北区立東田端図書館
北区立東田端図書館 訪問記
北区立東田端図書館は、田端駅の北東の、東北本線の高架の向こうにある図書館です。小さくて座席数も少ないので、長時間の閲覧には向きませんが、文庫の所蔵数は北区で一番の多さ。充実した資料がコンパクトに詰まっている印象です。
東田端図書館は、日暮里舎人ライナーの赤土小学校前駅とJR田端駅の中間辺りにあります。赤土小学校前駅のほうが少しだけ近く、明治通りの少し南になります。
図書館までの道のりが面白いのは田端駅で、駅から図書館まで数々横たわる線路をかいくぐっていくかたちなんです。最初に山手線・京浜東北線を渡る以外に、滝野川第四小学校の先で渡る踏切部分(こちらの線路は宇都宮線や高崎線)では、2本の線路をまたぐ間に高架の線路を下をくぐるという、とにかく線路だらけの道のりです。
山手線・京浜東北線をまたぐ橋から降りる階段回りには、何故か山手線の駅名が順に書いてあるので、駅名暗記ゲームを楽しみながら降りられます(笑)。また、宇都宮線・高崎線の高架下のトンネルには汽車の絵が描かれていて、鉄道好きには楽しいアイテムいっぱいの道のりです。
東田端図書館は、マンションにちょっとした出っ張り部分を作って、そこを図書館施設にしたかたちの小さな図書館です。北区立図書館の中で一番小さいのは中央図書館分室ですが、分室ではない「○○図書館」のうちで一番小さいのがこの東田端図書館なんです。
図書館入口を入ると、右にカウンターがあり、左に一般書架エリア、奥に児童エリアという配置です。一般書架エリアの手前側に新聞・雑誌コーナーがあり、カウンター対面付近にはCDが並んでいます。座席は、新聞・雑誌コーナーにソファ席が14席あるほか、机席が2席あるのみ。机席には「閲覧席が少ないので閲覧利用は1時間以内にしてください」との注意書きがあるくらい。一般書架には背の高い棚が並び、限られた空間に資料をたっぷり詰めたという雰囲気の図書館です。
図書館は大きい方が蔵書数も多くて便利だと思われがちですが、大きいと出入りする人が多くて落ち着かなかったり、いろんなジャンルの本を見たいときには歩かされることもある。その点、東田端図書館のように充実した資料がコンパクトに集まっている図書館の方が便利な点もあるんですよね。利用者としては、そうした各図書館の特性をうまく利用したいものです。
実際に書架を回っていても、資料の少なさより、規模の割に充実している印象を受けます。背の高い棚が並んでいるので、高い段の本が取りにくい場合は、踏み台を使うか、職員さんに遠慮なくお願いしましょう。
日本の小説・エッセイは一緒にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。但し、3人以上の著者による小説・随筆集は、頭文字が「わ」の作家の後にまとめて置いてあります。著者が二人の小説・随筆集は、どちらかの著者の名前をとって著者姓名の並びの中にあります。外国の小説は、「アジア文学」「英米文学」「ドイツ文学」のように国・地域別に分類したうえで、著者姓名の五十音順に並んでいます。
また、これは東田端図書館だけでなく北区立図書館全体で行っている表示ですが、小説本の背に北区のコミュニケーションマーク(桜の花びら3枚で「K」の文字をかたどっている)が貼られているものがあり、このマークがついている小説は作中に北区が登場します。東田端図書館の蔵書の中では、唯川恵『めまい』や夏目漱石『三四郎』などに北区マークが貼られています。平野啓一郎『決壊』は、上下巻のうち下巻だけに貼られていたので、下巻に北区が登場するのかな。
この「北区が登場する本」は、こうして図書館から利用者へ発信しているだけでなく、利用者からの情報募集も行っています。東田端図書館では、カウンターからみてやや右の棚側面で投稿用紙を配布していますし、職員さんに口頭で情報提供するのでもよし。実は私も先日、津島佑子『伝記馬』に北区が登場しているのを見つけて、東田端図書館にその本を返すときに職員さんに情報をお伝えしたんです。一般的な読書が地域にちなんだ身近な体験になったみたいで、ちょっとワクワクした気分になりました。
児童コーナーは、一般書架とは壁で仕切られた三角形上の部屋です。こちらはやや本が少ない分、背の低いマットを並べて寝転んで絵本を読める空間を確保しており、広々とした印象を受けます。
絵本は、日本のおはなしと外国のおはなしを別にして、絵を描いた人の姓名五十音順に並んでいます。赤ちゃん向けの小さい絵本も絵を描いた人の姓名五十音順ですが、こちらは日本のおはなしも外国のおはなしも一緒になっています。児童向け読みものは、日本or外国という分類ではなく、アジアのおはなし、英米のおはなし…といった具合に、外国人作家の本は更に国・地域別に分けたうえで著者姓名五十音順になっています。
一般書架が限られた空間で資料を充実させている一方、児童コーナーはちょこんと紙芝居台が設置されていたり、切り紙が壁を彩っていたり、布絵本が面陳されて並んでいたり、居て楽しい場所であることを大事にしているという雰囲気です。
