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「魚本」&「英語から考える」

―2008年7月の展示
visit:2008/07/26

方南図書館、2008年7月の特集は「魚本」、そして「英語から考える」です。

まずは、小さい方の特集コーナー「方南図書探偵団!」のテーマは「英語から考える」。「英語"を"考える」でも「英語"で"考える」でもなく、「英語"から"考える」としたのは、英語を出発点とするも考察の対象はあくまでも日本だ、という意味でしょうか。英語というと実際に使えるかどうかという点からのみ考えがちですが、考察のツールとしての英語という見方は面白いですね。

が、いざピックアップされた本を見ようとしても、人気の高いこのコーナーは大部分が貸出中(ここは、毎回20~30冊ピックアップして、貸出されても補充はされないコーナー。貸出中の本については、資料請求コードが掲示されて予約できる)なのですが、残っていた本の一つ『ニホン語、話せますか?』は立場がフェアで読んでいて気持ちがいい。(たぶん)日本に住んでいる外国人の方が書いた本なのですが、おかしな和製英語や間違った洋画の日本語字幕の話が書いてあるだけでなく、日本映画につけられた間違った英語字幕やトンでもない日本社会の解説なども取り上げられていて、異文化の理解というのがどんなに難しいかということをしみじみと感じます。言葉が通じるということと、理解するということは別なんですよね。そもそも人々が自国の文化をどれくらい理解しているかというのも怪しいと思いますし。人は誰も、自分自身の立場や背景というフィルターを通して、物事を見てしまいますしね。

あと、貸出中だったけど気になった本が『はじめてみようインターネット英語サイト』という本。図書館にも英語の本や、英語で書かれた利用案内があるのだから、当サイトの英語バージョンもあってもいいのかなということは心の片隅で考えています(自分の英語力を省みず 笑)。でも、ご要望いただいているコンテンツや、それ以前に訪問時と現状が違っている内容がところどころあるので、そちらを一日でも早く修正する方が優先度高いので、いつになることやら。ちなみに、現状と違う記載を発見した方は、ご連絡いただけると大変嬉しいです。

さて、一般書架奥の大きい特集コーナーのテーマは『魚本』。方南図書館の図書館だより「方南BOOKステーション」の今月号の表紙には特集にちなんで「金魚づくし 酒のざしき」という、金魚が飲めや歌えやの宴会をしている絵が掲載されています。この陽気な金魚達、いいですね~(笑)。

図書館内の特集コーナーの方は魚に関するいろいろな本が混在して並んでいましたが、「方南BOOKステーション」の方を見ると、「魚を味わう」「魚を釣る」「魚を知る」「魚を読む」の4つのカテゴリで本を集めたようですね。

「魚を味わう」では、寿司に関する本や売られている魚を使った料理本はもちろん、『釣魚料理のレシピ集―魚屋さんで買ってもOK』『海釣り料理』といった本も。私は釣りをしないので、釣った魚を食べた経験もないのですが、やはり自分で釣った魚は一際おいしいんでしょうね。

それを体験したいならば、ということで「魚を釣る」カテゴリに集められた本は、川釣り・海釣りの本が入門者向けから中・上級者向けっぽい本まで。『釣りを知らずに老いるなんて!』って、「え~、そうなの!?」と思わせるタイトルですよね(笑)。中身も、著者が釣りをしていなかった友人知人を釣りの世界に引き込む話から始まって、知る人ぞ知る(?)名船長達の話まで、読み物として面白そうなものがたくさん詰まった本です。その一方、「なるにはBOOKS」シリーズの『漁師になるには』を読むと、水産業に携わる方々のやりがいとともに厳しい現実、また、天然ものを漁獲する場合と養殖を営む場合との収入の違いなんかの話もあって、知らない世界を垣間見ることができます。

「魚を知る」には色鮮やかな写真集が目を引きますね。本に掲載するためにきれいに撮っているからこそなのでしょうが、『図説 魚たちの世界へ』という本の中の「色彩の神秘」という章なんて、カラーコーディネートしたかのような見事さ(笑)!そういった生きている魚の本も面白いけど、『干物のある風景―View of Dried Fish』という写真集も一風変わっていて見ていて楽しいですね。そういえば、この特集の中のどれかの本に干物の作り方が書いてあったのですが、直射日光・カンカン照りの方がうまく干せるのかと思いきや、むしろ干物を傷めてしまうのだとか。おいしい干物には、ちゃんとしたノウハウが必要なんですね。

最後「魚を読む」は、『老人と海』『山椒魚』などの魚が登場する小説など。「方南BOOKステーション」では、『干物のある風景』もこのカテゴリの本として紹介されています。あらためて考えると、童話などでも動物が登場する話に比べたら魚が登場する話って少ないのかも。「スイミー」や「浦島太郎」とかあることはありますが、やはり擬人化されるのは圧倒的に動物の方が多そう。海に囲まれた日本ですし、もっともっと魚を味わって、知って、読んでいきたいものですね。