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渋谷区立富ヶ谷図書館

渋谷区立富ヶ谷図書館 訪問記

last visit:2014/10/10

渋谷区立富ヶ谷図書館は、井ノ頭通りと山手通りが交差する地点のそばにあり、富谷小学校のプールの下が図書館になっているという、面白い構造の図書館です。小さい図書館ですが、職員さんの温かい思いが館内にあふれています。

§ 図書館の場所

富ヶ谷図書館は、小田急線代々木八幡駅や千代田線代々木公園駅から、歩いて5分もかかりません。どちらから行く際にも山手通りの下をくぐる通路を進むのですが、通路の壁面には、♪兎追ひし、かの山~の「ふるさと」の歌詞とそれにちなんだ絵や、♪春の小川はさらさら流る~の「春の小川」をイメージした絵が描かれています。「ふるさと」や「春の小川」を作詞した高野辰之は渋谷区に住んでいたそうなので、それにちなんで壁画に描いているんでしょうね。

富ヶ谷図書館には、その名前にちょっと不思議なところがあるんです。二つの駅から山手通りをくぐる手前付近は「渋谷区富ヶ谷」なのですが、くぐった先の富ヶ谷図書館のある側は「渋谷区上原」なのです。つまり、富ヶ谷ではない場所に建てられた富ヶ谷図書館。更に、接してる小学校の名前は「富谷小学校」。小学校の方には「ヶ」がないんです。私もサイト読者さんに教えていただいて知ったのですが、なぜこうなったのか不思議ですね。

§ 図書館内の様子

図書館は富谷小学校のプールの下のワンフロア、といっても、小学校の中から見なければこの上にプールがあるとはわからず、正面から見ると1階建ての図書館が建っているようにしか見えません。入口を入って通路を少し進むと、左手前にカウンターがあり、カウンター正面から右手前にかけてが児童コーナー。右先に新聞・雑誌コーナーがあり、奥の方から左側にかけてが一般書架となっています。規模の小さい図書館ですが、いろいろ工夫してたくさん本を置いてくれている印象です。

§ 児童コーナー

やはり小学校に接しているという立地からか、児童コーナーの占める割合が広いです。書架全体の半分弱は児童コーナーといえますね。渋谷区立図書館全体の図書総数に対する児童書の割合が20%弱なのですが、富ヶ谷図書館の児童書の割合が32%である(『平成23年度 東京都公立図書館調査』にある2011(平成23)年4月1日現在の数字)ことを見ると、その多さがわかります。

児童コーナーで一番目立つのが、図書館に入ってすぐ目に入る児童向け特集コーナーの看板。毎回職員さんの手作りで作られている看板は、裏も凝っているのです。ぶたの特集のときには裏にぶたの尻尾が描かれていたり、かいじゅうの特集のときには「う゛ふぉふぉ」と怪獣の鳴き声が書いてあったり、何か気になる裏側になっているんです。

その特集コーナー看板向かって右が絵本コーナー。絵本は、日本のおはなしと外国のおはなしに分けて、タイトルの頭文字で分類しています。おはなし会を行う際には、このスペースをカーテンで仕切って行っています。カウンター前にある児童読み物は、日本人作家の作品と外国人作家の作品に分けたうえで、著者姓名の五十音順に並んでいます。

カウンター前の棚に児童向けの読みものがあり、カウンターに向かって設置されている棚には、「しぶやおすすめの本50」が集められています。このおすすめの本には、絵本から分厚い読みものまで幅広い対象年齢の本が含まれています。富ヶ谷図書館で絵本を見るとなると、絵本コーナーだけに目が行ってしまうかもしれませんが、こちらの棚もぜひ参考に。絵本は、「しぶやおすすめの本50」棚の一番下の段にあります。

§ 一般書架

面積では児童コーナーに多くをさきつつ、大人のニーズにも応えようということなのでしょう、一般書架はスペースを駆使してしています。大きい本は、本の背を上にして棚に入れられていることも多いです。

日本人が書いた小説とエッセイは一緒にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。但し、アンソロジーなど複数の著者による小説本はタイトル名を元に、五十音順の並びに入れられています。例えば、穂村弘(ホムラ ヒロシ)が書いたの本の隣に、7人の作家の共著である『ホラー・ジャパネスクを語る』という本が並び、その隣に堀和久(ホリ カズヒサ)が書いた本がある、といった具合になります。外国の小説は、国別分類はされておらず、“外国文学”でひとまとめにして、著者姓名の五十音順に並んでいます。

富ヶ谷図書館は、以前行ったときには別冊宝島が多い印象があったのですが、段々その印象が薄れています。私が富ヶ谷図書館の職員さんに聞いた話では、別冊宝島が出版されるたび全てを購入していた時期もあったそうですが、現在はそうしたことは行っていないとのこと。それでも、書名に「別冊宝島」を含む資料を検索すると、中央図書館が122冊なのに対し、富ヶ谷図書館は222冊(2012/6/7現在)。現在でも、渋谷区立図書館の中で富ヶ谷図書館が一番別冊宝島を所蔵していることは変わりありません。

