トップ図書館訪問記北区 > 北区立赤羽北図書館

北区立赤羽北図書館

北区立赤羽北図書館 訪問記

last visit:2014/04/12

北区立赤羽北図書館は、北赤羽駅の近く、マンションの脇に、まるでマンションの管理事務所のようにちょこんと建っている図書館。東北新幹線建設用地にかかるために移転した小学校校舎に、土地明け渡しまでの暫定施設として図書室を開設したのが起源となっている図書館です。

§ 図書館の場所

赤羽北図書館はJR北赤羽駅から10分弱の場所にあります(詳しい道のりはこちら)。北赤羽駅は駅のホームが新河岸川をまたぐように建てられており、図書館巡り視点でいうと、赤羽側には赤羽北図書館、浮間側には浮間図書館があります。川の上にあるホームからの眺めは、何度行っても面白い感覚です。

北赤羽駅は埼京線しか止まりませんが、埼京線の脇に東北・上越新幹線の線路が通っており、自分がホームにいるときに新幹線が通ると思わず注目して見てしまいます。実は、この東北・上越新幹線、赤羽北図書館の設立に一役買っているのです。私がそれを知ったのが、2006年5月14日に行われた北区の新中央図書館建設記念イベントで、北区の各図書館を紹介する展示の中にこんな文章があったのです。

「本館(2006年5月現在の北区中央図書館のこと 引用者注)の増改築工事が着工した年の暮、袋図書室が店開きしました。東北新幹線建設用地にかかるために移転、空き家になった旧袋小学校校舎に4千冊の蔵書とアルバイト職員でのオープンでした。土地明け渡しまでの暫定施設と言う約束でのスタートでしたが、紆余曲折を経て「赤羽北図書館」として存続することになります。」

つまり、東北新幹線建設のために小学校が移転してから、実際に土地を渡さなければいけない日までのタイムラグ期間に図書室を開いたというわけ。北区立図書館発行の『北区の図書館』によると、前身たる袋図書室の開館が1977(昭和52)年、それに対して東北新幹線の上野駅~大宮駅間開通が1985年で、工事はそれより前から行うはずだから、旧袋小学校校舎が仕えたのは数年間だったと思うのですが、そのわずか数年間の校舎を空家のままにせず図書室にしたなんて素晴らしい!

おそらくは、そうして図書室が開設されると利用する住民も増えて、暫定施設で終わるべきではないということになったのではないでしょうか。「紆余曲折を経て」の期間にどこでどんなかたちで図書館事業を行っていたのかはわからない(そのうち調べてみたいと思っています)のですが、1987(昭和62)年6月に袋図書館が移転&名称変更するというかたちで開設された図書館が赤羽西図書館なのです。

§ 図書館内の様子

そんな袋図書室時代を反映して…というわけではないでしょうが、赤羽北図書館は小規模の図書館です。マンションに小さな建物がつながってるような構造になっているので、一見マンションの管理事務所かなと思ってしまいそうなたたずまいです。北区では東田端図書館も、“マンションにくっついている1階建て部分”という構造なのですが、北区立図書館はこの構造が好きなのでしょうか(笑)。

小規模なので中の配置もシンプルで、入った正面にカウンターがあり、左手前に新聞・雑誌コーナー、左奥に児童室、右一帯が一般書架となっています。一般書架手前側にある閲覧机は13席と少ないですが、一人分ずつ仕切りのあるタイプなので集中しやすいです。

§ 一般書架

一般書架の棚はかなり高いです。なので、背の低い人には不便なところもありますが、棚と棚の間は広めなので書架を歩いていてもそれほど圧迫感を感じません。

難を言えば、狭い書架で収納量を増やすためでしょう、文庫やCDなどの小さい資料が柱や書架の側面にちょこちょこ作られた棚に点在しているので、何がどこにあるのかわかりにくいです。書架の配置図をあちこちに掲示してくれたらと思いますが、今のところ入口脇のポールに配置図がぶら下げられているだけのようですので、見たいジャンルの場所がわからなかったらそちらをご覧ください。

日本の小説・エッセイは一緒にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。ただ、よく見ると、小説は「913.6」、エッセイは「914.6」とラベルに印字された分類番号が違うので、「エッセイではなく小説が読みたい」というときなどにはラベルを元に本選びができます。また、複数の著者による作品集は、タイトル名を元に五十音順の並びに入れられています。例えば、脚本家の李正姫(リ ジョンヒ)が書いた小説の次に、6人の作家によるアンソロジー『リエゾン』という本が並び、その次に梨沙(リサ)が書いた本がある、といったかたちになります。外国の小説は、「中国文学」「英米文学」「ドイツ文学」のように国・地域別に分類したうえで、著者姓名の五十音順に並んでいます。

また、これは赤羽北図書館だけでなく北区立図書館全体で行っている表示ですが、本の背に北区のシンボルマーク(桜の花びら3枚で「K」の文字になっている)が貼られているものがあり、このマークがついている本は作中に北区が登場します。赤羽北図書館の蔵書の中では、唯川恵『めまい』や真保裕一『奇跡の人』などに北区マークが貼られています。水上勉『鳥たちの夜』は上下巻あるうち、下巻のみにシンボルマークが貼られているので、下巻だけに北区が登場するのかな。本棚から北区が登場する本を探して読んでみるのも面白そうですね。

