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世田谷区立砧図書館

世田谷区立砧図書館 訪問記

last visit:2014/11/07

世田谷区立砧図書館は、祖師ヶ谷大蔵駅と成城学園駅の真ん中辺りにある図書館。病気や手芸など、生活に関連する本の分類が細かいのが嬉しい。祖師ヶ谷大蔵のウルトラマン商店街にちなんで、特撮の本などを集めた「ウルトラマンコーナー」があります。

§ 図書館の場所

砧図書館は、祖師ヶ谷大蔵駅と成城学園駅の真ん中付近、線路の北側に位置しています。詳しい道のりはこちらに書きましたが、祖師ヶ谷大蔵駅から行く場合は、そちらに書いた近道より商店街を通る道のりの方がお薦め。駅の近くに円谷プロダクションの旧本社があったことから、駅の北・南・西に延びている商店街を「ウルトラマン商店街」と名づけて街づくりをしているのです。

商店街を通る場合の道のりを書いておきますと、北口出て左の線路沿いが近道なのですが、その右隣の道へ入ります。400m先で頭上にウルトラマンが飛んでいるゲートをくぐり、目の前の交差路を斜め左方向へ進むと、右先にある薄い臙脂色の砧図書館があります。

このルートが駅西側へ伸びている商店街で、途中で頭上を飛んでいるのがゾフィーです。祖師ヶ谷大蔵駅側から成城学園前駅方向に向かって飛んでいるので、祖師ヶ谷大蔵駅から砧図書館へ行くときより帰るときのほうがいいポジションです。こちらの商店街には店内にウルトラマングッズの販売もしている喫茶店「カフェ・メロディ」があり、私は外から覗くだけでまだ入ったことがなく、いつか入ってみたいと思っています。そのほか、駅の北・南の商店街の端にもそれぞれ違うウルトラマンが飛んでいるので、お散歩がてら歩くのもお薦めです。

§ 図書館内の様子

砧図書館は、上から見ると三角形の建物です。三角形の図書館といえば、千代田区の日比谷図書文化館もそうですし、他の変わった形の図書館なら、同じ世田谷区内に八角形の建物である下馬図書館もありますね。下馬図書館は公園の中にユニークな形の建物を建てたかたちですが、砧図書館は敷地が三角形でそれに合わせて建てた建物です。

フロアは地下1階から2階まであり、1階がCD、新聞・雑誌、中高生コーナー、小説、生活関連、芸術・スポーツなどの本。それ以外の一般書架が2階で、児童コーナーも2階。貸出・返却カウンターは1階にしかありません。地下には休憩スペース・朗読サービス室・会議室があり、子ども向けおはなし会などは地下で行います。地下の休憩スペースというと暗い場所を想像するかもしれませんが、小さいながらも屋外テラスがある明るいスペースです。

§ 1階の様子

1階は本棚がぎっしり並んでいる空間。北側(小田急線線路とは反対側)にカウンター、南側に新聞・雑誌コーナーがあり、その間に小説や生活関連本、スポーツ・芸術の本が並んでいます。その他に、カウンター向かって右にはCDや電話帳、書架内から2階へ行く階段の下にはヤングコーナー(中高生コーナー)など、小さいコーナーもあります。1階の座席は、雑誌コーナーに机席があるほかはほとんど椅子席です。

カウンター前の3列ほど(裏表合わせると5列)の棚は「暮らしを楽しむ本」というエリアになっており、家事関連や住宅・ペット・暮らしの法律、医学の本が並んでいます。ここは一般的に図書館で使われる日本十進分類法とは別に独自の細かい分類をしています。例えば、医学の棚は「寿命」「死・尊厳死」「病気・診断・治療」「アレルギー」「皮膚病」「睡眠」「脳・神経」「認知症」「突然死」「成人病」「難病」「衛生・中毒・感染症」「汗・体臭」などなど、具体的なキーワードで分類しています。項目キーワード一覧はカウンターに近い側の棚側面にあるので、目当ての本がどこにあるのか知りたい方はそちらをどうぞ。

医学は細かい分類で本が探しやすいのですが、暮らし関係の本はカバーしている範囲が広すぎてやや探しにくい点も。試しに項目を挙げてみますと、「1 身近な法律」「3 不動産・借家借地」「4 離婚」(中略)「32 害虫・農薬」「33 園芸シリーズ本」(中略)「62 住宅問題」「63 住宅ローン」「65 家相」(中略)「83 車選び」「84 車検・整備」「85 運転術」「87 オートバイ」…と「暮らし」でくくるには範囲が広く、自分の目当ての本がこのコーナーになるのか、それ以外の一般書架にあるのかもわかりにくいです。しかも、医学は分類一覧表があるのに、家事関連や暮らしの本には一覧表はありません。

