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クイズラリー ぐるりひと巡り江戸から東京へ

―2012年1月17日から3月11日までのイベント
visit:2012/02/16

昨年11月に世田谷区の下馬図書館で「みんなで挑戦!!下馬図書館たんけんクイズ」を楽しんだ私、願わくば子ども向けだけでなく大人向けの図書館クイズもあったらなあと思っていたところ、日比谷図書文化館で「クイズラリー ぐるりひと巡り江戸から東京へ」なるイベントを開催していることを知り、早速参加してきました。

日比谷図書文化館はそもそもが児童向け資料を所蔵していない施設なので、イベントの対象はもちろん大人。そしてイベントタイトルにあるように、江戸時代から開国へと向かう時期に関する問題が出題されています。日比谷図書文化館ならではの古い資料を活かした出題ですね。

§ 出題は5題

館内に入ると、1階階段向かって右にクイズラリーの用紙が配布されていました(たぶん、ここだけじゃなくて他の場所でも配布していると思います)。A4用紙の両面に5題のクイズとヒントの場所が掲載されいて、図書館エリア(2,3階)だけでなく1階のミュージアムや4階の特別研究室も回るようになっている、建物全体を回るイベントなんですね。

配分としては、1階からは常設展示室と特別展示室からそれぞれ1題、2階はパープルゾーン(新聞・雑誌・地域資料)から1題、3階はグリーンゾーン(科学技術・ライフスタイル)から1題、4階は特別研究室から1題。参加ルールは5問中3問を解答すればいいということになっています。これは、特別展示室と特別研究室が館全体より早く閉まってしまうので、そこからの出題2問が答えられなくてもよしとするためでしょうね。だから、夜しか来られない人も参加できますよ。解答後は1階入口からみて左の受付に持って行くと、答え合わせと割引手形(1階のカフェと地下1階レストランで使える100円割引券)をもらえます。

しかし、よく見ると「ぐるりひと巡り 江戸から東京へ 第2弾」と書いてあります。まだ、開館して1年も経っていないのに、前にも「ぐるりひと巡り 江戸から東京へ」というイベントをやったっけ?と思ったら、開催期間中に問題を入れ替えたみたいです。答え合わせのときに聞いた話や日比谷図書文化館コンシェルジュのつぶやきから察するに、どうも開催期間(2012年1月17日から3月11日まで)の真ん中辺、つまり私が行った2月16日のちょっと前、あるいはこの当日くらいを境に、配布問題を第1弾から第2弾へと切り替えたようです。そうとわかっていれば、ちゃんと第1弾のときと第2弾になってからと両方参加したのに~(笑)!!日比谷図書文化館さん、今度からは切り替え前に「第1弾は何日で終わっちゃうよ」とホームページなりメルマガなりツイッターなりで教えてください!

§ 解くことよりもヒントの展示が面白い

さて、問題用紙を入手したところで、さっそく館内へ。日比谷図書文化館は古い資料が多く、しかもそうした貴重な資料を手に取って見ることができることができるというのが最大の特徴です。だから、ヒントを見ずに答えられる問題があっても、ヒントを展示している場所に行ったほうがいいです。教科書で知識として知っていたことが、図書館資料という形で目の前に現れます。

例えば、問題3の<絵双六「生徒勉強東京教授双六」の“振り始め”は「師範学校」であるが“あがり”はどこの学校であろうか?>というクイズ。パープルゾーンに展示されている「生徒勉強東京教授双六」の真ん中を見れば答えはすぐにわかるのですが、その他のコマにもいろんな絵が描かれていて、見ていて飽きません。何よりまず、生徒勉強東京教授というテーマで双六を作るという発想に、頑張って勉強して西洋に追いつけ追い越せ!というムードを感じませんか?今の時代も、これくらいの勢いがあった方がいいのかも??

そして、私からの一番のお薦めは4階の特別研究室です。ここからの出題は、<『セイリス日本航海解』の著者セイリス・サトウを平戸に招き入れたのは、徳川家康の外交顧問をしていたウィリアム・アダムスであるが、このウィリアム・アダムスの日本名は何でござろうか?>で、歴史の苦手な私でさえわかる問題ですが、こちらもぜひ特別研究室まで足を運んでみてください。とにかく、この部屋全体が「こんな古くて貴重な本を、手に取って見られる形で置いてあることが信じられない!!」という部屋なんです。

今回、クイズラリーに関連して特別研究室内に展示されていた中で、私にとって一番面白かったのが『日本遣使紀行』という本。日本に来たことがないオランダの牧師が、日本に行った人の日記などを読んでまとめた紀行文なのですが、来たことがない人が描いただけあって、挿絵がもはや「どこにもない国」と化しています(笑)。日本的要素を盛り込んでいる気持ちは十分に伝わってくるけど、な~んか中国やインドなどの他のアジアの国の要素が入っているよなあという雰囲気で、そうかこの頃の西洋人は日本をこんな風に想像していたのかと、挿絵を求めて次々ページをめくること間違いなし。ちなみに、日比谷図書文化館にあるこの資料は、オランダ人牧師が(たぶんオランダ語で)書いたものを英訳したものなので、英語が読めれば本文も読めますよ。

あと、クイズラリー用の展示ではないけど、4階の通路に展示されていた『オレインブルク遠征図録』という一連の絵画も面白かったです。こちらはちゃんと日本にやってきたドイツ人画家が、幕末の江戸を描いた絵なのですが、西洋画法で描かれた日本橋や神田明神などがかなり新鮮です。特別研究室は館内全体よりも早く閉まってしまいますが、通路の展示は館全体の閉館時間まで見られるので、遅い時間に行く人もぜひ見てみてください。

§ 参加者へのご褒美も

館内を回って答えを埋めたところで1階の受付へ。私は有料の特別展示室(後日気が付いたのですが、この期間は特別展示室も無料でした。入って解答すればよかった!)だけパスさせてもらって、そこからの出題以外の4問に答えて持っていったところ、答え合わせ(無事に4問とも正解)と答えられなかった問いの正解を教えていただき、100円引の割引手形をもらいました。この割引手形は館内のカフェとレストランで使えますが、カフェと併設のショップでは使えないとのこと。せっかくだから、図書館エリアで何か借りてきて、お茶と読書を楽しんだりしたいですね。

また、100円引きとは別に、割引手形の裏側に抽選番号が印刷されていて、抽選で50名にオリジナルトートバッグが当たるのだそうです。当選発表は館内1階に掲示するとのことなので、当選確認を見にくる際にまた館内を利用してくださいね、ということなんでしょう。発表の頃は今より暖かくなっているだろうし、日比谷公園も一緒に楽しめそう。

こんな感じで、クイズを通じて図書館資料を楽しめるイベントです。日比谷図書文化館って、建物も大きく、蔵書も多く、蔵書の貴重さも普通の区市町村立図書館とは並外れているので、何をとっかかりにこの巨大な施設を利用すればいいのかわからない部分もある。そこを、こうしたクイズラリーが身構えてしまいがちな資料への案内役となっている気がします。

個人的には、トートバッグのプレゼントとかはなくてもいいので、これからも頻繁にこういうイベントをしてくれるといいな。専門家ではな一般の人も古い資料を楽しめる企画、これからも期待しています!あ、その際、途中で問題入れ替える場合は、それも事前に発表してください(笑)。