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千代田区立日比谷図書文化館

千代田区立日比谷図書文化館 訪問記

last visit:2017/12/01

千代田区立日比谷図書文化館は、旧・東京都立日比谷図書館の建物を千代田区が譲り受けて、2011(平成23)年11月4日に開館した施設です。図書館機能と博物館機能を併せ持っており、他の図書館だったら閉架で保管するような貴重資料を書棚から手に取ってみることができます。

§ 図書館の場所

当サイトの訪問記は、図書館への道のりから始まって、図書館の中の様子に入っていくというスタイルをとっているのですが、日比谷図書文化館は東西南北あちこちに地下鉄駅があるので、どうぞお好きなところから行ってくださいというほどアクセスがいい場所にあります。日比谷図書文化館から1km以内にある駅を挙げたら、霞ヶ関、内幸町、日比谷、虎ノ門、新橋、国会議事堂前。1kmを少し越えますが、有楽町からも十分歩いていける距離です。どこから行くにしても、日比谷公園の南端を目指せば、国会通りに面しているところの真ん中に日比谷図書文化館があります。

昼間なら図書館で本を借りて公園で読むのもいいですね。日比谷公園のベンチは「思い出ベンチ」という企画で、ベンチの寄付者のメッセージが刻まれているので、好きなメッセージのベンチに座って読むのもよし。夜は読書は難しいですが、日比谷図書文化館隣の日比谷公会堂の時計塔が輝く姿がいいですよ。

§ 図書館内の様子

日比谷図書文化館は地下1階から4階までの建物で、1階が常設展示室・特別展示室とショップ&カフェのあるミュージアムフロア、2,3階が書架やカウンターがある図書フロア、4階が会議室や小ホールなど、地下1階にレストランと大ホールという配置です。図書フロアにあるのは一般向けの資料だけで、都立日比谷図書館の頃からそうでしたが、児童向け資料は所蔵していません。

建物はとにかく大きく、千代田区の中心館である千代田図書館より面積も大きいし(千代田図書館3714㎡に対し、日比谷図書文化館は9665㎡)、蔵書数も多いんです(平成24年3月31日時点で千代田図書館145,725冊に対し、日比谷図書文化館は167,218冊)。数字だけみると日比谷図書文化館の方が中心館ではないかと思ってしまうほどで、千代田図書館の移設計画と日比谷図書館の都から千代田区への移管構想のタイミングが違っていたら、日比谷図書館が千代田区の中心館になったのではないかと想像してしまいます。

そして、建物として特徴的なのは三角柱の構造。三角形の北側の頂点が入口になっていて、左右に部屋が広がっているかたちです。千代田区立日比谷図書文化館として開館した時の展示によると、終戦後に焼失してしまった東京都立日比谷図書館を建て直す際に、当時の館長さんが「図書館の敷地として与えられた区画が三角形なんだから、建物も三角形がいいだろう」ということで、三角形になったのだそうです。窓を覆うのがカーテンではなく障子だというのも、渋くていい感じです。

§ 書架の様子

2,3階の図書フロアは、各階2ゾーンに分かれていて、計4ゾーンで書架が構成されています。各ゾーンの内容は以下の通り。

 ●パープル・ゾーン(2階向かって右)…新聞・雑誌・地域資料
 ●オレンジ・ゾーン(2階向かって左)…ビジネス・法律・辞典・統計類
 ●ブルー・ゾーン(3階向かって右)…文学・芸術・スポーツ
 ●グリーン・ゾーン(3階向かって右)…人文科学・自然科学

外国語の本も多数あり、「外国語資料」でまとめているのではなく、ジャンルによってそれぞれのゾーンに置いてあります。

4つのゾーンは必ずしも日本十進分類のとおりではなく、独自に4つに分けているので、目的なく館内を巡るには楽しい部分もありますが、“この本が読みたい”と決まっているときにそれがどのゾーンになるのかわかりにくいこともあると思います。小さい図書館なら少しくらいオリジナルな分類をしていても把握しやすいですが、日比谷図書文化館ほど大きくなってしまうと膨大な本の森で迷子になってしまうかも。そういうときにはぜひ検索機を活用してください。

