本の処方箋~この人におすすめの一冊~ 応募編
visit:2018/09/14
府中市立中央図書館の企画「本の処方箋 ~この人におすすめの一冊~」にお薦め本を投稿してきました。これは、”○○をしたい”という願望を持つ人に、本を特効薬として処方するというもの。本をラッピングして中身を見えないようにし、テーマ(効能)や使用方法(お薦めコメント)だけで選んで借りるという、言わゆる「本の福袋」企画です。自分からはなかなか手に取らない本と出会えることから、あちこちの図書館で実施されています。
本の福袋企画でよくあるのは、図書館の職員さんが本を選んで包み、利用者に貸し出すというものですが、中に入れる本のアイデアを利用者から募集することもあり、この企画もまさにそのタイプです。まず、2018年8月1日から9月下旬までテーマに沿った本とコメントを募集し、それをもとに「本の処方箋」を作って10月14日から貸出を始めます。この中身の応募をしに行ってきました。
応募用紙は緑色のA5サイズで、図書館のある3階でエスカレーターを降りた正面のテーブルや、3階の特集棚、3,4階の登録カウンターの脇などに置いてあります。見ると、下の4つの効能(テーマ)から1つを選んで、それに合う本を応募するかたちになっています。
- 楽しい気持ちになりたいあなたへ
- モチベーションをあげたいあなたへ
- びっくりしたいあなたへ
- 泣いてスッキリしたいあなたへ
範囲の広いテーマなので、どう楽しいか、どんなびっくりか、などで工夫を凝らせば、いろいろな本が当てはまりそう。応募用紙には、本の情報(書名と著者)のほか、使用方法(コメント)を書く欄があり、どんなときに読んで欲しいなどのメッセージを伝えることができるようになっています。
用紙を片手に、さっそく本棚を回ることにしました。こうした企画に応募する際、自分の読書記録などを見て考える人もいると思いますが、私の場合は図書館の本棚を回ります。すると、いろいろな本を見るうちに、「そういえば、読んで面白かったあの本がいいのでは」と思い付きます。たくさんの本を見ることで、自分の読書の記憶を呼び起こすような感じです。
まずは、楽しい本をターゲットに、大衆演芸の棚を見てみましたが、これぞという本が見つからず。そのまま歩いていると、スポーツの棚で自転車関連本が目に留まり、ロードバイクの爽快感が描かれている小説を思い出しました。爽快で楽しいというのもありだと思って、効能Aに合う本としてその本を応募することにし、更にいい本がないかとまた本棚をさまよいはじめます。
応募用紙の説明にあった「小説やエッセイ、写真集やガイドブック、児童書も大歓迎!」という文を読んで、写真集だったら、まだ見たことがない本でも、今この場で見ていいと思えばお薦めできると思い、写真集の棚を物色してみました。そこではピンとくるものがなかったのですが、綺麗な青空の写真が表紙になっている詩集を思い出し、それをお薦めすることに。この詩集は、私は読むたびに涙が出てしまうのですが、「泣ける」を売り文句にするのは安っぽい気がして、(Dのテーマを考えた職員さんには申し訳ないけど)Dにはしたくない。そこで、書き手と中身のギャップに焦点を当てて、Cの本として応募することに決めました。
AとCにお薦めする本ができたので、BとDも埋めたいところ。Dは私のひねくれ精神によってお薦め本が見つけられなさそうなので、Bを求めて更に本を見ていきます。ここまで3階の書架を中心に見てきたので、気分を変えて4階へ。府中市立中央図書館は3階と4階に書架が分かれており、文学・芸術・スポーツ・手芸・料理・工学・産業・児童などが3階、総記・哲学・歴史・地理・社会科学・自然科学・地域資料などが4階です。
モチベーションを上げるというテーマで、自己啓発の本などでは直球すぎてつまらないし…など考えながら歩くうちに、破天荒な生き方をしている人の伝記でいいのがあるかもと思いつき、伝記の棚に行ってみました。そして、破天荒とは少し違うけど、余命宣告を受けてからの人生を生き切ったと言える人の自伝を見つけ、モチベーションがないとか言っている場合ではない状況になった人の本を読むことが刺激になるだろうと、この本を応募することに決めました。私はこの人と同い年なので、特に感じ入るところが多かったのですが、違う世代の人にも伝わるはず。
その後、笑い泣きしてしまうくらい笑える本が思いついたらDに投稿しようと、もう少し粘って見ましたが、どうもいいのが思い浮かばす、この3冊を投稿してきました。応募用紙は1枚で1冊を応募するようになっているので、3枚書いて投稿です。
応募期間の9月下旬までというのが具体的にいつまでなのかはわかりませんが、9月30日だって下旬の範囲内。9月以内なら応募用紙が撤収されていても職員さんに言えば出してもらえるかもしれません。自分も誰かにお薦めしたい本があるという人は、ぜひ応募してみてはいかがでしょう。
こうして集めた「処方箋」を展示して借りられるようになるのが10月14日。「使用方法」に書かれたコメントをもとに、中身を想像しながら自分の好みに合いそうな処方箋を選ぶのも楽しそう。展示資料が全て貸し出されたら企画終了なので、借りてみたい方はお早めに。
この貸出開始日は府中市が定めている市民文化の日(10月の第2日曜)にあたり、府中の森芸術劇場など市内の他の施設でも、この日を中心にイベントが開催されます。図書館でも、この「本の処方箋」のほか、「みんなでつくる!お気に入り時代小説・歴史小説年表」という企画を開催する予定で、こちらも利用者から、お薦め本とその年代の投稿を募集しています。私は時代・歴史小説に詳しくなく、こちらは参加しませんでしたが、10月14日19時まで投稿を募集、それをもとにした年表は10月14日から11月初旬まで展示するそう。
最後に、私がどんな処方箋を投稿したのか書いておきます。たぶん、私は使用方法の文章が長すぎで、もっと短くまとめるべきなのでしょうが、ついいろいろ説明してしまいました(笑)。私の投稿した処方箋を借りて読んでみた方が、効能を感じていただけたら幸いです。
効能 | A 楽しい気持ちになりたいあなたへ |
使用方法 | 日常を捨て、ひたすら自転車と一体になって走る気持ちよさ。これを本当に自分でやったらぐったり疲れてしまうかもしれませんが(笑)、運動部でいい感じに筋肉のついている男子高校生の主人公になりきって読めば、爽快感に満たされること間違いなし! |
効能 | B モチベーションをあげたいあなたへ |
使用方法 | 仕事が乗りに乗っている中で難病にかかってしまった著者による自伝です。30代以上の人なら、リアルタイムで生前の著者をTVでみたことがあると思います。診断結果を受け止められず、身体が弱っていきながらも、自分のしたいことを続けて、周囲への気配りもたやさない振る舞いに、読んでいるこちらが励まされます。 |
効能 | C 泣いてすっきりしたいあなたへ |
使用方法 | 世間から白い目で見られがちな彼らが、こんなにもピュアな心を持っていることにびっくりします。それはもう、こんなに純粋でいたら、これから生きるのが辛くなってしまうのではと心配になるくらいの純粋さなのです。 |