東田端図書館の特徴は、文庫本の所蔵数。9段に渡って文庫が並んでいる棚が小説だけで6面分あり、更に柱の周囲や雑誌コーナーと一般書架の境目などに、小説以外の文庫本がずらっと並んでいます。北区立図書館の図書館だより「ぽけっと」の2013年6月号によると、1万冊の文庫を所蔵しており、この数は北区で一番の多さだそうです。
小規模な図書館に少しでも多くの本を所蔵しようという思いが、こうした文庫の多さにつながったのでしょうが、これは図書館側だけでなく利用者側にもメリットになりますよね。通勤通学などに読む本を探す場合は、持ち歩きやすい文庫がいいし、北区立図書館の貸出期間である2週間分の本をまとめて借りようというときにも、嵩張らない文庫本は便利。
単行本では作品そのものだけのところ、文庫化する際に解説などがつくケースも多いので、そうした「おまけ」が好きで文庫本を選ぶ人も多いと思いですよね。そんな文庫本の世界を楽しみたいときは、ぜひ東田端図書館へ!
北区立東田端図書館 データ
住所 | 東京都北区田端新町2-14-15 1階 →Google Mapで見る | ||||
Tel | 03-3810-4341 | ||||
開館時間 |
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定休日 | 月曜 3,12月を除く第4木曜(祝休日の場合は開館し、直後の平日を休館) 3月31日(土・日曜の場合は開館し、直前の金曜を休館。月曜の場合は、直前の金曜も休館) 12月29日~1月4日 | ||||
最寄駅 |
日暮里舎人ライナー 赤土小学校前駅から徒歩8分
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駐輪場 | 図書館入口向かって左に駐輪場あり 2024/11/24に現地訪問にて確認
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駐車場 | なし 2024/11/24に現地訪問にて確認
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所蔵資料 | |||||
図書所蔵数 | 59,054冊 2023/03/31現在、出典『北区の図書館 令和5年度』 | ||||
CD所蔵数 | 3,594点 2023/03/31現在、出典『北区の図書館 令和5年度』、北区図書館共通資料(所蔵館がない資料で、返却された館の書架に配架される)の数字は、各館の所蔵数に比例するよう配分して加算 | ||||
カセット所蔵数 | なし 2023/03/31現在、出典『北区の図書館 令和5年度』 | ||||
DVD所蔵数 | なし 2023/03/31現在、出典『北区の図書館 令和5年度』 | ||||
ビデオ所蔵数 | なし 2023/03/31現在、出典『北区の図書館 令和5年度』 | ||||
設備 | |||||
ブックポスト | 図書館入口向かって右の壁面にブックポストあり 2024/11/24に現地訪問にて確認
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自動貸出機 | なし 2024/11/24に現地訪問にて確認
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自動返却機 | なし 2024/11/24に現地訪問にて確認
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セルフ予約受取 | なし 2024/11/24に現地訪問にて確認
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図書の除菌 | なし 2024/11/24に現地訪問にて確認
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音声試聴設備 | なし | ||||
映像視聴設備 | なし 2024/11/24に現地訪問にて確認
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ネット閲覧PC | なし 2024/11/24に現地訪問にて確認
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持参PC利用 | 持参PC使用可能な席あり 2024/11/14に『北区の図書館案内』にて確認
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LAN接続 | なし 2024/11/24に現地訪問にて確認
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飲食設備等 | なし 2024/11/24に現地訪問にて確認
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