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豊島区立目白図書館

豊島区立目白図書館 訪問記

last visit:2011/12/07

豊島区立目白図書館は、目白駅の北西にある図書館。2008年9月に改築されて、館内はすっかりきれいになりました。鈴木三重吉の自宅でもある「赤い鳥社」が近くにあったことから、大正7年から昭和11年にかけて発行されていた児童雑誌「赤い鳥」に関する資料を収集しています。

§ 図書館の場所

目白図書館は目白駅からも歩いて行けますが、最寄り駅は西武池袋線椎名町駅になります。閑静な住宅地の中にあり、周囲の雰囲気に合わせて白壁で2階までしかない建物なので、最初に行くときには見つけにくいかもしれません。

そんな立地ですが、少し東に行くと目白庭園や自由学園明日館など散歩の寄り道にいい場所もあります。私はどちらも行ってみたいと思いつつ、いまだにどちらも行っていないので、いつか休日を利用してこれらのスポットから目白図書館へというルートを楽しんでみたいです。

§ 図書館内の様子

地下1階から2階まである目白図書館は、はじまりを辿ると1981年開館ですが、2007年10月から2008年9月に掛けて改修工事をしてリニューアルし、建物としては新しくてきれいです。職員さんに教えてもらって初めて気が付いたのですが、図書館入口の風除室(玄関部にある自動ドアに囲まれた空間)部分の壁の端がヒトとゴリラ(あるいはチンパンジー?)の横顔を模ったデザインになっています。外と風除室を繋ぐドアが北側と南側の2つあり、北側がヒト、南側がゴリラ(チンパンジー)になっているのですが、建物正面から見ないとわかりにくいので、目白図書館の常連利用者さんで気がついてない人もいるのでは。

各階の構成は、1階が雑誌・新聞コーナー、児童エリア、社会科学・自然科学・芸術等の本。2階が中高生コーナーと小説、全集、総記の本と閲覧コーナー。地下1階は図書館の事務室や閉架書庫、飲料自販機など。また、図書館とは別施設になる目白第一区民集会室も地下1階です。カウンターは1階にしかありませんが、自動貸出機を1,2階に1台ずつ設置しています。

§ 児童エリア

児童エリアは、左手前に4.5畳の畳が敷かれた靴脱ぎスペースがあり、右手前に紙芝居や大型絵本、奥にちしきの本や児童読み物が並んでいます。絵本は、靴脱ぎスペースの周りや奥の壁沿いの棚に並んでいます。絵本は日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、絵を描いた人の姓名五十音順。児童読み物も日本人作家・外国人作家を一緒にして著者姓名五十音順に並んでいます。

子ども向け物語や絵本の場合、キャラクターやシリーズ名は知っているけど、作家名はわからないというケースもあると思いますが、そんなときには靴脱ぎスペース向かって右にある「にんきものマップ」をどうぞ。児童コーナーの配架図にアンパンマン、ピーターラビット、かいけつゾロリ、ミッフィーなどの本の分類番号が書き込まれています。主要なシリーズならこれを辿ればわかりますし、ここに示されていないおはなしの場合は、遠慮なく職員さんに聞いてみましょう。

「にんきものマップ」の右の棚上には、閉架にしまってある外国語で書かれた絵本のリストが置いてあります。2010年4月3日に出力したリストなのでこれより増減している可能性もありますが、これを見る限りでは英語絵本が約200冊、ドイツ語絵本1冊、フランス語絵本3冊を所蔵しているよう。リストには邦題も書き込まれているので、原書と邦訳絵本を借りてみることもできます。

児童読み物は、小学校1,2年生向けの本にはひよこのイラストが、赤い鳥文学賞受賞作には赤い鳥のマークが貼られており、本選びの際の手がかりになります。ただ、児童読みもの本の背はタイトル文字も大きく賑やかに描かれていることが多く、「ひよこのイラストの本を探して読もう」と思ってもなかなか見つけにくい。実際、私も探しているうちに、「ウォーリーを探せ」のリアル体験をしているような気分になってきました(笑)。それを逆手にとって、お子さんと一緒にゲーム気分で探してみるのもいいかもしれません。

靴脱ぎスペースに置かれた布製ボックスには、幼い子向けの玩具要素のある絵本が入っています。こちらは貸出はできませんが、本の一部が布になっていたり光ったりする仕掛けのある絵本で、言葉がまだわからないお子さんの関心を引きそう。図書館の児童コーナーは、大型絵本など個人では所有しにくい絵本も楽しめる場所なので、ぜひいろんな絵本に触れてほしいです。

