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「いい店知ってます!」&「いつの日も、読書日和」

―2008年12月の展示
visit:2008/12/22

杉並区方南図書館は、毎月の図書館だより「方南Bookステーション」と特集棚を関連付けて運営しているのですが、2008年12月の「方南Bookステーション」の編集後記によると、何と「方南Bookステーション」が今号で最終号とあるではないですか!「突然ではありますが」とありますが、本当に突然です!

振り返れば、江東区から毎月方南図書館まで特集コーナーを見に行き、「方南Bookステーション」をいただいてきて約3年。新規開館して最初の数ヶ月は、「方南Bookステーション」の存在を知らずにいたので、その分の号を職員さんのご好意で後になっていただいた私としては、何とも悲しい限り…。

ただ、今後図書館だよりを発行しなくなるというわけではなく、2009年1月からは「図書館月報 方南ライフ」としてリニューアルするとのこと。バージョンアップなのか、バージョンダウンなのか少々不安ですが(予算の問題などで図書館だよりを発行しなくなる図書館もあるので、方南図書館が図書館だよりのページ数を減らしたりする可能性もあるでしょう)、図書館だよりが面白いかどうかは予算の割り振りではなく、職員さんの熱意や創意工夫。期待しています!

そんなわけで最終回となってしまった「方南図書探偵団!」のテーマは「いつの日も、読書日和」。そう、図書館に来れば、読まれるのを待つ本がずらっと並んでいます。同じ読書好きでも、どんな風に何を読むかって人それぞれですよね。読書や書斎、書籍に関する本を読んで、「読書」という行為についてあらためて考えてみるのはいかがでしょう。

方南図書館内のこのコーナーは人気があり、取り上げられた本はいつもほとんど貸出中なのですが、私が15日に行ったときには26冊取り上げられているうち4冊くらい残っていて、蔵書票に関する本2冊『書物愛 蔵書票の世界』『蔵書票の芸術』が両方とも残っていました。蔵書票って、皆さんあまり関心がないのかな。蔵書票は、消しゴムはんこなどで自分でも作れそうなので、いつか作ってみたいと思っているものの一つです。図書館を利用しているおかげで、あまり本を持っていないんですけどね(笑)。

その他に残っていた本の一つは、『本の愉しみ、書棚の悩み』。著者は作家でもありエッセイストでもある女性のようなのですね。「本を大事に」という章の、本を大切にするのに開き方も注意して、ページを開いて伏せた状態にするなんてもってのほか!という人もいれば、線を引いたり書き込みをしたりして本を味わいつくす(もちろん、自分の本です)人もいるという話には、確かに人それぞれだよなあと思いながら読みました。前者を『騎士道的恋愛主義者」、後者を「肉欲的恋愛主義者」と呼んでいて。

確かにこの両者、主義の違いの問題で、どちらが正しいというわけでもないですよね。私はモノとしての書籍を大事にするより、書かれていることをいかに理解できるかの方が大事だと思っているので、どちらかといえば後者に近いです。

もう1冊残っていた本が『書斎曼荼羅 1 』。これがすごく面白くて、読みふけっていたら閉館時間になってしまいました(笑)。この本、所蔵本が増えてしまってどうしようもない本好き達が、いかに増殖した本と闘っているかを取材して、絵と文で紹介している本なのです。読んだ感想をブログ版に書いたので、よかったらこちらをご覧ください。

そんなわけで、奥の特集コーナー「いい店知ってます!」は2008年12月2度目の方南図書館訪問で見てきました。せっかくなので、「いつの日も、読書日和」の方も再度見て、読みふけったのが『よりぬき読書相談室 どすこい幕の内編』。この本、WEB本の雑誌の「読書相談室」という、読む本を探している読者の質問に相談員が回答するコーナーを編集して書籍にしたものなのですが、名回答から迷回答まで様々。

「海外ドラマ「フレンズ」のようなアパートの同居人とそのまわりの人たちを舞台にした、笑いあり涙ありの本を教えて」という質問に、戸川昌子の『大いなる幻影』を挙げた回答には笑ってしまいました。『大いなる幻影』が描いているのは陰湿な女の世界で、どう考えても笑いと涙ではないです(回答者もそう断ってますが)!質問の方も、面白く読んだ本に似た作品を探している人や、自分の現状に似た小説を探している人などいて、そうした質問を読んでいると「人は本を読むことを通じて何を求めているのか」なんてことを考えてしまいます。

さてこの辺で、書架奥の大きい特集コーナー「いい店知ってます!」へ。こちらの特集テーマも人気があるようで、1回目12月15日の訪問でも展示本が少なかった(たくさん貸出されているのでしょう)のに、2回目22日に行ったら更に展示本が減っていました。飲食店に関する本が中心の展示だったのですが、やはり皆さん、おいしいお店のことを知りたいんですね。

残っている展示本を見ると、『東京のすし通になれる本』『美食の王様 ベスト200皿』など、おいしいお店を紹介する本が並んでいます。『美食の王様 ベスト200皿』はお店というより、お店のメニューの中のこれぞという一品を紹介する本で、どれもおいしそう!ただ、やはりお値段が、ね(笑)。まあ、考え方を変えれば、自分ではなかなか入れないようなお高い店の料理も、本で眺めることならできるわけです。せいぜい写真と文章から味を想像するとしましょう(笑)。

池波正太郎が通った味』のような本は、池波正太郎ファンも、小説を読まないおいしいお店好きな人も楽しめる本ですよね。一通り見たところ、私が行ったことあるお店は、神保町の「古瀬戸珈琲店」と銀座の「カフェ・ボン・サンク」のみ。外でお茶はしても、あまり外食はしない私の食生活が見事に現れています(笑)。1996年発行の本なので、今はないお店もあるのが残念。「カフェ・ボン・サンク」ももうないですし。

展示本にはお店の経営者向けの本もいろいろあります。『「大」に勝つ!小さな飲食店10の繁盛法則』という本を読んでみたのですが、「客としてこれは確かに嬉しい」というアイデアもあれば、「それは私はちょっと行く気が起きないな」というアイデアも。こういうハウツー本の中のどのアイデアを実行するかで、お店の雰囲気や客層が決まるのでしょうね。考えてみれば、ある人にとって配慮が行き届いているいい店が、他の人にとっては気を遣われて落ち着かない店かもしれないし、"いい店"って難しい言葉です。

図書館に通う人なら、『ブックカフェものがたり』も気になる本では。ブックカフェって、私いまだに行ったことないんですよね。普段の行動範囲にブックカフェがなくて。

ブックカフェではないのですが、方南町駅から方南図書館まで行く通り道に、「書肆ひねもす」という書店があるんですね。小さいお店で、平日の夜と土日に営業していたので、平日昼間に仕事を持っている人が経営しているのではないかと想像していたのですが、いつの日からか閉まったきりなんです。いつか入ろうと思っていたのに、通りかかるとお店の人が1人でぽつんと座っていて、入りづらいと思って通り過ぎていたままで。

それが、この「いい店知ってます!」特集を見た帰りに、閉まってはいたけど店内に明かりがついていたんですよね。営業再開の準備か、本格的撤退の準備かわからないけど、願わくば前者であって欲しい!そう、お店って、いつまでもあるわけではなく、ちゃんとお金を落としていないとつぶれちゃうかもしれないんですよね。気になるお店は、指を食わえて見ていないでちゃんと買物しないと。不景気な昨今ですが、続いて欲しいお店はしっかり利用したいものですね。