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葛飾区立中央図書館

葛飾区立中央図書館 訪問記

last visit:2011/05/27

葛飾区立中央図書館は、金町駅そばにある広~い図書館です。23区ではここにしかない自動返却仕分機がある一方、バリアフリー設備も充実しています。平日・土曜は22時、日曜・祝日も20時まで開いているので、仕事・学校・お出掛け帰りにもどうぞ。

§ 図書館の場所

葛飾区中央図書館は、京成金町駅改札から線路に沿って柴又方向に戻る形で少し進んだ左にある、ヴィナシス金町ブライトコートの3階。1階にマルエツがある建物なので、それを目当てに探せばすぐわかると思います。

このマルエツ、24時間営業なので私も重宝しています。葛飾区中央図書館に行くと、大抵その後にこのマルエツで買物をするので、金町住民でもないのに、マルエツ金町店の割引クーポンを持っている私(笑)。遅くまで開館している図書館のそばにスーパーを建てれば、図書館帰りの人の集客を見込めるかも…って、図書館につられてスーパーに行くのは私だけでしょうか(笑)。

§ 図書館内の様子

葛飾区中央図書館の配置を言葉で説明するのは無理です(笑)! この図書館、蔵書量がとても多い上に、それがワンフロアに広がっているので、大げさに言うと、「図書館界のディズニーランド」と言えるくらい。以前、何かの場所がわからなくて聞いたときに、その職員さんが「たまに出口がわからなくなる人もいる」とおっしゃっていました。

ざっくりと説明すると、北西側(京成金町に近い方)の入口から入ると、右に児童コーナー、左に総合カウンター、児童コーナーの先が中高生コーナーとCD・DVDコーナーです。一般書架は、総合カウンターの先から、右に曲がっていく形でL字状に広がっています。L字の曲がり角には、新聞・雑誌コーナーがあります。

細かいコーナーもたくさんあり、行く度に何かしら発見があります。以下、各コーナーを紹介しますが、まだ私が知らないことがたくさんあるはず。探検ゴコロにここまで応えてくれる図書館は、なかなかありません(笑)。

あ、そうそう、図書館の区画の半分以上が、わりと靴音が響きやすい床なんです。ヒールなど底が固い靴で入ると、歩くのにちょっと気を遣います。できれば、底の軟らかい靴で行ったほうが、気兼ねなく館内を歩き回れますよ。

§ 児童コーナー

児童コーナーだけでも、相当広いです。青戸西水元四つ木などの葛飾区の地区図書館の「各館全体の面積」より、「葛飾区中央図書館の児童コーナーだけの面積」の方が広いのでは。西水元は微妙ですが、青戸四つ木よりは確実に広いと思います。

読み聞かせコーナーも2つあり、一つはおはなしの部屋につながっています。そうそう、葛飾区中央図書館では、絵本よみを行事のない平日は毎日行っているのです。それも0~3歳児向けと、小学生まで向けの、1日2回の開催です。葛飾区立図書館ホームページの行事予定には、それが書いていないので、知らない人もいるかも(お知らせには記載しているのですが)。お子さん連れで行く方は、子ども向けの行事が何かしらやっている可能性が高いので、行く前に電話で時間を聞いてみるなどすることをお薦めします。

児童エリアからは屋外の「こどもデッキ」に出られるようになっており、晴れている日はこどもデッキのテーブルで読書することもできます。こどもデッキがある側が西にあたり、冬の天気のいい日はこちらから富士山が見えます。おはなしの部屋につながっている方の読み聞かせコーナーがここに面していて開放的。もう一つの読み聞かせコーナーは、まどみちおさんの詩をほてはまたかしさんが版画にした作品が壁にかかっていて、こちらも素敵な空間です。

絵本は、日本人作家の作品と外国人作家の作品を別にして、絵を描いた人の姓名五十音順に並んでいます。絵本の棚の上には絵本で御馴染みの「11ぴきのねこ」のぬいぐるみや、バーバパパ家族のぬいぐるみが置いてあるのですが、これらはただの飾りではなく、それぞれの絵本がある棚に置いてある。つまり、棚上に飾られたぬいぐるみが絵本の場所の目印にもなっているんです。可愛いぬいぐるみを見つけたら、その下の棚からそのキャラクターが登場する絵本を探してみてください。

