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豊島区立上池袋図書館

豊島区立上池袋図書館 訪問記

last visit:2014/11/17

豊島区立上池袋図書館は、大きいステンドグラスが素敵な図書館。旧日本国有鉄道清算事業団が所有していた土地の図書館である、という経緯から、鉄道に関する本を積極的に収集しています。

§ 図書館の場所

上池袋図書館は東武東上線の北池袋駅から、道のりにして500mほどのところにあります。この辺りは住宅と商店と工場が混在している地味な町といった雰囲気で、猥雑な池袋周辺から一駅でこんな雰囲気の町に着くとは驚きです。いや、一駅行かずとも、池袋図書館周辺も同じような雰囲気か。西口と東口も雰囲気が違いますし、池袋は観察するのに実に面白い街だと思います。

§ 図書館内の様子

上池袋図書館は公園内にある2階建ての建物です。1階に新聞・雑誌コーナー、児童コーナー、中高生コーナー、CD、家事関連本、外国語図書があり、それ以外の資料は2階になります。カウンターは1階のみですが、自動貸出機が1,2階にあるので、まとめてカウンターに持っていかなくても各階で貸出手続きができます。また、地下には普段は入れませんが、月に1度の乳幼児向けのおはなし会は地下で行われています。

規模としては中程度の図書館ですが、豊島区内では蔵書数の多さでは3番目、延床面積では2番目で、中央図書館を除いた地域館の中では大きいほうです。1,2階吹き抜けになっている新聞・雑誌コーナーも開放的ですし、2階の窓を彩るステンドグラスに鳥が空を舞う姿が描かれているのも素敵です。棚と棚の間隔も広くて、公園内にある図書館でののんびりした読書が楽しめる空間です。

§ 1階の配置

1階に入ると、まず右にカウンター、左に新聞・雑誌コーナー、その間にCDの棚があります。その奥へ行くと、右に児童コーナー、左に家事関連本、中高生コーナーという配置です。入ってすぐ左の新聞・雑誌コーナーが1,2階吹き抜けになっていて、その窓が公園に面しているので、広々とした印象を受けます。新聞・雑誌コーナーの一画にはCD試聴席もあり、雑誌を読みながらCDを試聴している人も見かけます。

右奥の児童コーナーも、3段の低い棚が並ぶ見通しのいい空間。一番奥には靴を脱いであがれる「おはなしのへや」があり、子どもが寝転がりながら絵本に夢中になっているうちに、部屋に敷かれたマットがぐちゃぐちゃになっているのを見かけてこともあります(笑)。読み聞かせする際も、一番奥のこの空間なら一般の利用者に気兼ねすることなく声を出して読むことができます。

絵本は、日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、絵を描いた人の姓名五十音順に並んでいます。児童読み物は、児童読み物は、日本人作家と外国人作家を交互にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。交互というのは、まず苗字が「ア」で始まる日本人作家の本が並び、次に苗字が「ア」で始まる外国人作家の本が並び、その次に苗字が「イ」で始まる日本人作家、「イ」で始まる外国人作家の本、苗字が「ウ」で始まる日本人作家…といったかたちの並び順です。

児童読み物の本は著者苗字の頭1文字が印刷された黄色い丸シールで分類されているのですが、よく見るとその上にピンクの透明シールが貼られて、黄色とピンクの重なりでオレンジ色に見えるものがあります。このシールが貼られているは、児童読み物の中でも小さい子向けのものだそう。本選びの際に参考にしてみてください。

