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世田谷区立中央図書館

世田谷区立中央図書館 訪問記

last visit:2013/08/25

世田谷区立中央図書館は、桜新町駅から北(経堂方面)に向かった、世田谷区教育会館の中にある図書館。プラネタリウムとの併設施設なので、天体好きの方はぜひそちらも一緒に。中央館なので資料が充実しているのはもちろんのこと、美術ポスターの貸出も行っています。

§ 図書館の場所

世田谷区中央図書館は桜新町駅から徒歩で10分ほど。桜新町の北口を出て、階段と同じ方向に向かって進み、最初の信号である「新町二丁目」交差点で左折、そこから教育センター通りをしばらく進み、600mほど行った道の右側にある世田谷区教育会館の中にあります。対面にファミリーマートがあるので、それが目印になると思います。

上記の道のりを取ると、桜新町駅前の商店街に背を向けるかたちになってしまうのですが、北口を出て反対側に折り返したあたりは、地名の通り桜並木になっています。この桜並木は同じ種の桜を並べた並木道ではなく、様々な種類の桜が植えられているんですよね。花が咲く時期もそれぞれ、花の様子もそれぞれ、春に来ると本当に楽しいですよ。

§ 図書館内の様子

建物自体は3階までで、そのうち図書館は1階の南側と地下1階全体となっています。1階の北側にはプラネタリウムがあるので、プラネタリウムを目的に来た人が、上映時間の前後に図書館に寄ることもあるでしょうね。

図書館内のフロア内訳は、1階が児童コーナー、CD・カセット、文庫・新書、新聞、小説・文学、家事関連本、芸術・スポーツ、外国語図書。それ以外の資料やネット閲覧PCは地下1階になります。閲覧机席は全て地下にあり、持参PCが使用できる席もあります。

配架場所について注意すべきは雑誌です。雑誌の場所は4ヶ所に分かれており、ファッション・文学・芸術・スポーツ雑誌は1階、外国語雑誌は地下1階の階段から見て右、産業・工業・医療・健康・生物などの雑誌は地下カウンター向かって右奥、人文・社会科学の雑誌は地下カウンター向かって左奥という配置です。そのジャンルの書籍がある場所に雑誌も置いてあるというわけです(但し、外国語資料だけは、外国語図書は1階、外国語雑誌は地下1階と離れています)。

ただ、そういったジャンルでスパッと分けられるかどうかというと、例えば『サイクルスポーツ』という自転車スポーツの雑誌は、スポーツではなく工業に分類されてしまって地下にあるなど、わかりにくいものもあります。できれば、世田谷区中央図書館全体での所蔵雑誌と配架場所の一覧が掲示してあると、その雑誌がこの図書館にないのか、その場所にないだけで別の場所にあるのかがわかりやすいように思います。今はそういったものはないので、探している雑誌がなかったら、遠慮なく職員さんに聞きましょう。

§ 児童コーナー

児童コーナーは、大まかに言うと、入口に近い方が高学年向けで、奥の方が絵本など幼児向けの資料という並びになっています。一番奥にあるおはなしの部屋は、おはなし会がないときは開放されています。柱をぐるりと囲むソファがあり、それを更に囲む円状の棚に絵本が並んでいたり、児童用の机席もたくさんあって、平日の放課後や休みの日には子どもたちで賑わっています。

中央図書館なので、児童読み物もちしきの本も豊富です。児童読み物は、日本人作家と外国人作家を交互にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。交互というのは、まず苗字が「あ」で始まる日本人作家の本が並び、次に苗字が「ア」で始まる外国人作家の本が並び、その次に苗字が「い」で始まる日本人作家、「イ」で始まる外国人作家の本、苗字が「う」で始まる日本人作家…といった具合の並び順です。

絵本は日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、絵を描いた人の頭文字で分類されています。紙芝居の棚の脇には小さな紙芝居台もあり、その小ささは、大人が子どもに読むための紙芝居台というより、子どもが子どものために読むための紙芝居台という感じ。実際に子どもが弟・妹に読んであげていたりする光景をみかけたりもします。中央図書館の紙芝居台は、対面に大きいソファがあるので、誰かが紙芝居を読み始めたら周りの子供たちも一緒に聞けちゃいます。