児童読み物は、日本と外国という2分類ではなく、アジアの物語、アメリカ・イギリスの物語といったように、外国を更に国・地域別に分けたうえで、著者姓名の五十音順に並んでいます。読み物の方にも、『魔女の宅急便』シリーズがある棚上に魔女の切り絵があったり、ムーミンシリーズが入っている棚上にムーミンのぬいぐるみがあるなど、絵本と同様の目印があります。

絵本や児童読み物は、対象年齢や葛飾区立図書館からのお薦め本であることがラベルでわかるようになっているので、それを知っていると本選びの参考になります。児童読み物のうち、本の背ラベルの分類記号の数字(91が日本のおはなし、92がアジアのはなし、など)の前に「T」とついているのが低学年向けの読みもの。「T」つきの本には赤いテープも貼ってあるので、そちらを目印にした方が探しやすいかもしれません。ランドセルマークが貼っている本は、低学年の中でも1年生にお薦めの本です。

葛飾区立図書館では小学生向けのお薦め本リスト「むぎわらぼうし」を毎年作っており、そのリストに入っている本には帽子のシールが貼られています。赤・黄・青の帽子があり、赤が低学年向け、黄色が中学年向け、青が高学年向けを示していて、帽子の真ん中に書かれている数字がリストに選ばれた年を表しています(「14」と書いてあったら、2014年のむぎわらぼうしに選ばれた本)。

更に、読み聞かせに向いている本には、本のマークの中に「読み」と書いてあるシールが貼られており、これも帽子マークとと同様に色で対象年齢が示されています。緑が幼児向け、赤が低学年向け、黄色が中学年向け、青が高学年向けとなっているのですが、高学年向けの読み聞かせに向いている絵本ってどんな絵本なのだろうと探してみたら、『鬼の首引き』という狂言を元にした絵本や、『ながいながいよる』という環境問題を考えさせる本など、表面的な物語の奥にいろいろな知識が眠っているような絵本が選ばれているようでした。

もう一つ、絵本についているマークとして、しかけ絵本には青い星のシールが貼られています。仕掛け絵本を棚のどこかにまとめているのではなく、他の絵本と一緒にして絵を描いた人の五十音順の並びに入っていて、貸出も可能。見てみると、とても凝っている飛び出す絵本のようなものは私が見つけた限りではなく、貸出しても壊れにくい程度のちょっとした仕掛け絵本でした。

また、葛飾区にゆかりのある作家の作品がある棚の上には、その方を紹介するカードが立て掛けてあります。絵本の棚では東金町在住のあきやまただしさん、児童文学では金町に住んでいたことがある松谷みよ子さん、東金町在住のいわままりこさん、西水元在住の水谷章三さん。こう挙げていくと、葛飾区にゆかりのある作家というよりは、金町の近くにお住いの作家さんなのかな。この中央図書館もご利用になることがあるかもしれませんね。

児童向け資料の方は、冊数が充実しているだけでなく、点字絵本や布絵本も多いです。ただ、これらの資料の貸出は、ハンディキャップ登録をしている人しかできませんが、閲覧は誰でもOK。こうした資料を図書館で触ってみるだけでも、世界が広がりますよね。

§ 一般書架

一般書架も、とにかく広い!…って、こればかり書いてますね(笑)。お探しの本が決まっている場合は検索機、探すジャンルが決まっている場合は書架案内図に直行して、さっさと場所を見つけた方がいいです。ぶらぶらしていれば見つかるだろうという考えは、この広い書架に対しては甘いです(笑)!

