こまちゃんのお楽しみ袋(2014年版)
visit:2014/12/15
豊島区立図書館では年末年始に地域館で「本の福袋」を実施しており、私も各館を回って楽しんでいます。どんな企画か説明しますと、図書館の本が数冊セットで袋詰めになっており、袋に中身のテーマが書いてあるものの実際に入っている本が何なのかはわかりません。利用者は袋に書かれたテーマから好きなものを選び、貸出手続きしてから中身を開けてはじめて何が入っているかわかるというわけです。自分の知らない本に出会えたり、普段は読まないジャンルの面白さを知ることができたりする楽しい企画です。

豊島区立駒込図書館でも、そうした本の福袋企画を図書館のマスコットになぞらえて「こまちゃんのお楽しみ袋」と題して、2014年12月15日から実施中。一般向けと児童向けがあり、どちらも3冊入り。一般向けはカウンター向かって左、児童向けは児童エリア中央付近の棚脇に、たくさんの袋がずらっと並んでいます。特に、児童向けは対象年齢によって低学年向きが赤、中学年向きが緑、高学年向きが紺と袋の色が分かれており、色合い的にクリスマスプレゼントのよう。
この「こまちゃんのお楽しみ袋」の様子ですが、図書館員さんに断って他の利用者が写らないようにすれば、写真を撮ってもいいそうです。私は図書館を出た後に知り合いの図書館員さんからそのことを聞いたために写真を撮ることができませんでしたが、その方から送っていただいたのが掲載している写真です。ね、クリスマスプレゼントみたいでしょ。

ちなみに、一般向けは緑・紺・茶の袋でこちらは特に中身と色の関連はなし。この袋の色に関して知り合いの駒込図書館の図書館員さんに聞いた話ですが、去年のこまちゃんのお楽しみ袋(一般向けは全てピンクの袋だった)のアンケートの中に、男性の方から「ピンクの袋で持ち帰るのが恥ずかしかった」という意見があり、男性でも手に取りやすい色合いにしたそう。その方も既に、今年のお楽しみ袋を借りて楽しんでいるかもしれません。
さて、こうして袋がたくさん並んでいると、気になるのは各袋のテーマとその中身。私、いろんな図書館の福袋企画を回るうちに、福袋のテーマをメモするのも素早くなってきました(笑)。その技を駆使して並んでいる袋のテーマ全てをメモしてきたので、気になるテーマをぜひ探してみてください。
児童・低学年向き | |
気をつけて! | よいまほう?わるいまほう? |
まじょ | レッツ!クッキング! |
児童・中学年向き | |
男の勝負 | まじょ |
どうぶつ | ミュージック |
児童・高学年向き | |
サッカーでつなげてみた | 宇宙 |
食べもの | きみの知らない博物館 |
中国古典 | でかっ! |
なぞをとけ! | |
一般向き | |
氷 | 晩酌のお供に! |
星・宇宙そして地球 | グリムブラザーズ |
わくわく♪アレンジレシピ | 効き目、あるかな? |
人のために | お米 |
絵の楽しみ色々 | 昭和の暮らし |
暦~こよみ~ | 美しい建物 |
和の楽しみ | 居酒屋 |
数学は嫌いですか? | 健康が一番 |
光百景 | イタリア |
橋のはなし | 馬 |
図書館に行こう! | ザ・昭和 |
僕らはみんな生きている | 若い人たちの物語 |
「私小説」の世界 | お仕事小説 |
どうでしょう。私が行ったのはこまちゃんのお楽しみ袋貸出初日の12月15日なので、上に挙げたものの中には既に誰かが借りてしまっているものもあるだろうし、逆に初日には出てなかった袋が補充されているかもしれませんが、気になるテーマはありましたか?
上の写真ではわかりにくいかもしれませんが、それぞれの袋にはテーマにだけでなく中身に関する数行のメッセージも添えられているので、それもヒントに選べます。本の福袋企画は他の豊島区立図書館でも実施していますが、袋に関する説明が一番多いのが駒込図書館なので、たくさんヒントをくれる方が選びやすいという人はこの「こまちゃんのお楽しみ袋」がお薦めです。逆に、中身がわからない面白さをより楽しみたいという人は、他の豊島区立図書館にも足を運んでみてください。