§ 一般書架

一般書架は、文学関連や総記・哲学が2階、それ以外が1階とフロアが分かれています。2階は一般書架を分断するかたちで中高生コーナーがあるために、「分類記号 018」の本→中高生コーナー→「分類記号 019」の本と総記の棚がやや分かりにくい並びになってしまっているのでご注意ください。

目白図書館の書棚を回っていると、本の背のタイトルをラベル印刷して貼ってあるものが目につきます。古くて表紙が日に焼けてしまって文字が薄くなっている本について、テプラのようなラベルライターで作ったラベルを貼り、タイトル等を読みやすくしてくれているというわけ。見やすさの点だけでなく、古い本も長く現役でいられるようにという思いが感じられて嬉しいです。

また、ぽるぷ出版の日本文学シリーズは、元々は本の背にシリーズの通し番号が印刷されていないのですが、通し番号のラベルを貼ってわかるようにしてくれています。つまり、本の表紙や奥付などを見ればわかる情報を、本の背に貼ってくれている。本の背がずらっと並ぶ棚から本を選ぶことを考えた工夫だし、特に通し番号の情報なんかは、番号が抜けていることで今はこの棚にはない本があるということまでわかる。利用者もこういう工夫を上手に活かして利用したいものです。

ちなみに、豊島区立図書館では各館ごとにキャラクターがあり、目白図書館は鳥のメジロです(単純といえば単純ですね 笑)。目白図書館の蔵書に貼られる図書館バーコードの左上にはメジロのイラストが描かれていますし、本の奥付ページに押される蔵書印もの図案もメジロです。

書架の話に戻りますと、日本の小説・エッセイの単行本はひとまとめにして、著者名の頭2文字をとって五十音順に並べています。但し、複数の著者による作品集は、著者名ではなくタイトルの頭2文字で分類され、分類の末尾に配架されています。例えば、小説の「カン」の棚に行くと、神崎京介(カンザキ キョウスケ)が書いた本、蒲原二郎(カンバラ ジロウ)が書いた本、8人の作家による『贋作館事件』(ガンサクカンジケン)、8人の作家による『神林長平トリビュート』(カンバヤシチョウヘイトリビュート)と並ぶという方式。

外国の小説は、英米文学・ドイツ文学・フランス文学…と地域別に分けた上で、著者姓名の五十音順に並んでいます。また、文庫本の棚では、日本の小説も外国の小説も一緒の棚に入っていて、苗字頭文字が「ア」で始まる日本人作家の本→苗字頭文字が「ア」で始まる外国人作家の本→「イ」で始まる日本人作家→「イ」で始まる外国人作家の本…と交互に並んでいます。

漫画は、一般書架、児童エリア、閉架扱いのセット漫画と3箇所に分かれています。児童エリアのカウンターそばの棚にあるのは『ガラスの仮面』や『王家の紋章』など、一般書架の雑誌ラックより一つ入口寄りの棚には手塚治虫作品や『サザエさん』など。一般書架の漫画には『PEANUTS BOOK』(スヌーピー)の対訳版などもあります。更に、『美味しんぼ』『ドラゴンボール』のように巻数が多いものは複数冊をセットにして貸し出す仕組みになっており、カウンター前の壁にあるカード、例えば「ドラゴンボール 1~10」と書かれたカードをカウンターに持っていくと、ドラゴンボールの1巻から10巻まで貸出冊数としては1冊でカウントするかたちで借りられます。

2階の一般書架のエレベーター向かって右には、文学賞コーナーがあります。直木賞、芥川賞、江戸川乱歩賞のような国内の文学賞受賞作品だけでなく、マカヴィティ賞、ゴールド・ダガー賞、MWA賞最優秀長編賞といった国外の文学賞受賞作品もあり、棚を見ていると「こんな文学賞もあるんだ」という知識も得られて面白いです。読みたい小説を探している場合、一般書架を探してなかったとしても、賞を受賞していて文学賞の棚に置かれている場合もあるので、小説本探しの際にはご注意ください。

一般書架で面白いのが、建物入口がある側とは反対側(東側)にある椅子席。こちら側の壁が、平面ではなくデコボコしていて、その狭いくぼみにぴったりの椅子を置いてあるんです。体格がよすぎる方は座れないかもしれないくらい、一人分ぴったりの幅のくぼみなので、この椅子に座ると三方を囲まれるかたちになる。図書館という共有空間にいるのに、自分だけの空間にいるような感覚で、本の世界に入りやすいです。ぜひお試しください。