検索機で日比谷図書文化館にある資料を検索すると、詳細表示の【場所】に「2階オレンジ」などのようにゾーン名が出てきますし、詳細表示画面の左下の「館内地図はここです」ボタンをクリックすればゾーン内のどの棚なのかも示してくれます。ただ、棚の場所はときどき間違って表示されることもありますが。データがおかしいというよりは、開館してからもゾーン分けなどを少しずつ変えているせいだと思うので、分類が確立されるまでは館内地図が実際と違っていることもあるかもしれません。目当ての本が見つからなければ、遠慮なく職員さんに聞きましょう。

平行四辺形状の各ゾーンは、窓のそばに建物の支柱があるせいで窓際には本棚を置けないのですが、窓のほうを向くかたちで椅子が並んでいて、この椅子からの眺めがいいんです。北東側の窓からは日比谷公会堂・市政会館が、北西側の窓からは日比谷野外音楽堂の向こうに官庁のビルが見えるロケーションで、それらが公園の緑とあいまった風景が大きな窓から見えるのが開放的。また、どのゾーンにも大きな展示コーナーがあり、期間入替で時事関連・季節・地域などに関連した展示をいろいろしているので、明確な目的があって図書館にきたときにもついつい展示コーナーへと寄り道したくなります。

貸出・返却カウンターがあるのは2階ですが、1階に1台、2階に3台あるICタグ式自動貸出機で自分で貸出処理することもできますし、千代田区立図書館の蔵書のうち千代田図書館と日比谷図書文化館の蔵書(本の裏表紙にある図書館管理用バーコードの上に所蔵館が示されています)は、カウンターまで持っていかなくても1階入って右先にある返却BOXに入れれば返却処理ができます。

なぜ、この2館の蔵書だけかというと、この2館の蔵書にはICタグが装着されているからで、返却BOXに入れると同時にICタグを読み取って返却処理もされるというわけです。逆に言うと、2館以外の千代田区立図書館の蔵書を返却BOXに入れても職員さんが回収するまでは貸出中扱いになり、貸出上限まで借りている場合などは次の貸出ができないことになります。返却の際にはどの館の蔵書かを確認してから、カウンターか返却BOXかを決めてください。

§ パープル・ゾーン

では、各ゾーンの棚を紹介していきましょう。新聞・雑誌・地域資料があるパープル・ゾーンは、手前側に新聞・雑誌、奥側に地域資料が並んでいます。雑誌の種類はとにかく多く、東京都内の区市町村立図書館では、世田谷区中央図書館(約800種)、調布市立中央図書館(約550種)に次いで3番目(約520種)という種類数を誇ります。雑誌は最新号もバックナンバーも館内閲覧のみなので、家でゆっくり読みたいという人は不便に思うかもしれませんが、図書館に来れば必ずある(貸出中で棚にないということはない。もちろん、他の人が館内で読んでいる場合はありますが)というのをうまく利用すれば便利に使えます。一般的な雑誌も多いですが、行政や科学技術などの専門誌も多く、そこは土地柄を反映しているのでしょう。雑誌のうち、ビジネス雑誌はビジネス本があるオレンジ・ゾーンにあるので、ご覧になるかたはご注意を。

雑誌の奥には、千代田区や東京都の資料があります。区の情報というと行政資料や広報資料など堅苦しい資料を思い浮かべるかもしれませんが、『神田古書店連盟がつくった公式本 神保町公式ガイド』や、皇室関連の読み物、皇居周辺の植物の本、秋葉原に関する読み物など、気軽に読めそうな本がいろいろあります。ただ、この千代田区情報の棚は、現状では空きスペースが多く、これから資料を整理して棚を作るようです。

