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江戸川区立東部図書館

江戸川区立東部図書館 訪問記

last visit:2017/06/15

江戸川区立東部図書館は、瑞江駅の南の、すぐそばを旧江戸川が流れる場所にある図書館。水と緑をイメージした図書館で、休憩室やテラスも設置されており、1日中過ごしたくなる図書館です。

§ 図書館の場所

東部図書館の最寄り駅は、都営新宿線の瑞江駅。駅から徒歩で20分ほど南へ進んだ旧江戸川のそばにあります(詳しい道のりはこちら)。駅方向から来て東部図書館へ入らずに更に進んでいくと、突き当りの向こうに旧江戸川が流れています。江戸川ほど幅広ではありませんが、旧江戸川土手からの景色も東京にしては空がしっかり見えて壮大な印象。特にこれという名所が見えるわけではないのですが、小さな船がたくさん留まっていて川沿いをのんびり散歩したくなります。

そんな立地であることから、東部図書館では「東部図書館お散歩MAP」を掲示・配布しています。東部図書館がオープン(2010年12月23日)して間もない頃に来館した方はご存知のことと思いますが、このお散歩MAPは東部図書館が用意した周辺地図に、利用者の皆さんが付箋で情報を貼りつけるというかたちで情報を募集しまとめたもの。つまり、東部図書館と利用者の皆さんが協力してできた地図なのです。利用者さんの中には「この情報、私が投稿したんだよ!」という方もいらっしゃるでしょう。館内掲示は建物入口入った正面にある階段そばの壁、配布は1階カウンターの職員さんに言えばもらえるので、東部図書館に来たらぜひご覧ください。

§ 図書館内の様子

東部図書館は2階建ての建物です。1階が児童コーナー、新聞・雑誌コーナー、地域資料、全集。2階は一般書架で、CD・DVDやネット・データベース閲覧PCもあります。1階の南側には小さいテラスがあり、児童コーナー直結テラスですが大人の利用もOK。天候のいい昼間はテラスが開放されており、ここで本を読むことができます。

1階と2階の行き来は、図書館エリア外のエレベーター・階段を使ってもいいし、図書館エリア内にも階段があります。1階の角には休憩室があり、自販機で飲み物を買って一休みすることもできるので、長時間図書館を利用したくなります。

書架の雰囲気は、ごてごてとした飾り付けがなくてすっきりしているけど、メリハリがついていてわかりやすい印象です。一度、さっぱりしていて寂しい雰囲気もある書架を持つ都内の図書館に行った後に東部図書館に来たとき、その図書館も東部図書館もすっきりした書架なのに前者は寂しげ、東部図書館はわかりやすさを感じるのはなぜだろうと考えたことがあります。

思うに、東部図書館は色などを使って主張しすぎずに何がどこにあるかを知らせる工夫があり、例えば棚に差す見出し板は一般書架が青地に白字、辞典類は白地に赤字、ティーンズコーナー読み物は赤地に黒字、ティーンズコーナー知識の本は白地に黒字で印刷した文字を赤い板に貼る、というかたちで色使いを分けており、見出しの文字を読む前に無意識下でここから種類の違う棚になっているとわかります。さりげないけどわかりやすい書架になるようよく計算されていると思います。

§ 1階の様子

1階は図書館エリア入口右手前にカウンターがあり、左右に広がる書架のうち、右側8割がたのエリアが児童コーナー、残りの左のエリアが新聞・雑誌コーナー、地域資料、全集などの一般エリアというかたちです。休憩室は一般エリア奥の角にあり、大人にとっても子どもにとっても利用しやすい場所に設置されています。

児童エリアは背の低い棚が並ぶ広々した空間。児童コーナー内の配置としては、真ん中に絵本があり、入口から見て右が児童読み物、左がちしきの本という並びです。奥にある靴脱ぎスペースも、床がミッフィー柄の絨毯になっていて可愛い。靴脱ぎスペースを囲む棚の上にはぬいぐるみが並んでおり、単なる飾りではなく、あおむしのぬいぐるみの前に「ぼくのでてくるおはなし 『はらぺこあおむし』 Eカ」というカードが立てかけられていたりと、絵本のキャラクター紹介になっているんです。お子さんのいずれかのぬいぐるみを気に入った気に入ったなら、その絵本を読んでみるというのもいいですね。

