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閉室前の台東区立谷中コミュニティセンター図書室

谷中コミュニティセンター図書室は2012年11月24日を最後に閉室しました。その後、改修したうえで名称を変え、台東区立中央図書館谷中分室が2015年4月1日に開館しました。

以下は、閉室前の台東区立谷中コミュニティセンター図書室の訪問記です。

閉室前の台東区立谷中コミュニティセンター図書室 訪問記

last visit:2012/11/24
§ 図書館の場所

谷中コミュニティセンターは日暮里駅か千駄木駅から少し歩いたところにあります。一番近い駅は千駄木駅で、2番出口を出て、目の前の横断歩道を渡って右に進み、ちょっと行った左にある細い路地に入ります。突き当りやや左にある牧野米店さんに向かって左の路地に入り、ひたすら直進すると、右に広場、左に谷中コミュニティセンターが現れます。

日暮里駅から行く場合は、JR北改札口から西口に出て、谷中銀座へと歩きます。坂を登って、「夕焼けだんだん」階段を下りて、「ひぐらしの里 谷中銀座」の看板をくぐったらすぐに左に曲がり、あとはひたすら直進。すると、左側に谷中コミュニティセンターがあります。

千駄木から行っても、日暮里駅から行っても、谷中コミュニティセンターの脇に、何本もの羽根からなる風車みたいなものが見えるので、それが目印になると思います。でも、せっかく谷中に来たなら、目的地にまっすぐ行くより、路地を思いのままに歩いた方が楽しい!谷中霊園で著名人のお墓にお参りするのもよし、谷中銀座で食べ歩きするのもよし。住宅の中にふと個性的なお店があるのも楽しいです。

私からの一番のお薦め寄り道ポイントは、朝倉彫塑館!1階入って左のやたらと天井の高いロビー(?)に置かれた彫刻を見たり、2階の広い和室もいいし、こんなところで暮らしたら私も芸術家になれそうと錯覚してしまうくらい(笑)。残念ながら2013年3月まで保存修復工事のために休館しているとのことですが、2008年に行ったとき、案内人の方が「修復工事後には、今は入れないところにも入れるようになる」とおっしゃっていたので、既に行ったことある方も修復工事後にまた行きましょう!

§ 図書館内の様子

さて、本題の谷中コミュニティセンターは谷中地域の公民館で、その2階の一室が図書室になっています。台東区立図書館のカードが利用でき、台東区内の他図書館からの取り寄せもできますが、当日の新聞は2階の図書室ではなく、1階ロビーに置いてあるという少し風変わりな点も。公民館の図書室と、台東区立図書館が融合した施設といったところでしょうか。台東区立図書館の事業報告を見ても、谷中コミュニティセンター図書室は「図書館ではないが、図書館サービスの連携を行っている」と書かれています。

図書室の中の様子は、長方形のシンプルな部屋で、入口に近い辺りが児童コーナーで。そこから奥に向かって、カウンター、雑誌コーナー、一般書架、閲覧席と続いています。

§ 書架の様子

書架は、色褪せた本が多い印象を受けます。実際に古い本が多いのかもしれないし、窓が南側にあり、窓の外も目の前が広場で遮るものがないので、本が日焼けしやすいのかもしれません。

また、新書の書籍にはほとんど分類ラベルが貼られておらず、出版社別に分けて棚に入れてあるだけなので、検索機で分類記号を調べても、それを使わずに出版社と書名で探すことになります。この辺も「連携しているけど図書館ではない」施設の緩やかさでしょうか。実際、新書の冊数も少ないので、そんな分類でもどうにか探せてしまいます。

日本の小説は、著者名の姓の頭2文字+名の頭1文字による五十音順。例えば、赤川次郎(アカガワ ジロウ)なら「アカジ」、阿川佐和子(アガワ サワコ)なら「アガサ」となり、その3文字が五十音順になるように並べています。つまり、姓名の五十音順なら「アカガワ ジロウ」が「アガワ サワコ」より先になるところ、「アカジ」と「アガサ」を五十音順に並べることになるので、阿川さんの本の方が先に並ぶんです。また、複数の作家による作品集は、著者名ではなく書名の頭3文字をとって、五十音順並びの中に入ります。例えば、10人の作家によるアンソロジー『青に捧げる悪夢』は「アオニ」で分類され、青山七恵(「アオナ」)の本と青島幸男(アオユ)の間に並んでいます。日本の小説は少し複雑ですが、外国の小説は「英米文学」「ドイツ文学」といった具合に国・地域別に分類した上で、苗字の頭文字1文字で分類しているというシンプルな方法をとっています。

