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たかなわミュージックライブラリー 第4回「トーキョー・シティ・ポップス」

―2013年1月16日のイベント
visit:2013/01/16

2013年を迎えて、いまや15日ではなくなってしまった成人の日を雪で迎えた東京に、またまたやってまいりました、港区立高輪図書館のCDコンサート“たかなわミュージックライブラリ”。CDコンサートは多くの図書館で開催されていますが、高輪図書館の“たかなわミュージックライブラリ”は、音楽に詳しい図書館職員さん(ミュージックライブラリにおいては「梅澤教授」)の解説と、音楽好きの高輪図書館館長さんの思い出話が織りなす、「CDコンサート」の枠を超えた楽しい時間なんです。

いつもは開演時刻までの時間を利用して、毎回のテーマに関連したオモシロ音楽を聴かせてくれていたところ、今回は同じ時間を利用して、港区と慶應義塾大学が共同で運営している事業「芝の家」の紹介。芝の家でのレコードコンサート班長のいそPさんと、芝んちRadioのDJ HIROさんの2名による事業紹介によると、地域の人が持つジャズレコードコレクションを活用してレコードコンサートを行っていたり、ミニFMの放送もしていて、ミニFM放送は港区にとどまらず日本全国に出張しているのだとか。音楽イベントつながりで図書館が他の事業とつながるというのもいいですね。「芝の家」はイベントがないときにもコミュニティの場として開放されているようなので、港区民ではないけど私もぜひ今度行ってみようと思います。

§ 都市のポップス

さて、第4回となった今回のテーマは「トーキョー・シティ・ポップス」です。70年代後半から80年代にあらわれた新しい音楽、なんていうと堅苦しい定義になってしまいますが、ユーミンや山下達郎といえば今の若い人もわかりますよね。山下達郎がシュガー・ベイブを結成したのが1973年でデビューが1975年、ユーミンが当時は荒井由美としてファーストアルバム『ひこうき雲』を発売したのが1973年。思えば二人とも2012年にベストアルバムを発売しているのは、偶然かそれとも40年というのはベスト盤を出したくなる長さなのでしょうか。

そして、これも欠かせない「はっぴぃえんど」。梅澤教授が、細野晴臣・大瀧詠一・松本隆・鈴木茂が若いときに出会っていることがすごいと言っていましたが、確かにプロデューサーなどが集めたのではなく、自然に出会ってこのメンバーが集まるとは。彼らがいなければ、その後の日本の「歌謡曲」も全然違うものになっていたかもしれません。

今回の選曲は、「自由な視点や皮膚感覚で切り取られた<都市生活者のためのポップス>」をシティ・ポップスと捉えて選曲したそうで、それを新潟出身の梅澤教授と京都出身の館長が進行するのも…なんて笑っていらっしゃいましたが、逆にそここそがトーキョー・シティ・ポップスらしさとも言える気がします。つまり、土着感なく、喜びも悲しみも軽くポップに歌い上げる、というと悪く聞こえてしまうけど、街の風景が変わっても景観保存運動なんてするわけもなく、風を集めて蒼空を翔けることを空想して歌い上げる…って意味不明になってきましたが(笑)、あちこちから集まってきた人がおりなす諸行無常の街・トーキョーのポップスこそシティ・ポップスなのかなとも思います。

定義はいいから実際の曲を、ということで、今回の曲目リストはこちら。

1.DOWN TOWNシュガー・ベイブ
2.きっと言える荒井由実
3.風をあつめてはっぴいえんど
4.愛は彼方吉田美奈子
5.横顔大貫妙子
6.MILLION STARS桑名晴子
7.シンプル・ラブ大橋純子
8.雨のウェンズデイ大滝詠一
9.夏のクラクション稲垣潤一
10.SPARKLE山下達郎
11.TAKE YOU TO THE SKY HIGH角松敏生

「DOWN TOWN」などは、私にとっては「オレたちひょうきん族」のエンディングテーマに使われていたEPOの方が馴染みがあるのですが、Wikipediaの「DOWN TOWN」のカバーの項によると、17組ものアーティストにカバーされているんですね。桑名晴子・大橋純子あたりは、私基準ではシティ・ポップスに入るか微妙な気もしますが(どちらも館長の選曲です 笑)、稲垣潤一などは私はOKだけど人によっては歌謡曲寄りだと思うかもしれません。この境界の曖昧さこそが、シティ・ポップスが同時代やその後に与えた影響の広さの証拠なのかもなあ。演歌歌手・森進一までポップス「冬のリヴィエラ」を歌ったというほどの浸透力。

曲の合間には、梅澤教授の実演でフォーク「神田川」とシティ・ポップス「きっと言える」のコード進行比較講座も。う~ん、比較してしまうとホントに暗~いですね、神田川(笑)。歌詞もねえ、お風呂が長い男なんて置いて帰っちゃいなさいよと言いたいです(笑)。館長からも、それまでビートルズ、ストーンズなどイギリスの音楽を追う流れにいたなか、彼らがシティ・ポップスを生み出せたのはFENから流れてくるアメリカ音楽から刺激を得たのではという説が出たり、進行の二人による音楽談義、今回も楽しませていただきました!

§ これから先のたかなわミュージックライブラリーの行方はいかに

2012年4月18日の第1回から3か月に1度ペースで行ってきた“たかなわミュージックライブラリ”、ひとまず今回で1年間ひと回りしたというわけで、最後はあらためて進行のお二人からご挨拶も。いやあ、思えばアルバムのシークレット・トラックを聴くべく皆で耳を傾けていたタイミングで「もうすぐ閉館です」の館内放送が入ったのが第1回。今回は前回に増して時間どおりにプログラムが終わり、かえって戸惑ってしまったくらいで、進行もすっかりスムーズになって、嬉しいような淋しいような(?笑)。

次回は少し間があいて、2013(平成25)年5月15日になるとのことですが、もしかしたら関わるスタッフさんに変化があるような気もするし、テーマも未定で、どんなイベントになるのか楽しみです。テーマもまだ決まっていないということで、ご希望がある方はリクエストすれば叶えてくれる可能性もあるかもしれませんよ。あらたなステージへ進むたかなわミュージックライブラリの行方、楽しみにしています!