その奥に東京都の行政資料が並び、更に奥には【東京】や【江戸】に関する本がずらっと並んでいます。たとえば、【東京】のほうには、昔の東京の写真集、東京で起こった事件をまとめた本、東京の街や文化に関する本など。【江戸】のほうには、江戸文化に関する本や和算などの江戸の学術の本、江戸関連のビジュアル本、そして一番奥には時代小説もいろいろ。時代小説については、池波正太郎・藤沢周平・津本陽などの全集も所蔵しています。都立日比谷図書館から受け継いだ本を活かして時間的に奥行きのあるラインナップになっており、昔を振り返ったり今と比較して考察したい方にはいつまでいても飽きない棚だと思います。

昔のことより今使える情報が欲しいという方には、新聞コーナーの奥にある東京ガイド本コーナーがお薦めです。「バス・電車で東京観光」「自転車で東京観光」と交通手段別にガイド本を分類していたり、史跡散歩、料理店ガイド、建物探索、知的スポットなどなど、いろんなガイド本があるのでぜひ興味があるガイド本を手に取ってください。これらのガイド本はほとんどが館内閲覧のみなので、気になるページをコピーして街へ繰り出しましょう。

パープル・ゾーンの机席はノートPC専用席となっています。日比谷図書文化館の中ではどの席でも持参PCや無線LANの利用が可能ですが、この席では電源や有線LANを利用することができます。ここ以外に4階の特別研究室(2時間300円)と1階のカフェでも電源を利用できますが、2階のこの席は無料で電源を利用できる席とあって人気です。館内の無線LANは、2階のカウンターにお願いすると接続方法を書いたマニュアルを貸してくれるので、それに従ってください。パソコンのOSなどにもよりますが、接続サービスを選ぶだけという簡単な操作で接続できます。

ノートPC専用席を利用するには申し込みが必要で、2階のカウンターに行ってノートPC専用席を利用したい旨伝えて、図書館カードを提示すると、利用時間帯が印刷されたレシートを渡されます。利用時間帯は申し込んだ時点から2時間で、指定された席についたら前面右のフックにレシートを掛けて席を利用します。利用が終わったら、レシートをカウンターに返して終了。1日の利用は3回までで、1回ごとにカウンターに申し込むことが必要です。

§ オレンジ・ゾーン

オレンジ・ゾーンは、ビジネス関連や政治・法律、統計・白書・辞典類などがあるエリアです。雑誌は大部分がパープル・ゾーンにあるものの、ビジネス関連や法律関連の雑誌はオレンジゾーンにあるので、ご覧になるかたはご注意を。ゾーンの手前側にはネット閲覧やデータベースが利用できるパソコンもあります。ネット閲覧PCが6台、データベース閲覧PCが7台と台数も多く、使用できるデータベースの種類も多いです(データベースの内容については、下の図書館データの「データベース・CD-ROM利用」を参照)。データベース閲覧については、1台のパソコンで全てのデータベースが使えるわけではなく、このデータベースが利用できるのはこのPCと決まっているので、利用の際には使いたいデータベースを確認してから申し込んでください。

辞典類は専門的に調べものをする人だけのものと思っている方も多いようですが、映画ロケ地事典とか歌舞伎事典など、趣味に関する事典などもいろいろあって、パラパラ眺めて楽しめるものも結構あるんですよね。日比谷図書文化館で勉強に精を出している人も多いと思いますが、面白い事典をめくってみたりするのも、図書館ならではの息抜きでお薦めです。

ビジネス関連本も冊数がとても多く、分類も細かいです。たとえば、「人事管理 労務管理」の棚を見ると、その中で更に細分化して「組織論」「人事戦略」「人材育成」「若者」「メンタルヘルス」と分類されているといったかたちです。棚を見るだけでもいろんなキーワードが目に入ってくるので、問題があって調べたいことがあるときだけでなく、そもそも何が問題なのかがわからずビジネスで行き詰っているときなどもヒントが見つかりそうな書棚です。

