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文京区立根津図書室

文京区立根津図書室 訪問記

last visit:2014/10/24

文京区立根津図書室は、根津駅の近くの「不忍通りふれあい館」内にある図書室です。文京区で最も蔵書数が少ない図書館ですが、駅に近いこともあって来館者数は多く、小さな部屋の中に本がぎっしり詰まっています。

§ 図書館の場所

根津図書室は、根津駅から歩いて3分ほどの「不忍通りふれあい館」の2階にある図書室です。「不忍通りふれあい館」のやや西には根津神社、北へ進めば千駄木、東側は谷中と、下町散策を楽しめる場所です。根津駅から逆方向に行くと上野公園もあるし、休日に1日掛けてこの辺を散策するのもいいですね。根津図書室のある不忍通りふれあい館も「文京区内の高度な伝統的技術を保存・継承する目的のために設置された施設」とのことで、1階ロビーには伝統工芸品などの展示があります。同じく1階には休憩コーナーもあり、この建物自体が谷根千散策の立ち寄り場所というかたちです。

§ 図書館内の様子

さて、建物2階の根津図書室ですが、面積にして200㎡、文京区では大塚公園みどりの図書室に次いで小さな図書館です。蔵書数も文京区立図書館11館で最も少なく、まさに図書「室」という雰囲気の施設で、小さな部屋に所狭しと本棚が並んでいます。

図書室エリア入口を入ると、正面にCDコーナーがあり、その奥に児童向けの靴脱ぎコーナー。左方の中ほどにカウンターがあり、カウンターの前に書棚が並んでいます。書棚エリアのうち、入口に近い方が一般書架で、奥の方に児童向けや中高生向けの本が並んでいますが、児童読みものがある棚は、下の方に児童読みものを、上の段に一般用の家事関連本が置いてあるというかたちで、一つの棚に一般と児童が共存している状態です。

そのように限られた収納スペースにたくさん本を並べているので、初めて来たときには何がどこにあるのか少しわかりにくいかもしれません。室内に掲示している配架図も私が見つけた限り1つしかなく、もっと欲しいくらいですが、限られた棚側面などもほかの掲示物に使われていて、更に配架図を貼る場所がないのも事実。探している本があったら遠慮なく職員さんに聞きましょう。ちなみに他の文京区区立図書館では、新聞6紙の書評欄をそれぞれコピーして掲示しているのですが、それも根津図書室では無理で、根津図書室の蔵書が載っている部分のみを掲示しています。

そんな小さな施設ですが利用者数は多くて、面積では区内で下から2番目、蔵書数では区内で一番少ないながら、来館者数では下から4番目なんです。机席も児童向けのような低いテーブルに6席があるだけなのですが、時間によっては満席でその奥にある書棚を見るのを遠慮してしまいそうなくらい。ちなみにテーブルの奥の棚は、芸術や言語関連の本と日本の小説・エッセイの著者名頭文字が「あ」~「こ」の本なので、もし読みたい本が決まっている場合は予約機能を使ってカウンターに取り置きしておくのも手かもしれません。

そう、小説・エッセイは著者姓名の五十音順に並んでいるのですが、「こ」までが壁沿い、「さ」からカウンター前の書棚に飛んでいるので、探すときにはご注意を。ちなみに、アンソロジーなど複数の著者による小説・随筆集は、小説・随筆の並びの前(つまり壁沿いの棚の「あ」の前)にまとめて置いてあります。外国人の書いた小説は、「中国文学」「英米文学」「ドイツ文学」等の国・地域別に分類された上で、著者姓名の五十音順に並んでいます。

そのように、本の収納にも苦労している小さい図書室ですが、背の低い棚の上を利用して、谷根千が舞台になっている本や、森鴎外・夏目漱石・樋口一葉・石川啄木といった文京区ゆかりの文豪に関する本を集めたコーナーを作っています。図書室全体が狭いところに工夫していろいろ収納しており、その凝縮した様子に紛れてやや目立ちにくいのですが、特に谷根千が舞台の本はこんな本もという発見があります。佐々木譲著『警官の血』は谷中の派出所に勤務している警官が主人公だそうで、佐々木さん自身もどうやら谷中に住んでいるそう。谷根千散歩をしたら佐々木さんにお会いできるかも?

