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江戸川区立小岩図書館

江戸川区立小岩図書館 訪問記

last visit:2013/12/08

江戸川区立小岩図書館は、2012(平成24)年1月22日に千葉街道沿いに移設開館した図書館。区内で一番歴史がある図書館ですが、建物としては一番新しく、蔵書数はもちろん、閲覧席も充実しています。

§ 図書館のある場所

小岩図書館の最寄駅は、小岩駅ではなく、京成本線江戸川駅。ただ、江戸川駅からだと14分、小岩駅からは16分と、どちらから行ってもやや歩きます。バスで行く場合、江戸川区立図書館ホームページの小岩図書館の紹介ページには、「小岩警察 区民館」停留所か「小岩郵便局」停留所と書いてありますが、同じ小72系統の「東小岩六丁目」停留所の方が微妙に近い気がします。

小岩の町といえば、駅南口から伸びるたくさんの商店街。北口にはイトーヨーカドーもありますが、後から乗り込んできたスーパーなど何のそのと言わんばかりに、放射状にたくさんの商店街が伸びているのが面白い。小岩図書館3階の「小岩コーナー」によると、戦後駅前の闇市が場所を追い立てられた際、小岩用水が通る上に小屋を建てて移ってきた「小岩ベニスマーケット」という市が存在していたのだとか。そんな商業の町の雰囲気が今の雰囲気に続いているんですね。小岩図書館から道を挟んだ対面にも、歴史がありそうな古めかしい酒屋さんがあり、おぉっと覗いてしまいます。

§ 図書館内の様子

小岩図書館は、コミュニティ会館的設備も含まれる4階建ての建物です。1階が児童室、2階が新聞・雑誌、ティーンズコーナー、一般書架。3階がCD・DVD、地域・行政資料、参考図書、対面朗読室、閲覧室。4階が視聴覚室、集会室、音楽室という配置です。貸出・返却カウンターと自動貸出機は1階から3階までの各階に設置されており、各階の出口に盗難防止ゲートがあるので、その階の資料はその階で貸出手続きをすることになりますが、2階と3階は図書館エリア内でも階段で行き来できるので、2,3階の本はまとめて貸出手続きすることも可能。また、予約資料は2階カウンターに取り置きしています。

ちょっとびっくりしたのが、1階から4階まで各階に多機能トイレがあり、その全てがオストメイト対応であること。図書館巡りを通じてたくさんの公共施設を訪れていますが、1つしかない多機能トイレがオストメイト対応というのはそれほど珍しくない。でも、4つもある多機能トイレの全てがオストメイト対応というのは初めてみました。医学が発達するにつれ、こうした設備の必要性も増してくると思いますが、それにいち早く対応しているといえそうです。

§ 児童室

では、1階の児童室から上へと順に巡ってみましょう。ワンフロアを占める児童室は広々としており、授乳室も完備。右手前に靴脱ぎスペースがあるほかに、左側にも広いおはなしの部屋があります。書棚は、手前に絵本の棚があり、その奥に児童よみもの、更に奥にちしきの本があるという配置、蔵書数も多いです。

奥の柱の側ではキリンの絵の横にメモリがついており、お子さんが身長を測れるようになっています。本を借りに来たついでに、身長の記録もぜひ。小さいお子さん向けには、靴脱ぎスペースにあるタペストリーもお薦め。「おはなしなあに?」というボランティアさんが作ったタペストリーで、大きなかぶを抜こうとしているシーン、女の子がお花に入っているシーンなど、有名な物語のシーンがアップリケされています。

絵本は絵を描いた人名苗字の頭文字1文字で分類されており、同じ頭文字の中の並び順は、日本の主要な絵本作家→外国の主要な絵本作家→その他の絵本作家、という並び。例えば「セ」の棚は、「瀬川康男」「関屋敏隆」「せなえいこ」「せべまさゆき」「ルドミラ・ゼーマン」「モーリス・センダック」「フランソワーズ・セニョボス」「セ」という見出しが並んでいて、見出しがある7人以外の作品は最後の「(その他の)セ」に分類されます。

児童読み物は、日本の読み物、アジアの読み物、イギリス・アメリカの読み物といったように、国・地域別に分けたうえで、絵本と同じように頭文字ごとに、主要な作家→その他の作家と並んでいます。読みものについては、小学校1,2年生向けが黄ラベル、3年生以上向けが緑ラベルと色を分けているので、本選びの参考になります。

絵本や児童読み物の見出しをよく見ると、ところどころで作家名だけでなく、その作家の代表作が書いてあるので本探しのときに便利。たとえば、「アネット・チソン/タラス・テイラー」という作家名だけではわからない人も、見出しに「バーバパパ」という代表作も書いてあれば、あ、あれだとわかる。読みたい本が特に決まっていないときには、見出しの代表作から選んでみるのも面白そう。