その紙芝居台対面のソファのぐるりの棚には、外国語絵本がたくさん並んでいます。内訳は、英語絵本が約350冊ほどと大部分を占めているほか、中国語、ハングル、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ロシア語、タイ語、ペルシア語などなどさまざまな言語の絵本があります。日本人の絵本作家の作品を外国語に訳したものもあるので、日本語版と一緒に借りて読み比べれば語学の勉強にもなりそうですね。

また、絵本や紙芝居のうち、超大型といっていいくらい大きいものは、地下への階段を降りた右の棚にあります。おはなし会を運営している方など、超大型絵本・紙芝居を利用したい方は、こちらの地下の棚もぜひ活用してください。

§ 1階のポピュラーフロア

1階の一般書架は、配架図によると“ポピュラーフロア”と称して、小説や家事関連本、芸術・スポーツといったジャンルの資料が並んでいます。児童コーナーに近いあたりの壁には美術館・博物館のポスターもたくさん貼られていて、私は中央図書館にくるといつもここの壁を見て、面白そうなイベントや企画がないかチェックしています。

その壁からソファを挟んだ向こう側の棚は、「子育て支援 出産・育児コーナー」と題して、「妊娠・出産(母子保健)」「名づけ事典」「育児(乳幼児)」「赤ちゃん服・おむつ」「離乳食・授乳」「しつけ・習慣」「おふろ・睡眠」「おでかけ・運動」という分類で本が集められています。育児関連本を集めたコーナーは他の図書館でもときどき見かけますが、「しつけ・習慣」「おふろ・睡眠」「おでかけ・運動」と細かく分類しているところは少ないです。子育ての考え方もいろいろありますが、こうやってたくさんの本を集めたコーナーがあれば、自分の考えに近いものを選べていいですね。

また、「子育て支援 出産・育児コーナー」の右隣には「サザエさんコーナー」もあります。サザエさん作者の長谷川町子さんが桜新町に住んでいたこともあり、長谷川町子美術館が駅の南側にあるほか、駅のそばにサザエさん一家の銅像が建てられていたりする地域ですから、桜新町駅最寄りの図書館である中央図書館にも「サザエさんコーナー」があるんですね。棚を見るとサザエさん全集やよりぬきサザエさん、『磯野家の謎』をはじめとするサザエさん関連本などが並んでおり、私からのお薦めは「よりぬきサザエさん全巻」についてくる『町子手帖』という本。「よりぬき~」はその名の通り「サザエさん」のなかからベストの作品をよりぬいたものですが、『町子手帳』にはよりぬいた際の採点表や新聞連載時と単行本化時点で描き直した作品のビフォー・アフターなどが掲載されていて、制作の裏側を見られる内容です。

1階にあるもう一つの特設コーナーとして、検索機と雑誌棚の間に「職業本」コーナーがあります。「なるにはBOOKS」「知りたいなりたい職業ガイド」「メディア業界ナビ」「日本の職人さん」など、主に中高生や子どもにいろいろな職業を紹介する本ですが、大人の就職や転職にも役立つ本です。また、自分の職業がどんな風に紹介されているかを見て、求人業務の参考にすることもできますよね。ぜひご活用ください。

日本の小説は、著者名の姓の頭文字+名の頭文字による五十音順。例えば、横山秀夫(よこやま ひでお)なら「よひ」、吉村昭(よしむら あきら)なら「よあ」となり、その2文字が五十音順になるように並べてあるので、吉村昭の本の後に横山秀夫の本が並ぶような形になります。また、複数の作家の作品集は、五十音順の「ん」という分類で、著者名頭文字が「わ」である本の次にまとめて置いてあります。

外国の小説は、英米文学・フランス文学・ドイツ文学などの原書の国で分類されてはおらず、“外国文学”でひとまとめにして、日本の小説と同様に、著者名の姓の頭文字+名の頭文字による五十音順です。ただ、外国人作家は通常『名・姓』という順で名前を呼ぶので、それを『姓・名』にひっくり返して、1文字ずつ拾うことになりますね。例えば、ダニエル・キイスなら「キタ」となるわけです。