また、お薦め本投稿ポストが、児童、中高生、一般とあらゆる世代に向けて館内に設置されています。SNSなどで面白いものを見つけたら広めるのが日常的になってきた昨今ですが、こういうアナログな投稿でお薦め本を共有するのもいいですね。

§ 「赤い鳥」

目白図書館の一番の特色は、1階の入口入って左の錐状の棚の隣にある「赤い鳥」コーナー。「赤い鳥」は大正7年から昭和11年まで発行されていた児童雑誌で、復刻版や名作集を所蔵している図書館も多い資料ですが、目白図書館は資料の重要性という意味だけでなく、地域とのゆかりで「赤い鳥」コーナーを設置しています。

「赤い鳥」コーナーにある説明を引用しますと

(前略)その全盛期、「赤い鳥社」兼鈴木三重吉宅は、「区立目白庭園」の東側(目白3-18-6)現在の「千種画廊」の場所にありましたが、他にもこのあたりの森の中の一軒家を事務所として借り、「赤鳥庵」(せきちょうあん)と名づけていました。
 今では、その当時の痕跡は失われつつありますが、目白庭園内(目白3-20-18)にある数奇屋造りの建物「赤鳥庵」は、このことに因んで名づけられています。
 当館では、私たちの街の歴史を思い起こすために、「赤い鳥」に関する資料を収集しております。

とのこと。子ども向けの物語を「文学」に昇格させたともいえる「赤い鳥」は、目白図書館のすぐそばで発行されていたんですね。棚には「赤い鳥」の復刻版が並ぶほか、赤い鳥代表作集、大正児童文学に関する本、小川未明や坪田譲治といった「赤い鳥」に関わりある作家の本などもあります。旧仮名遣いで書かれた児童文学は現代の子どもには読みづらく、むしろ、大人こそ当時の背景を踏まえたうえで味わえる資料だと思います。

目白という場所は、新宿と池袋の間にぽっかりと浮かぶ閑静な地域で、便利さと落ち着きが共存している町。昔の児童文学という、忙しい現代とは異なる作品世界を味わうのにちょうどいい町といえるかもしれませんね。

豊島区立目白図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  本の宝袋(2014年版)
―2014年12月16日から12月28日までの企画
テーマに沿ってピックアップした本を目隠し状態で貸し出す「本の宝袋」は目白図書館の年末恒例企画。面白そうなテーマだけでなくラッピングも素敵で、どれを借りるか迷ってしまいます。
  本の宝袋 大募集(2014年版)
―2014年11月12日から11月30日までの企画
テーマに沿ってピックアップした本を中身がわからないようにして貸出する「本の宝袋」企画に先だって、利用者から宝袋の中身を募集する企画です。私が知ったときは既に募集期間を過ぎていたのですが、職員さんに聞いてみたらまだOKとのことで投稿してきました。
  本の宝袋(2013年版)
―2013年12月17日から12月28日までの企画
テーマに沿ってピックアップした本を目隠し状態で貸し出す「本の宝袋」を借りてみました。今回は事前の募集で、利用者が選書した宝袋もあります。
  本の宝袋 大募集(2013年版)
―2013年10月16日から11月30日までの企画
テーマに沿ってピックアップした本を目隠しで貸出してくれる「本の宝袋」企画を年末に行うのに先だって、利用者からも宝袋の中身を募集する企画です。「目白図書館の蔵書からピックアップする」という縛りが難しいけれど、チャレンジしがいのある企画でした。

豊島区立目白図書館 データ

住所東京都豊島区目白4-31-8 →Google Mapで見る
Tel03-3950-7121
開館時間
月~金曜9:00~20:00
土・日曜・祝日9:00~18:00
定休日第1月曜
第4金曜
12月29日~1月4日
最寄駅 西武池袋線 椎名町駅から徒歩7分
JR山手線 目白駅から徒歩16分
駐輪場建物の南側(正面入口向かって右側)と東側(正面入口と反対側)に駐輪場あり
駐車場なし
SNS等
所蔵資料
図書所蔵数95,651冊(2021/03/31現在、出典『豊島の図書館 令和2年度事業報告』)
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって右の壁面にブックポストあり。開館中は使用不可。
自動貸出機ICタグ自動貸出機が1階1台、2階1台あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用不可
LAN接続館内無線LANあり。利用は豊島区在住・在勤・在学者のみ。私は利用条件に該当せず利用できないので詳細はわかりませんが、利用条件に適っていることをカウンターで確認後、ID・パスワードなどを発行するかたちではないかと思います。
飲食設備等地下1階に飲み物自販機1台あり。そばに椅子も1つあります。