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渋谷区立笹塚こども図書館

渋谷区立笹塚こども図書館 訪問記

last visit:2014/01/04

渋谷区立笹塚こども図書館は、笹塚駅と幡ヶ谷駅の間を通る中野通り沿いの図書館。小学生以下の児童向けの資料と、子育てや児童書に関連する大人向けの資料に特化した施設で、飾り付けが可愛らしい!あえて自動貸出機をおかず、人とのふれあいも大切にしている図書館です。

§ 図書館の場所

笹塚こども図書館の最寄り駅は笹塚駅です。幡ヶ谷駅からも1km程度なので、歩いていけます。いずれの駅からも甲州街道に出て、笹塚駅から行くなら幡ヶ谷駅方面へ、幡ヶ谷駅から行くなら笹塚駅方面に進みます。「幡ヶ谷陸橋」が頭上を通る「笹塚」交差点についたら北に曲がり(笹塚駅から来たなら左折、幡ヶ谷駅から来たなら右折)、中野通りを進んで行きます。つ目の信号のやや手前に、1階が白、2階がピンク、3,4階がベージュの建物があり、その建物の2階が笹塚こども図書館です。

この建物は、1階が中幡・笹塚子育て支援センター、2階が笹塚こども図書館、3,4階が都営笹塚三丁目アパートの住居です。地味な建物なので「図書館らしい施設」を探すと、見逃してしまうかもしれません。初めて行くときには、「都営アパートらしい建物」を探すつもりでいた方が、見つけやすいと思います。

§ 図書館内の様子

2階への階段をあがる手前右に、カウンターというより受付に近いようなものがあります。図書館に入る際には、カウンター手前のスロープで靴からスリッパに履き替えます。入館時は図書館カードの提示が必要で、子ども向けの施設なのでセキュリティ面を考慮してこのようなチェックをしているのですね。図書館カードを持っていない場合は、必要事項を用紙に記入すれば入館することができます。

利用者の中には、子ども向け資料を見たいわけではないけど、渋谷区立図書館の資料を予約するときの受取館として利用したい人もいますよね。そのような場合は、土足エリアにいたまま1階カウンターを利用すれば返却・予約受取ができます。土足エリアに検索機も1台あるので、閲覧はせずに検索・予約・貸出・返却をする分には、靴を履きかえる手間なく利用できますよ。

1階から2階への階段は海をイメージしているそうで、青く塗られた壁に魚の絵が貼られています。階段を昇る子ども達は、魚に気をとられて階段を踏み外さないよう気をつけてくださいね。階段を上がると、正面にカウンターがあり、左に乳幼児向けの「もりの部屋」、右に児童向けの「きょうりゅうの部屋」、右の突き当たりにおはなし会などのイベントも行える「ほしの部屋」と3つの部屋に分かれています。

§ 乳幼児向けの「もりの部屋」

乳幼児向けの「もりの部屋」は、部屋全体が読み聞かせコーナーになっているような部屋です。部屋の入口左にスリッパラックがあるので、スリッパを脱いで部屋に入ります。

この部屋がね~、可愛いんですよ。森をイメージした緑の絨毯に、丸太をかたどったベンチや、花の形のテーブルが配置されています。三角屋根の小屋に入るかたちのベンチ&テーブルは、大人の私も中に入って本を開きたくなるような可愛らしさ。開館初日に行ったときから大人気で、見る度に誰かが入っている状態でした。

と、備品の話ばかりしてしまいましたが(笑)、この部屋にある資料としては、紙芝居と絵本です。四方の壁に沿って棚が並んでいて、中には絵本や紙芝居がずらり。絵本は日本のおはなしも外国のおはなしも一緒になって、おはなしの作者の姓名五十音順に並んでいます。

壁から離れた中央寄りには波型の棚があり、乳幼児向け絵本や布絵本があります。乳幼児向けの絵本は、哺乳瓶マークの紫のラベルがついた「赤ちゃんえほん」と、ペンギンマークの黄色いラベルがついた「とことこ絵本」に分かれています。ペンギンのようにとことこ歩くようになったら「とことこ絵本」へということですね。ただ、もちろんこれらは絵本選びの参考にすぎません。お子さんのお気に入りの絵本があったら対象年齢にはこだわらず読んであげてください。