外国語図書もかなりの冊数。一番多いのは英語ですが、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、中国語、ハングル、ビルマ語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、ラーオ語、タガログ語、アラビア語、ヒンズー語と取り揃えています。ただ、英語は4m弱程度の幅の書棚3.5列分あるという多さなのに、分類見出しが全くないので、本が探しにくいです。単に所蔵数を多くするだけでなく、その資料がわかりやすいような棚作りをしてくれると嬉しいです。

§ 地下の書架

地下は、中央付近にレファレンスカウンターがあり、カウンター向かって右が“自然科学フロア”、左が“人文・社会科学フロア”と分かれていて、どちらも本棚がずらっと並んでいます。人文・社会科学フロアの方に設置されたPCでインターネットやデータベースが閲覧できるITルームがあるほか、自然科学フロア、人文・社会科学フロアともに、カウンターに近い辺りに持参PCを利用できる席があります。

書棚を見ると、さすが中央館、どのジャンルも資料が充実しています。ただ、棚に差すタイプの見出しがない(棚上部に大まかなジャンル名が示されているだけ)ので、どのジャンルがどこからどこまでだかわかりにくい。4桁の請求番号で細かく分類していても、その請求番号が何を示すのか、棚を見ている限りではわからないし、いい本ないかな…と棚にある本の書名を見ているうちに、違うジャンルの場所まで無駄に探していることもあるくらい。

せっかく蔵書が多くて、分類もしっかりしているのに、その分類に関する表示が細かくないために探しにくくなっているというのはもったいないですね。図書館に慣れている人や中央図書館の常連さんだけでなく、初めて利用する人や図書館自体を利用することが少ない人にも、わかりやすい図書館であって欲しいと思います。

地下の机席は人気があるため埋まっている率が高く、休日の昼間にのんびり行っても空席なんてありません。地下の机席ですごいと思うのは、階段の裏側の窓際に椅子が置いてあり、窓の桟から少し出っ張った部分に本やノートを広げて利用している人がいること。そうできるように椅子を配置しているからこそですが、そうやって本来机ではないところを机として利用するくらいの混みようなんです。それだけ、机席競争率は激しいと思ってください。

外国語雑誌は、英語・中国語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語と種類も多数取り揃えています。変り種としては、フライトガイド(飛行機の時刻表)やヨーロッパの鉄道時刻表(ともに英語表記)もあるんです。海外旅行のときに実用的に利用するだけでなく、パラパラと眺めて海外旅行気分に浸るのも楽しいです。

地下の階段下りて右側の奥には「中平記念東大出版会コーナー」という棚があります。おそらく中平千三郎氏からの寄贈図書だと思いますが、特に説明がないので、このコーナーができた経緯などはわかりません(これもどこかに掲示すればいいのに。それともどこかに説明があるのを私が見逃したか)。日本語で書かれた学術書のみならず、英語で書かれた学術書もずらっと並んでいます。区立図書館とは思えない専門書が並んでいて、ちょっとびびります(笑)。

設置されたパソコンでネットやデータベースが閲覧できるITルームは、「ルーム」といっても低い仕切り区切られているだけの空間です。カウンターに申し込んでの利用で、1回50分。データベースに関しては、「聞蔵」が3号機、「日外MAGAZINEPLUS」が4号機と、利用できるパソコンが限られているので、データベース利用の際はご注意ください。

また、この図書館には資料としてポスターを所蔵していて、貸出もしているのです。地下1階の階段降りて正面、検索機が並んでいるところの左に「ポスター」と書いてある棚があり、パネルに入ったポスターがずらっと並んでいるんですね。しかも裏にはバーコードや、バーコード管理以前の名残として貸出期限日の判子を押す紙が貼ってある。職員さんに聞いてみたら、確かに借りられるとのこと。貸出の際には書籍としてカウント(各図書館ごとに5冊までの中にカウント)されるそうで、リビングに似合いそうなポスター、子どもが喜びそうな可愛らしいポスター、変わりどころでは世田谷区家庭読書の日の標語ポスターもあります。

