墨田区立梅若橋コミュニティ会館図書室
墨田区立梅若橋コミュニティ会館図書室 訪問記
墨田区立梅若橋コミュニティ会館図書室は、隅田川にかかる水神大橋の東側に位置する、墨田区立図書館の中で最も北にある図書館です。隣に東京都リハビリテーション病院があるせいか、医学健康の本はとても見出しが多く、本を見つけやすいです。
梅若橋コミュニティ会館の最寄駅は東武伊勢崎線鐘ヶ淵駅。ここから隅田川を渡らんと北西に進む道の途中に梅若橋コミュニティ会館があります(詳しい道のりはこちら)。図書室はコミュニティ会館の1階右手にあります。
上記の道を、梅若橋コミュニティ図書館に入らずに進んでいくと、隅田川にかかる水神大橋へ続いています。ここは隅田川が荒川区と足立区の間で東西方向から南北方向にぐいっと向きを変える場所で、何ともダイナミックな風景。水神大橋から北を望むと、隅田川が左から流れ込む一方、高速道路の流れが右へと消えていく、水と車の流れのコントラストに見入ってしまいます。梅若橋コミュニティ会館がある墨田区側も、橋を渡った先の荒川区側も、隅田川に沿って公園があるので、図書室へ行くついでに散歩したり、天気がいい日なら公園で読書するのもいいですね。
梅若橋コミュニティ会館を入った右の一帯が図書室エリアです。図書室エリア手前右には、除籍蔵書をもらうことができるリサイクル本コーナーがあります。図書室に入ると、右手前にカウンターがあり、カウンターの先に書架が広がっています。カウンターの更に右の区画には新聞・雑誌やCD・ビデオ・DVD、また、入口入って左手前が児童コーナーです。カウンター脇にはネット閲覧PCもあります。
鐘ヶ淵駅自体が小さな駅ですし、梅若橋コミュニティ会館図書室も地元の人が利用する地域図書室といった雰囲気です。同じ建物内に体育館や児童館があり、平日の午後に行ったときには、放送係の子どもによる学童の子ども達への呼びかけが館内に流れていたりして、のんびりした気分を味わいました。
梅若橋コミュニティ会館図書室をはじめとした墨田区のコミュニティ会館図書室(梅若橋のほかに、東駒形と横川があります)は、面積も所蔵数も比較的多く、規模としては「図書室」というよりは「小規模図書館」という言葉がちょうどいいくらいですね。どのジャンルの本も網羅しているし、一般書架の中に漫画もあります。
日本の小説・エッセイは一緒にして著者姓名の五十音順で並んでおり、複数作家による作品集は頭文字が「わ」の作家の後にタイトルの五十音順でまとめられています。外国の小説は、中国文学・英米文学・ドイツ文学…と国・地域別に分かれた上で、著者姓名の五十音順に並んでいます。
生活関連やスポーツ、医学のような、ジャンル内で項目が細分化される棚は、見出しがたくさんついていて、目当ての本に辿りつきやすいです。たとえば、料理の棚は、「日本料理」「西洋料理」といった料理別の項目もあれば、「魚介料理」「野菜料理」といった素材別分類、また、飲み物に関しては「日本酒・焼酎・中国酒」「ワイン・ビール・ウィスキー」「カクテル」「コーヒー」「茶(緑茶・紅茶・中国茶)」「ジュース・ミネラルウォーター」とかなり細分化されています。
スポーツの棚も、「野球」「サッカー」といったメジャースポーツはもちろん、「ラグビー」「ボーリング」「ボクシング」などの見出しも立っています。細かく分類してくれない図書館だと、野球だろうがサッカーだろうが「球技」でまとめて著者名五十音順(つまり、野球の本が読みたいと思っても、スポーツの棚のあちこちに点在している)にしていたりするのですが、梅若橋コミュニティ会館図書室のように細かく分類してくれているのは嬉しい限り。F1好きの私としては、「自転車レース」という項目までしっかりあることに感動してしまいました!
