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改築前の旧・千代田区立四番町図書館

2020年1月14日を最後に閉館し、保育園・児童館・区営住宅等と複合する(仮称)四番町公共施設へと整備される予定です。2020年4月1日から、新施設が整備されるまでの間は、四番町図書館仮施設が開設されています。
以下は、改築前の旧・千代田区立四番町図書館の訪問記です。

改築前の旧・千代田区立四番町図書館 訪問記

last visit:2013/06/20
§ 図書館の場所

四番町図書館の最寄り駅は市ヶ谷駅。地下鉄から行く場合は、A3出口で出るのが一番近いです。靖国通りを靖国神社方向に進み、「東郷公園入口」交差点で右折して、東郷通りを上って下ってまた上りに差しかかろうとする付近の右側に四番町図書館があります。

東郷通りを通るときに横切る東郷公園は、東郷平八郎の自宅があったところなんですよね(公園全体ではなく、段差のある公園のうち、高いエリアが東郷平八郎の私邸だったそうです)。また、昔、四番町図書館に掲示していた「番町と文化人たち」という地図によると、与謝野晶子・鉄幹なんて四番町図書館のまさに隣と言ってもいいくらいのところに住んでいたし、他にも中江兆民、二葉亭四迷、泉鏡花など、多くの文化人がこの付近に住んでいたのだそうです。彼らが住んでいたころの四番町がどんなところだったのか、想像しながら歩くのも楽しいですね。

§ 図書館内の様子

四番町図書館の建物は、昔は四番町図書館と歴史民俗資料館との併設施設だったのですが、現在は歴史民俗資料館が日比谷図書文化館に移ったために、四番町図書館だけの建物となっています。入口を入ってすぐ左に休憩スペースの機能を果たすラウンジがあり、10メートルほどの通路を進むと図書館エリアに入ります。図書館エリア入ってすぐ左にカウンターがあり、その先に一般書架。新聞・雑誌コーナーは一番左の奥にあり、左の手前側が児童コーナーになっています。

この作り、特に建物入口から図書館エリアに入るまでの通路が無駄に広くて、どう考えてももったいない。カウンターの位置を基準にして、その先を図書館エリアということなのでしょうが、せっかく改修するならカウンターの位置も変えて書架エリアを広げればよかったのにと思ってしまいます。

ラウンジは無線LANサービスのフレッツ・スポットのアクセスポイントにもなっていて、飲食もできるので、図書館の一画というよりは、公共スペースというのが正しいですね。実際、平日の昼休み時間に行ったら、近くの会社にお勤めているらしき人がお弁当を食べに来ている姿も見かけました。ここで図書館の本を読みたい場合は先に貸出手続をしておく必要があります。

§ 一般書架

一般書架は、表示が少なくて全体像をつかみにくいです。建物入口入ってすぐのラウンジの脇に配架図を掲示しているのですが、ラウンジから図書館エリアまで10メートルほどあり、図書館エリアにたどり着く前に本棚の位置を覚えておかないといけないの?という気もします。カウンターで配置図のプリントアウトを配布していますが、書架内にも配置図を掲示したり、本棚の側面に収納されているジャンルを表示するなど、書架内での表示を充実させて欲しいです。とりあえず、現在の表示の少ない四番町図書館を利用する方は、配置を覚えるまではカウンターで配置図をもらってくださいね。

書棚を細かく見ていくと、裁縫・料理の棚は分類を細かくしています。裁縫の棚は「洋服」「和服」「ビーズ」「編物」「ぬいぐるみ」等、料理の棚は「日本料理」「西洋料理」「お弁当・おつまみ」「スープ・鍋物」といったように具体的な項目で分類しているので探しやすいです。

日本の小説は、同じ頭文字の中で棚見出しを作るくらいの主要な作家を先に並べて、その後に見出しのない作家を五十音順にまとめて並べています。例えば、「ニ」の棚では、「西加奈子」「西澤保彦」「西村京太郎」「楡周平」「その他のニ」となっており、見出しのある4名以外で頭文字が「ニ」の作家の本は「その他のニ」に入るというかたち。

こうした並べ方は、まず見出しの中から読みたい著者を探し、見出しがなかった場合「その他」から探すという二度手間になるので、単純な著者名五十音順にしてくれた方が探しやすいと思います。四番町図書館は上に書いたように、2011(平成23)年11月から2012(平成24)年3月の間に改築工事をしたのですが、改築前の「ニ」は「二階堂黎人」「仁木悦子」「西木正明」「西澤保彦」「西村京太郎」「西村寿行」の6名の見出しがあったのに対し、改築後は上のような見出しで、二階堂黎人・仁木悦子・西木正明・西村寿行の4名がその他扱いに降格(?)していました。作家ご本人も作家のファンも、その他扱いなんてあまり気分がよくないですよね…。できれば単純な五十音順に変えてくれればいいなとおもいます。

一人の作家が書いた小説本は上のような並び順ですが、複数の作家による作品集は、書名の頭文字で分類され、「その他」に入れられます。また、外国の小説は、「東洋文学」「英米文学」「ドイツ文学」といった具合に国・地域別に分類した上で、著者の姓名の五十音順に並んでいます。