オレンジ・ゾーンには誰でも利用できる席以外に千代田区民席もあり、ここは申込み不要で利用できます。利用の際は、座席に備え付けられたカードホルダーに、図書館カードを入れて使用します。千代田区の図書館カードは、千代田区民がピンクのカード、千代田区以外の住民が青いカードとなっており、千代田区以外に住んでいて千代田区在勤・在学の場合は青いカードに金のシールが貼ってあるかたちになっていますが、ピンクカードの人と青カードに金シールが貼ってある人が千代田区民席を使うことができ、座席にカードを差すことでそれを確認するというかたちです。

§ ブルー・ゾーン

文学・芸術・スポーツがあるブルー・ゾーンは、美術、音楽、演劇、スポーツなど、あらゆるアートの本が並ぶエリアです。ゾーン入口入ってすぐ右には「アート情報支援コーナー」があり、「みる」「きおくする」「つくる」「新聞・雑誌」「うごかす」「まなぶ」という切り口で資料を揃えています。

例えば、上段が「みる」、下段が「きおくする」になっている一画は、各地の展覧会のポスターやチラシが壁を飾っています。美術館はもちろんのこと、美術館より少し敷居の高い画廊やギャラリーのデータも集めているのが嬉しいところ。現在行われている展示に関する情報を集めた「みる」に対して、その下にある「きおくする」では過去の展示のカタログを並べています。画廊やギャラリーの情報はまだ少ないので、画廊・ギャラリー関係者の方は、日比谷図書文化館に情報を寄せれば紹介してもらえるのではないかと思います。

その他、「つくる」では展覧会の開き方や公募展に関する情報、「うごかす」では美術館の運営や学芸員に関する本、「まなぶ」では美術大学や専門学校の情報などなど、いろんなかたちでアートに関わる本が揃っているので、誰でも自分の関心に合う情報が見つかると思います。このアート情報支援コーナーだけでなく、その奥に並ぶ本棚にも美術の本があるので、ゾーン全体を回って、面白い本を見つけてください。

言語に関する本もブルー・ゾーンになり、英語などのメジャーな言語から、ウクライナ語・ギリシャ語・ラテン語の辞典などまで揃っています。アート情報支援コーナーの仕切りに沿った棚には、英語―ウルド語辞典、マレー語―英語辞典といった、日本語以外の言語同士の言語辞典もあります。ラテン語―フランス語辞典などは、中を開いても私には何が何だかわからないという状態(大学の第二外国語はフランス語だったのですが…苦笑)。区市町村立図書館ではあまり見ないこうした辞典があるのは、都立図書館から移管されたからこそですね。

小説の棚を見ると、日本の現代小説はほとんどありません。職員さんに聞いてみたところ、現代小説は閉架で所蔵しているので、検索機で所蔵を確認してカウンターで請求すれば閲覧・貸出できるとのこと。おそらく、日本の現代小説は所蔵数もそれほどはないのだろうと思います。他の図書館でも所蔵している現代小説は前面に出さず、古い外国小説や日本のエッセイなど、他の図書館では新しい本の中で埋もれてしまいがちな本を並べているんですね。映画の棚も、マリリン・モンロー、オードリー・ヘップバーン、エリザベス・テイラーなど往年のスターの本が多く、昭和へタイムスリップしたようなラインナップを楽しめます。

§ グリーン・ゾーン

人文科学・自然科学のグリーン・ゾーンは、哲学、教育、国防、歴史、地理、生物、医学、農業、工業などなど、さまざまなジャンルの本を有しています。また、文庫や新書のうち、岩波文庫・ちくま学芸文庫、講談社現代新書・中公新書などの特定のシリーズのものは、グリーン・ゾーン手前側の特定文庫・新書コーナーに並んでいます。人文科学や自然科学のトピックに対して、じっくり専門書を読む前に文庫・新書で概要を掴んでおきたいときなどは、ぜひこのコーナーをどうぞ。