医学の棚も、「内科」「外科」といった大雑把な分類だけでなく、「肥満症・糖尿病」「アレルギー(花粉症)・膠原病」「中毒症(食中毒・アルコール)」「高血圧・低血圧」といったかたちで、具体的な病名や馴染みのある言葉で見出しをつけて分類しています。医学は内容が多岐に渡るジャンルなので、このように分類を細分化している図書館は多いのですが、梅若橋コミュニティ会館は隣に東京都リハビリステーション病院があることで、特に充実させているのかもしれません。病院や医者から聞いた話だけでなく、自分でも知識を身につけて、健康な生活を送りたいですね。
また、パソコンに関する本は、図書館で使われる「日本十進分類法」だと007(インターネット関連)と548(ハードウェア関連)に分かれてしまうのですが、梅若橋コミュニティ会館図書室では、入口を入って左先の一画(作業室の手前左右両側の棚)に「パソコンコーナー」としてまとめてあります。図書館の分類の中には現代社会に対応していない面もあるのですが、オリジナルの並べ方でまとめてくれるとわかりやすいです。
CD・ビデオ・DVDも、図書「室」という言葉から想像されるよりは多く所蔵しています。DVDは、以前はタイトルを書いたカードをカウンターに持っていて貸出できる方式でしたが、現在はDVDケースに入って棚に並んでいます。また、自分で演奏をする人は、CD棚の下に楽譜がいろいろあるので、そちらもご利用ください。
ビデオの棚の隣には「すみだ散歩」と称して墨田区のお散歩マップを掲示しているコーナーもあります。マップの脇に新聞紙で作ったスカイツリーがあるのですが、根元が三角で上にいくにつれ円になっていくスカイツリーの姿をしっかり再現しています。墨田区の七不思議なる豆知識も貼られていて、それによると「隅」田川・「墨」田区と用いられる漢字が違うのは、1947年に向島区と本所区が合併して墨田区になった際に、「隅」が当用漢字ではなかったことから「墨」にしたのだとか。墨田区は区報などにも「すみだ」とひらがな表記を使うことが多いですが、本当は隅にしたかったという思いが込められているのかもしれませんね。
児童コーナーは大きな靴脱ぎスペースがあり、周囲をぐるっと囲む絵本や紙芝居の中から好きなものを取りだして読むことができます。机席には「女性・児童のコーナーです」とありますが、「勉強目的の人や保護者も利用できます」と書いてあるので、大人の男性は厳禁というわけではなさそうです。ちなみに、勉強用の席は、新聞・雑誌コーナーの窓際に面したところにも2席あります。
絵本は日本のおはなしと外国のおはなしを別にして、おはなしの作者の姓名五十音順に並んでいます。児童読み物も、著者姓名五十音順に並んでいますが、日本か外国かという二分類ではなく、中国のおはなし、英米のおはなし…といった具合に、外国作家の本は更に国・地域別に分けたうえで著者姓名五十音順になっています。
児童と女性の机席の横には、ティーンズコーナーもあります。いろんなジャンルの中高生向けの本を取り揃えているというよりは、ティーン向け小説が過半数というコーナーですが、学校案内や進路に関する本が並んでいたり、社会科学の本の中でも「14歳からの~」みたいな中高生向けに書かれた本もあります。
ティーンズコーナーと直角に隣り合っている壁には「子育て応援BOOK」コーナーがあり、絵本にガイドブックが並んでいます。難しい児童研究書ではなく、一般向けの絵本ガイドが並んでいるので、たくさんある絵本の中からお子さんのためにどれを借りたらいいのかわからないという方はぜひ利用してください。
梅若橋コミュニティ会館図書室に行って私が一番びっくりしたのは、新着図書コーナー。図書館の新着図書コーナーというのは、図書館で新しく購入した本を並べるところですが、梅若橋コミュニティ会館図書室の新着図書コーナーには、利用者からの寄贈で新しく図書館の蔵書となった図書も並んでいるんです。
寄贈本の場合は、本の「天」(本を立てたときに、上になる紙の切り口)に「寄贈」という判子が押してあるのでそれとわかるのですが、わりと冊数があるんです。このコーナーにある本は、その本が何月の新着本なのかを書いた紙を貼っているのですが、それを見ると、これまでの寄贈本を溜め込んだために冊数があるのではなく、確かに最近寄贈された本であることがわかります。