ポスター借りられる図書館は、23区では世田谷区中央図書館のみ。いや、借りられるも何も、ポスターを資料として所蔵している図書館が、23区はここだけ。東京全体で見ると、市部のどこかでもポスターの所蔵・貸出を行っているようです。大きいものは持ってかえるのも大変そうで、中央図書館から家が遠い人は難しいかもしれませんが、小さいサイズのものならそれほど大変ではないかも。私もまだ借りたことはないのですが、いつか借りてみたいと思います。

§ 世田谷区のことなら中央図書館におまかせ!

さて、中央図書館で私が気に入っているのが、「ざ・ちゅうおう ぷれす」という中央図書館が3,7,11月と、4ヶ月に1回発行している小冊子。新刊図書案内や行事紹介だけでなく、地域を取材してまとめた記事や関連資料の紹介もしていて、世田谷区のホームページ内のこちらのページで、最新号やバックナンバーを見ることができます。配布しているのは、カラー用紙にモノクロ印刷しているものなのですが、ネット上にあるPDFはカラーなので、写真などはPDFの方がいいくらい(笑)。

この「ざ・ちゅうおう ぷれす」、一時期つまんなくなっていて、この訪問記にもそう書いていたのですが、最近また面白くなってきて嬉しいです!地域取材の記事は、「世田谷区にこんなところがあるんだ、行ってみたいな」という気になります。世田谷区って広いから、区民でも知らないところが多いのではないでしょうか。資料を読んでから訪れるのもよし、先に訪れてから資料にあたるのもよし、区内散歩を楽しみたいですね。

また、中央図書館の地域資料の棚も充実。「世田谷ライフ」といった雑誌や、世田谷区が掲載されているガイド本なども多く所蔵しているので、本格的な歴史調べだけでなく、気軽に地域ネタを仕入れるのにも適しています。世田谷美術館の目録や世田谷文学館発行の書籍も素敵なものばかり。区立で美術館も文学館も設立しているって、いい区ですよね~。私がこの中央図書館に来る度に、1階のポスターコーナーで美術館や文学館のイベント展示をチェックするのもわかるでしょ(笑)。

中央図書館でいろいろな資料・情報を見ていると、図書館だけでなく、区内の文化施設をいろいろ利用したくなります。展示を見に行く前に、関連資料を図書館で借りて読むのもいいですよね。図書館を通じて、世田谷区全体を楽しみましょう!

世田谷区立中央図書館 特集・行事・図書館だより感想記

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世田谷区立中央図書館 データ

住所東京都世田谷区弦巻3-16-8 世田谷区教育会館1階,地下1階 →Google Mapで見る
Tel03-3429-1811
開館時間
火~日曜10:00~19:00
月曜、祝休日、12月28日・1月4日10:00~17:00
定休日毎月最終木曜
12月29日~1月3日
最寄駅 東急田園都市線 桜新町駅から徒歩11分
東急世田谷線 上町駅から徒歩14分
駐輪場建物手前に駐輪場あり
駐車場一般用駐車場なし。建物向かって左に地下への障害者用駐車場入口あり。
所蔵資料
図書所蔵数574,713冊(2021/03/31現在、出典『世田谷のとしょかん 令和3年度版』※団体貸出センターの図書数は中央図書館の図書数に加算
音声資料
CDカセットレコード
ありありなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって右脇の壁面にブックポストあり
自動貸出機ICタグ式自動貸出機4台あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PC地下1階にネット閲覧PC5台あり。利用は10:10~11:00、11:10~12:00…という50分単位。
持参PC利用地下1階のパソコン利用可能席(28席)で持参PCの使用可能。電源なし。
LAN接続館内に「docomo wifi」「au wifi」「ソフトバンク wifi」「フレッツスポット」のアクセスポイントあり
飲食設備等
  • 世田谷区教育会館1階に喫茶店「ルソー」あり。営業時間10:00~17:00、毎月最終木曜休み。
  • 世田谷区教育会館1階に飲物自販機1台あり