グリーン・ゾーンはジャンルからして専門的な本が多いのですが、馴染みやすいところで面白いのは、英語で書かれたレシピ本など。料理、裁縫、掃除などの家事に関する本もグリーン・ゾーンになり、外国語資料もジャンルによってゾーン分けされているので、英米で発行されたレシピ本もあるんです。日本料理について書かれた本も、盛り付けのデザインが日本のものとは少し違ったりして、パラパラ見ているだけでも面白いです。

§ 特別研究室

4階は小ホールとセミナールームも2つ、それに特別研究室があります。この特別研究室がすごい!こんなに古くて貴重な資料を手に取っていいのでしょうか、という資料がぎっしりつまった部屋です。現に私、自分で手に取るのが怖い資料は、職員さんに「この資料すごいですね~」と話しかけて、職員さんに開いていただいたくらい(笑)。

三角形をなしている特別研究室エリアのうち、部屋の入口近くが内田嘉吉文庫や千代田区の地域資料などが並んだ書庫、奥が有料の特別研究席のある別室となっています。特別研究室に入ってすぐ右にカウンターがあり、そこに荷物を預けて書架を見たり席を利用したりする仕組みです。

内田嘉吉氏は逓信官僚・台湾総督・貴族院議員・東京商業学校校長などを務めた方で、内田嘉吉文庫はその内田氏の蔵書約16,000冊。内田氏の没後、その蔵書を千代田図書館の前身である東京市立駿河台図書館が受託したのだそうです。いろんな要職についた方だけあって蔵書も幅広く、海洋や外国の様子がわかる資料や東京の資料、経済の資料などなど、古い資料がたくさん!内田氏は1866年生まれですが、内田氏が入手した当時既に古くて貴重だった資料もあるわけですから、21世紀の現在とあっては貴重度合いは高まるばかり。たぶん、世界でここにしか残っていない資料もあると思います。私がそう思うだけでなく、職員さんもたぶんあるだろうとおっしゃっていました。

古い資料なので、漢字や仮名が今とは違って難しい部分があったり、そっと扱わなければいけない慎重さも必要ですが、とにかく面白い資料がたくさん。東京の名所を集めた折本写真集には三角形の建物になる前の東京市立日比谷図書館も掲載されているし、木の箱に収納するようになっている高松宮親王のご旅行(たぶん、新婚旅行?)のアルバムは、市販品なのに写真を印刷しているのではなく、現像した写真を入れ込んでいるという懲り様です。貴重資料が多いだけあって職員さんがそばに控えているので、素朴な疑問が浮かんだときも気軽に職員さんに聞けますよ。書架内に閲覧席がないこともあって、資料について職員さんと話し込んでも大丈夫な空間なので、好奇心旺盛にいろいろ尋ねてみましょう。

この特別研究室とその中にある特別研究席は、日比谷図書文化館全体よりも利用時間が短いので注意してください。開室時間は、月~金曜が10時から20時まで、土曜が10時から18時まで、日曜祝日が10時から16時までとなっています。

§ 有料の特別研究席

特別研究室の奥にある特別研究席は、隣席とは仕切られたブース席が全部で32席あります。室内全席で電源が使えるのはもちろんのこと、無線LAN・有線LANも使えます。こちらの席は有料で、2時間につき300円、席さえ空いていれば一日何回使っても構いませんし、600円払って4時間利用するなど連続しての利用も可能です。ただ、閉室時刻まで2時間を切っている場合、例えば平日18時半から使う場合は、20時で部屋が閉まるので1時間半しか利用できませんが、それも300円になるので、その点はご注意ください。

利用の際は特別研究室の受付に申し込みます。利用の手順としては、受付に千代田区立図書館カードを預け料金を支払うと、ICカードと透明袋を渡されます。特別研究室に入る前に、座席に持ち込むものを透明袋に入れ、それ以外の荷物は特別研究室の受付向かって左のロッカーに預けます。部屋の入口はロックされており、受付で渡されたICカードを入口でかざすとドアが開きます。座席は窓際に24席、中央に8席あり、申し込みの際に座席が選べます。