日本の小説は、著者姓名の五十音順に並んでいます。但し、複数の作家による作品集は、著者名ではなくタイトルの頭文字で分類され、頭文字分類の先頭に配架されています。つまり、小説の「ア」の棚に行くと、まず、書名が「ア」で始まる複数作家の作品集が並び、その次に頭文字が「ア」の作家の作品が著者姓名五十音順に並ぶという方式です。外国の小説は、中国文学・東洋文学・英米文学・ドイツ文学…といったように国・地域別に分類したうえで、苗字の頭文字で分類されています。

一般書架の中には、「ビジネスコーナー」「暮らしに役立つ法律情報」「健康・医療情報」「闘病記」「いきいきシニア」など、一般的な図書館の分類法だと、あちこちの分類の分かれてしまうものをひとまとめにして、本を探しやすくしているコーナーところがあります。具体的には、下の表のように、専門家ではない人にもわかりやすい項目だてで本を揃えています。

ビジネスコーナー
W01就職活動・会社情報W06マネージメント・コーチング
W02起業・開業W07マーケティング
W03資格試験W08中小企業・商店経営
W04仕事の技術・ビジネス語学W09この人に学ぶ
W05雇用について

暮らしに役立つ法律情報
J01弁護士・小額訴訟・内容証明J07ドメスティック・バイオレンス
J02契約書・消費者契約法J08交通事故
J03土地・家屋・近隣・マンション管理J09在日外国人・国際結婚
J04社会保険・労働問題・労働災害J10クレジット・サラ金・自己破産
J05夫婦・離婚J11裁判員制度
J06相続・遺言・成年後見J12暮らしの法律

いきいきシニア
C1この人に聞く
C2おいしく食べる
C3楽しく動く

このほか、健康・医療情報は、「V1 健康・病気全般」「V2 検査」「V3 診療ガイドライン」「V4 薬」「V5 医師・病院」という分類で、ガイドラインとなる本や事典的な本を揃えていますし、闘病記は本に登場する人のかかった病気別で細かく見出しがついているので、「こんな病気と闘った人の話を読みたい」と具体的な病名で本を探すことができます。

ビジネス本や医療の本は、ニーズがあり、かつ、一般的な図書館の分類法では探しにくい面もあるので、こうした特設コーナーを設けている図書館は珍しくないのですが、取っつきにくい法律本を暮らしの中で起こりうる状況ごとにまとめている法律情報コーナーは、葛飾区立図書館の大きな長所といえると思います。また、ビジネスコーナーにハローワークの講座のチラシ、法律情報のコーナーに法テラスの冊子など、図書館資料以外の関連配布物も置いてあるので、図書館の蔵書にとどまらない今現在の情報を入手することもできます。

但し難点もあり、例えばドメスティック・バイオレンス(DV)に関する本は、一般的な図書分類だと「367.1 女性」になり、葛飾区立中央図書館でも法律以外のDVの本はその分類になるのですが、法律コーナーとはかなり離れた棚にあり、かつ、そこにはDVの法律に関する本が別になっているなどの説明もないので、DVに関する本を求めて「367.1 女性」の棚だけを見た人だとDVに対する法律的処置の本には出合えない可能性もあります。出会うべき本に出会うためにも、ぜひこれらの特設コーナーの存在を覚えておいてください。

§ 外国語図書

23,24番の棚にある外国語図書は、英語・中国語・ハングル・スペイン語・フランス語・ドイツ語・イタリア語と、様々な言語が揃っています。

特に英語は、英語の棚の中で図書分類に従って、総記・哲学・歴史…と更に分類されており、それぞれの分類について結構冊数があります。文学だったら、英米文学の原書はもちろん、日本・フランス・中国・スペイン・ロシアの小説が英訳されたものもありますよ。カラフルな料理本は見ていても楽しいし、写真がたくさん入っている料理本なら、英語が読めない方も勘で作れるかも?!

