改修前の港区立台場区民センター図書室
港区立台場区民センター図書室は2022年11月8日から休館して台場区民センター大規模改修を行いました。休館中は仮施設で運営をし、2024年2月28日からはリニューアルした台場図書館が開館しています。
以下は、改修前の港区立台場区民センター図書室の訪問記です。
改修前の港区立台場区民センター図書室 訪問記
台場区民センター図書室はゆりかもめのお台場海浜公園駅から徒歩3分。りんかい線の東京テレポート駅からも徒歩5分です。デックス東京ビーチの道路を挟んだ東隣に高層住宅があり、その1,2階の台場コミュニティーぷらざの中に図書室があります。
お台場海浜公園駅から行く場合は、改札を出て右に進むと台場コミュニティーぷらざのある建物の3階につながっているので、2階に降ります。2階のマルエツの前を進んでいき、マルエツの先で左折、突き当たりにある入口が台場コミュニティーぷらざの入口です。東京テレポート駅から行く場合は、テレポートブリッジで湾岸道路を渡って右に降りればマルエツの前に出るので、そこからは上と同じように進んでください。
とはいえ、お台場海浜公園駅や東京テレポート駅に降りて、デックス東京にも行かず、ヴィーナスフォートにも行かず、あえて台場区民センターに行く人はほとんどいないでしょう。お台場に住んでいる人が来るとしたら地上から入るでしょうが、地上1階の入口は建物西側、デックス東京ビーチがある側にあります。この建物のすぐ北はお台場海浜公園で、風が強い日は避けたいけど、天気のいい昼間には砂浜での読書も楽しめますね。本を読む場合は、砂や水で本が汚れないようにご注意を。
2階の入口から入った場合は左の突き当りが図書室、1階の入口から入った場合は、左先にあるエレベーターか階段で2階にあがり、そこから伸びている廊下をずっと進んだ突き当たりが図書室です。図書「室」という名にふさわしい小さな区画です。
円状の丸みを帯びた棚が入口近くにあり、奥に書棚が並ぶ図書室の間取りは、前方後円墳ならぬ「前円後方書架」と名付けたくなるような配置です。円になっている棚には絵本など児童向けの本が並び、放射状に並ぶ棚には新聞・雑誌や日本の小説、円の中心にはこれも円状に並んでいるソファがあります。奥の長方形エリアには主に一般書架やCDなど。片側の壁には閲覧机が並んでいます。
ただ、上の配置は概要にすぎません。小さい上に前円後方書架というユニークなかたちの空間に、多岐に渡る蔵書をうまい具合に収納するのは難しいようで、細かくみていくと同じジャンルにあてはまるものが離れた棚にあったりします。具体的には、日本の小説は著者名の頭文字が「あ」~「と」の本は円エリアの放射状の棚にありますが、「な」からは長方形エリアの壁沿いに飛びます。また、子どものちしきの本の大部分は円エリアにありますが、総記・哲学・歴史・社会科学にあてはまるものは、長方形エリア奥の壁にあります。本の場所がわからなかったら遠慮なく職員さんに聞いてください。小さい図書室なので職員さんを捕まえやすく、気軽に話しかけられますよ。
絵本は、日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、対象年齢で分けたうえで絵を描いた人姓名の五十音順に並んでいます。「ぐりとぐら」「バーバパパ」といった有名なシリーズは、円形の棚上にまとめておいてあるので、そちらもお見逃しなく。絵本が入っている円形の棚上の仕切りには、切り紙で作った「3びきのこぶた」「ブレーメンの音楽隊」などが飾られていて可愛らしいですよ。児童向けの読みものは、対象年齢で分けたうえで、日本人作家の読み物を著者姓名五十音順に並べたあとに外国人作家の読み物を著者姓名五十音順に並べています。
一般向け書架に目を向けると、日本人の書いた読みものは、小説もエッセイも一緒にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。但し、複数作家による作品集は、著者名ではなくタイトルの頭文字で分類され、頭文字分類の先頭に配架されています。つまり、「ア」の棚に行くと、まず書名の頭文字が「ア」の作品集が並び、その後に著者名頭文字が「ア」の小説・エッセイがが五十音順に並ぶという方式です。外国人の書いた読みものは、国・地域別に分類したりせず、外国の小説でひとまとめにしたうえで、著者姓名の五十音順に並んでいます。
児童向けの本を見ると、絵本、読みもの、ちしきの本のほぼ全てに対象年齢を示すラベルがついており、0~5歳向けがピンク、1,2年生向けが黄色、3,4年生向けが橙色、5,6年生向けが緑、中高生向けが銀色となっています。絵本や読みものに対してこうした対象年齢分けをする図書館は多いですが、ちしきの本についても対象年齢がわかるようにしてくれている図書館は少ないです。でも、「小学3年生にわかる星座の本を探している」という場合など、ちしきの本にも対象年齢を示してくれると助かりますよね。ぜひこの色ラベルを本探しの手掛かりとして活用してください。
また、これは台場区民センター図書室の特徴というよりは、港区立図書館の傾向かもしれませんが、洋画のサウンドトラックの割合が高いように感じました。お台場の住民は映画音楽好きの人が多いのかな。といっても、サウンドトラックを区別して分類していない図書館もあるので、しっかり分類しているこの図書室が多く見えるだけかもしれませんが。いずれにせよ、図書室の規模と比べてもCDの所蔵数が多いことは確かで、棚を見ていたら私も聴きたくなって、CDを借りてしまいました。
小さい図書室ですが、CDの試聴もできるし、パソコンを使える席もある(但し、電源なし)。そして大きな長所は、平日も土日祝も20時まで開館していて、小さいながらも他の港区立図書館(土日祝は17時で閉館)より開いている時間が長いのです。臨海副都心地域に住んでいる人なら、使わない手はありません。
図書室の棚をあれこれ見ていたら、年齢別にラベル分けされた子どもの本の中に、5,6年生向けの絵本というのもあったんです。どんなものがあるんだろうとみてみたら、宮部みゆきや京極夏彦が作話した怪談えほんや障害者問題を絵本のかたちにして描いたものなどがあり、大人にもお薦めしたい絵本でした。大人だって絵本や児童物語を楽しんでよくて、児童と一般がくっきり分かれている図書館より、台場区民センター図書室のようなエリア分けされていない図書館の方がそうした垣根を越えやすいと思います。ぜひいろんな本を手に伸ばしましょう。