漫画は、内容や形態によっていくつかに分かれて置いてあります。まず、児童コーナーの「おはなしのへや」向かって左に、『ちびまる子ちゃん』『ドラえもん』などの子ども向けの漫画があり、児童コーナーの隅っこという場所柄もあり、漫画の世界に入って読みふけっている子が多いです。また、新聞・雑誌コーナーと中高生コーナーの間のガラス棚にもあり、こちらは『釣りバカ日誌』『三国志』『金田一少年の事件簿』など、子どもより大きい人が読むような漫画が並んでいます。その棚の隣の、丸柱と一体化している棚の最下段には、大きなサイズの漫画もあります。更に、何巻から何巻までと数巻セットで貸し出す仕組みにしている漫画がカウンターにあり、そのタイトルがカウンター前のホワイトボードにマグネットで貼られています。読みたい漫画のマグネットをカウンターに持って行けば、その漫画を取り出してもらえます。

中高生コーナー内の10代優先席は前面に仕切りのある机席で、その仕切りに図書館職員さんからのお薦め本情報や、10代の利用者が投稿したお薦め本の情報が貼られています。利用者からのお薦め本には図書館が「この本は分類○○にあります」という付箋をつけてくれているので、面白そうな本を見つけたときに棚に行って探すのも楽チンです。

家事関連本付近の壁沿いの棚には、英語図書や「就職・しごと」コーナーがあります。この棚は中高生コーナーに近いこともあってか、英語図書も薄い文庫など読みやすいものが中心。『のだめカンタービレ』『サザエさん』『ドラえもん』の対訳版(ふきだしのセリフは英語で、脇に日本語が書いてある)などもあるので、楽しみながら英語の勉強ができます。「就職・しごと」も中高生向けの職業ガイド本が中心ですが、資格ガイドや開業・転職に関する本、『60歳からの職業ガイド』という本などもあり、社会人にとっても使えるコーナーです。

§ 2階の一般書架

2階は全て一般書架。階段・エレベーターを出た正面にパソコン使用可能席や新書・文庫・旅行ガイドがあり、そこで右を向くと左右に一般書架が広がっています。一般書架内では、左側が小説・文学、右側にその他の一般書架という配置です。

日本の小説・エッセイの単行本はひとまとめにして、著者名の頭2文字をとって五十音順に並べています。但し、複数の著者による作品集は、著者名ではなくタイトルの頭2文字で分類され、分類の末尾に配架されています。例えば、小説の「タイ」の棚に行くと、大道珠貴(ダイドウ タマキ)の著書、大門剛明(ダイモン タケアキ)の著書、平安寿子(タイラ アスコ)の著書、7人の作家による『大密室』(ダイミッシツ)という順に並んでいます。外国の小説は、「中国文学」「東洋文学」「英米文学」「ドイツ文学」のように、国・地域別に分けたうえで著者姓名五十音順に並んでいます。

一方、文庫の小説は、頭文字ごとに日本人作家と外国人作家が交互に並ぶ順序です。先頭から、苗字頭文字が「ア」の日本人作家→苗字頭文字が「ア」の外国人作家→「イ」の日本人作家→「イ」の外国人作家…というかたち。日外問わずまだ読んだことがない作家さんの著作を読んでみようかなというときには、日外混在の文庫本棚を探してみるのも手です。

難点を言えば、文学以外の一般書架に棚差しタイプの見出しが全くなく、図書館の分類記号を覚えていなければ、何がどこにあるかがわかりにくいこと。大まかな配置は棚の脇に書いてあるので、探したい本が「どの棚にあるか」はざっくりとわかるのですが、「棚の中のどの辺にあるのか」がわかりません。図書館は、どのジャンルがどの分類記号なのかを知る図書館通だけでなく、一般的な人々が使う施設なので、ぜひ見出しを充実させてわかりやすくして欲しいです。

一般書架右端には「環境 エコ リサイクル」と題して、一般的な図書館の分類では離れた棚に置かれてしまう地球温暖化・リサイクル・環境問題の本をまとめて置いています。が、一般書架の一番奥という場所は、これらの資料の利用をかえって遠ざけているようにも思います。上に書いた見出しも含めて、何がどこにあるという表示が地味で少ない。上池袋図書館さん、もっと元気な書架を作ってください(笑)!