外国語図書の半数以上は英語の図書ですが、中国語とハングルの図書も充実しています。しかも、適当にあれこれ手にとってみた限り、発行年が新しいものが多い感じ。一度資料を揃えてそれきりではなく、新しい図書を揃えてくれるのは嬉しい。日本在住の中国語・ハングルネイティブの方も、語学を勉強している日本人も、やっぱり新しい本を読みたいですもんね。

§ 休憩したくなったら

この訪問記も、既にかなりの長文になってしまったので、読み疲れた方もいらっしゃるのでは(笑)?ということで、休憩場所のご案内を。駅に近いほうの北西側の入口のそば、図書館エリアの外にあたる位置に休憩ラウンジがあり、中には飲料自販機があり飲食もできます。蓋のついた容器(ペットボトル・水筒)からの水分補給は館内でもできますが、食べものは館内では禁止されているのでこちらをご利用ください。

また、L字型に曲がる内側附近にあるお手洗いは、広くてきれい。入口は自動ドアなのですが、ドアの前に立つだけで開くのではなく、壁にあるセンサーに手をかざすとドアが開くようになっています。知らずにドアの前で立っていても反応してくれないのでご注意ください。

もう一つ、休憩とは少し違うかもしれませんが、屋外で本を読める場所があります。児童コーナーから出られるこどもデッキと、一般書架奥から出られるイーストデッキ、サウスデッキの3箇所。気分転換に外の空気に触れたり、開放的な場所で読書するのも気持ちいいですね。

個人的には、図書館内の探検も気分転換にいいと思います。開架の資料数が多いので、ちょっと書架内を歩いただけでもいろんな本と出会えるし、設備も様々なので本当に飽きません。

§ 新聞・雑誌コーナー

新聞・雑誌コーナーは窓際の角の空間。床から木が生えていてびっくりします(笑)。床に鉢が置いてあるのではなく、床の下に鉢が埋め込まれているのです。ここの椅子席は複数の人が座る弧状のベンチなのですが、背もたれが隣合う席と逆についているので、全ての席が埋まると、弧の内側を向いて座る人と外側を向いて座る人が交互に並ぶ形。ちょっと面白いでしょ。

葛飾区中央図書館の雑誌コーナーは、ジャンルに関わらず全ての雑誌が50音順に並んでいるのがちょっと難点。「○○が読みたい」と具体的に読みたい雑誌が決まっているときはいいですが、「スポーツ誌が読みたい」「インテリア誌が読みたい」といった場合、ジャンル別に整理されていないので、雑誌ラック全体(中央館ですので所蔵雑誌点数も多い)から探さないといけません。読みたい雑誌が特定されていないときに使いにくい方式だと思います。

§ 地域資料コーナー

葛飾区の中央館なので地域資料も充実。大部分の地域資料は、一般書架奥の、事務室との境にありますが、総合カウンター向かって左の「かつしかコーナー」には、地域資料の中でも親しみやすいものを取り上げて、展示しています。

取り上げられているテーマは、「川」「しょうぶ」「おもちゃ」「寅さん」の4つ。葛飾区は荒川と江戸川に挟まれて、区内を中川が通っている、川の多い区ですし、堀切の菖蒲園も有名。「おもちゃ」は、タカラトミー、セキグチなどのおもちゃメーカーが区内に多いことから。「寅さん」については説明するまでもないですね。葛飾区中央図書館から柴又帝釈天までは1.5kmほどなので、歩いても行けます。

個人的には、ボクシングの内藤大助選手も、亀田兄弟も葛飾区在住なので、ボクシングも地域の特色として取り上げてはどうかと思うのですが、葛飾区立図書館さん、いかがでしょうか(笑)。ちなみに、私がそのことを知ったのは、葛飾区立図書館公式サイト内の「葛飾区関連新聞記事」です。「これも葛飾区関連なんだ!」という発見があったりして、見出し一覧を眺めるだけでも面白いです。

葛飾区立中央図書館の話に戻しますと、一般書架がL字状に曲がる内側にあるお手洗いへの通路に展示コーナーがあり、葛飾区に関する展示を適宜入れ替えて行っています。最初にこの図書館に来たとき、なぜこんなに奥まったところに展示コーナーを作ったのかと不思議だったのですが、お手洗いに行った帰りにこの展示コーナーを見ている人がちらほらいるのを見て、こんなに広くて入口も2つある図書館では、逆に一般書架内には1つしかないお手洗い近くが最も目に触れやすい場所として選ばれたのかと納得しました。ここは書架や閲覧席から離れていて、友達と展示を見ながら多少話したりしても大丈夫な場所でもあるので、そういう点も考慮したのかもしれません。

