婦人科は小分類がなく著者名五十音順です。婦人科は、妊娠・不妊の本もあれば、子宮がんの本や更年期障害の本もある。それがすべてごちゃまぜで著者名順に並んでいるので、できれば内容で分類してくれたらなと思います。それに書庫にもたくさん本があるので、利用者としては開架の棚を見て本を探すというやり方だけでなく、検索機やレファレンス相談を使いこなしたいところです。

検索機を使った場合、中央図書館の開架にある資料は、[配架図]ボタンをクリック or タッチすればその資料がある場所が表示されるし、自動書庫にある資料は、書庫出納票を印刷してカウンターに持っていけば、資料請求できます。3階の書架のところで書いたように、検索機で探している本が「本日返却された本」「特集コーナー」などにある場合、その場所をちゃんと表示してくれるので、普段の配架場所を知っている本も、検索機で検索する方が確実に手に取れます。

でも、自分が何を求めているかを掘り下げるって、本来調べもの探しものをするときには、常に念頭に置くべきことですよね。ほどほどの蔵書数の図書館だと、蔵書数が限られているので、そこまで問われずに済んでいるだけ。例えばネットで何かを検索する際に、漠然とした広い概念を表す言葉ではなく、ある程度絞り込める言葉で検索しないと、自分の求めている情報に辿り着けないというのは、多くの人が体感しているのではないでしょうか。府中市立中央図書館のような蔵書数の多い図書館でも同じことで、自分の読みたいものを明確にしないと、情報の海に溺れてしまいます。

と、情報を探す大変さを強調してしまいましたが、自分で探すのが難しければ、気軽に職員さんに相談してください。府中市立図書館には情報の海に溺れそうな利用者にとって心強い指針があって、中央図書館3階の登録カウンターに座る職員さんの背後の柱に貼ってあるんです。その指針とは、以下の通り。

  1. 1人1人の利用者の立場に立つ
  2. 利用者の心情の機微をつかむ
  3. 「ありません。わかりません。」をいうまい
  4. 図書館の利用者に卒業生を出すまい
  5. 昨日の利用者は今日も同じではない
  6. 1人の利用に全館の体制で

こんな本が本当にあるのかな…と思っている人や、「これ」を探しているんだけど「これ」が一言で言えるようなものではない場合なども、図書館側がこうした指針を持っていると知ったら相談してみようという気になりませんか。情報の海での羅針盤といえる司書さん達にぜひたくさん相談してみてください。

それに趣味の読書なら、あえて溺れる自分を楽しむというのもありですね(笑)。小説本も、開架だけでもこれでもかというくらいありますし、先の“美術に関する本”も、仕事のためなら漠然としすぎですけど、個人的な趣味なら膨大な美術本に手当たり次第手をつけて、さながら“面白本を求める旅”に繰り出すのもいいですよね。

この蔵書量をうまく使いこなせるか、情報の海に溺れてしまうかは、あなた次第!ぜひ、航海を楽しんでください。

府中市立中央図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  本の処方箋~この人におすすめの一冊~ 応募編
―処方箋募集が2018年8月1日から9月下旬まで、展示貸出期間が2018年10月14日から展示資料がすべて貸し出されるまでの企画
テーマに合った本のタイトルとお薦めコメントを利用者から募集し、その本を包んで中身がわからないようにし、テーマとお薦めコメントだけで本を借りて楽しむ企画です。私の現在の在住・在勤地では、残念ながら府中市立図書館で本を借りることができませんが、中身の応募をしてきました。
  中央図書館新館開館10周年記念企画「ぶっくんからの挑戦状~君はこの謎を解けるか?」
―2017年12月8日から28日までの展示
府中市立中央図書館が現在の建物で移設オープンしたのは007年12月1日。それから10年経った2017年12月に、子ども向けに読書問題、一般向けに府中にちなんだクロスワードを配布していました。実施期間終了後も府中市立図書館ウェブサイトにUPされているので、ご興味ある方はぜひ挑戦を!
  府中市立中央図書館自動書庫見学ツアー
―2011年5月29日のイベント

府中市立中央図書館 データ

住所東京都府中市府中町2-24 ルミエール府中3~5階 →Google Mapで見る
Tel042-362-8647
開館時間9:00~22:00
※利用登録・レファレンスは19時まで
定休日第3月曜とその翌日(祝日・振替休日と重なった場合は開館し、翌平日を休館)
第1火曜(祝日・振替休日と重なった場合は開館し、翌平日を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 京王線 府中駅から徒歩10分
所蔵資料
図書所蔵数945,287冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
ありあり(閉架)なし

映像資料
DVDビデオLD
ありありあり
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト中央文化センター4階ロビーにブックポストを設置。利用時間は9:00~20:45。
自動貸出機ICタグ式自動貸出機9台(3階6台、4階3台)あり
自動返却機なし
セルフ予約受取3階カウンター向かって左に予約本コーナーあり
音声試聴設備カセット・CD・ビデオ・DVD・LDの視聴ブースあり。1人用視聴ブースが4つ、複数人用視聴ブースが6つ。音声資料は1日1人1回2時間以内。誰でも使えますが、満席時の予約は府中市在住・在学・在勤者のみ。保護者同伴でない小学生以下の利用は18時まで。
映像視聴設備カセット・CD・ビデオ・DVD・LDの視聴ブースあり。1人用視聴ブースが4つ、複数人用視聴ブースが6つ。映像資料は1日1人1回1作品の時間内まで。誰でも使えますが、満席時の予約は府中市在住・在学・在勤者のみ。保護者同伴でない小学生以下の利用は18時まで。
ネット閲覧PCネット閲覧PC15台(3階6台、4階9台、)あり。また、児童コーナー内に児童用ネット閲覧PC2台あり。利用はいずれも1回1時間、保護者同伴でない小学生以下の利用は18時まで。満席時の予約は府中市在住・在勤・在学者のみ。
持参PC利用5階学習室のパソコン席(32席)で持参PCの利用可能。電源あり。但し、学習室を利用できるのは、府中市在住・在学・在勤者のみ。