確かに、日本十進分類法だと離れた棚になってしまう関連本を一緒にしてるところもあり、便利な面もあるんですけどね。例えば、『間取り図でわかる買っていい家悪い家』という本と『二世帯住宅という選択』という本はどちらも住宅関連の内容ですが、一般的な図書館の分類法だと、前者は「527 住宅建築」、後者は「365 生活・消費者問題」に分類されてしまう。そこを砧図書館では2冊とも「62 住宅問題」に分類しています。

もし、自分が読みたい本がどの棚にあるのかわからない場合は、検索機の利用をお薦めします。例えば、ガーデニングの本が読みたい場合は、検索機のキーワードに「ガーデニング」と入れて表示された本のどれかをタッチして請求記号を見てみてください。請求記号が数字だけの場合は通常の分類をしている一般書架に置いてあり、請求記号の数字の後に「橙 48」のように<色名+数字>がついていたら「暮らしを楽しむ本」コーナーにあります(橙が暮らし、黄色が医学、桃が家事関連)。前半の数字は無視して、<色名+数字>の分類記号で棚を探してください。

暮らしを楽しむ本コーナーから離れて他の棚を見てみましょう。日本の小説・エッセイは一緒にして、著者姓名の五十音順で並んでいます。複数作家による作品集は「ん」に分類され、雑誌コーナー向かって左壁沿いの棚に置かれています。外国の小説は、国別分類はしておらず、“外国文学”でひとまとめにして、日本の小説と同様に、著者姓名の五十音順。複数作家による作品集も、日本の小説と同様に「ン」に分類されています。

西側の壁際には英語図書が多数あります。小説だけでなく、料理本・ガーデニングといった生活関連本や、ブッシュやクリントンの自伝、児童向け読み物なども揃っています。外国語絵本は2階の児童コーナーにあるので、英語絵本を読みたい方はそちらも見逃さないでください。

奥の雑誌コーナーは、市販の雑誌と一緒に寄贈された出版社の広報誌などもラックに並んでいて、一定の期間を経て貸出も行っています。また、雑誌コーナー向かって左端の棚には、小田急電鉄が発行している広報誌「ODAKYU VOICE」や地元商店街が発行している「ウルトラ通信」など、地域の情報誌のバックナンバーが揃っています。図書館って、市販の本だけでなく、こうした地元のお店の情報なども見ることができる場所なんです。

§ 地域にちなんだコーナー

カウンター向かって右のCDコーナーの中には、ウルトラマン商店街にちなんだ「ウルトラマンコーナー」があります。東側の入口から入ると棚上からウルトラマンの頭や看板が見えるので、すぐにわかるはず。ウルトラマンコーナーの資料としては、CD棚からの並びでウルトラマンをはじめとしたヒーローものの主題歌CDがあるほか、棚の下の方にはウルトラマンに関する本や特撮に関する本が並んでいます。ウルトラマンを見るのが好きな人が楽しめる本だけでなく、『自分でできるビデオ編集のコツのコツ』なんていう本もあるので、自分で特撮ビデオを撮るのも夢じゃないかも?!

ウルトラマンコーナーの右の壁には、「ミステリー 光と影」という絵の切抜きが貼ってあり、絵と共に「讀賣新聞」「画・清川泰次」という文字や日付も切り抜かれています。新聞の連載か何かだろうと思って、2階の新聞縮刷版をめくって確かめてみると、1996年6月から8月に讀賣新聞の日曜版で連載されていた阿刀田高氏のエッセイの挿画を切り抜いたものでした。これ、何も説明がない割には、私が最初に砧図書館に来た2006年からずっと飾ってあるので何だろうと思ったら、成城学園前駅の南に世田谷美術館分館の清川泰次記念ギャラリーがあるんですね。砧図書館から歩いても10分ほどの距離。次に来たときは、清川泰次記念ギャラリーも行ってみようと思います。

§ 2階の様子

2階は南側が児童コーナー、北側が一般書架です。2階には閲覧席が40席ほどあり、指定席制になっていて1階カウンターに申し込んでの利用となります。閲覧席の一部では、持参PCの利用も可能。

利用が多い資料を1階に集めているせいか、2階は児童エリアがあるにも関わらず落ち着いた雰囲気です。東の壁際にはゆったり座れるソファもあるので、机にかしこまるのではなく、ソファでゆったり読みたい大人にもお薦めの空間です。1階2階それぞれ雰囲気が違うので、好きな場所を選んで読書できます。

