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渋谷区立西原図書館

渋谷区立西原図書館 訪問記

last visit:2014/01/04

渋谷区立西原図書館は、幡ヶ谷駅そばの住宅地の中にある図書館。全国各地の美術館・博物館の図録を収集している「美術館図録コーナー」があり、渋谷区内の美術館・博物館の一覧も配布しています。これからミュージアム巡りをしたい人にも、過去の展示を振り返りたい人にもお薦めの図書館です。

§ 図書館の場所

西原図書館は京王新線の幡ヶ谷駅から歩いて5分、千代田線小田急線の代々木上原駅からも歩いていける距離です。実は私、前に一度、西原図書館に行く際に道に迷ってこの周辺をぐるぐる歩いてしまったことがあるのですが、この辺りはなかなか雰囲気のいい住宅地なんですよね。そのとき道案内してくれた喫茶店のママさんによると、西原から大山町あたり(代々木上原駅に近付く方面)が閑静な住宅地なのだとか。最寄り駅の幡ヶ谷駅から来れば近いですが、代々木上原駅から散歩を兼ねてのんびり歩いてくるのもお薦めです。

§ 図書館内の様子

西原図書館は古くからある図書館ですが、改築を経て2010(平成22)年3月8日にリニューアル開館したので、建物もきれいでバリアフリー面も充実しています。建物2,3階が図書館なので、建物入口を入って右前方にもう一つある自動ドアへ進み、階段・エレベーターで上に上がってください。

上がった2階が、カウンター、児童コーナー、新聞・雑誌コーナー、参考図書(辞典類)・地域資料コーナー。ICタグ式自動貸出機も2階に1台あります。3階全体が一般書架。また、児童向けのおはなし会を行う際は、地下1階の部屋が会場になります。

児童・雑誌・カウンターなどの人の行き来が激しいエリアと一般書架が別になっているので、3階は特に落ち着いた雰囲気。先日、西原図書館に閉館時刻間際までいたら、閉館音楽に坂本龍一の『energy flow』(リゲインEB錠のCMに使われていた曲)が流れてきて、落ち着いた雰囲気にマッチした音楽がよかったです。図書館への意見箱への返事として掲示されていたのですが、西原図書館は坂本龍一のCD『ウラBTTB』に収録されている3曲を閉館音楽に使っているんですね。閉館間際の図書館のピアノのメロディーが流れる様子に、閉館時刻ぎりぎりまで粘って聞いていたくなってしまいました(笑)。

§ 2階の設備

2階は「凹」形のスペースで、凹の下中央にあたる部分にカウンターがあり、カウンターの左側が児童コーナー、右手前が新聞・雑誌コーナーで、右奥に辞書類・地域資料・大活字本。西原図書館の特色である「美術館図録コーナー」もこの右奥の一画にあります。

その奥の参考図書コーナーは、辞書類や地図、地域資料など。大活字本もこちらに並んでいます。新聞用の書見台が二人分しかないので、参考図書コーナーの机も新聞閲覧に使われることになりそうですね。新聞・雑誌コーナーも参考図書コーナーも、中央に席があり、壁沿いに棚があるという形(参考図書の方は壁沿いにも机が4席ある)で、席と棚の間の間隔がそれなりにあるので、あまり周囲に煩わされずに資料が読めると思います。

§ 児童コーナー

2階の1/3ほどを占める児童コーナーは、手前に読み聞かせコーナーがあり、奥に書架が並んでいます。読み聞かせコーナーは三方を囲まれているエリアなのですが、そのうち一方が不透明の仕切りに丸い窓が開いた形になっていて、死角を減らす意味でもいいですし、子供にとっても覗き窓っぽくてちょっと面白そう。また、図書館フロアとは別に「おはなしのへや」が地下にあり、図書館が子ども向けに行うおはなし会はそちらで行われています。

絵本は読み聞かせコーナーの周りに、日本人作家と外国人作家で分けて、物語の作者の姓名の五十音順に並んでいます。児童読みものも、日本人作家と外国人作家で分け、著者姓名の五十音順に並んでいます。また、児童コーナーを入った目の前の仕切りの裏にある棚には、渋谷区立図書館が選んだ「しぶやおすすめの本50コーナー」があり、絵本も児童読み物も含めたお薦めの本が並んでいます。この辺は読みもののエリアになっているので、絵本を探している方は気付きにくいかもしれませんが、こちらの棚もぜひ見てみてくださいね。

§ 3階の一般書架

一般書架は3階全体をつかってびっしり並んでいます。中央に楕円形のテーブルがあり、その周りを囲むように書棚が並んでおり、壁沿いに閲覧席が並んでいるかたちです。

料理の棚は、「健康・野菜」「各国の料理(ヨーロッパ)」「アジア(料理)」「保存食」「パン・お菓子」「飲み物」など細分化されていて探しやすいですね。日本の小説は著者名の五十音順、但し、複数の著者による作品集は、タイトル名を元に、五十音順の並びに入れられています。例えば、藍川京(アイカワ キョウ)が書いたの本の隣に、6人の作家による『I love you』(アイラブユー)という本が並び、その隣に青井夏海(アオイ ナツミ)が書いた本がある、といった具合になります。