小岩図書館の児童室にはキャラクターがいて、その名も「こいわん」。移設開館時にあった説明には、5歳の男の子の犬で、愛読書は『犬の品格』とありました。どんな内容の本なのでしょう(笑)?小岩図書館にある自動貸出機のメインメニューを飾っているのが「こいわん」で、児童室の貸出機だけでなく全フロアの貸出機でこいわんが活躍しています。

§ 2階の様子

2階は、入口を入ると左にカウンターがあり、右手前が新聞・雑誌コーナー、その隣がティーンズコーナーで、奥一帯が一般書架です。座席は、新聞・雑誌コーナーにソファが並ぶほか、入口から見て右の窓際に机席が並んでいます。カウンター正面にある展示コーナーでは、毎回面白そうな本をピックアップして紹介してくれています。

料理本や手芸本はラベルプリンタの絵文字機能をつかって分かりやすく分類しています。これは現在の場所に移設される前の旧小岩図書館時代からしていた工夫で、レシピ本には鍋の絵文字、お弁当の本にはおにぎりの絵文字、パン・お菓子の本には食パンの絵文字といったように、イラストでパッとわかるようになっています。ただ、レシピ本は更に細かく「野菜料理」「肉料理」「和食」「中華料理」等々分類してくれている図書館もあるので、小岩図書館でも更なる分類をしてわかりやすくしてくれることを期待したいです。

日本の小説は頭文字ごとに、まず主要な著者の本を姓名五十音順に著者名見出しをつけて並べて、その後にその他の著者の本をひとまとめにしています。たとえば、「ノ」の棚をみると、「野崎六助」「野坂昭如」「野沢尚」「野中柊」「乃南アサ」と見出しが並び、それの5名以外の頭文字が“ノ”の著者は「その他のノ」に姓名五十音順で並んでいます。複数の作家による作品集は、タイトルの頭文字をとって「その他」に入るかたちで、例えば6人の作家による短編集『I love you』は、タイトル頭文字をとって「その他のア」に入ります。外国の小説は、英米文学・ドイツ文学・フランス文学…と国・地域別に分けたうえで、著者姓名五十音順に並んでいます。

ずらっと本が並ぶ書架のなかでもティーンズコーナーは親しみやすい雰囲気で、中高生ならずとも見たくなるコーナー。位置として一般向け展示コーナーの裏になるので、特集展示を見る流れでふらっと寄ってしまいます。市販の中高生向け図書はもちろん、私立・公立含めた江戸川区内の高校の学校案内などもあり、高校受験を控えている方はこうした情報も活用できます。

ティーンズコーナーにあるお薦めコンテンツは、ティーン向け広報誌「パタパタペーパー」。高校・大学・専門学校生のユース・スタッフと図書館職員さんが発行しているこの広報誌は、本の紹介、オモシロ写真、図書館の秘密、ユース・スタッフが本やアニメの関係者に聞いた話をまとめたインタビュー記事などが読みやすくまとめられており、私も毎号楽しみにしています。小岩図書館のティーンズコーナーには、旧誌名「ぐるぐるぐる」からのバックナンバーがファイリングされているので、ぜひ第1号からご覧ください。

「パタパタペーパー」は他の江戸川区立図書館でも配布していますが、小岩図書館ならではのコンテンツとしては、周辺の中学の生徒さんが書いたと思われるお薦め本ファイル。本のお薦め文が書かれた手書きPOPがファイルされているだけで特に説明はないのですが、「岩一生のオススメ本」「岩二生徒イチオシの本」「岩四生徒おすすめの本」とあるので、それぞれ小岩第一中学・小岩第二中学・小岩第四中学の生徒さんが書いたPOPなのではないかと思います。面白い本の情報としてだけでなく、自分が既に読んだ本について他の人がどう書いているのかなどを読むのも面白いです。

§ 3階の様子

3階は、資料としてはCD・DVD、地域・行政資料、参考図書があるフロアですが、面積的には閲覧席エリアが大半を占めています。座席は、自由に利用できる閲覧席、窓際のキャレル席、別室となっている閲覧室の3種類があり、キャレル席と閲覧室は時間・座席指定制で、カウンターに申し込んでの利用になります。時間は、9:00~12:45、13:00~16:45、17:00~21:15の時間帯を使用するかたちで、申込時に空席の中から好きな席を選べます。時間帯をまたいで利用したい場合はあらためての申込みが必要です。