絵本は絵を描いた人の苗字頭文字で分類されており、同じ頭文字の中の並び順は、日本の主要な絵本画家、外国の主要な絵本画家、その他の絵本画家という並びになっています。例えば、頭文字が「す」の棚を見ると、「末崎茂樹」「スズキコージ」「鈴木まもる」「ウィリアム・スタイグ」「す」という見出しが並んでいて、見出しがある4人以外の作品は最後の「(その他の)す」に分類されます。

児童向けの読みものは、日本の読みもの、アジアの読みもの、英米の読みもの…といった具合に国・地域に分かれた上で、著者姓名の五十音順に並んでいます。児童向け雑誌や児童向けCD・DVDは、一般の雑誌・CD・DVDと一緒の場所ではなく、自動コーナー内(入口からみて右端)にあるので、ご利用の方はご注意ください。

児童コーナーというと子ども向けの資料だけしかないと思いがちですが、図書館エリア入った正面の曲線状の棚の裏側には、児童研究本や育児・子供服の裁縫・お弁当の本など、大人に向けた資料もあります。「おかあさんの本」とありますが、お父さんにももちろん利用してもらいたい本。私としては、男性の育児参加も進められる社会の中、「おかあさんの本」といった表現は性役割を固定化させてしまうことにもなると思うので、ぜひ違う表現に変えて欲しいところです。

1階には自動貸出機が2台あります。一つはカウンター向かって左にある自動貸出機「じぶんくん」、もう一つは図書館エリア入って左にある、検索機とICタグ式自動貸出機が一体化した機械。メインメニューで検索をするのか貸出をするのかを選択し、そこから先は通常の検索機・自動貸出機と同じです。1台で検索も貸出もできる機械は、23区では東葛西図書館に続いて、東部図書館が2館目の導入です。

§ 2階の一般書架

2階は図書館エリア入口からみて右手前にカウンターがあり、左手前がCD・DVDコーナー、残り全体に一般書架が広がります。ティーンズコーナーは図書館エリア内の階段向かって左の低い棚、また、持参PCも使用できる指定席制閲覧室は2階書架右端にあります。図書館エリア外には視聴覚室もあり、イベントの開催場所となります。

書架は、医学や健康など、同じジャンル内に様々な内容の資料を含むものについては、細かい項目見出しで探しやすくしてくれています。例えば、医学の本は「493 内科」の中で更に細かく、「アレルギー・アトピー・花粉症」「アルコール依存症」「インフルエンザ」等々具体的な病名で見出しがあるので探しやすい。でも、素人には今知りたい病気が内科なのか外科なのかもわからないことってありますよね。そんなときには医学の棚(13番。図書館エリア内の階段を上がった正面の棚)側面の一覧表をどうぞ。「生活習慣病…493セ、整形外科…494セ、ぜんそく…493セ」といったかたちで、五十音順に並んでいるキーワードから図書館での分類記号を調べられます。

同様に、パソコン関連の本が並ぶ「007 情報科学」の棚も、「Access」「イラストレーター」「ウィンドウズ」「エクセル」「クラウド」「JAVA」「トラブル解決法」等々、具体的なソフト名やその他キーワードで項目を作って分類しています。ただ、医学も情報科学もそうですが、これらの項目に当てはまるものはその項目の頭文字で分類(例えば、エクセルに関する本は分類記号が「007 エ」になる)、それ以外のものは著者名の頭文字で分類(例えば、 牧野二郎著『Google問題の核心』は上記の項目にあてはまらないので、分類記号は著者名頭文字をとって「007 マ」になる)されており、慣れない人には少しわかりにくいかもしれません。以前は料理もそうした項目名で分類していましたが、2014年9月12日現在、項目見出しが外されており、分類を変えようとしているようです。

また、関連したジャンルなのに図書館の分類では別々になってしまうものに対する情報も棚に示されています。例えば、パソコンの本が並ぶ「007 情報科学」の棚に「インターネットに関する本は、19番の棚、547にあります」という説明がある、「185 寺院・僧職」の棚には「仏像に関する本は、20番の棚、718にもあります」という説明があるといったかたち。本探しの際には、こうした棚に表示された情報も参考になります。

日本の小説は、著者姓名の五十音順。但し、複数著者の作品を集めた作品集は、著者名ではなくタイトルの頭文字で分類され、分類の先頭に配架されています。つまり、小説の「ア」の棚に行くと、最初に書名が「ア」で始まる共著小説本があり、その次に著者名が「ア」で始まる小説が著者名の五十音順に並ぶという方式です。外国人の書いた小説は、「東洋文学」「英米文学」「ドイツ文学」等の国・地域別に分類された上で、著者姓名の五十音順に並んでいます。