利用しての感想としては、2,3階の席と比べてものすごくいいというわけではないけど、特別研究室の貴重資料をみたいときは特別研究席でしか見られませんし、座席利用者しか入れないので途中で座席を離れる際も一般席よりは安心という面も大きいかな(もちろん、貴重品は置きっぱなしにしないで持ち歩いてください)。2階のノートPC専用席は2時間まで(次の予約がない場合は1時間の延長可能)なので、2階の席をできるだけ利用して、更に電源を使いたい場合は4階へという人も多いかもしれませんね。

環境がいい有料の席ということで、自習室としての利用を考えている人もいると思いますが、平日10時から12時の間は、利用者同士で本を通じた交流ができる時間帯になり、静かな空間とは限らないのでご注意ください。交流せずとも利用できますが、この時間帯にかかる場合は耳栓等を持参することをお薦めします。私もそうやって話している方がいる場に出くわしたことがありますが、こんな資料を見つけて面白かったという話をして盛り上がっていたので、特別研究室の資料を調べる仲間を作りたい人はむしろこの時間に利用するのがお薦め。モーニングセミナーなど、ディープな資料が揃う特別研究室をより深く学べる企画も開催されています。

職員さんにお伺いしたところ、祝日などで館内の座席が埋まっているときに込み合うことが稀にある程度で、平日の特別研究室は小人数の利用という状態だそう。時間帯による違いも踏まえたうえで、ぜひ活用してください。

§ カフェ&ショップやレストランも

日比谷図書文化館は三角柱の建物と書きましたが、正確にいうと三角柱の根元に小さな円柱が合体している形なんですね。その小さな円柱部分がカフェ&ショップとなっていて、喫茶と書籍・文房具の販売をしています。以前は、喫茶も書籍・文房具販売も丸善が運営していましたが、今は喫茶はプロントが行っています。

書籍は東京散歩の本など、文房具もオシャレなものなどが並んでおり、一般的な書店・文房具屋ではなく、セレクトショップといった様相です。喫茶メニューは他のプロントの店舗で扱っているものの一部を揃えているかたちで、60席ある座席のうち20席では電源を使えます。平日はわりと空いていて、お茶しながらゆっくり読書を楽しめますよ。カフェも図書館の中という扱いなので、貸出手続きをしていない2,3階の資料を持ってきて読みこともできます。

地下のレストランは、プロントとまい泉がコラボした店舗です。軽食もあるプロントととんかつのまい泉という組み合わせなので、ちょっとお腹に何か入れたい人からがっつり食べたい人まで対応できます。お店の仕組みは、座席についてから注文するスタイルではなく、最初にレジで注文してお金を払い、番号札を持って席につくと料理が運ばれるという方式です。こちらもカフェと同様に、貸出手続きをしていない2,3階の資料を持ち込むことができます。

レストランの内装は、本棚に囲まれた空間(実際に本棚にある本はダミーです)というデザインで、図書館の中のレストランとは思えない雰囲気。こちらも昔は丸善が運営していて、丸善の店舗に入っているちょっとお高いハヤシライスやオムライスを扱っているお店だったんです。今も内装はその頃と同じまま、レジでの注文式に変わったので、内装と方式がややちぐはぐな気もしますが、リーズナブルな値段で素敵な雰囲気のお店を利用できて得した気分になります。

§ ミュージアムエリア

このサイトは図書館についてのサイトなので、1階のミュージアムについては後回しになってしまいましたが、ミュージアムエリアは向かって右の常設展示室と、向かって左の特別展示室の2つに分かれています。

常設展示室は、以前四番町図書館の地下にあった歴史民俗資料館が日比谷図書文化館内に移転してきた施設で、千代田区の歴史を展示しています。千代田区+歴史といったら、やはり真っ先に江戸時代が思い浮かんでしまいますが、縄文時代の石器なんかも発掘されているのですね。

