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謎解きイベント「葛西図書館と挑戦状」

―2016年11月5日のイベント
visit:2016/11/05
§ 葛西図書館で初めての謎解きイベント

「読書の秋」という言葉があり、読書週間(10月27日~11月9日)もあることから、秋は図書館イベントが多数開催されます。何か面白いイベントがないかと図書館の公式サイトを見ていたら、2016年11月5日に江戸川区立葛西図書館で謎解きイベントが開催されるという情報が目に入り、面白そうだと参加してきました。

謎解きイベントは、専用の劇場のほか、鉄道やショッピングモールなどでも開催しているので、ご存知の方も多いと思いますが、最初の謎を解いて指定の場所に行くと次の謎が出題され…と謎を辿って、最終的な答えを解いてゴールすることを目指す遊び。江戸川区立図書館は、東部図書館松江図書館でも開催実績があり、図書館謎解きイベントが都内で一番活発な自治体といっても過言ではありません。

謎解きイベントには大きく分けて2つのタイプがあり、参加者が好きな時にスタートでき、制限時間もないスタイルと、開始時刻・終了時刻が決まっていて、参加者全員が一斉に制限時間までに謎を解くスタイルがありますが、今回は後者の制限時間があるやり方。イベントを開催している間も図書館は開いていて、他の利用者がふつうに図書館の中で過ごしていますが、よく見ると館内の壁や棚の横などに謎が仕込まれており、それを辿って謎を解いていきます。

イベント開始時刻になり、集合場所である3階視聴覚室に参加者が集まって、イベントの説明を受けていたところ、「大変です!皆さん、来てください!」と別の職員さんが入ってきて、謎解き公演がスタート。葛西図書館に爆弾が仕掛けたとの宣戦布告が届き、制限時間までに館内に張り巡らされた謎を解けば、爆弾を解除してやるというのです。さて、無事爆弾を解除できるかどうか、謎解きのゴールを目指して参加者が館内に散らばります。

§ トラップに気をつけろ!

私は面白い図書館イベントの様子をサイトで取り上げたいので、謎解きイベントは参加できる限り参加していますが、その中でもこのイベントはかなり手強かったです。

難易度を高くしている要因の一つは、ダミー問題があること。少なくとも、私がこれまで参加してきた図書館の謎解きイベントでは、必要な問題やヒントしか館内に隠されていません(=仕込まれている問題・ヒントは全て使われる)でしたが、このイベントでは正しい道順で辿る問題以外にもダミー問題が用意されているんです。しかも、よく間違えそうな場所に。つまり、一つの問題に対して、正しい答えの場所に次の問題が出題されているだけでなく、間違えて行きそうな場所にダミーの問題が出されている。意地が悪いというべきか、凝った謎解きを作ってもらって感謝するべきか(笑)。

謎解きを進めていて、どこかの時点で問題が解けない場合(問題が意味不明、図書館には絶対存在しないものが答え、など)、自分がその問題を解けていない可能性もあるけど、その問題を辿ること自体が間違っている可能性もあるわけで、トラップに引っかからないことが大事なのですが、私も見事にひっかかりました。そして、同じ場所で他の参加者さんもハマっていたので、図書館員さんの罠が上手だったと言えるでしょう。ホント、やってくれます、葛西図書館。

§ 葛西図書館を隅から隅まで知るべし

そして、問題自体の難易度も高く、推理力とともに葛西図書館の分類・配置もわかっていないと解けません。いや、図書館の謎解きイベントは、参加を通じて図書館の仕組みを覚えてもらうのも開催目的の一つなので、他の図書館の謎解きでも分類や配置を謎解きに組み込むのですが、この謎解きイベントの場合、「葛西図書館の」分類の仕組みを「かなり詳しく」知らないと解けないのです。

例えば、「(前略)今から乗れる新幹線の時間を知るために108番の棚へ急げ」という問題がありました。図書館で「108」のような数字が示されたら、まっさきに思い浮かぶのが分類記号(図書館の本のラベルに書いてある数字)ですが、分類が108の棚を見ても新幹線の時間なんてわかりません(でも、ダミー問題はしっかりと分類108の棚にあり、私がハマってしまったのがここ)。図書館によっては、どの本がどの棚にあるのかを説明しやすいように、棚に番号をつけているところもありますが、葛西図書館に棚番号108番という棚は存在しません。