§ 鉄道に関する本を収集しています

こんな上池袋図書館ですが、資料に関する一番の特色は、2階エレベーター向かって左にある「鉄道に関する本」コーナー。この棚の左に掲示されている説明を引用しますと

豊島区内にある各地域図書館は、その地域の特色ある図書館を目指した本の収集に努めてまいります。
 当上池袋図書館の用地は、平成3年1月に(仮称)上池袋鉄道公園及び(仮称)上池袋公園図書館(現上池袋図書館)建設事業用地として、旧日本国有鉄道清算事業団より購入し、平成5年3月に上池袋図書館として建物の引渡しを受けて、同年7月20日に開館された地域図書館です。
 上池袋・池袋本町地区は、隣りは北区滝野川と板橋区板橋に接した区境にあり、大きな道路の明治通りと川越街道に挟まれた住宅地で、古い史跡や大きな産業もありませんが、静かな文教地区で住みやすいところです。
 上池袋図書館では、特色ある地域図書館として他の図書館に負けないように、「鉄道に関する本」を積極的に収集して充実させてまいりたいと存じます。

とのこと。そういえば、児童エリアの掲示板も汽車のかたちですし、上池袋図書館の蔵書を見ると、貸出処理用バーコード左上のイラストや、奥付に押される蔵書印も汽車になっています。更に、この「鉄道に関する本」コーナーの本には、汽車のかたちに切り抜いた水色の色紙が本の背に貼られています。

23区内で鉄道に関する本を集めている図書館といえば、北区の昭和町図書館もそうなのですが、上池袋図書館のこのコーナーの方が倍以上の冊数の本があります。

国鉄清算事業団から同時に購入したお隣の公園が結局仮称の「上池袋鉄道公園」ではなく「上池袋さくら公園」になってしまったのが、鉄道ファンには残念かも(笑)。実際、鉄道を思わせるオブジェもまったくないですし。そのかわり、この上池袋さくら公園はいろんな種類の桜が植えられているようで、数ヶ月に渡ってそのときどきの桜が咲くみたいですよ。今度はぜひ桜の季節に行ってみたいです。

豊島区立上池袋図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  本の福袋
―2014年1月5日からの企画
数冊の本を詰め合わせて貸し出す「本の福袋」。中身は見せずに袋にテーマを書いてあり、それを手掛かりに袋を選んで借りる企画です。どんな本が入っているかは、借りてからのお楽しみ!子ども用と大人用の袋が用意されているので、誰でも楽しめます。

豊島区立上池袋図書館 データ

住所東京都豊島区上池袋2-45-15 →Google Mapで見る
Tel03-3940-1779
開館時間
月~金曜9:00~20:00
土・日曜・祝日9:00~18:00
定休日第1火曜
第4金曜
12月29日~1月4日
最寄駅 東武東上線 北池袋駅から徒歩7分
駐輪場建物入口向かって右手前に駐輪場あり
駐車場なし
SNS等
所蔵資料
図書所蔵数95,145冊(2021/03/31現在、出典『豊島の図書館 令和2年度事業報告』)
音声資料
CDカセットレコード
ありなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって右の壁面(凹状のところ)にブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機ICタグ式自動貸出機が2台(1,2階にそれぞれ1台ずつ)あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備1階新聞・雑誌エリア内にCD試聴機2台あり
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用2階階段そばにパソコン持込み可能席4席で持参PCの使用可能。電源あり。
LAN接続
  • 館内無線LANあり。利用は豊島区在住・在勤・在学者のみ。私は利用条件に該当せず利用できないので詳細はわかりませんが、利用条件に適っていることをカウンターで確認後、ID・パスワードなどを発行するかたちではないかと思います。
  • 館内や公式サイトには明記されていませんが、ソフトバンクWi-Fiスポットに上池袋図書館が登録されており、1階にいると電波が入ります
飲食設備等なし