外国語図書は一般書架の中で一番児童コーナーに近い棚にあり、言語としては英語だけですが冊数は多いです。また、これとは別に、アメリカ大使館から寄贈された「アメリカン・シェルフ」が、カウンター近くの展示コーナーなどがある空間の角にあります。これはアメリカの歴史・文化・価値観を知るための本が寄贈されたコーナーで、旅行ガイド(英語で書かれた旅行ガイドとともに地球の歩き方もあり)や、語学学習の資料、小説などが並んでいます。アメリカン・シェルフは日比谷図書文化館にもありますが、あちらは政治・経済に関する本が中心で、館の特性に合った資料を寄贈していただいたようです。寄贈された本のうち、絵本や児童読み物は児童コーナー入ってすぐ左にあるので、そちらもぜひ。

一般書架に話を戻すと、こちらの外国語資料の棚の裏側には漫画もあります。『風の谷のナウシカ』『あさきゆめみし』『火の鳥』などの大型漫画本が棚にあるほか、コミックはセット貸しシステムになっていて、書棚にある「ガラスの仮面 1~3」というケースをカウンターに持っていくと、『ガラスの仮面』の1~3巻をまとめて貸出できるといった仕組みになっています。

四番町図書館で不便なのが検索機。検索機が図書館エリア手前の通路にあるので、書架を巡っているときに検索機を使いたくなったら、わざわざ入口の方に戻らないといけません。児童コーナーにも検索機が1台ありますが、児童コーナーは靴を脱いで入るようになっているので、近いけど靴を脱がないといけない検索機を使うか、離れた場所にある検索機を使うかの選択を迫られます。願望ばかりになってしまいますが、もし将来的に四番町図書館でICタグ蔵書管理を導入する際は、自動貸出機を設置するために配線などをし直すと思うので、その際に検索機の位置も利用者が使いやすい場所に移動して欲しいと思います。

一般書架の奥には机席が集まっています。机席は16席と決して多くはないのですが、1席ずつデスクライトもついています。16席のうち4席は区民専用席で、千代田区立図書館カード(区民と区民ではない人ではカードの色が違う)をホルダーに入れて利用するようになっています。

§ 児童コーナー

児童コーナーは引き戸を開けて入る別室の区画で、児童コーナー全体が靴を脱いで入るスペースになっており、中には段差が全くないのでよちよち歩きのお子さんも安心です。児童コーナー内の配置は、入口付近に検索機や赤ちゃん絵本、育児に関する本や雑誌があり、その対角線の角に絵本・紙芝居のコーナー、それ以外のスペースに児童向け読みものやちしきの本が並んでいます。

絵本の並び方は、日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、絵を描いた人の姓名の五十音順に並んでいます。外国語で書かれた絵本も、英語絵本が200冊ほどあるほか、英語以外の言語で書かれた絵本も少しあります。児童読みものは、日本人作家のおはなし、東洋人作家のおはなし、西洋人作家のおはなしに分類したうえで、著者姓名の五十音順に並んでいます。飾り付けなどはほとんどないシンプルな児童コーナーですが、一般書架とは別室になっているので読み聞かせなども遠慮なくできますよ。

§ 特色コーナー「伝統芸能」

四番町図書館では、特色コーナーとして「伝統芸能」コーナーを設置しています。場所はカウンター前にあるCD棚と文庫本の棚の間を通り抜けた先の右の壁の棚で、能や歌舞伎、落語などの伝統芸能の資料を集めています。特色コーナーにしては地味で、その棚の前に立たないと気がつかないくらいなので、遠くからでも目立つような装飾をすればもっといいのになと思います。

このコーナーの見出しを挙げると、「邦楽」「伝統芸能」「演劇史」「能楽・狂言」「歌舞伎」「文楽」「落語」。伝統芸能コーナーなので、「邦楽」といっても日本人の歌っているポップスのことではなく、雅楽などの純邦楽です。図書館の分類だと、歌舞伎に関する本は「演劇」、歌舞伎の演目を文字に起こした本は「日本文学」といった具合に分かれてしまうこともあるのですが、この伝統芸能コーナーではそれらの本がすべて集まっているのがいいですね。

こうした本のほか、千代田区立図書館の伝統芸能DVDを一覧にした「DVD所蔵リスト」や、都内の伝統芸能劇場の情報をまとめた「劇場リスト」もこのコーナーにあります。「劇場リスト」はそれぞれの公式HPの情報を印刷しただけのようですが、様子がわかれば行ってみようかなという気にもなりますよね。新聞・雑誌コーナーの一画にはネット閲覧PCもあるので、劇場の情報だけでなく、現在やこの先の上演予定を知りたい方は、そちらで最新情報を確認しましょう。

四番町も古い町ですし、「伝統芸能」という特色コーナーのテーマも含めて、古きを楽しむ図書館ともいえそうですね。伝統芸能コーナー向かって左の地域資料の棚にも江戸に関する資料がいろいろあります。図書館を通じて、歴史ある千代田の文化を楽しみましょう。