どんな袋があるのかじっくり吟味して、私も1袋借りてきました。写真の撮り方に失敗して袋のテーマが隠れてしまっていますが(笑)、私が借りたのは<「私小説」の世界>という袋です。ここのところ小説をあまり読んでおらず、かといって、現代人気小説のありがちストーリーは読む気がしないので、私小説でも読んでみようかと。
袋に添えられたメッセージ「世捨て人の風情。ささやかな静かな日常を大事に想い好んだ革命的作家三氏、孤高の筆致……必読。」にも、誰のことだろうと知りたくなりました。一般向けの福袋は中身を予想するのは難しいですが、児童向けのものは、このテーマならあの本かな…などと中身を予想するのも楽しいんです。
ちなみにこのお楽しみ袋は、お買得の商品を入れたお店の福袋とは違い、あくまでも「中身を隠して貸し出す企画」なので、中に入っている本は期限までに返却する必要があります。返却の際は通常の貸出本と同様に1冊ずつで構わないし、包装紙は返却する必要はありません。

駒込図書館では、去年もそうでしたが、貸出のときも工夫をしてくれていて、こまちゃんのお楽しみ袋を借りた人には専用の日付スタンプ貸出票をくれます(写真)。というのも、豊島区立図書館システムでは貸出票に貸出した本のタイトルを印刷してしまうので、それをそのまま渡してしまっては、袋を開ける前に中身がわかってしまう。企画通り「開けてからのお楽しみ」にするために、タイトルを印字しない貸出票を用意してくれているんです。この貸出票のお馬さんが、駒込図書館のキャラクター「こまちゃん」です。
注意深い人は、この貸出票を見て不思議に思ったのではないでしょうか。私が福袋を借りに行ったのが12月15日、それなのに貸出期限が2015年1月15日。どうして1ヶ月も借りられるのか。実は、豊島区立図書館は2015年の年始にシステム入替を行うため1月14日まで休館し、それに応じて年始に借りた資料の返却期限が延びるのです。図書館が開いてないのは不便ですが、その分貸出期間が長くなるというメリットを活かさない手はありません。これまで、本の福袋企画に対して読み切れないからと見送っていた人も、今年なら借りやすいです。

というわけで、さんざん引っ張りましたが、中身の開陳です。<「私小説」の世界>に入っていたのは、『井伏鱒二自選全集 第十二巻』、『鳴るは風鈴』木山捷平著、『妙高の秋』島村利正著でした。『井伏鱒二自選全集 第十二巻』は閉架、『妙高の秋』は大活字本で、自分ではなかなか手に取らない本。どんな孤高の世界が待っているのか、読むのが楽しみ。駒込図書館の職員さん、ありがとうございます。
ちなみに、大活字本というのは図書館によくある資料で、視力が弱い人向けに通常より大きい書体で印刷された本なのですが、私の視力(眼鏡をかけてギリギリ運転免許証の視力検査に通る)くらいでも意外と読みやすく、ぜひ活用して欲しい本です。以前、読みたい本を検索予約し、届いてみたら大活字本だったということがあったのですが、そのとき私くらいでも使える本だと気付きました。1ページの文字数が少ないのでページをめくるのが速くなり、自分の読書スピードが上がった気分にもなれます(笑)。
こまちゃんのお楽しみ袋はなくなり次第終了ですので、ご興味ある方はぜひお早めに駒込図書館へ。2014年度の豊島区立図書館の長い年末年始、読みたい本を借りるだけでなく、道の本との出会いをぜひ楽しんでください。