また、新聞・雑誌コーナーの一画の統計や白書が並んでいる棚には、渋谷区内に大使館がある各国の資料があります。渋谷区にどんな国の大使館があるかご存知ですか?ここに並んでいるのは、マレーシア・ベトナム・トルコ・モンゴル・ヨルダン・オマーン・ウガンダ・ギニア・アラブ首長国連邦・エストニア・ニュージーランド・ペルー・ブルガリア・チェコ・デンマーク・ブルキナファソ・ラトビア・クロアチア・コートジボアールの19カ国。あまり馴染みの無い国でも、渋谷区内に大使館があると知ると、親近感が沸きますね。

§ 小規模図書館ならではの工夫がいろいろ

閉架書庫がカウンターから見て左にあるのですが、よく見ると閉架書庫の扉が外されていて、その代わりに手前から二番目の棚のそばにお手製の扉が設置されているんです。つまり、閉架書庫の手前の1列分だけを開架に改造したんですね。想像するに、蔵書が増えていって、棚を増設してもさらに蔵書が増えて、これは閉架の一部を開架にするしかない!ってことで、職員さんがDIYで作ったのではないでしょうか。キレイな施設もいいけど、こういう手作り感のある図書館もいいですね。

先程から狭さを強調する文章になってしまっていますが、家事関連本の棚と隣の棚の間は、他のところよりスペースが広くなっています。これは利用者が多くて、このような配置にしてくれているのかもしれません。以前、車椅子の方も含めて4人がこの辺の棚を見ているという状況になったのを見たことがありますが、お互いぶつかったりすることもなく本を選んでいらっしゃいました。

書棚の工夫ではありませんが、児童エリアに「授乳をなさりたい時、男性がおむつ交換をなさりたい時には、カウンターへ声をおかけください」というメッセージがあるのもいいですね。男性の子育て参加も望まれているにも関わらず、女子トイレにオムツ交換台を設置してそれでいいだろうといわんばかりの施設も多いなか、こうして男性への声掛けもしてくれるのは嬉しい配慮。私がこのサイトを運営している2005年からこれまでの間にも、父親&子どもで図書館に来る光景を見る機会が増えています。図書館という公立の施設こそ、先頭を切って子ども連れの男性にも居心地いい空間であって欲しいと思います。

ちなみに、この富ヶ谷図書館、渋谷区立図書館ホームページの施設紹介では「小粒でもピリッと辛い富ヶ谷図書館をお楽しみ下さい」とあります。私の印象だと、「ピリッと辛い」というよりは、職員さんの温かみを感じる図書館という印象。ピリッとする香辛料で、図書館が温かくなっているのかな(笑)。館内を回っていると、手作りの工夫が感じられますよ。富ヶ谷図書館で、この温かみを味わってくださいね!

渋谷区立富ヶ谷図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  やみぼんカバー 2015
―2015年10月16日から11月23日までの企画
中身を開かずに、本の書き出しだけをヒントにして本を選んで借りる企画で、2014年に実施された好評企画を2015年にも実施しています。著名作品の本の書き出しを栞にしたものや、書き出しを集めた冊子なども、同時に配布しています。
  「やみぼんカバー」~なかはひ・み・つ~
―2014年10月10日から11月16日までの企画
中身を開かずに、本の書き出しだけをヒントにして本を選んで借りる企画です。2014年秋に渋谷区立図書館全体で「ふしぎ」をテーマにさまざまな企画を行っており、その一つとして富ヶ谷図書館で実施されました。
  本の福袋
―2013年1月13日からの企画
3冊の本を詰め合わせて貸し出す「本の福袋」。袋に書かれたテーマを手掛かりに中身がわからないまま借りるというイベントで、大人用と子ども用それぞれある中からビビッときた袋を借りてきました。

渋谷区立富ヶ谷図書館 データ

住所東京都渋谷区上原1-46-2 →Google Mapで見る
Tel03-3468-9020
開館時間
火~土曜9:00~19:00
日・月曜、祝日9:00~17:00
定休日第1,3月曜・第2,4月曜の翌火曜・第2木曜(祝休日にあたる場合は開館し、直後の平日を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 小田急小田原線 代々木八幡駅から徒歩3分
東京メトロ千代田線 代々木公園駅から徒歩4分
東京メトロ千代田線小田急小田原線 代々木上原駅から徒歩12分
駐輪場建物向かって右に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数56,157冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物の入口向かって右の、入口から一段奥まった壁面にブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機ICタグ式自動貸出機1台あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用操作音など他の方の迷惑にならないように使用するという制限つきで、館内で持参PCの利用可能。電源なし。
LAN接続なし
飲食設備等風防室(出入口スペース)での蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)からの飲料摂取はOK