ミステリークエスト~東部図書館からの脱出~
visit:2013/10/27
パソコンなどでのゲームとしては以前から存在していた「脱出ゲーム」。SCRAPさんがリアル脱出ゲームという体験イベントとして開催するようになったことで、現実世界でも楽しめるイベントとして広まっています。そして、2013年10月27日、江戸川区東部図書館で脱出ゲーム「ミステリークエスト~東部図書館からの脱出~」が開催され、私も参加してきました。
SCRAPさんが開催するリアル脱出ゲームは、実際にイベント空間に閉じ込められたところからスタートするゲームだと思いますが(そちらにはまだ行ったことないのできちんとはわかっていません。近いうちに行ってみたい)、「ミステリークエスト~東部図書館からの脱出~」は図書館を舞台にしており、完全に閉鎖されているわけではありません。私達参加者は、一般の図書館利用者もいるなかヒントを探して館内を歩き回り、脱出に向けて謎解きをする。いつも利用している図書館が謎解きの舞台になるという面白いイベントです。
2階の視聴覚室に参加者が揃ったところで、左のようなゲームのための資料が配られました。資料には「第1の問題」だけが入っていますが、職員さんからのゲーム説明によると第3の問題まであり、第1の問題が解けると第2の問題がもらえる、第2の問題が解けると第3の問題がもらえるという仕組みとのこと。
ゲームの制限時間が45分間とのことで、それまでに最後の問題を解くところまでいけるか参加者には軽い緊張も走りましたが、決まった時刻になると各問題のヒントが発表されると知り一安心。説明の中には前後の脈絡からすると不自然な言葉も入っていて、参加者の間では「今のってヒントかも」という声もちらほら上がっていました。後でわかったのですが、実際に最終問題のヒントになっていたので、説明も聞き逃さないよう注意が必要です。ということで、説明終了と同時に参加者が館内に散らばってゲームスタートです。
第1の問題は「東部図書館内にあるキーワードを探しだし、正しい順番に並べ1階カウンターへお持ちください」というもの。ページへとめくると「入口の正面に児童の新着図書と特集本コーナーがあり、その両手側に低い書架で絵本が並べられている…」といったように東部図書館内の配置を説明した文章が7つ載っています。よくわからないまま文章に沿うかたちで館内を歩いてみると、書棚の隅にかな一文字が書かれたブタの看板があり、なるほどこれがキーワードなんだなと判明。これは皆すぐにわかったようで、館内を歩き回りながらキーワードを書きとめていきます。
が、これを「正しい順番に並べ」るって何でしょう?白状すると、私は「正しい順番」の意味がわからなかったので、意味の通じる言葉になるように自分で並べ替えてしまいました(笑)。実際には、その文字が貼ってあった棚にある本のラベルを見て…、おっと、この先はネタバレになってしまうので内緒にしておきます。
第1の問題を無事解いて1階カウンターに持っていくと、第2の問題をもらえます。「次の暗号を解き、2階カウンターへお持ちください」とう問題で、図書館の分類名らしき言葉や、江戸川区の地域名が計算式になっているようなものが書いてあります。これがなかなかの難問で、計算式になっていることから言葉を何かに変換するというのは想像がつくのですが、暗号を解いたところで、それが何を示しているのかがわからない…。
そこからはひらめき次第で、気が付いてしまえば簡単、気が付かなけば永遠にわからないままですね。これが示すものは、私も江戸川区立図書館で何度も利用したことがあるのに、ひらめくのに時間がかかってしまいました。すぐにわかった方は、江戸川区立図書館マニアと呼べるのでは?!少しだけヒントを言うと、鹿骨コミュニティ図書館・清新町コミュニティ図書館を除いた江戸川区立図書館全館にあるものです。
最終問題はあっさりとした文章で、「ヒントは全て揃いました。視聴覚室で正規の手続きを行い、図書館から脱出して下さい」…って言われても、ヒントが揃った?正規の手続き?どういうこと??と、最終問題をもらった人は皆とまどうばかり。
実はこの最終問題、この記事の中にも必要な情報が示されています。江戸川区立図書館の利用者さんなら、あ、そういうことか!と気づく人がいるのではないでしょうか。「正規の手続きを行い、図書館から脱出する」というのを言いかえると、この問題を解きながら館内を歩き回った参加者が、そのまま東部図書館から出ようとすると止められるんです。それはなぜか。江戸川区立図書館の表記の仕組みがヒントです。
あっという間の45分間でしたが、図書館内での脱出ゲーム、とても面白かったです。ヒントが館内全体に散らばっているので、これまで足を運ぶことがなかった棚を見て、こんな本も図書館にあるんだ、借りてみようかな、という発見があった人もいたのではないかと思います。
また、請求記号の知識が身に付くという点でも、いい図書館イベントです。請求記号に詳しくなれば、検索機で見つけた本がどの棚にあるかがすぐにわかるようになるし、「○○について知りたい」とそのキーワードを入力して検索結果を見るときも、「この本が分類がJになっているから、ティーン向けの本なんだな」などとわかるようになる。こうした江戸川区立図書館を利用する際に使える知識を、ゲームを通じて学ぶことができました。
強いていえば、決められた日時限りのイベントにするにはもったいなく、期間内ならいつでも挑戦できるイベントにしてもよかったのではと。というのも、2013年の春に神保町の書店・書泉グランデで「本屋迷宮からの脱出」というイベントが開催され、こちらも書店が通常営業しているなか店内に散りばめられたヒントをもとに謎解きする期間限定のリアル脱出ゲームだったのですが、口コミで人気が出て予定期間を延長するほどだったんです。
この「ミステリクエスト~東部図書館からの脱出~」は中学生の参加者が多く皆楽しんでいたので、この日時限りのイベントではなく、期間内ならいつでも参加できるイベントにすれば、口コミで広がったのではないかなと。現に、通常利用で来館してたらしき中学生が、イベントに参加している知り合いを見つけて、「先輩!何やっているんですか、面白そうじゃないですか、何?何?」と質問攻めにしている光景も目撃しました(笑)。それに、通常の利用者もいるので静かにしないといけないところ、参加者が20人程度でひそひそ話でもうるさくなってしまい、他の利用者には迷惑だったかも。その点でも、期間内にいつでものイベントの方が、うるさくならずに済むように思います。
図書館を使った謎解きイベント、問題を作るのが大変そうだけど、東部図書館でもまた開催して欲しいし、他の図書館にも広まって欲しい。中高生に来てほしいというのはどの図書館にとっても課題だと思うのですが、このイベントはあまり図書館を利用しない中高生も呼べる企画だと思います。全国の図書館さん、ぜひ図書館脱出ゲームをしてみませんか?