といっても、やはりメインは江戸時代から現代まで。文化の紹介などもありますが、江戸城の築城や上水道などインフラに関する展示が多いのは、図書館エリアとの役割分担を考えてのことでしょうか。明治に入ってから千代田区についても、「職のまち」「文化人のまち」「官庁街」とエリアに分けて紹介しています。神田三崎三座の劇場や映画館のチラシは、演劇好きの人だけでなく、モダニズム好きな人も楽しいはず。

特別展示室は、無料のときと有料のときがあり、有料のときは建物入口入って左(受付の先)の券売機で入場券を買って入ることになります。入場券といってもレシートにQRコードが印刷されたもので、そのQRコードを特別展示室のゲートの右の読取口にかざすと、ゲートが開いて中に入ることができます。特別展示室への入室は、日比谷図書文化館閉館の30分前までなのでご注意を。特別展示室の展示は日比谷図書文化館主催のものが多いですが、展示スペースとして一般へも貸出しているとこと。将来的には、3階のアート情報支援コーナーを活用してアーティストになった方の展示会が行われるかも?!

§ 博物館的図書館

日比谷図書文化館は一般的な図書館だと思って来館すると肩透かしを喰らいます。現代小説はほとんど棚にはないし、その他の棚も一般的な図書館と比べたら古い資料の割合が高いです。

でもそれは、都立図書館から引き継いだ古い資料が多いから仕方なくそうであるというマイナス点ではなく、古い資料を活かして一般的な図書館とは毛色を違えた施設にするべく意図してそうしているのでしょう。どこにでもある資料ではなく、なかなか残っていない、あるいはここにしかない資料を前に押し出した、博物館のような図書館だと思って利用すると、まさに貴重資料の宝庫。

こうした資料は一般的な図書館だと閉架に収納されてしまうし、博物館で管理されたらガラスケース越しに見るだけになるでしょう。そう、博物館的図書館だからこそ、こうした貴重資料を手に取って時代を感じることができるのです。歴史を体感できる日比谷図書文化館をぜひ楽しんでください!

千代田区立日比谷図書文化館 特集・行事・図書館だより感想記

  第2回 大人のボードゲーム部@日比谷図書文化館
―2018年7月10日のイベント
「チケット・トゥ・ライド ヨーロッパ」を体験するボードゲームイベントに参加しました。ゲームを楽しんだのはもちろん、職員さんのルール説明の上手さも勉強になり、いろいろな面で得るものが多い体験でした。
  ドキュメンタリー映画『疎開した40万冊の図書』上映会
―2013年9月17日のイベント
1年前に作られたドキュメンタリー映画『40万冊の図書』が、更にバージョンアップした『疎開した40万冊の図書』として完成し、舞台となっている日比谷図書文化館で上映されました。
  終わりから始まるものがたり―25の問いと100冊の本―
―2013年8月15日から10月14日までの展示
日本科学未来館で2012年に開催された企画展「世界の終わりのものがたり~もはや逃れられない73の問い」を元に、本や図書館とも関連する企画に再構成した「終わりから始まるものがたり」という企画展が、1階特別展示室で開催されています。
  ドキュメンタリー映画『40万冊の図書』上映会
―2012年12月13日から15日までのイベント
  新しい図書館学 第2回 東京図書館制覇!竹内庸子さんとこれからの図書館の使い方を考える~利用者による自発的な参加~
―2012年6月24日のイベント
  第9回江戸歴史講座「江戸の判じ絵 Pictorial Quizzes in Edo」
―2012年5月19日のイベント
2012年5月19日に開かれた第9回江戸歴史講座の「江戸の判じ絵 Pictorial Quizzes in Edo」に参加しました。
  クイズラリー ぐるり写真めぐり
―2012年4月27日から6月26日までの企画
1階特別展示室の展示「報道写真とデザインの父 名取洋之助」との連動企画である、日比谷図書文化館のクイズラリーです。館内にヒントがあり、全5問中3問を解いて1階受付に持って行くと、館内カフェ・レストランの割引券がもらえます。
  新しい図書館学 第1回 六本木ライブラリー小林麻実さんと考える「図書館は何のためにあるか」
―2012年4月22日のイベント
日比谷図書文化館で行われた、新しい図書館学 第1回 六本木ライブラリー小林麻実さんと考える「図書館は何のためにあるか」に参加してきました。
  クイズラリー ぐるりひと巡り江戸から東京へ
―2012年1月17日から3月11日までのイベント
2012年1月17日から3月11日まで行われている日比谷図書文化館のクイズラリーの体験記。出題範囲は図書館エリアに留まらず、1階ミュージアムや4階特別研究室まで及んでいます。全5問中3問を解いて1階受付に持って行くと、館内カフェ・レストランの割引券「割引手形」がもらえますよ。