波型棚の乳幼児絵本の裏側にはちしき絵本が並んでいます。絵本のなかで国語や算数、理科の世界に触れられる絵本ですね。また、その対面の壁沿いの棚には点字絵本もあります。点字絵本は、文字が点字であるだけでなく絵もでこぼこしているので、視覚に障害があるお子さんに限らず、全てのお子さんが普通の絵本とは違う感触を楽しめます。絵本の世界は、目で見たり耳で聴いたりするだけでなく、触感で感じたり、電子書籍では味わえない紙の香りも楽しめるもの。いろいろなかたちで絵本を味わってくださいね。

奥の角(紙芝居の棚向かって左端)には高学年向けの絵本の棚があります。最近は大人向けに絵本を薦めるのも流行っているし、もともと絵本は乳幼児だけのものではないですもんね。「高学年向けの絵本」としてピックアップされたものだけでなく、感受性を広げて、たくさんの書棚の中から自分の感性に合う絵本を見つけましょう!

§ 児童向けの「きょうりゅうの部屋」

カウンター向かって右の「きょうりゅうの部屋」は児童向けの資料の部屋。「もりの部屋」に比べると、可愛らしさがありながらも大人に一歩近づいた雰囲気です。

部屋に入ろうとすると、床に黒い塗料で描かれた奇妙な形が目に留まります。これは、恐竜の足跡をかたどったものだそうで、私は行く前に渋谷区の広報でその説明を読んでいたのでこれがそうかとわかりましたが、知らずに行ったら何なのかわからなかったかも。竜脚類(馬蹄に近い足跡)の恐竜ではなく、獣脚類か鳥脚類(三本指)の足跡なので、描き損なった矢印に見えなくもないんです(笑)。大きい足跡と小さい足跡と2タイプあるので、ぜひ両方とも見てみてください。

児童向けの本は全てこの部屋にあるわけではなく、社会科学の本は「きょうりゅうの部屋」に沿った廊下に、総記・哲学・乗り物・芸術・スポーツ・言語・辞典類は隣の「ほしの部屋」にあります。開館初日に来館したとき職員さんにお伺いした話によると、この施設は元々笹塚学童館だった施設で、笹塚こども図書館に改装するにあたっても、建物の構造上、部屋を仕切る壁を取り除くことはできなかったのだそうです。そのせいで児童向けの資料が分散してしまった面もありますが、特に複雑な配架でもありませんし、あっちにもこっちにも本があるという構造にかえってわくわくさせられます。

というわけで、「きょうりゅうの部屋」にあるのは児童読み物が中心。児童読み物は日本人作家のおはなしと外国人作家のおはなしを別にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。書棚の内容を示すジャンル名に素朴な切り絵が添えてあったり、上から恐竜のぬいぐるみがぶら下がっていたり、「もりの部屋」と比べると控えめな可愛さがちりばめられている感じ。「静かにしてね」といった注意書きにも可愛いイラストがついている…というより、むしろイラストに注意書きが添えられている可愛い注意書きなんです。さきほどからバカの一つ覚えのように「可愛い」を連発して申し訳ありません。でも、図書館全体がそうなんですからしようがない(笑)!

§ イベントを行う「ほしの部屋」

「きょうりゅうの部屋」の奥にある「ほしの部屋」は、おはなし会や映画会などのイベントを行う部屋。イベント専用の部屋ではなく資料も置いてあり、普段は開放されています。この部屋の壁紙は蛍光塗料で星が描かれていて、電気を消すと星空のようになるのだそうです。電気がついている状態でも、よく見ると星が描かれているのがわかりますよ。

この部屋に置いてある資料は、上にも書いたように乗り物・芸術・スポーツ・言語・総記・辞典類。また、外国語で書かれた絵本や仕掛け絵本、親御さん向けの出産・育児の本や、子どものための絵本選びの本などもあります。新聞・雑誌もこの部屋にあり、小学生新聞も朝日・讀賣・毎日と3紙揃っています。

部屋全体の1/3程度がスリッパを脱いで上がるくつろぎコーナーで、残りの2/3に椅子や机が置かれていますが、設備は少なく、他の2つの部屋と比べてスカスカ感を感じるくらい。おそらく、すぐにイベント会場として使えるように、あえてそのような空間にしているのではないでしょうか。