一般書架で目に留まるのが、その棚のジャンルをしめす表示に添えられた切り絵。宗教の本が入った棚に仏像や蓮の切り絵があったり、家事コーナーにミシンや糸巻の切り絵があったりするんです。辞典・辞書のところにあるゾウのサーカスの切り絵や、運輸・交通・通信のところにあるミッキーマウスの切り絵などは、棚の中身との関連性は薄いですが、他に比べて大作で、しばし見入ってしまいます。

裁縫や料理の棚は、細かい項目で分類して本を探しやすくしてくれています。例えば、裁縫の棚は「裁縫の基礎」「裁縫【男性用】」「裁縫【女性用】」「裁縫【子供用】」「裁縫【リメイク】」といったかたち。料理も「節約・保存食」「おもてなし・季節の料理」「カレー・スープ」「日本料理」「アジア料理」「西洋料理」「肉料理」「魚料理」「麺類」「季節・野外料理」など、種類別・素材別・シーン別の項目で細かく分類しています。

ただ、料理の本については、2014年4月12日現在、ラベル番号と項目が1対1になっているものもあれば、1対多になっているものもあり、もしかしたらラベル番号を整理中なのかもしれません。上に挙げた項目で言うと、「日本料理」以降は1項目につき1つのラベル番号(「日本料理」は596.21、「麺類」は596.38など)がついていますが、「節約・保存食」「おもてなし・季節の料理」「カレー・スープ」はすべて596です。なので、読みたい本を検索機で探して見つけた本が「ラベル番号 596」となっている場合は、複数の項目の中から探す必要があります。

この点については、読みたい本が見つからなかったら遠慮なく職員さんに聞くのがいいでしょう。赤羽北図書館は書棚が高いこともあって、「取りにくい本があったら職員にお声掛けください」という掲示がたくさんあります。小規模の図書館は職員さんとも顔見知りになりやすいですし、遠慮するより職員さんと仲良くなって図書館を使いこなしたいです。

§ 児童室

児童室は他のエリアとは別室のようなかたちになっているので、長い間静かにできないお子さんを連れて行ったり、読みきかせなども気兼ねなくできます。児童室に入ると、右奥に靴脱ぎスペースがあり、その周囲から左にかけて絵本や紙芝居、手前の書架エリアの壁沿いにぐるりとちしきの本が並んでおり、部屋の中ほどの棚に児童読み物があります。

絵本は、日本人作家も外国人作家も一緒にして、絵を描いた人の姓名五十音順に並んでいます。児童向け読みものは、日本or外国という2分類ではなく、アジアのおはなし、イギリス・アメリカのおはなし、ドイツのおはなし…といったように、国・地域別に分けたうえで著者姓名五十音順に並んでいます。

子どもだけでなく大人も見ていて楽しい仕掛け絵本は、紙芝居の棚上にあります。仕掛け絵本は開架をみた限りでは英語で書かれたものだけですが、仕掛けを通じて英語に触れてみるのもいいですね。また、靴脱ぎスペース手前左には布絵本もたくさんあります。仕掛け絵本は図書館内でしか見ることができませんが、布絵本は貸出もできます。

§ 地域のための小さな図書館

赤羽北図書館は、というより、北赤羽駅周辺も、大きなターミナル駅・赤羽の隣にあるせいか、こじんまりした雰囲気。日常使いは駅前の小さなスーパーで、少し大きな買い物は赤羽でという暮らしに合うような規模の図書館です。小規模な分だけ、特に平日は人の出入りも少なく、静かにじっくり本を読みたい人にはお薦め。この辺から近くて大規模なく赤羽図書館は、別の利用者と一緒に座る大机が広い閲覧室にずらっと並ぶかたちなので、視覚的にも集中しやすい場所を好む人なら赤羽北図書館のほうが落ち着ける面もあると思います。

また、小さな図書館は来館者が多くて慌ただしい図書館よりもじっくり相談しやすい面もあるので、大きな図書館と小規模図書館を用途によって使い分ければ更に便利です。冒頭に書いた経緯からしても、地域のために開設され、かつ、地域の人に望まれた図書館で、じっくり本に向き合う時間を楽しみたいです。

北区立赤羽北図書館 データ

住所東京都北区赤羽北1-18-1-111 →Google Mapで見る
Tel03-3907-6412
開館時間
火~金曜9:00~19:00
土・日曜、祝日、12月28日9:00~17:00
定休日月曜
3,12月を除く毎月第4木曜(祝日の場合は開館し、翌日休館)
3月31日(土・日・月曜の場合は直前金曜休館)
12月29日~1月4日
最寄駅 JR埼京線 北赤羽駅から徒歩9分
東京メトロ南北線 赤羽岩淵駅から徒歩15分
駐輪場図書館入口向かって左に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数55,342冊(2023/03/31現在、出典『北区の図書館 令和5年度』)
CD所蔵数2,889点(2023/03/31現在、出典『北区の図書館 令和5年度』※北区図書館共通資料(所蔵館がない資料で、返却された館の書架に配架される)の数字は、各館の所蔵数に比例するよう配分して加算
カセット所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『北区の図書館 令和5年度』)
DVD所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『北区の図書館 令和5年度』)
ビデオ所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『北区の図書館 令和5年度』)
設備
ブックポスト図書館入口向かって左のやや離れたところにある図書館事務所入口向かって右の壁面にブックポストあり
自動貸出機なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用パソコン専用席兼車椅子優先席(1席)にて持参PCの使用可能。電源あり。
LAN接続なし
飲食設備等なし