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本の宝袋(2014年版)

―2014年12月16日から12月28日までの企画
visit:2014/12/16
§ 目白図書館の年末恒例企画「本の宝袋」

テーマに沿って選んだ本を袋詰めにし、中身がわからない状態で貸し出す図書館の「本の福袋」企画、豊島区立目白図書館では「本の宝袋」と題して年末に実施しており、2014年で3回目を迎えました。私は本の福袋企画が好きで、自分の在住地・在勤地条件で借りられる図書館では借りてみるようにしているのですが、2013年度の年末年始で借りた5館の福袋のうち、目白図書館の宝袋(「みえるもの/みえないもの」)が特にお気に入りだったので、今年も楽しみに行ってきました。

目白図書館の入口を入ると、正面に設置されたテーブルに英字新聞でラッピングされた本がいくつも展示されています。こちらにあるのは一般向けの宝袋で、児童エリア入口正面には児童向け宝袋もあります。どれも3冊入りで、花のコラージュやテーマに沿ったイラストなども添えてあり、何とも華やかな宝袋コーナー。ラッピングを潰さずに持って帰りたい人には、宝袋を入れるようの袋を用意して来館することをお薦めします。

宝袋のテーマも、他の図書館の福袋企画より遊び心いっぱい。どんな本が入っているのか想像するのも楽しいです。私が行った宝袋企画実施初日・2014年12月16日時点で並んでいる宝袋のテーマをメモしてきたので、ぜひご覧ください。

一般向け
霊長類ヒト科Letter 手紙
うわ~っ、懐かしい!!黒猫の謎
無能の人の小規模な失踪ねこ
おもちゃ今昔やっぱりプロ野球
本屋さんが書いた本ドクター◯◯
イクメン養成講座悪霊退散!
旅に出たくなっちゃったワッ︎仲良
KOTOBA ことばひんやり
息子の名前は「健」「太」ですパン
児童・低学年向け
がんばれ!少年たんていきょうりゅうだぁ、がお~
児童・中学年向け
べええホーホー
おっと、その柿は、シブ柿かもよおばけ
児童・高学年向け
GARDENしずかに、読みたいクリスマスのお話
むかし、むかし、あるところに…

児童向けの「べええ」という宝袋には羊のイラスト、「ホーホー」にはフクロウのイラストが添えられており、それも含めて中身のヒントになっているというわけ。また、よく見るとそれぞれの宝袋に通し番号と思われる数字が書かれており、その数字から察するにこれで全てではなさそう。おそらく、誰かが宝袋を借りて展示スペースが空くたびにストックを補充していくのではないかと思います。ある日出ている宝袋を見て自分の好みのものがなかったとしても、別の日に行けば補充されたものの中に好みのものがあるかもしれません。宝袋企画は12月16日から28日まで実施しているので、目白図書館をよくご利用になる方は行くたびに展示を覗いて、これぞという宝袋を選んでください。

私も気になる宝袋がいろいろあって、どれを借りようかとても迷いました。<息子の名前は「健」「太」です>という袋は、「健太」ではなく「健」「太」と書いてあるから、健くんと太くんの2人の息子がいるのかなと思いますが、小説なのか実在の人物なのか全くわからず気になります。「太」という名前からは、プロ野球選手の中西太しか思い浮かびません(古い!笑。さすがに選手姿をリアルタイムでは見ていませんが)。<黒猫の謎>や<悪霊退散!>も、いろんな本が入りうるテーマで気になります。

ちなみに「宝袋」といっても、お買得の商品を入れたお店の福袋とは違い、あくまでも「中身を隠して貸し出す企画」なので、中に入っている本は期限までに返却する必要があります。ただ、豊島区立図書館は2015年の年始にシステム入替のための休館があるので通常の年末年始より貸出期間が長く、私が12月16日に借りた宝袋は返却日が2015年1月16日。これなら読みたい本にプラスして宝袋を借りても読み切れるのではないでしょうか。返却の際は通常の貸出本と同様に1冊ずつで構わないし、包装紙は返却する必要はありません。

§ 気になる中身は…
豊島区目白図書館 本の宝袋「無能の人の小規模な失踪」 外観

あれこれ迷った結果、私が選んだのは写真の「無能の人の小記簿な失踪」という宝袋。ラッピングやテーマに添えられたイラストも素敵でしょ。この写真をTwitterにUPした際にご本人に話し掛けていただいて知ったのですが、目白図書館に竹丸たかゆきさんというイラストレーターさんが勤務していて、その方が作った宝袋にはこうしてイラストが添えられているようです。

また、宝袋を借りる際には、職員さんが貸出票を折りたたんで包装紙の中に入れ込んでくれました。というのも、豊島区立図書館のシステムは貸出票に借りた本のタイトルを印刷するため、貸出票を見てしまったら袋を開ける前に宝袋の中身がわかってしまうんです。中身を空ける楽しみを取っておくためのちょっとした気遣い、とても嬉しいです。

豊島区目白図書館 本の宝袋「無能の人の小規模な失踪」 中身

さて、家に着いてお待ちかねの中身開陳です。入っていたのは、『失踪日記』『僕の小規模なコラム集』『私の絵日記』の3冊でした。漫画家による失踪日記、後ろ向きと前向きの微妙なバランスの間を彷徨う福満しげゆきのコラム、つげ義春夫人の手記とどれも面白そう。

というか、この記事を書いている時点で『失踪日記』を読み終わり、『僕の小規模なコラム集』を読んでいる途中なのですが、あっという間に降りる駅に着いてしまうくらい夢中で読んでいます。竹丸さん、ありがとうございます!<:/p>

こうした「本の福袋」企画は多くの図書館で開催されていますが、目白図書館の「本の宝袋」企画はユニークな特徴があります。年末に先立つ2014年11月、「本の宝袋 大募集」と題して利用者からも宝袋の中身案を募集しており、職員さんが選んだ宝袋だけでなく、目白図書館の利用者さんが選んだ宝袋も一緒に並べているんです。

実は、上にリストアップした宝袋のうち、<本屋さんが書いた本>は私が考えた宝袋です。この「本の宝袋」企画は、開催4日目にライブドアニュースの記事になっているのですが、記事の写真を見る限りでは見当たらない、ということは誰か借りてくれたのかもと想像しています(もちろん、写真から外れたところにあるかもしれませんが)。もし、借りた方がこの記事を読んでくださったら、感想をお寄せください。

目隠しで本を借りる楽しさも、誰かのために選ぶ楽しみも味あわせてくれる「本の宝袋」。ワクワクする企画なので、ご興味ある方はぜひ目白図書館へ。私は「本の福袋」企画はできる限り見に行って借りられる図書館なら借りているのですが、この企画って実はかなり図書館員さんのセンスが問われる企画で、一つに絞るのが困難なくらい魅力的な福袋が並んでいる館もあれば、サイト記事にするために借りたいけど正直あまり面白そうなものがない館もあるんです。そんななか、目白図書館は「本の福袋」貸出経験が多い私が強くお勧めしたい福袋企画実施館。未知の本との出会いを楽しんでください。