葛飾区中央図書館の話に戻りますと、事務室近くの地域資料の充実ぶりもさすが。区政資料はもちろん、東京の他区市町村・千葉や埼玉の地域資料もあるし、葛飾下町の案内本や写真集もあります。私がじっくり見てしまうのは「葛飾区ゆかりの文学」の棚で、この人も?あの人も?と実にたくさんの作家が取り上げられているのです。

例えば、早乙女勝元は25歳から41歳まで葛飾区に住んでいたという関連、吉本隆明も佃島に生まれ暮らしていたのが、建物疎開で葛飾区の上千葉(今のお花茶屋駅付近のようです)に引越ししたんだとか。作家・半村良は立石生まれ、松谷みよ子は金町に住んでいたことがある。それから、著作物も多く出している堀切の古本屋店主・青木正美氏、フリーアナウンサーの小川宏氏は葛飾区在住で、この中央図書館のオープニングイベントで講演もなさっていました…と、挙げればキリがない。

図書だけでなく、漫画もあるんですよ。お馴染み秋本治の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」はもちろん、「キャプテン翼」の高橋陽一は四つ木生まれ。つげ義春も植村さとるも葛飾出身。本宮ひろ志は生まれは千葉ですが、中学時代は葛飾区にいたようですね。これらの漫画家の作品を所蔵しているのですが、さすがに漫画は人気があり、棚にはあまり残っていません。読みたい方は予約しましょう。

これらの人物と葛飾区かどう関連があるかは、事務室入口向かって右の掲示板に、人物の写真入りで説明があります。私、以前の訪問記内で「葛飾区との関連を表示して欲しいけど、この図書館はそういうことをしてくれそう」と書いていたのですが、私が間違っていました…、すみません。現在は、開館当初立入禁止になっていた通路を開放して、そこに葛飾区との関わりが掲示されています。わかりやすいものを作っていただいて、ありがとうございます!

こうした葛飾区立図書館が集めた情報とは別に、葛飾区民が集めた情報が葛飾区立図書館公式サイト内にあるので、そのご紹介も。「区民がつくる葛飾百科」という企画の一環で作られた「葛飾文学散歩」がそれです。葛飾区が登場する文学作品を集めたページで、このページだけではどう使ったらいいかわからないかもしれませんが、右上の検索ボックスに「立石」「亀有」といった葛飾区内の地名を入れて、検索結果の「文学散歩」をクリックすると、その地名が登場する文学作品の一覧が出てきます。更に、文学作品のIDをクリックすると、登場部分の引用や図書館での蔵書情報へのリンクが貼られているので、面白そうな本を見つけたらそのまま予約できます。

§ 自動返却機

資料のことを中心に書いてきましたが、葛飾区立中央図書館は、設備も目新しいものがいろいろ。総合カウンター向かって右にある自動返却機は、23区立図書館では葛飾区立中央図書館にしかないものです。自動貸出機なら、既に多くの図書館で使われていますが、自動返却機とは何ぞや?!

自動返却機のところに行ってみると、閉館中に返却できるブックポストのような投入口が2つあります。そこに本やCDを入れると、ベルトコンベアによって資料が運ばれて、返却処理を行い、所蔵館ごとに振り分けられるんです。このベルトコンベアのある区画は、透明な仕切りで区切られているので、投入口に入れた後の一連の流れは見ることができます。投入口で本を重ねて入れても、ちゃんと1冊ずつ処理するんですよ。

これだけでも結構驚きなのですが、この自動返却機は建物1階のブックポストに返却された資料も自動的に返却処理するんです。葛飾区立中央図書館の返却ブックポストって、ちょっとわかりにくいところにあって、「何でこんなところにあるんだろう」と思っていたのですが、「広報かつしか」の2010年3月5日号を読んで、謎が解けました。この返却用ブックポストは自動返却機の真下辺りにあって、ブックポストに資料が溜まると、自動的にエレベーターで上にあげられて返却処理されるんです。

