「秋に読みたい名作・大作文学」&「ネコ、イヌ、読書」
visit:2008/11/14
杉並区立方南図書館の2008年10月の特集は「秋に読みたい名作・大作文学」と「ネコ、イヌ、読書」です。
まずは小さい特集「方南図書探偵団!」のテーマが「ネコ、イヌ、読書」。特集コーナーには、職員さんが描いたっぽいイラストが貼ってあって、跳ね回ってる様子のネコとイヌが可愛い!方南図書館の図書館だより「方南Bookステーション」にも書いてありましたが(今号の方南図書探偵団!のページは、やけに文字が大きく行間が狭くて読みにくい、、)、ネコ派かイヌ派かってよく話題になりますよね。私はどちら派でもない、というより正直なところあまり動物を飼うことに興味がないのですが、それも含めて性格的にはネコ的なんだろうなと思います。
私が行った時点では、展示された大部分が貸出中で3冊しか残っていなかったのですが、そのうちの1冊『ネコ族の夜咄』は面白い本ですね。村松友視・小池真理子・南伸坊の対談集なのですが、大人のネコ好きとでもいいますか、節度を持ってネコ愛を語っているので、ネコ好きでなくても読めちゃうんです。小池さんと南さんは、昔はイヌ派だったのがネコ派になったというお二人とのことで、それも節度あるネコ好きになられた要素になっているのかも。
考えてみたら犬の本と猫の本ってどちらが多いのだろうと、家に帰ってからAmazonで「犬」「猫」で検索してみたら、「犬」が7325件、「猫」が7680件でした(2008/11/15現在)。これが全て動物の犬・猫に関する本ではないとは思うけど、ほんのちょっと猫優勢って感じ?写真集なんかも、犬より猫の方が多いかもしれませんね。
一般書架奥の大きい特集棚は「秋に読みたい名作・大作文学」。2008年6月の特集で日本文学の特集をしたので、今回は外国文学の古典を中心に集めたのだそうです。見ると、「日本文学」「フランス文学」「ドイツ文学」といった具合にコーナーを分けて、「レ・ミゼラブル」「ジャン・クリストフ」「戦争と平和」「大地」「三国志」「水滸伝」「ファウスト」「ドン・キホーテ」「神曲」などの大作が並んでいます。
この中では私は「神曲」はいつか読んでみたいと思っています。いや、できればこういう難しそうなものは読みたくはないのですが(笑)、好きな高村薫を本当に理解するには、作品中に出てくる「神曲」も読まないと理解できないと思うんです。特集コーナーには阿刀田高による『やさしいダンテ「神曲」』があって、これだったらすんなり入っていけるかも。
また、私が読んでダメだった『キャッチャー・イン・ザ・ライ』もありました。私は「ライ麦畑~」って、世の中に対して不満を持っていても、それに対して何もできない時期にしか共感しえない本だと思っているので、『あの日、「ライ麦畑」に出会った』(いろんな人が「ライ麦畑~」を語っている本)なんかも、「思春期の気持ちがわかる大人」を気取ってない?なんて思ってしまうのですが。というか、『あの日、「ライ麦畑」に出会った』の中にも、「最初は理解できなかった」って感じの文章はちらほらあって、それこそが素直な感想のように思えてしまいます。
また、日本文学のコーナーでは、埴谷雄高の『死霊』や三島由紀夫の「豊饒の海」などの作品が並んでいました。今回の特集を見ていて思ったのですが、日本人が外国文学の大作として、「戦争と平和」「大地」などを挙げる感覚で、外国人に日本文学の大作を挙げてもらったら、どんなものを思い浮かべるんでしょうね。岩波文庫の赤帯(外国文学)みたいなものが外国であったら、いや、探せばありそうに思うのですが、それにはどんな日本文学が含まれているのか見てみたいです。
と、このような今回の特集ですが、ちょっと地味だったような気がします。外国文学の古典って、本としては文庫本になってしまうんですよね。だから、特集コーナーも文庫本率高く、残念ながらインパクトがなくて。大作って気軽に手に取るにはちょっと重いですし、そういうのを後押ししてくれるような、例えばあらすじを書いた紙を貼ってくれるとかしたら、コーナーとしても賑やかになったかなと思います。
また、古典そのものばかりをずらりと揃えるのもひねりがないというか、どこかの分類の本をごっそり特集棚に移すだけだとただの移動であって、せっかく特集コーナーに移すなら、普段は別々に置かれている本を関連付けて見せる技が欲しいと思ってしまいます。何か自分が作るわけでもなのに、言いたいこと言ってますが(笑)。古典そのものだけでなく解説本もあったのですが、冊数少なかったので、解説本や関連本などの古典への導入となる本がもっとあったらよかったのにと。
もちろん、方南図書館の蔵書にないなど、やりたくてもやれないこともありますよね。それもわかった上での、私からの方南図書館さんへの愛だと思っていただければ(勝手なこと言ってますが 笑)。これからの特集も楽しみにしています。