また、児童向けの靴脱ぎスペースもしっかり確保しています。大人用閲覧席と離れていないので大きな声での読み聞かせなどはしにくいですが、子どもが絵本を読んでいる間に親御さんが自分用の本を探すといったことは、子どもエリアと大人エリアが離れている大きな図書館より、こうした小さい図書室のほうがむしろやりやすいです。

絵本は、日本のおはなしと外国のおはなしを別にしたうえで、出版社の五十音順に並んでいます。児童向け読みものは、日本人作家の作品も外国人作家のものも一緒にして、タイトルの頭文字で分類しています。同じ頭文字の中の並びは、最初にシリーズものや著名な作品を並べて、その後にそれ以外の作品を五十音順に並べています。紙芝居や児童向けCDもあるので、普段の暮らしの中でちょっと親子で寄ったりするのは根津図書室、もっと本が多い図書館に行きたいときは1駅隣の千駄木の本郷図書館へといった具合に使い分けてもいいですね。

§ 「本がぎっしり」感が楽しいです

上で書いた本郷図書館は根津図書室からも距離にして1kmないので、本棚をじっくり見るというよりは、ネット上からの予約を活用して予約受取・返却ステーション的に利用している人も多いと思いますが、根津が登場する本を集めた小さなコーナーがあったり、谷中・根津・千駄木の地域雑誌『谷根千』のバックナンバーがあったり、地域にちなんだコーナーも設置されています。所狭しと並んだ本棚を物色していると、古本屋さんにいるような気分にもなります。

また、いかに限られてた収納スペースを活用しているかという点で面白いのが辞典類・行政資料・中高生コーナー。一番奥にある、書棚というよりは壁備え付けの書類用棚を使って、本を収納しているんです。かえって面白くて目が行ってしまうくらい(笑)。小さい区画の中に児童・中高生・一般の本が詰まっているので、大人が子ども向けの本を手に取ってみたり、子どもがちょっと大人びた本を読んでみるなど、垣根を越えた読書を楽しみやすい点もあると思います。

根津図書室の印象を一言でいうと、「本がぎゅっと詰まった部屋」。本に囲まれた部屋が好きな人は、大きくて広い図書館より根津図書室の方が居心地いいかも。書籍密度の高さを楽しんでください。

文京区立根津図書室 データ

住所東京都文京区根津2-20-7 不忍通りふれあい館2階 →Google Mapで見る
Tel03-3824-2608
開館時間
月~土曜9:00~21:00
日曜・祝日9:00~19:00
第3月曜の祝日9:00~17:00
定休日第3月曜(祝日の場合は開館し、翌日を休館)
12月29日~1月4日
最寄駅 東京メトロ千代田線 根津駅から徒歩3分
東京メトロ千代田線 千駄木駅から徒歩11分
東京メトロ南北線 東大前駅から徒歩15分
駐輪場なし。裏側に自転車がたくさん駐まっていますが、あそこは本来は駐輪場ではありません。
駐車場一般用駐車場はなし。建物裏側に障害者用駐車場1台分あり。
所蔵資料
図書所蔵数21,065冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
ありなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物の不忍通り側入口向かって左に箱型のブックポストあり
自動貸出機なし
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCカウンター向かって右にネット閲覧PC1台あり。利用は1回1時間、次に待っている人がいなければ30分のみ延長可能。
持参PC利用不可
LAN接続
  • 文京区公衆無線LAN「Bunkyo_Library_Free_Wi-Fi」の利用可能。利用は1回2時間、開館時間内は何回でも利用可能。利用の際は、メールまたはSNSアカウント(Google、Facebook、LINEのいずれか)での認証が必要。利用方法の詳細はこちらをどうぞ。
  • 館内に「docomo wifi」「ソフトバンクwifi」「au wifi」のアクセスポイントあり
飲食設備等
  • 建物1階の喫茶コーナーで持込飲食可能。飲料自販機1台あり。利用は9:00~19:00。
  • 着席時の蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)からの飲料摂取はOK。飲むとき以外は、机の上に置かず、鞄の中へしまってください。