返却資料に異常がないかの点検は、振り分けられた後に職員さんが行うので、完全に人の手を介さずに返却処理が済むわけではないのですが、重い本の束を運ぶ必要がなくなるだけでも、楽になりそうですね。自動化によって楽になった分を、人間の手でしか行えないサービスに注力してくれることを期待します。

§ 予約資料コーナー

メインカウンター向かって右にある小部屋は「予約資料コーナー」。葛飾区立中央図書館では、貸出・返却だけでなく、予約資料の受取も職員さんを介さずに利用者が自ら行うようになっているのです。葛飾区立中央図書館を受取館に指定している予約資料が届いたという連絡があったら、こちらを利用することになります。悩み事に関する本など、他人に見られたくない本を借りるときなども、気兼ねなく予約できますね。

予約資料コーナー手前左にある機械に自分の図書館カードを読み込ませると、「予約資料の受取案内」というレシートが印刷され、そこに届いている資料の名前と場所が印刷されています。場所は「M-2」といった具合に、アルファベットと数字の組み合わせです。

予約資料コーナーに入ると、棚が並んでおり、アルファベット+数字のラベルが貼ってあるので、自分の予約資料の場所を探しましょう。アルファベットが棚の縦列を示していて、数字が上から何段目かを示しているという単純な区分けなので、すぐ見つかると思います。指定された場所から資料を自分で取り、貸出手続きを行えば、予約受取が完了。予約資料コーナーの中に自動貸出機があるので、わざわざ小部屋の外の自動貸出機のところまで行く必要はありません。

使ってみたところ、仕組みとしては特に便利でも不便でもないかな。ただ、部屋が狭いので、利用者が一度に何人も入ると、身動きが取りにくいです(笑)。また、同様の設備がある府中市立中央図書館の予約本コーナーは、レシートに届いた資料の場所が印刷されているだけでなく、その棚がランプで光るのですが、葛飾区中央図書館の予約資料コーナーにはその機能はありません。まあ、誰かと一緒に入ると身動きが取りにくいくらいの小さい部屋だから、光ったりしなくてもすぐに棚は見つかりますのでご安心を。

§ 座席の予約

南東の窓際にある個人閲覧席42席は、「せきなび」という端末で座席を予約する仕組みです。ビジネスITコーナーにあるネット閲覧PC・データベース閲覧PCも、「せきなび」を使って利用します。「せきなび」での座席予約には葛飾区立図書館のカードが必要なので、カードを作れる条件を満たしている人でないと、これらの座席・PCは利用できません。

「せきなび」の端末は、閲覧室1の先にあるレファレンスカウンターの裏の2台。閲覧席を利用する場合は、メインメニューにある[個人閲覧席]の中の[利用予約]ボタンをタッチして、図書館カードをスキャンすると、座席を指定するレシートが印刷されます。座席の予約は、9:00~12:00、12:10~15:10、15:20~18:20、18:30~閉館まで、の時間枠単位で、それぞれ9:00、11:50、15:00、18:10から予約ができる状態になります。利用者が好きな席を選ぶことはできませんが、全ての席が窓に垂直に配置されており、どの席になっても隣の人がいない状態で集中しやすく、かなり人気が高いです。冬の土日や学校の冬休み時期などは、受験生と思われる人たちが多く、次の時間帯が予約できる時刻の前に、「せきなび」前に行列ができます。冬に指定席を利用したい方は、そのつもりで早めに行ってください。

また、研究個室が2つ、グループ研究室が1つあり、こちらもカウンターに申請して利用するかたちです。こちらは、利用日の1ヶ月前から当日までに申請しておく必要があり、9:00~12:00、13:00~17:00、17:30~閉館時刻と、個人閲覧席より使える時間帯が長いですが、研究個室はひと月に18枠まで、グループ研究室はひと月に9枠までの制限があります。