南側の児童コーナーは、三角形の角の部分が靴脱ぎスペースになっています。絵本は、小さい絵本は青ラベル、普通サイズ以上の絵本は赤ラベルに分類したうえで、絵を書いた人の苗字の頭文字で分類しています。青ラベルの絵本は日本人作家の本を外国人作家の本を一緒にして並べていますが、赤ラベルの絵本は日本人作家と外国人作家で棚を分けています。児童読み物は、低学年向けと高学年向けに分けたうえで、日本人作家と外国人作家を別々にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。

絵本の棚のうち、高さが階段状になっている棚には、たぬきの本を集めたコーナーがあります。砧図書館では、砧(きぬた)の言葉を逆さまにした「タヌキ」を砧図書館のマスコットにしているそうで、このコーナーもその関連で作ったよう。狸のイラストが印刷された緑ラベルが貼られた絵本を見ると、「ぶんぶくちゃがま」「かちかち山」などのお馴染みの昔話から最近の創作絵本までいろいろあります。

言われてみれば、砧図書館の中を歩いていると、児童コーナーだけでなく注意事項が書かれた掲示物などにもタヌキのイラストが描かれています。たぬきの本コーナーの説明によると、語呂合わせだけでなく、実際にこの辺でタヌキが出ることもあるとか。確かに、駅周辺はともかく、南西の多摩川に近づいていくと、タヌキが出てもおかしくない雰囲気。タヌキが住む土地で、タヌキのおはなしを楽しみましょう(笑)。

§ 休憩にぴったりの喫茶店「桜ん房」

読書や調べものに疲れたら、1階の喫茶店「桜ん房」がお薦めです。砧図書館の建物の中にありますが、図書館エリアの外という位置づけなので、貸出手続きをしていない本などは持ち込めません。裏を返せば、入口が別(商店街とは反対側)にあるので、図書館を利用しなくても喫茶店を利用できます。営業時間は11:00~17:00で月曜休。この喫茶店は世田谷区が運営している、障害者の方が働ける福祉喫茶ですね。世田谷区の福祉喫茶は、砧図書館だけでなく粕谷図書館鎌田図書館にもあります。

ここ「桜ん房」は紅茶とビーフシチューのお店とあり、雰囲気も何だか可愛くて落ち着けます。働いている方に合わせて何だか時間もゆっくり流れている感じで。私がいたときテーブルが全て埋まったところでさらにお客さんが来たのですが、もう食べ終わって読書などしていたお客さんが気遣って席を立ったり、そういうゆとりのある空間。こんなに居心地いいのに、テーブルが5つほどしかないのが残念なくらい。

私は紅茶派で、タリーズやスターバックスなどのコーヒーショップでも紅茶を注文するくらいなのですが(笑)、「桜ん房」の紅茶はレモン・ミルクのほかにオレンジも選べるので、普段ならストレートで注文する私もオレンジ添えを注文してしまいます。前にレアチーズケーキを頼んだ時は、ケーキにもオレンジが入っていて、食べ物も飲み物も一手間添えてくれている様子。図書館を長く利用する際には、お薦めの休憩場所です。

こうやって訪問記を書くと、長時間滞在したくなる図書館だなあとあらためて思います。願わくば私も成城に住みたい!それにはもっと仕事を頑張らねばいけないなあ(笑)。町の雰囲気にあった落ち着いた図書館、ぜひご利用ください。

世田谷区立砧図書館 データ

住所東京都世田谷区祖師谷3-10-4 砧図書館地下1階 →Google Mapで見る
Tel03-3482-2271
開館時間
火~日曜9:00~19:00
月曜・祝休日・12月28日・1月4日9:00~17:00
定休日第2木曜
12月29日~1月3日
最寄駅 小田急小田原線 祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩8分
小田急小田原線 成城学園前駅から徒歩9分
駐輪場建物北側に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数107,463冊(2021/03/31現在、出典『世田谷のとしょかん 令和3年度版』※団体貸出センターの図書数は中央図書館の図書数に加算
音声資料
CDカセットレコード
ありなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト東側入口向かって右の壁面(入口から少し離れた灰色の壁面)にブックポストあり。
自動貸出機自動貸出機3台あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用2階の指定席制閲覧席のうち16席(No.30~45)で持参PCの使用可能。未確認ですが、おそらく改修工事後から、電源使用可能になったようです。
LAN接続館内に「docomo wifi」「ソフトバンク wifi」「フレッツスポット」のアクセスポイントあり
飲食設備等
  • 1階に喫茶店「桜ん房」あり。営業時間は11:00~17:00、月曜休み。
  • 地下の休憩スペース(テーブル10席、椅子9席、屋外ベンチ9席)で飲食可能