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本の宝袋(2013年版)

―2013年12月17日から12月28日までの企画
visit:2013/12/19
§ テーマで選ぶ「本の宝袋」

たくさん本がある図書館を利用していても、実際に読むのは自分の好きなジャンルや好きな作家の本に偏っていたりしがち。そんな人に本との出会いを作ってくれる「本の宝袋」企画が、豊島区目白図書館で開催されています。

目白図書館の入口を入ると、正面に設置されたテーブルに英字新聞でラッピングされた本がいくつも展示されています。それぞれの袋には「なんちゃってあまちゃん文庫」「なによむの?KZでしよ!」「コーヒーと詩人」「お江戸」などテーマが書かれており、しっかりラッピングされているので中身はわかりません。つまり、それぞれの袋の中にはテーマに沿った本が入っており(大抵は3冊、中には1冊だけの袋もあり)、中身は開けてからのお楽しみで借りてみるという企画です。

「福袋」といっても、お買得の商品を入れたお店の福袋とは違い、あくまでも「中身を隠して貸し出す企画」なので、中に入っている本は期限までに返却する必要があります。返却の際は普通の貸出本と同様に1冊ずつで構わないし、紙袋は返却する必要はありません。

豊島区目白図書館 本の宝袋 外観

私はどれにしようか迷ったあげく、「みえるもの/みえないもの」という袋を選択(写真)。持ち帰る際に少しつぶれてしまったのですが、タイトルの左上にお花がついたラッピングで、図書館からの年末のプレゼントをいただいたような気分です。子ども用の袋も用意されており、大人もご子どもも楽しめる企画となっています。テーブルには10個ほどの袋がありましたが、通しナンバーを見ると展示されている以外にも袋を用意しているようで、展示コーナーからなくなったら適宜補充している様子。

ちなみに、豊島区立図書館は図書館システムで貸出レシートを印刷するため、袋を開けなくてもレシートを見たら中身の本がわかってしまいます。なので、この袋を借りる際に、貸出手続きをしてくれた職員さんが「せっかくなので見えないように折っておきますね」と、レシートを折ってラッピングに挟み込んでくれました。職員さんのちょっとした気遣いが、この企画の面白さを長続きさせてくれるかたちになって、嬉しかったなあ。

§ お待ちかねの中身は…
豊島区目白図書館 本の宝袋 中身

家に着いて、お待ちかねの袋オープン!入っていたのは、『目でみることば』『みえないもののうらがわは?』『美しく怒れ』の3冊でした。『目でみることば』は言葉の語源を写真で表した本、『みえないもののうらがわは?』はエッセイとイラストで地面の深い層や着物や衣装の中がどうなっているのかなどを見てみる本、『美しく怒れ』は岡本太郎が日本や文化を論じた本と、テーマにつながっているもののジャンルは様々です。

中身を選んだ方からのメッセージもついていて、読んでみると特に『美しく怒れ』がお薦めのよう。この本も含めて、幸いどれも読んだことがない本で、読むのが楽しみ。この3冊は、この宝袋企画がなかったらこれからも読まずにいた本かもしれないと思うと、こうした企画を開催してくれた目白図書館さんや選んでくださった方に感謝です。ありがとうございます!

§ 利用者が選んだ宝袋も

こうした「本の福袋」企画はいろんな図書館で開催されていますが、今回の目白図書館の「本の宝袋」企画は、他の福袋企画とは一味違うんです。実は、この企画に先だって、利用者から宝袋の中身を募集する「本の宝袋おすすめ本大募集」を開催していました。つまり、この「本の宝袋」は、職員さんが選んだ宝袋だけでなく、目白図書館の利用者さんが選んだ宝袋も入っているんです。

宝袋を見る限りでは、職員さんが選んだものなのか、利用者が選んだものなのかはわからないのですが、見えない誰かのお薦め本を受け取ったというのは、相手がわからない分かえって想像が膨らみます。図書館って静かな空間ですし、一緒の図書館を使っているからといって他の利用者さんとお話することもあまりないですが、こうした企画で繋がっているというのは面白い感覚です。

また、私は「おすすめ本大募集」の方に投稿もしたので、誰かが私のお薦め本を手に取ったかもしれないと思うと、そちらもドキドキ。感想が聞きたくもあり、がっかりされたらどうしようと不安でもありますが、それも含めて楽しい企画だと思います。ちなみに、今回利用者から中身を募集したのは、去年同様の企画を行った際のアンケートで選ぶ側にもなってみたいという意見があったからだそうです。この企画を実施してくれた目白図書館とともに、このアイデアを出してくれた利用者さんも素晴らしい!見えない誰かからのお薦め本を楽しむ企画、目白図書館が近い方にはぜひお薦めです。