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世田谷区立松沢図書室

世田谷区立松沢図書室 訪問記

last visit:2016/08/13

世田谷区立松沢図書室は、日大通りの下高井戸商店街の中にある、区の施設内の小さな図書室。以前は世田谷区立図書館とは別に登録が必要でしたが、2016年4月1日から世田谷区立図書館カードを使って、予約・貸出・返却ができるようになりました。

§ 図書室の場所

松沢図書室は、下高井戸駅の商店街の中にある図書室。最寄りの下高井戸駅からは徒歩5分で着きますが、桜上水駅や世田谷線松原駅からも道のりにして1km以内です。下高井戸駅から行くと途中で世田谷区立松沢小学校の前を通るかたちになり、駅前商店街のど真ん中に小学校があることにびっくりします。商店街に寄り道せずには帰れないようなロケーションですが、人通りが少ない場所に通学路があるような小学校よりも人目がある商店街の中の小学校のほうが安全な面もあるのかもしれません。また、私が最初に松沢まちかど図書室に行った2006年から校舎を改築したようで、シンプルで格好いい建物にも衝撃を受けました。場所といい、建物といい、私の頭の中にある昔ながらの小学校のイメージを覆された気分です(笑)。

§ 図書室の様子

松沢図書室が入っている建物は世田谷区の施設で、図書室以外に区の出張所や集会所が入っています。松沢まちかど図書室は1階で、手前にある喫茶店の脇から奥へ進むと雨水を利用した池があり、その奥に松沢図書室があります。この喫茶店「YOU・遊」は福祉喫茶(障害者の保護的就労支援の店)で、のんびりできる雰囲気が魅力。食事の量は女性向きと言える量で、よく食べる人には物足りないかもしれませんが、かき氷など季節限定のメニューもあり、図書室で借りた本を読むのにもいいお店です。

図書室は、すぐ目に入る正面の扉が締切で、視界の端となる右の扉が入口なので、最初に来たときは戸惑うかもしれません。中に入ると、右先にカウンターがあり、左一帯に書架が並んでいます。図書「室」という名前から想像できるように小規模の施設で、閲覧席は机席が全くなく、椅子席が13席あるのみ。図書・新聞・雑誌はありますが、CDなどの視聴覚資料はありませんし、紙芝居や絵本はありますが、絵本を広げて読める靴脱ぎスペースなどはありません。

棚のラインナップを見ると、小説・エッセイが半分程度を占めています。小説はエッセイと一緒にして著者姓名の五十音順に並んでおり、複数作家による作品集は「ん」に分類され、日本の小説・エッセイの並びの最後にあります。外国の小説は、国別分類はせずに“外国文学”でひとまとめにして、日本の小説と同様に著者姓名の五十音順。複数作家による作品集も日本の小説・エッセイと同様に「ン」に分類されています。

棚を見ていて気付いたのが、辞典類も全て借りられること。学生などが持ち歩きやすいように作られた国語辞典・英和辞典などはもちろんのこと、分厚い広辞苑も貸出可能となっています。辞典類などは貸出不可になっていることが多いですが、試しに検索してみたら、他の世田谷区立図書館でも全てが貸出不可というわけではなく、貸出可能のものがあります。確かに松沢図書室には閲覧机がないので、広辞苑で調べ物をするなら借りた方がいいかもしれませんが、あの厚くて重い本を持ち運ぶなんて、私にはその覚悟はありません(笑)。

裁縫・料理などの図書も、小規模図書室=蔵書数も少ないわりには冊数が多く、「スイーツ」「パン」「洋食」「和食」「魚料理」「アジア料理」「鍋・スープ」「電子レンジ・炊飯器」など、項目ごとに分類しています。今晩の献立が決まってないときは、まず図書室でおいしそうな料理のレシピ本を借りて、その料理に必要な材料を商店街で買う、という利用もいいですね。私も地元の図書館でときどきそうしています。