ティーンズコーナーは、吹き抜け部沿いの棚とそこと向かい合わせの棚の右1列の2か所に分かれていますが、どちらも棚板の前面に赤テープが貼ってあり、どこからどこまでがティーンズコーナーなのかわかりやすいです。

ティーンズコーナーにある本をよく見ると、ときどき赤や青の栞が本に挟まっていて、これは何かというと、赤い栞が挟まっているのが図書館員のお薦め本、青い栞が入っているのが利用者からのお薦め本。栞にはその本のお薦め文が書いてあるので、それを手掛かりに本を選ぶこともできます。東部図書館には自動貸出機があるので、職員さんの手を介さずに貸出できてしまいますが、栞が挟まった本を借りる場合は、栞を2階カウンターに預けてくださいとのこと。

利用者からのお薦め本投稿も募集しているので、ティーンズコーナーの中にお薦め本があれば、お薦めする側にもなれます。水色の投稿用紙「青いしおり製作委員会」は25番の棚、投稿するポストは1,2階をつなぐ階段周りの吹き抜け沿いの閲覧机に近い方に置いてあります。投稿者は十代に限っていないそうなので、私もいつか投稿してみたいです。もちろん、ティーンズコーナーの本を借りるのも、十代に限らず誰でもOK。例えば、進路を考える本は転職などの転機にあたっている大人にも参考になりますし、多くの人に活用して欲しいです。

2階書架エリア内の閲覧席は、窓に沿って横に連なる机席と、階段と壁の間にある4人用の机席があります。4人用の机は片側2人ずつ向かい合って座る机席ですが、1人分ずつの仕切りがあるので集中して読書や調べものができます。更に、書架エリアとは別室で指定席制閲覧席があり、「9:00~12:45」「13:00~16:45」「17:00~21:30」という3つの時間帯で利用ができます。利用申込受付は、最初の時間帯が9:00から、次の時間帯が12:45から、最後の時間帯が16:45からとなっています。この部屋では公衆無線LANのフリースポットが利用できますし、実際にはこの部屋の外に出ても電波は届いてます。

§ 水と緑のイメージの楽しい図書館です

館内で配布している図書館案内によると、東部図書館は水と緑をイメージしているとのこと。館内の絨毯の色が、一般コーナーは緑、児童コーナーが青であるのもその表れでしょうか。児童コーナーの窓際の机が曲線状で、図書館案内に「なんのかたちがわかるかな?」と書かれているのですが、これって魚かな?

そうそう、東部図書館は1階も2階もお手洗いの天井が星でいっぱいなんです。だから何って訳でもないのですが、見つけたので書きたくて(笑)。もしかして、笹塚こども図書館の「ほしの部屋」のように、暗くなると星が蛍光塗料で光ったりするのかなと思って、お手洗いの外から覗いてみた(人が入ると照明が自動的に点いてしまうので)のですが、残念ながら真っ暗な夜空でした(笑)。でも、こうしたちょっとした遊びゴコロって、発見すると楽しくなりますよね。

そういえば、2010年12月25日のクリスマスの日に閉館間際までいたら、この日の閉館音楽が、山下達郎の「クリスマス・イブ」→ワムの「ラスト・クリスマス」→「ホワイト・クリスマス」のメドレーだったんです。「ラスト・クリスマス」まで聞いた時点で、“もしや、クリスマスパーティにも行かずに図書館に来ている人に向けて、失恋のクリスマスソングを集めたのでは”と思ったのですが、それは深読みしすぎでした(笑)。こういう遊び心ある閉館音楽って面白いですね。東部図書館は2010年12月23日がオープン初日で、この閉館音楽は開館日当日から25日までの限定バージョンだったそうで、聞けてラッキーでした!

こんなかたちで、館内のいろんなところに遊びゴコロが散りばめられている東部図書館。利用者が図書館に来る第一の目的は図書館資料を利用することでしょうが、可愛い設備を楽しんだり、「東部図書館お散歩MAP」をもらって図書館の外で散歩を楽しむのも面白そう。資料も設備も立地も含めて、東部図書館を楽しみましょう!