私は図書館の寄贈状況をきちんと把握しているわけではありませんが、図書室の規模からしてみれば、梅若橋コミュニティ会館の寄贈冊数はかなり多いのではないかと思います。ラインナップも、書店での最新刊とまではいきませんが、それほど古い本でもない感じです。人気のある本だと寄贈されたとたんに貸出に回るでしょうから、私が棚で見た印象より新しい本も寄贈されているかもしれません。
図書館は「いろいろな本を借りて読める場」ですが、そうやってサービスを受けるばかりでなく、自分が持っているものを持ち寄って他の利用者に貢献することもできる場なんですよね。利用者が図書館に対してできるサポートって、子どもへの読み聞かせボランティアや、破損した本の修理のボランティアなどもありますが、図書館への本の寄贈もその一つ。それが、新着図書コーナーにずらっと並ぶくらいされているというのは、素晴らしいことだと思います。図書館で働いている人だけが図書館を作っているのではなく、利用者も一緒に図書館を作っているような印象をうけます。
新しい寄贈本をこうしてわかるように並べてくれること自体もいいと思うんです。館内のどこかに「本を寄贈してください」と書いておくだけよりも、こうして実際に寄贈本が並んでいるのを見た方が、私も寄贈してみようかなと思う気持ちが高まるし、寄贈した人にとっても先日までこの棚にあった本がなくなっていたら、自分が寄贈した本を誰かが読んでくれているんだと嬉しくなりますよね。
一方的に図書館が与えてくれるものを楽しむだけが図書館利用ではない、自分から図書館に対しても何かをすることで、図書館に対する愛着も強くなるはず。梅若橋コミュニティ会館図書室では、そうした思いを強くしてもらいました。このサイトを見てくださる方は図書館好きだと思いますが、ぜひとも図書館を一方的に利用するだけでなく、双方向的に図書館を盛り上げていきましょう!
墨田区立梅若橋コミュニティ会館図書室 データ
住所 | 東京都墨田区堤通2-9-1 梅若橋コミュニティ会館1階 →Google Mapで見る | ||||
Tel | 03-3616-1101 | ||||
開館時間 |
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定休日 | 第3木曜(祝日にあたる場合は開館し、翌日休館) 12月29日~1月4日 | ||||
最寄駅 |
東武伊勢崎線 鐘ヶ淵駅から徒歩6分
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駐輪場 | 建物入口向かって手前右に駐輪場あり | ||||
駐車場 | なし | ||||
所蔵資料 | |||||
図書所蔵数 | 60,284冊(2023/03/31現在、出典『令和4年度 墨田区立図書館事業概要』) | ||||
CD所蔵数 | 2,440点(2023/03/31現在、出典『令和4年度 墨田区立図書館事業概要』) | ||||
カセット所蔵数 | なし(2023/03/31現在、出典『令和4年度 墨田区立図書館事業概要』) | ||||
レコード所蔵数 | なし(2023/03/31現在、出典『令和4年度 墨田区立図書館事業概要』) | ||||
DVD所蔵数 | 285点(2023/03/31現在、出典『令和4年度 墨田区立図書館事業概要』) | ||||
ビデオ所蔵数 | なし(2023/03/31現在、出典『令和4年度 墨田区立図書館事業概要』) | ||||
設備 | |||||
ブックポスト | 建物入口向かって右の壁面にブックポストあり | ||||
自動貸出機 | カウンター向かって右端にICタグ式自動貸出機1台あり | ||||
音声試聴設備 | なし | ||||
映像視聴設備 | なし | ||||
ネット閲覧PC | カウンター向かって左にネット閲覧PC1台あり。利用できるのは墨田区立図書館に利用登録している人で、1枠30分で連続2枠まで。連続2枠使用後に空きがあれば1枠ごとに延長することができ、最大120分まで利用可能。 | ||||
持参PC利用 | 新聞・雑誌コーナーの窓際に持参PC利用可能席2席あり。電源なし。 | ||||
LAN接続 | 館内に「ソフトバンクwifi」のアクセスポイントあり | ||||
飲食設備等 | 蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)の飲料に限り、館内での摂取可能 |