ともに、時間・座席指定制であるキャレル席と閲覧室の違いはといったら、閲覧室では持参パソコンが使用できること。電源もありますし、公衆無線LANサービスのフリースポットを利用することもできます。ちなみにネット閲覧に関しては、3階のカウンターから見て左先にネット閲覧PCが2台設置されており、こちらは1回30分で利用できます。指定席やネット閲覧PCは、江戸川区立図書館の図書館カード(持っていない人は住所がわかる身分証明書)を提示しての利用になります。

CD・DVDは、所蔵数は区内の中央以外の図書館と同じくらいかな。落語CDは落語家別に細かく見出しがついているので探しやすい。まだ棚に余裕もあるので、これからどんなラインナップが増えるか楽しみです。

§ 小岩ってこんな町

訪問記冒頭で紹介した「小岩コーナー」は、3階カウンター向かって左の一画。小岩に関するいろいろな資料を揃えているこのコーナーは、旧・小岩図書館時代からあったのですが、前は狭い通路の脇にあってやや見づらかったんですよね。それが、こんないい場所に移されて嬉しい限りです!

大きなパネルで紹介されているのが、永井荷風も通ったという「小岩ベニスマーケット」。写真とともにマーケットができた経緯がまとめられているのですが、水路の上に小屋を建てて闇市を移したというエピソードにパワーも感じるし、それがうまく転んで撤廃の命令からも逃れられたというストーリーもいい。平成になってもなお商店街が残っている秘密がここにあるような気がします。

パネル下の棚にも、小岩ゆかりの作家・島尾敏夫(若い人には、漫画家のしまおまほさんの祖父といったほうがわかるかな)、実家が小岩にある名力士・栃錦(JR小岩駅の改札前には栃錦像が建っています)など、小岩ゆかりの人物に関する本がいろいろ。その他、小岩を舞台にした椎名誠の小説『哀愁の町に霧が降るのだ』もあるし、小岩が紹介されている東京のガイドブックなども並んでいます。

個人的には小岩コーナーの今後の発展にも期待です。小岩は奈良時代にまでさかのぼれる町だそうで、掘ればざくざくゆかり本が出てきそう。小岩ゆかり本のリストの巻末にも「小岩に関する資料について情報がありましたら是非お知らせください。」とあるので、本を読んでいて小岩に関する記述を見つけたら、小岩図書館にぜひご一報を!利用者と図書館で協力して、小岩情報を図書館に集積しましょう。

江戸川区立小岩図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  ビブリオバトル@小岩図書館
―2013年12月8日のイベント
江戸川区立図書館にとって初めての開催となるビブリオバトルに発表者として参加してきました。8人の発表者がそれぞれお薦めの本を持ち寄って、皆の投票で「チャンプ本」を決めるゲーム、とても盛り上がりました!

江戸川区立小岩図書館 データ

住所東京都江戸川区東小岩3-6-9 →Google Mapで見る
Tel03-3672-0251
開館時間9:00~21:30
定休日第4月曜(祝日は開館し、翌日を休館。振替休日は休館)
12月31日~1月2日
最寄駅 京成本線 江戸川駅から徒歩14分
JR総武線 小岩駅から徒歩16分
駐輪場建物正面向かって左側側面から裏側にかけて自転車駐輪場あり
バイク駐輪場は、建物裏側駐車場内にあり
混雑時は、建物正面側を臨時駐輪場として開放しています
駐車場建物裏側に一般用駐車場8台分、障害者用駐車場1台分あり
SNS等
所蔵資料
図書所蔵数147,188冊(2023/04/01現在、出典『江戸川区図書館 事業概要 令和5年度』)
CD所蔵数7,345点(2023/04/01現在、出典『江戸川区図書館 事業概要 令和5年度』)
カセット所蔵数なし(2023/04/01現在、出典『江戸川区図書館 事業概要 令和5年度』)
DVD所蔵数1,617点(2023/04/01現在、出典『江戸川区図書館 事業概要 令和5年度』)
ビデオ所蔵数なし(2023/04/01現在、出典『江戸川区図書館 事業概要 令和5年度』)
設備
ブックポスト建物正面入口向かって左の壁面にブックポストあり
自動貸出機ICタグ式自動貸出機が3台(1階1台、2階2台。うち、2階の1台は検索機との併用機)あり
音声試聴設備3階にCD試聴機2台あり
映像視聴設備なし
ネット閲覧PC3階にネット閲覧PC2台あり。
持参PC利用3階の閲覧室(14席)で持参PCの利用可能。電源あり。
LAN接続
  • 3階の閲覧室(14席)に「FREESPOT」のアクセスポイントあり
  • 館内に「ソフトバンク wifi」のアクセスポイントあり。緊急時(災害などのとき)は他の携帯電話会社のユーザーにも回線を開放するとのこと。
飲食設備等4階休憩コーナーに飲料自販機1台あり