「ほしの部屋」にある絵本は、好奇心旺盛な子どもや大人も楽しめる絵本がいろいろ。まず、部屋中央の半円形の書棚には、仕掛け絵本と探し絵本があります。仕掛け絵本は、いわゆる「飛び出す絵本」などの仕掛けがある絵本なので、壊さないようにしながら利用しましょう。探し絵本は、『ウォーリーを探せ』のような絵本や、迷路絵本、間違い探しの絵本など。アドベンチャーゲームブック風に正しい計算結果はどちらでしょうと辿らせる九九の絵本などもあります。手に取ると、大人でも最後まで辿りたくなりますよ(笑)。

くつろぎコーナーの周囲には大人向けの本が並んでいます。名づけ辞典、料理・手芸の本、遊び場ガイド本もあるので、子どもが欲しいと思っている時期から、ある程度子どもが大きくなっても参考になる本がたくさん。「こども図書館」だからといって、子ども向けの資料・設備だけを揃えるのではなく、子育てしている大人へもくつろぎコーナーを作ってくれているのが嬉しいです。育児の本は、父親向けの本もたくさん揃っているので、新米パパもぜひご利用ください。

また、大人向けの本のうち、児童書研究に関する本は、くつろぎコーナーと反対側の壁沿いの棚になります。こどもの本ガイドには緑色の本マークのラベル、おはなし会や読み聞かせに関する本は桃色の本マークのラベルが貼ってありますが、絵本ガイドは読み聞かせの参考にもなったりしますし、関心がある方は緑・桃両方のラベルの本を見てみるといいと思います。児童書研究の左にある復刻版コーナーには、武井武雄さんや岡本帰一さんといった昔の童話画家の世界が見られる本などもあり、レトロ可愛いものが好きな人は心を鷲掴みにされてしまうはず。

§ 人と触れ合うアナログ図書館

渋谷区立図書館ではICタグによる自動貸出機を導入していますが、笹塚こども図書館だけは自動貸出機を設置していません。これは子どもには自動貸出機が難しいからということではなく(実際、お子さんでもすぐに使い方を覚えられます)、子ども達が貸出する際に必ず職員さんを介するしくみにするために、あえて置かないようにしたのだそうです。

自動貸出機は便利で楽ですが、誰とも接することなく図書館が利用できてしまう仕組みでもあります。図書館に限らず、今はあらゆることが自動化され、誰とも話をせずに支障なく暮らすことも不可能ではない。それって便利かもしれないけど、淋しい社会という側面もあるのでは。笹塚こども図書館もそうした発想から、人との触れあいを重視した仕組みにしたんですね。

笹塚こども図書館のこの発想には、この施設が元々学童館だったことも影響しているのではないかと思います。渋谷区は2007年度末で学童館を廃止して小学校を利用した「放課後クラブ」に切り替えましたが、その際には反対意見もたくさん出たようです。この笹塚こども図書館は笹塚学童館が廃止されて空いた施設を図書館へ改修したわけですが、その背景をふまえて、人との交流の場所や安全に遊べる場所としての機能を強めた図書館にしたのではないでしょうか。

本が好きな子どもは笹塚こども図書館に通いたくなるだろうし、可愛いものが散りばめられた施設でもあるので、場所として好きで笹塚こども図書館に通っている子どもが本好きになるというケースもあるかもしれませんね。こんなに本がたくさんある楽しい空間に通えるなら、私も渋谷区に住む子どもに生まれ変わりたいくらい!外見が地味な建物なのに中がこんなに楽しい空間だというのも、知る人ぞ知る施設っぽくて気分が盛り上がりますよ(笑)。子どもも大人もこの笹塚こども図書館の雰囲気をどうぞ楽しんでください!

渋谷区立笹塚こども図書館 データ

住所東京都渋谷区笹塚3-3-1 2階 →Google Mapで見る
Tel03-3378-1983
開館時間10:00~17:00
定休日月曜・第2木曜(祝休日は開館し、直後の平日を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 京王線 笹塚駅から徒歩11分
京王新線 幡ヶ谷駅から徒歩15分
駐輪場建物入口向かって右に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数29,686冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口右の壁にブックポストあり
自動貸出機なし
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用不可
LAN接続なし
飲食設備等なし