外国の小説はちょっと不思議なことになっていて、「F3 外国小説」と分類された棚があり、各国の小説の翻訳が著者姓名の五十音順に並んでいるのですが、ここに入るのは英米文学・ドイツ文学・フランス文学等欧米を中心とした外国小説のみ。「中国の小説」(923)と「その他東洋の小説」(929)は、「F3 外国小説」とは別になっています。公共図書館での外国の小説は、国・地域別(書かれている言語の系統)で分類するか、どの国のものであろうと「外国小説」でひとまとめにするかの2パターンに大きく分けられますが、西原図書館のように東洋だけ別扱いにするというのは珍しいです。西原図書館で東洋文学を読みたい方はご注意ください。

ちょっと面白いのが、文学全集の棚。棚に差してある見出しを見ると、左側には著者名、右側にはその著者の顔写真が貼られているんです。棚の配置として左側が階段やエレベーターに近い方なので、書架に入って文学全集の棚に行くと、著名作家の写真が点在するかたちになっています。物理的に重たいし、読むのに身構えてしまいがちな文学全集ですが、お顔を拝見することで作家たちへ一歩近づくような気分。読んでみる作品を顔で選んでみるのもいいかもしれません(笑)。

また、全ての本棚ではないようですが、上段に地震対策用のシートが敷かれています。敷かれているのはキハラ株式会社さんの「安全安心シート」という製品で、棚板の上にこのシートを敷いて、その上に本を並べるというだけという設置が手軽な地震対策グッズです。滑り留めシートといえばわかりやすいと思いますが、シートを敷いてある段から水平に本を引き出そうとすると確かに抵抗がある感じ。といっても、意識して水平に取り出すのではなく、普通に取り出す分には問題ありません。日本は地震から逃れられない地帯にある国ですし、図書館でこうした対策をしっかりしてくれるというのは嬉しいですね。

閲覧席のうち壁沿いの席は、一人分ずつにデスクライトがついており、これ以上目を悪くしたくない私などには大変嬉しい設備です。壁沿いの各席の正面の壁にはカバープレートが2つあって、それぞれ「将来用コンセントBOX」「将来用LANBOX」というシールが貼ってあります。現在も、電源を使用しない持参PC利用はできるのですが、将来的には電源と優先LANも全ての席で利用できるのかもしれません。リニューアル開館のときからこの状態だったので、もうそろそろ「将来」が来てもいいように思います(笑)。西原図書館さん、図書館のPC利用環境を上げてください!

§ 美術館図録コーナー

さて、こんな様子の西原図書館が力を入れて収集しているのが、美術館や博物館の図録。リニューアル開館前から図録の寄贈を募ったり、美術館・博物館の協力をもらったりして集めた資料を、2階の参考図書コーナーの手前左の「美術館図録コーナー」に置いています。

棚を見ると、太田記念美術館や松濤美術館などの渋谷区内の美術館はもちろん、東京都内・外の美術館の図録がいろいろ並んでいます。発行している美術館の五十音順に並んでいるので、東京都現代美術館の図録は凝った判型のものが多いといった傾向も感じ取れたりします。こうした図録は、自分が鑑賞した展示なら記憶がよみがえってくるし、行こうと思って行けなかった展示の内容がわかったり、一度見始めると止まりませんね(笑)。

ちなみに、美術館の図録を集めている図書館は、23区内では練馬区の貫井図書館もそうです。貫井図書館は練馬区立美術館との併設施設で、こちらも練馬区立図書館の図録に限らず全国の美術館の図録を収集しています。図書館&美術館好きの方は、ぜひ西原図書館とともに貫井図書館も行ってみてくださいね。

これらの図録を見て、実際に美術館・博物館巡りをしたいという人は、美術館図録コーナー内で配布しているミュージアムマップをご参考に。渋谷区の地図の中に美術館・博物館が20館記されていて、たばこと塩の博物館やBunkamura ザ・ミュージアムといった有名どころが並ぶ中、「めがねの博物館」という博物館なんかも渋谷区にあるんですね。ぜひこのマップを手に、渋谷区内のミュージアムを回ってみましょう!

渋谷区立西原図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  本の福袋
―2014年1月4日から13日までの企画
去年に引き続き、2014年年始も中身が見えないように本を包んで貸し出す「本の福袋」を開催しており、私も借りてみました。
  本の福袋
―2013年1月4日からの企画
3冊の本を詰め合わせて貸し出す「本の福袋」。中身は見せずに袋にテーマが書いてあり、それを手掛かりに袋を選んで借りる企画です。どんな本が入っているかは、借りてからのお楽しみ!

渋谷区立西原図書館 データ

住所東京都渋谷区西原2-28-9 西原区民複合施設2,3階 →Google Mapで見る
Tel03-3460-8535
開館時間
火~土曜9:00~19:00
日・月曜、祝休日9:00~17:00
定休日第1,3月曜・第2,4月曜の翌火曜・第2木曜(祝休日にあたる場合は開館し、直後の平日を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 京王新線 幡ヶ谷駅から徒歩5分
東京メトロ千代田線小田急小田原線 代々木上原駅から徒歩15分
駐輪場建物正面向かって左右手前に自転車用駐輪場あり。バイク不可。
駐車場一般用駐車場なし。建物正面向かって手前右に障害者用駐車場1台あり。
SNS等
所蔵資料
図書所蔵数74,473冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって右の壁面にブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機2階にICタグ式自動貸出機1台あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用机席で持参PCの利用可能。電源なし。壁沿いの各机席に「将来用コンセントBOX」と書いてあるカバープレートがあるので、将来的には電源が使えるかもしれません。
LAN接続館内用無線LANの利用可能
飲食設備等
  • 建物1階に飲物自販機1台あり
  • 着席時の蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)からの飲料摂取はOK、それ以外の飲食は不可。