では何なのかというと、葛西図書館には、資料ごと(シリーズごとというべきか)に番号がついているものがあるんです。答えがわかってから振り返ると、「108」という数字だけに惑わされず、文全体をしっかり読めば難しくもなんともない問題なので、もっと早く気づけばと悔やまれます。たぶん、今でも同じ番号がついているのではないかと思うので、ご興味ある方はこの文章が何を意味するのか葛西図書館で考えてみてください。

問題の難易度が表れている例をもう一つ。図形から文字を読み解くと「R90セ」となる問題がありました。これは文字の体系からいって図書館の分類記号っぽいし、謎解きのために配られた葛西図書館の配置図にも「R」がついている棚があるので、そこに行けばいいと思いがち。でも、配置図で「R」がついている事典類(図書館用語でいうと「参考図書」)の棚に行っても、分類記号が「R90セ」の本はありません。

この謎を解くには、Rの後の数字が2桁であることに注目する必要があります。一般書架の事典類の棚に行っても、Rの後が3桁の数字のものしかない。であれば、R+数字2桁は何を示すのか。葛西図書館以外でもそうしている図書館は多いので、一般書架だけでなく図書館全体をよく利用している人ならピンとくるかもしれませんが、図書館には予約本を取りにいくだけとか、自分の好きなジャンルの棚しか見ない人には難しいと思います。

という感じで、難問に苦しめられているうちに制限時間が来てしまい、私は最終問題へあと1問というところで撃沈しました。悩んでいる人が多かったので、当初より時間制限を後ろ倒ししてくれたのですが、あともう15分あったら解けたのに…というのは負け惜しみですね。今振り返ると、ヒントをもらう権利が3回まであって、1回しか使わなかったので、もっと権利を活用すべきだったのかもしれませんが、自力で全部解かないと最後まで行っても達成感が得られないし(これも負け惜しみ)。悔しい思いで最初の集合場所に戻りました。

見事ゴールした人も残念な人も合わせて、参加者全員が揃ったところで、図書館から答えの解説。最初に書いたように、葛西図書館に爆弾を仕掛けた犯人を捜すという設定でしたが、最後に辿りついた答えは…あの優しそうな職員さんが犯人だったなんて!葛西図書館はときどき利用するのですが、私の心にはあの職員さんが謎解きの犯人として刻まれてしまいました(笑)。

§ イベント参加の記念品にも謎?

解説も全て終わった後は、このイベントの名前や日付、葛西図書館マスコットのカサイくんのシルエットが入った栞を記念にいただきました。私は常々、皆から集めた税金で運営している図書館がお金のかかるプレゼントなどで利用を誘うのは筋違いだと思っているのですが、こうしたシンプルな記念品は、比較的コストが低く、かつ、このイベントに来た人しか絶対にもらえない、参加の証。葛西図書館では別のイベントでもこうした栞をいただいたことがありますが、参加者としても納税者としてもいいプレゼントだと思いますし、作ってくださる職員さんの手間はかかっているので、その思いをありがたく感じます。

そして、もう一つ記念にいただいたものがあります。英語のフレーズがたくさん書かれたシートで、そのうちいくつかは映画の名ゼリフだと思うのですが、何を指しているのかよくわからないフレーズ(例えば、"Smile! Smile!! Smile!!!"とか。何かに使われているフレーズなのか、わかる方います?)の方が多く、謎解きの後にまた謎を出されたような気分。こちらは時間をかけて考えてみようと思います。

さて、いいところまで行ったけど、最後まで辿り着けなかった私としては、次の開催を期待したいところ。図書館もまた謎解きイベントを開催する予定だと話しており、第2弾が2017年8月25日に開催されます(既に定員に達して募集終了)。葛西図書館は、文学クイズグランプリなど、ほかにも面白いイベントを開催しているので、江戸川区立図書館の館内ポスター(自館の情報が中心ですが、区内の他館のイベントもときどき掲示しています)や江戸川区立図書館HPなどでぜひチェックしてください。そして、謎解き第2弾に参加する皆さん、トラップをかわしてゴールに辿り着くべく頑張りましょう!