この個人閲覧席や、研究個室・グループ研究室では、館内無線LANを利用することができます。個人閲覧席の場合、せきなびでの予約時に印刷されるレシートに無線LANを使うためのIDとパスワードがあるので、それを使って接続します。研究個室とグループ研究室はレファレンスカウンターで利用を申し込むかたちで、申し込みの際に無線LANを利用すると伝えると、同様にIDとパスワードが発行されます。

ネット閲覧PCを使う場合は、メインメニューの[ビジネスパソコン]の中の[利用予約]ボタンをタッチして、図書館カードをスキャンします。すると、[30分][60分][90分][120分]と、利用時間を選ぶボタンが表示されるので、希望する時間をタッチ。レシートが印刷されます。

閲覧席の場合は、指定された席を利用するだけですが、ビジネスパソコンは席についてからも、ちょっとした操作が必要です。指定された開始時間に指定されたブースに行くと、パスワードを入力する画面になっています。ここで「せきなび」のレシートに印刷されているパスワードを入力すると、ログインして利用可能になります。指定開始時刻にならないと、パスワード入力画面にはならないし、利用開始時間から15分経ってもログインがない場合は、キャンセル扱いになります。

このビジネスパソコンでは、インターネットの閲覧のほかに、「日経テレコン21」や「江戸明治東京重ね地図」などのデータベースも利用できます。その際には、「せきなび」による予約とは別に、データベース利用申請をレファレンスカウンターにする必要があります。利用する際には、指定開始時間前に、そちらの申請もしておいてくださいね。

利用終了時にはパソコンが強制的に再起動します。その強制再起動が、指定終了時刻の5分前になるので、実際にパソコンを利用できる時間は、「せきなび」で選んだ時間より5分短くなります。利用時間を選ぶ際には、それを踏まえて選びましょう。ちなみに、申込不要のネット閲覧PCの方は、1回の利用時間が25分と決められています。

§ 書庫資料の請求もシステムから

閉架資料を取り出してもらうのも、検索用端末から申し込みできるんです。図書館の資料を検索していて、利用したい資料が中央図書館の閉架に置いてあり場合、その資料の詳細画面の右下に「F11:書庫から出す」というボタンが表示されます。このボタンをクリックするか、[F11]キーを押すと、「書庫資料引換票」が印刷され、その中に受取時間(申込処理の約15分後)が記載されています。その時間になってから引換票を持って受取場所(レファレンスカウンター)に行けば、既にその資料が出されているというわけ。

この書庫資料取出システムはいいですね。閉架資料を利用したい場合、普通なら「この閉架資料を見たい」とカウンターにお願いして、それから出してもらえるまで、何となくカウンター近辺にいて呼ばれるのを待たないといけません。まあ、離れているところにいても呼んでくれるだろうけど、ちょっと落ち着かないですよね。でも、このシステムなら、取り出されるまでの時間をあっちに行ったりこっちに行ったり、有効活用できます。葛飾区立中央図書館のように大きい図書館だと、尚更便利。

§ ぜひ探検してください

この他、書籍の除菌装置とか、各種ハンディキャップサービス、1個500円のオリジナル図書館バッグ、シニア向け紙芝居、名著復刻全集、研究個室などなど、書くべき点はたくさんあるのですが、長文になってしまったので読み疲れましたよね。私も書き疲れました(笑)。

でも、ホントにそれくらい、資料も設備もとても充実しています。私、最初に「図書館界のディズニーランド」と書きましたが、それこそ「隠れミッキー」みたいに、行く度に「こんなところにこんなものが!」という発見があるんです。訪問記に書くことがありすぎて困るくらい(笑)。私が知らないものがまだまだあるでしょうし、これから新しく加わる工夫もあると思います。皆さんもぜひ、広い図書館を探検して、いろいろな発見をしてください!