江戸川区立東部図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  <大人のための>はじめてのボードゲーム倶楽部(2018年8月12日)
―2018年8月12日のイベント
東部図書館が2018年から月1回ペースで開催しているボードゲームイベントに参加しました。いろいろなタイプのボードゲームが用意されており、頭脳戦や駆け引きを楽しみました。
  推理作家・的場郁賢の謎解きツアー
―2018年7月24日から8月26日までのイベント
開館中の図書館のなかにある問題・ヒントを探しながら解く謎解き企画に挑戦してきました。ふだんから東部図書館の中にあるものが謎解きのカギになっていたりして、気が付いてしまえば何ということはないのに気づくまでが難しいような、ニクい問題もあり。ぜひ挑戦してみてください。
  予感の木
―2017年10月24日から11月26日までの企画
クリスマスの飾りのように、モミの木にぶらさがるカードに本から抜き出した文が書かれています。その中から好きなものを選び、何の本かわからないまま借りる企画です。未知の本との出会いを楽しめます。
  ミステリ企画「的場郁賢のクイズな日常」など、クイズ企画いろいろ
―2017年7月21日から8月27日までの企画
夏休み期間に実施しているティーンズ向けの推理クイズ企画に挑戦してきました。その他、児童向けに開催しているクイズ企画もご紹介。無事全問解けましたが、推理クイズに登場するキャラクターに、更なる謎が隠されている気がしてなりません。
  本の貸出福袋
―2015年10月27日からの企画
2015年の読書期間に合わせて実施された、テーマに沿った本の3冊セットを袋に詰め、本を見ずにテーマだけで選んで借りる企画です。中身が推測しやすい袋、何が入っているか全く謎の袋などの中から、私も1袋借りてみました。
  「ミステリーブック かくされたざいほうをさがせ!!」
―2014年12月26日から2015年1月25日までのイベント
幼児から小学生向けの、図書館の掲示物を使った謎解きイベント。カウンターで問題用紙をもらって挑戦する方式で、期間内ならゴールできるまで何度でも挑戦できます。ここにこんなものがあるんだ!という発見があり、子どもが図書館をますます好きになれそうな企画です。
  ミステリークエスト~東部図書館からの脱出~
―2013年10月27日のイベント
東部図書館の中で行われた脱出ゲームイベント。最初に手渡された手掛かりと館内に点在するヒントをもとに、東部図書館の脱出を目指して謎を解いていきます。

江戸川区立東部図書館 データ

住所東京都江戸川区江戸川2-26-1 →Google Mapで見る
Tel03-5666-1022
開館時間9:00~21:30
定休日第4月曜(祝日は開館し、翌日を休館。振替休日は休館)
12月31日~1月2日
最寄駅 都営新宿線 瑞江駅から徒歩21分
駐輪場建物入口向かって左手前の通路と建物東側に自転車駐輪場あり
建物入口手前の駐車場の突き当りにバイク駐輪場あり
駐車場
  • 建物入口手前に一般用駐車場7台分あり
  • 建物入口向かって右に障害者用駐車場1台分あり
SNS等
所蔵資料
図書所蔵数134,829冊(2023/04/01現在、出典『江戸川区図書館 事業概要 令和5年度』)
CD所蔵数6,055点(2023/04/01現在、出典『江戸川区図書館 事業概要 令和5年度』)
カセット所蔵数なし(2023/04/01現在、出典『江戸川区図書館 事業概要 令和5年度』)
DVD所蔵数1,993点(2023/04/01現在、出典『江戸川区図書館 事業概要 令和5年度』)
ビデオ所蔵数なし(2023/04/01現在、出典『江戸川区図書館 事業概要 令和5年度』)
設備
ブックポスト建物北側の壁の中ほどにブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機ICタグ式自動貸出機3台(1階2台、2階1台)あり。うち1階の1台は自動貸出機と検索機の併用機。
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備2階図書館エリア入って左手前にCD試聴機1台あり
映像視聴設備なし
ネット閲覧PC2階のカウンター前にネット閲覧PC2台あり
持参PC利用2階入口入って右奥の指定席制閲覧席(8席)で持参PCの利用可能。電源あり。
LAN接続
  • 指定席制閲覧席(8席)に「FREESPOT」のアクセスポイントあり
  • 館内に「ソフトバンク wifi」のアクセスポイントあり。緊急時(災害などのとき)は他の携帯電話会社のユーザーにも回線を開放するとのこと。
飲食設備等
  • 1階休憩室に飲料自販機1台あり。休憩室(テーブル4席、椅子16席)にて飲食可能。
  • 蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)の飲料に限り、館内での摂取可能。但し、飲むとき以外は鞄にしまってくださいとのこと。