書籍以外には、CDも少しあります(雑誌コーナーと池波正太郎コーナーの間の棚)。また、検索機の左に、台東区情報閲覧用のネットPCもあります。児童コーナーには読み聞かせコーナーもあるし、小規模な図書館のつもりで使えば、そんなに不便を感じることもないと思います。

図書館エリア入口に近い児童コーナーは、小さいながらも靴を脱いであがれる読み聞かせコーナーもあり、図書室全体に占める割合も高い方です。同じフロアに児童が遊べる部屋があるので、その部屋と図書室の児童コーナーの両方を利用しに来る子どもも多いだろうと思います。

児童読み物は、日本人作家のものも外国人作家のものも一緒にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。絵本の分類は出版社別で、同じ出版社の中では何となくサイズ順に並んでいるという感じなので、この絵本が読みたいと決まっているときに、ちょっと探すのが大変かもしれません。書名や著者名を手掛かりに検索機で検索し、そのときに請求記号ではなく、出版社と大きさを確認して、それを元に探す必要があります。わからなかったり見つからなかったときは、遠慮なく職員さんに聞きましょう。

§ 閲覧席

奥の閲覧席は、カウンターに申し込んで利用する指定席です。20席ある指定席のうち、4席は女性専用席。昔は指定席制ではなく、もう少し気楽に利用できたのですが、現在はそういうわけにはいかなくなっています。

谷中コミュニティセンター1階のロビーも、昔はソファがあって、私も谷中散歩途中の休憩場所として使っていたのですが、今は丸椅子が数脚あるだけで、新聞も立って読むことになります。酒気帯びでの利用禁止の張り紙などが目立つので、過去に何かがあって、開放度を下げたのかもしれません。

今でもロビーには台東区の観光ガイドが何種類も置いてあったり、台東区に関する展示があったりして、散歩の休憩場所としていいところなんです。いい形で、以前の立ち寄りやすさが復活してくれればなあと思います。

§ 台東区や谷中のコーナーもあります

谷中散歩の立ち寄り場所という意味では、図書室内にも「池波正太郎コーナー」(浅草区、現台東区生まれ)や「谷中に関する図書」コーナーもあります。

といっても、「谷中に関する図書」は、地域誌「谷根千」のバックナンバーを除いたら、谷中に関する書籍より、浅草に関する本の方が多いですね(笑)。「池波正太郎コーナー」も、大部分は池波正太郎の著作ですが、佐伯泰英と司馬遼太郎の文庫本も並んでいて、“時代・歴史小説コーナーに片足を入れた「池波正太郎コーナー」”という様子でもあります。

そんな風なので、谷中についてちゃんと調べたい人は、谷中コミュニティセンター図書室より台東区中央図書館に行った方が資料が揃っていると思います。谷中コミュニティセンター図書室のこれらのコーナーは、もっと気楽に、谷中(もっと広く、台東区)でご当地の本を読むのを楽しむのにちょうどいい雰囲気ですね。

§ 谷中散歩の際の立ち寄り場所としてお薦め

これまで書いてきたように、「連携しているけど図書館ではない」という緩やかさを持った谷中コミュニティセンター図書室。これって、谷中散歩での立ち寄り場所としては、むしろ気楽に利用しやすいと思うんです。調べものなどの目的を持った人で席が埋まっている図書館より、公民館の延長っぽい雰囲気の方が入りやすいですよね。ふらっと図書室に入って、「谷根千」を読んで、次はここに行ってみようと決めたりとか、ね。

また、谷中は、日暮里駅を越えれば荒川区、千駄木や根津まで出れば文京区。荒川区の日暮里図書館や文京区の本郷図書館根津図書室も近いので、図書館巡り的にも文京区・台東区・荒川区の図書館を短時間で回れます。まあ、無理にあちこちの図書館を利用する必要もないのですが(笑)。遠来の方も、住民の方も、こじんまりとした谷中コミュニティセンター図書室の雰囲気を味わってください。