葛飾区立中央図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  新春かるた大会(2018年)
―2018年1月3日のイベント
年末年始も開館している葛飾区立中央図書館での年始め恒例行事・新春かるた大会に今年も参加してきました。大家族の集まりのように老若男女が集まり、かつしか郷土かるた、坊主めくり、百人一首に、今年からはかつしか生きものトランプでのババ抜きも加えて、いろいろな遊びを楽しみました。
  大人のためのはてなぶっくす
―2014年12月26日から2015年1月21日までの企画
葛飾区立図書館で行っている、テーマに合わせた本を包んで中身がわからないようにして貸出する「はてなぶっくす?」という定番企画。通常は中高生向けですが、年末年始の葛飾区立中央図書館では大人向けのはてなぶっくすを貸出しています。
  新春かるた大会(2015年)
―2015年1月3日のイベント
年代を問わず「かつしか郷土かるた」と百人一首を楽しむかるた大会に参加してきました。葛飾区を紹介するカルタを楽しむほのぼのムードだったのが、最後の選抜百人一首源平合戦では女性6名による熱い戦いが繰り広げられ、とっても濃い時間でした。

葛飾区立中央図書館 データ

住所東京都葛飾区金町6-2-1 ヴィナシス金町ブライトコート3階 →Google Mapで見る
Tel03-3607-9201
開館時間
月~土曜9:00~22:00
日曜・祝日・12月29,30日9:00~20:00
12月31日~1月3日9:00~17:00
定休日第4木曜(祝日の場合は開館し、翌日を休館)
最寄駅 京成金町線 京成金町駅から徒歩1分
JR常磐線 金町駅から徒歩3分
駐輪場建物地下1階に駐輪場あり。3時間まで無料、3時間を越えて4時間以内なら50円、4時間を越えて5時間以内なら100円、5時間を越えて6時間以内なら150円、6時間を越えて7時間以内なら200円、7時間を越えて8時間以内なら250円、8時間以上は300円。
建物1階にバイク駐輪場あり。1時間毎100円、1日最大500円。
駐車場建物内に一般用駐車場256台分あり
所蔵資料
図書所蔵数419,495冊(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
CD所蔵数9,544点(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
カセット所蔵数59点(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
DVD所蔵数4,089点(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
ビデオ所蔵数167点(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
設備
ブックポスト建物1階マルエツ向かって左の壁面(少し奥まったところ)にブックポストあり。開館中の使用もOKですが、3階への回収を機械制御しており、ポスト上の赤ランプ点灯時は使用不可。
自動貸出機ICタグ式自動貸出機6台あり
自動返却機総合カウンター向かって右方に自動返却仕訳機あり
セルフ予約受取総合カウンター向かって右に予約資料コーナーあり
図書の除菌エレベーター側入口入ってすぐ右と自動貸出機の並び向かって右に除菌BOXあり
音声試聴設備CD試聴機4台あり
映像視聴設備なし
ネット閲覧PC児童コーナー内に1台、児童コーナー周囲に4台のネット閲覧PCあり。申込不要で1回25分の利用。
ビジネスITコーナーにネット閲覧PC9台あり。「せきなび」による申込で、申込み時に利用時間(30,60,90,120分のどれか)を選択します。
持参PC利用閲覧席のうち、ガラスに囲まれた空間ではない席で、持参PCの使用可能。座席予約端末を使って利用する個人閲覧席(42席)には電源あり
LAN接続新聞・雑誌コーナーからサウスデッキ側の一般書エリアで、葛飾区公衆無線LAN「Katsushika_Free_Wi-Fi」の利用可能。利用にはメールアドレスの登録が必要で、接続回数は1日15回まで、1回あたり60分以内の利用となります。詳細は、葛飾区ウェブサイト内の葛飾区公衆無線LAN「Katsushika_Free_Wi-Fi」の説明を参照してください。
飲食設備等
  • 蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)の飲料に限り、机席での摂取可能。但し、飲むとき以外は鞄にしまってくださいとのこと。
  • 北西側の入口出て右の休憩ラウンジ(18席)で飲食可能。飲料自販機1台あり
  • ヴィナシス金町ブライトコート内に飲食店あり
その他設備北側入口(エスカレーターに通じている入口)入ってすぐ右にコインロッカー18個あり