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世田谷区立喜多見図書室

世田谷区立喜多見図書室 訪問記

last visit:2013/05/18

世田谷区立喜多見図書室は、2012年12月3日に開館した新しい図書館で、成城学園前駅の南に位置します。

§ 図書室までの道のり

喜多見図書室の最寄り駅は成城学園前駅。駅からの道のりにして1.2kmほどあるので、歩くのが難しい方は成城学園前駅西口から二子玉川駅行きに乗って「次大夫堀公園前」停留所で降りてください。停留所からバスの進行方向に進んで、すぐ見える歩道橋手前で右折すると、左先に1階部分が民家風の瓦の庇&杉の外壁になっている風変わりな建物が見えます。それが喜多見複合施設で、喜多見まちかど図書室はこの建物の3階です。

ちなみに、私は駅からここまでの道のりが好きで、喜多見まちかど図書室が喜多見東地区会館まちかど図書室だった時代から歩いて行っています。成城学園前駅の中央改札出て右の南口へ出たら、突き当りやや左から伸びている成城通りをひたすら歩きます。世田谷通りと交差した先から道の名前が多摩堤通りに変わりますが、そのままひたすら道なりに進み、駅から1kmを越えたあたりでシェル石油のガソリンスタンドが見えたらその先の歩道橋手前で右折、すると左先に喜多見複合施設があります。

この道のり、成城学園前駅付近の高級住宅街を歩いているはずが、世田谷通り辺りを境にのどかな風景に変わるところがいいんですよね。最寄バス停が「次大夫堀公園前」停留所だと書きましたが、この次大夫堀公園(じだゆうぼりこうえん)というのが古民家や農村風景を残している公園で、実際に田植えや稲刈りも行っています。停留所自体も、成城学園前駅西口方向のベンチが古民家の縁側風になっているんですよ。

§ 図書室の様子

そんな場所に建てられた区の複合施設なので、建物のデザインも上に書いたように古民家風。建物自体は鉄筋コンクリート構造ですが、1階の外壁表面を木の板にしているんです。また、建物の周囲に150台分以上の自転車置場があるのも、鉄道駅から遠くて自転車を活用している人が多いことの反映でしょう。この自転車置場は1台ごとにロックするようになっていて、最初の5時間は無料、5時間過ぎたら24時間後まで100円、その後は24時間ごとに100円加算される仕組みです。

建物は3階建てで、1階が喜多見まちづくりセンターと喜多見あんしんすこやかセンター、2階が喜多見東地区会館、その上が目指す喜多見まちかど図書室です。1,2階は結構広いのですが、3階にあがると小さな図書室なんですよね。建物面積の半分程度しかないので、3階の残り半分は建物管理用の設備か何かで埋まっているのかな。階段・エレベーターから3階へ上がると、右側にカウンターがあり、部屋いっぱいに高い書棚が4列と子どもの本用の低い書棚が1つ。周囲の壁にも書棚が並ぶほか、カウンターの先の右奥には子どもが絵本を読める靴脱ぎスペースもあります。「まちかど図書室」という名のイメージ通りの小さな図書室です。

所蔵物としては図書・新聞・雑誌で、CDなどはありません。図書室自体が小さいわりには文庫本の冊数が多いのは、限られた収納スペースで多くの本を揃えるための工夫だと思います。書棚の配置は、手前の壁に新聞・雑誌が並び、手前から文庫本、小説、一般書となっていて、一番奥が児童用の本や紙芝居です。机席は全くなくて椅子が7つあるだけなので、長時間の滞在には向いていませんが、靴脱ぎスペースでゆっくり絵本選びができるので、小さいお子さんと一緒に親子で楽しめます。

また、書架の空きスペースに椅子を置いている状態で、新聞を広げて読むのが難しいことから、新聞に限っては1階ロビーで読むことができます。1階で新聞を読みたい場合は、喜多見まちかど図書室に図書館カードを預けてから、1階に新聞を持ち出すかたちになります。

日本の小説・エッセイはひとまとめにして著者名の姓名の五十音順で並んでおり、複数作家による作品集は「ん」に分類されて日本の小説の並びの最後に並んでいます。外国の小説・エッセイは、国別分類はしておらず、“外国文学”でひとまとめにして、日本の小説と同様に、著者姓名の五十音順。複数作家による作品集も、日本の小説と同様に「ン」に分類されています。

子どもの本については、小さい絵本は青ラベル、それ以外の絵本は赤ラベルと分かれており、ラベルごとに日本のおはなしと外国のおはなしに分けたうえで、絵を描いた人の姓名五十音順に並んでいます。児童読みものも、日本人作家のものと外国人作家のものに分けたうえで、著者名五十音順に並んでいます。