千代田区立日比谷図書文化館 データ

住所東京都千代田区日比谷公園1-4 →Google Mapで見る
Tel
図書総合カウンター03-3502-3343
施設事務室03-3502-3340
開館時間
月~金曜図書フロア10:00~22:00
特別研究室・特別研究席10:00~20:00
土曜図書フロア10:00~19:00
特別研究室・特別研究席10:00~18:00
日曜・祝日図書フロア10:00~17:00
特別研究室・特別研究席10:00~16:00
定休日第3月曜
12月29日~1月3日
最寄駅 都営三田線 内幸町駅から徒歩4分
東京メトロ丸ノ内線千代田線 霞ヶ関駅から徒歩5分
東京メトロ日比谷線 霞ヶ関駅から徒歩7分
東京メトロ千代田線 日比谷駅から徒歩7分
東京メトロ銀座線 虎ノ門駅から徒歩9分
東京メトロ銀座線 新橋駅から徒歩12分
東京メトロ日比谷線都営三田線 日比谷駅から徒歩12分
JR山手線京浜東北線横須賀線 新橋駅から徒歩13分
東京メトロ丸ノ内線千代田線 国会議事堂前駅から徒歩15分
都営浅草線 新橋駅から徒歩15分
駐輪場なし
駐車場日比谷図書文化館には駐車場なし。日比谷公園内に「日比谷自動車駐車場」あり。8:00~19:00は30分200円、19:00~翌8:00は30分150円。
SNS等
所蔵資料
図書所蔵数197,330冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物南側(国会通りに面している側)の中央にブックポストあり
自動貸出機ICタグ式自動貸出機が1階に1台、2階に2台あり
自動返却機1階入口入って右先に、ICタグ式返却BOXあり
※千代田区立図書館の資料には、ICタグがついている資料(=日比谷図書文化館・千代田図書館の蔵書)と、ICタグがついていない資料(=日比谷・千代田以外の蔵書)があり、ICタグがついている資料は返却BOXに入れると同時に返却手続きされます。ICタグがついていない資料は、返却BOXから1日数回職員さんが回収した後に返却手続きをします。
セルフ予約受取なし
図書の除菌2階カウンター前(階段向かって右)に、LIVA図書除菌機1台あり
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PC2階のオレンジゾーンにネット閲覧PC6台あり。利用は1回1時間、次に待っている人がいなければ延長可能。
持参PC利用館内の閲覧席で持参PCの使用可能。電源があるのは、2階パープル・ゾーンの電源付閲覧席 (18席、1回2時間、1日3回まで)と4階特別研究室(32席、有料)のみ。
LAN接続
  • 館内用無線LAN「chiyodapublib」(WPA/WPA2-PSKで暗号化)の利用可能。パスワードは館内に掲示しています。
  • 2階パープル・ゾーン閲覧席(18席、1回2時間、1日3回まで)と4階特別研究室(32席、有料)で有線LANの利用可能。
飲食設備等
  • 1階に「ライブラリーショップ&カフェ日比谷」あり。平日10:00~19:00、土・日曜・祝日10:00~17:00。
  • 地下1階にレストラン「ライブラリー ダイニング日比谷」あり。平日11:00~21:30、土曜11:00~19:00、日曜・祝日11:00~17:00。
  • 1階ロビーに飲料自販機1台あり