移転前の旧・新宿区立こども図書館
旧・こども図書館は2013年6月14日を最後に移転のための休館に入りました。その後、現在のこども図書館が2013年7月20日に移転開館しました。
以下は、移転前の旧・新宿区立こども図書館の訪問記です。
移転前の旧・新宿区立こども図書館 訪問記
新宿区立こども図書館の最寄り駅は西武新宿線の下落合駅。北口を出て右に進み、妙正寺川にかかる小さい橋を渡ったら、川に沿って右に進み、2つ目の橋でもう一度川の反対側に戻ります。その先の踏切を渡って、道の突き当りで左に曲がると、左側に中央図書館が現れます。川沿いを歩いているうちに、「新宿区立中央図書館」という文字が掲げられた建物が見えます。見えているのに、直線で近づけないのがもどかしいですが(笑)。
また、高田馬場駅からも歩いて行けます。西武線以外から来る人だけでなく、西武新宿線の下り電車で来る人でも、各駅しか止まらない下落合駅より、高田馬場駅の方がいいという人は多いですよね。高田馬場から行くときには、早稲田口を出て道路を越えたやや左にある「さかえ通り商店街」に入り、神田川をまたぐ橋を越えて、東京富士大学を左に見ながら歩いていくと、右に中央図書館が現れます。
…と、新宿区立中央図書館の訪問記とそっくり同じことを書いてしまいましたが、それもそのはず、2006年5月5日こどもの日にオープンしたこの新宿区立こども図書館は、新宿区立中央図書館の2階児童室が「図書館」として格上げされたかたちの図書館なのです。
中央図書館は1階の入口のほかに、敷地内に2階への大きな階段があり、それをあがった2階にも入口があるという構造になっているのですが、その2階入口を入って左がこども図書館。まあ結局は、中央図書館の中にあるので、1階の入口から2階に上がっても同じなのですが。
こども図書館の入口は引き戸。そういえば、同じ「こども」が名前についている図書館である、白河こどもとしょかんも引き戸です。おそらく、自動ドアによる手の巻き込まれとかにも配慮してるのでしょう。ちなみに、建物1階の入口も自動ドアではないので、1階入口手前には車椅子の方が職員さんを呼べるインターホンがついています。こども図書館を利用する車椅子の方は、遠慮なく職員さんの手を借りてください。
こども図書館入口を入ると、まずは新刊紹介や特集コーナーなどのある開けた空間。その奥に進むと、真ん中にカウンターや検索機があり、右手前が中高生コーナー、右奥に児童読み物とちしきの本、左手前には閲覧席やネット閲覧PCがあり、その奥に畳敷きのくつろぎコーナー、その更に奥に絵本などが配置されています。おはなし会を開催する「おはなしの部屋」は左奥にあります。
開館にあたって置いてあったチラシにもアピールしてあったのですが、棚の高さが低く、通路も広いですね。床もたぶん新しくしたのでないかと思うのですが、児童室時代と比べてかなり明るい印象を受けます。奥にあるお手洗いもすごくきれい。お手洗いは女性用のみならず、男性用にもオムツ替え用シートが設置されています。子育てパパさんにもしっかり配慮していますね。
左中央のくつろぎコーナーは4畳半の畳のスペース。靴を脱いでゆったりした気分で絵本を開けるスペースです。オープンしてすぐ行ったときには、くつろぎコーナー近くに、オープン記念事業でこども図書館にきた絵本作家とよたかずひこ氏のサイン本が展示してあったのですが、現在はありません。展示していた頃は「この本は展示してあるのでまだ貸出できません」とあったから、今はこのサイン本も貸出してくれてるいのかも。何気なく絵本を借りたらサイン本だったらびっくりしてしまいそうです(笑)。
くつろぎコーナーの奥、お手洗いへの通路手前の棚には「ファミリー文庫」という棚があり、育児に関する本や子どもを連れて行くのにいい場所の旅行ガイド、布おもちゃの作り方など、お子さんがいるご家族に向けた本がいろいろ並んでいます。絵本読みに関する本もあるけど、どちらかというと実用書が多いですね。下の段には布絵本もいろいろあり、利用は館内閲覧のみですが、結構大きいサイズのものが揃っています。
左奥のおはなしの部屋の手前には、英語やハングルで描かれた絵本や仕掛け絵本などがあります。仕掛け絵本は結構好きで、パラパラめくっては仕掛けをいじってしまう私。一般的な絵本の棚は、サイズによって小さい絵本とそれ以外の絵本に分けたうえで、日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にしてタイトルの頭文字で分類されています。
児童読み物やちしきの本も充実しています。児童向け読みものの本は、日本人作家と外国人作家を別にして、著者姓名の五十音順で並んでいます。大活字本の青い鳥文庫(講談社の児童書)などもあるので、弱視のお子さんもぜひ活用してください。
奥の中央にある漫画コーナーは、半数弱が手塚治虫関連の資料となっています。というのも、このこども図書館は高田馬場駅から歩いて10分弱の場所にあるのですが、鉄腕アトムが「2003年4月7日に高田馬場にある科学省で誕生した」という設定だったということはご存知でした?私は、中央図書館の地域資料コーナーにあった展示で知りました。そうしたゆかりで、手塚治虫関連の資料を寄贈していただいたそうです。漫画だけでなく、手塚治虫を取り上げた本や画集などもありますよ。3階の中央図書館のカウンター前にも「手塚治虫文庫」の棚があり、作品がたくさんあるので合わせて見てみてくださいね。
手前のコピー機の近くには、子どもたちの投稿したお薦めの本が掲示されています。おすすめ文の代わりに絵を描いて投稿している子どももいますね。全ての投稿には、職員さんが図書館での請求記号を書き込んでいるので、それをもとに本を探して借りることもできます。請求記号だけでなく、職員さんからのコメントも書き込まれているので、投稿した子どももどんな返事がついてくるか楽しみですね。
江戸川区の篠崎子ども図書館や、渋谷区の笹塚こども図書館、江東区の白河こどもとしょかんといった、独立したこども図書館と比べて、元々あった児童室を組織面で別施設としただけという感の否めない新宿区のこども図書館ですが、こども図書館としてリニューアル開館してから、毎日おはなし会を行っています。
おはなし会は多くの図書館で定期的に開催していますが、毎日行っているのは23区ではこの新宿区のこども図書館と、葛飾区中央図書館、目黒区立大橋図書館の3館だけ。なかでも新宿区立こども図書館は最初に毎日のおはなし会をはじめた図書館です。
おはなし会は平日の決まった曜日に行われていることが多く、一人で図書館へ行けない小さいお子さんをおはなし会に連れていきたくても、仕事で連れて行けない親御さんも多いと思いますが、そういう親御さんにとって毎日おはなし会を行っている図書館って嬉しいですよね。
普段地元の図書館のおはなし会に参加しているお子さんも、お出掛け気分でたまには遠くの図書館のおはなし会に参加してみるのもいいのでは。これは一般書架でもそうですが、いつもと違う図書館に行くと、棚の配置の違いでいつもとは違う本が目に入ったりして、思わぬ本に出会えたりもするんですよね。地元の子どもたちも、ちょっと遠くの子どもたちも、ぜひおはなし会を楽しみに新宿区立こども図書館に行きましょう!