児童向けの本にも目を向けますと、創作絵本は日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、サイズによって、青ラベルの「小さい絵本」と赤ラベルの「大きい絵本」に分類し、それぞれ絵を描いた人の頭文字五十音順に並んでいます。児童読みものは、日本人作家の作品と外国人作家の作品を別にして、それぞれ著者姓名の五十音順に並んでいます。頻繁に蔵書を買い足すわけではない小規模図書室なので、40代の私が子どもの頃に読んだのと同じ版のポプラ社江戸川乱歩全集などがあったりして、嬉しくなってしまいます。

§ 世田谷区立図書館ネットワークに最近仲間入り

今でこそ世田谷区立図書館カードを使って貸出できる松沢図書室ですが、2016年3月までは世田谷区立図書館システムとは別に登録が必要で、昔ながらのブラウン式の貸出管理をしていました。松沢図書室の蔵書を開いてみると、今も裏表紙を開いたところにブラウン式のブックカードを入れる袋がついています。その頃は「松沢まちかど図書室」という名前で、別登録でありながら実は世田谷区立図書館の資料を取り寄せて借りることもでき、また、別管理であるがために他の図書館から取り寄せられることはないので、世田谷区立図書館では予約多数の本がひょっこり在庫していることもある、知っている人には便利な図書室でした。

ただ、ブラウン式というのは、登録時に貸出可能点数と同じ数の貸出券を利用者に渡し、貸出券1枚と本1冊を引き換えるように借りる方式なので、何冊も借りられるルールにはしにくく、「松沢まちかど図書室」でも貸出可能冊数は3冊まででした。また、検索機もなく、蔵書があるかどうかを調べたかったら、昔ながらのカードに書かれた図書目録を1枚ずつ見ていくしかない。そうした不便さを解消すべく、2016年4月からは世田谷区立図書館と同じシステムを導入し、検索機での検索、世田谷区立図書館カードでの貸出ができるようになりました。

ただ、図書「館」ではなく図書「室」とされた名前からも察せられるように、世田谷区立図書館条例に基づいて設置された図書館ではないので、資料の複写ができるコピー機がなく、17時で閉まってしまうなどの制約があります。松沢図書室は、他にもある世田谷区の図書室(池尻喜多見希望丘野毛・松沢)の中でも最も駅に近く、遅くまで開いていたら通勤通学帰りに寄れる人が多いはずであるだけに残念です。

その制約が蔵書の傾向にも表れていて、商店街の中という立地、17時で閉まるという運営だと専業主婦の利用が多くなるのか、所蔵雑誌に占める女性誌の割合がとても高いです。また、閲覧机席がないためか「おしゃべり厳禁!」みたいな堅苦しさがなく、図書「館」より気軽に入りやすい雰囲気が好きな人もいると思います。

松沢図書室から一番近い世田谷区立図書館は上北沢図書館で、駅にすると2駅ありますが、この辺は1駅間が短いので距離にするとそれほどでもなく、私の足で松沢図書室から上北沢図書館までが徒歩20分ほど。実際、松沢図書室と上北沢図書館を併用している人もいるでしょう。図書「館」と図書「室」、それぞれの特徴があるので、うまく使い分けて充実した図書館ライフを過ごしたいです。

世田谷区立松沢図書室 データ

住所東京都世田谷区赤堤5-31-5 1階 →Google Mapで見る
Tel03-3323-8055
開館時間9:00~17:00
定休日月曜(祝日と重なる場合は開館し、翌日を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 京王線東急世田谷線 下高井戸駅から徒歩5分
京王線 桜上水駅から徒歩12分
東急世田谷線 松原駅から徒歩15分
駐輪場建物地下と建物裏(北)側に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数14,767冊(2021/03/31現在、出典『世田谷のとしょかん 令和3年度版』※団体貸出センターの図書数は中央図書館の図書数に加算
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物1階手前側の喫茶店の脇と、図書室入口向かって左(けやきねっと端末前)にブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機自動貸出機あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用不可
LAN接続なし
飲食設備等
  • 建物1階に「喫茶 YOU・遊」あり。営業時間は11:00~17:00、ラストオーダー16:45、日・月曜・祝日は休み。
  • 「YOU・遊」の入口そばに、飲料自販機1台あり。「YOU・遊」と松沢図書室の間の中庭にテーブル席や椅子があり、表示などは特に何もありませんが飲食してもいい雰囲気です。