欲を言うと、料理や裁縫の本などは内容で更に細かく分類してくれると嬉しいです。いや、よく見ると色ラベルが貼られていて、察するにピンクがお菓子、黄色が飲み物、青が料理道具といった具合に分類されているので、あとは何色が何を示すのかをわかるように表を作るとか見出しを付けるとかしてくれれば、更に本が探しやすくなると思います。料理や裁縫の本があるのは一番奥の棚、つまり子どももたくさん来るところなので、目的の本がパッと見つかれば子どもにとっても通行の障害になる大人の滞在時間が減って助かるかもしれません(笑)。

狭い中に高い書棚が並んでいるのでやや圧迫感を感じますが、よく見ると書棚の上2段には地震を感知して本の落下を防ぐブックキーパーがついています。子どもの利用が多くなるであろう(行動範囲の広い大人なら、少し離れているけど規模の大きい鎌田図書館砧図書館にも行けるので)ことを考えると、地震時にも高い段からの本の落下を防ぐ工夫をしてくれていることは、一般的な図書館以上に必要とされる配慮といえそうです。

§ 世田谷区のまちかど図書室で初めて、区立図書館システムが導入されました

こうした小さな図書室ですが、2012年12月3日に開設されるにあたって、世田谷区のまちかど図書室で初めて区立図書館システムを導入しています。世田谷区のまちかど図書室は、喜多見以外に池尻希望丘野毛松沢とありますが、この4室はいずれも世田谷区立図書館システムとは別にアナログで登録・貸出・返却を管理しています。利用者カードと引き換えに本を借りて、本を返したら利用者カードが戻ってくる、ブラウン方式と呼ばれるシステムは、学校図書室などで経験した方も多いのではないでしょうか。他の4室ではあれを採用しているんです。

この喜多見まちかど図書室は、2011(平成23)年3月まで喜多見東地区会館まちかど図書室として運営されていて、その頃は4室と同様ブラウン方式で貸出管理されていました。しかもそれだけでなく、開館日が週3日しかなくて、他のまちかど図書室より不便だったくらい。それが、建物全体の改築に伴って、2012(平成24)年12月3日に喜多見まちかど図書室としてリニューアルオープンしたのですが、その際に他のまちかど図書室に先だって区立図書館ネットワークの仲間入りをしたわけです。世田谷区立図書館ビジョン第2期行動計画を見ると、他のまちかど図書室も将来的には区立図書館ネットワークに入る予定のようですが、喜多見まちかど図書室が記念すべき第1号というわけですね。

こうなると、図書室自体はたとえ小さな施設でも、そこから膨大な資料にアクセスできる、いわば大きな世田谷区立図書館ネットワークの窓口として利用できるわけです。また、世田谷区立図書館は、区立図書館全体で○冊まで借りられるという仕組みではなく、館ごとに5冊まで借りられるという仕組みなので、住む地域に応じて鎌田図書館と喜多見まちかど図書室を併用したり、砧図書館と喜多見まちかど図書室を併用したりすれば、より多くの資料が借りられます。

施設としては小さいけれど、利用の範囲は大きく広げてくれる、小さな巨人のような図書室…といっては少し大げさかな(笑)。次大夫堀公園も今の東京にはなかなか残っていない風景が見られて面白いので、世田谷区内の離れた場所にお住いの方へも散歩を兼ねた図書館巡りにお薦めです。

世田谷区立喜多見図書室 データ

住所東京都世田谷区喜多見5-11-10 喜多見複合施設3階 →Google Mapで見る
Tel03-3417-1313
開館時間9:00~17:00
定休日月曜(祝日と重なる場合は開館し、翌日を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 小田急小田原線 成城学園前駅から徒歩20分
駐輪場建物正面側と正面向かって左側に自転車用駐輪場が合わせて166台分あり。最初の5時間は無料で、5時間~24時間まで100円、それ以降は24時間ごとに100円加算。
建物正面向かって手前右端にバイク用駐輪場3台分あり。料金体系は自転車用駐輪場と同様。
駐車場建物正面向かって右側に一般用駐車場2台分あり。建物裏側に障害者用駐車場1台分あり。
所蔵資料
図書所蔵数23,317冊(2021/03/31現在、出典『世田谷のとしょかん 令和3年度版』※団体貸出センターの図書数は中央図書館の図書数に加算
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物正面入口向かって左の壁にブックポストあり
自動貸出機自動貸出機あり
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用不可
LAN接続なし
飲食設備等1階に飲料自販機1台あり