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改築休館中に設置されていた港区立麻布図書サービスセンター

旧・麻布図書館から現・麻布図書館への改築のため休館した際、図書サービスセンターが臨時に設置されていました。

以下は、改築休館中に設置されていた港区立麻布図書サービスセンターの訪問記です。

改築休館中に設置されていた港区立麻布図書サービスセンター 訪問記

last visit:2012/12/21
§ サービスセンターまでの道のり

麻布図書サービスセンターは、麻布十番駅から徒歩3分ほど。麻布十番駅そばの一の橋交差点を東に少し進んだところにある日新ビルの1階です。地下鉄から行く場合は、3番出口か4番出口へ出ます。3番出口から行く場合は、地上に出たら折り返すように進んで目の前の横断歩道を渡ってから左折、高速の高架が何本も通っている下を渡った先に、電機連合会館が見え、その先の建物が麻布図書サービスセンターがはいっている日新ビルです。4番出口から行く場合は、これまた折り返すように進んで、目の前の横断歩道を反対側に渡ります。そのまま直進して高速の下をくぐれば、電機連合会館の隣に日新ビルがあります。

4番出口付近は麻布十番商店街。洒落たダイニングや老舗っぽいお店があったりする中を、近所の住民らしき人が自転車で通ったりしていて、気取った雰囲気と庶民的な雰囲気が混在しているのが面白いです。本を借りたついでに商店街をぶらりとするのもいいですね。

§ サービスセンター内の様子

この麻布図書サービスセンターは、麻布図書館が改築工事をしている間の臨時施設で、外観もオフィスビルです。公共施設だと思って探すと見逃してしまうのかもしれませんのでご注意を。建物入口前は階段になっていますが、図書館につながるインターホンが階段脇にあるので、車椅子の方などは遠慮なく職員さんを呼び出してくださいね。

そして、1階の麻布図書サービスセンターに入ってみると、予想以上の広さにびっくりします。図書館改築中の臨時施設というと、図書館のカウンター部分だけを取り出したような小さな施設を想像しますが、この麻布図書サービスセンターは小規模図書館くらいの大きさがあるといえるくらい。中の配置としては、入口付近がチラシやポスターが貼られている広報コーナー、その先に検索機や自動貸出機、ネット閲覧PCがあり、その先に新聞・雑誌コーナー、その奥一帯が児童エリア。新聞・雑誌コーナーに向かうかたちでカウンターがあります。

上の配置を読んで、一般書架はどこ?と思った方もいると思いますが、麻布図書サービスセンターは一般東京図書館制覇!はほとんど置いていません。児童コーナーの中で一番カウンターに近い一画に「麻布・六本木に関する資料コーナー」 と行政資料が置いてあるのが全てです。おそらく、広さに任せてあれもこれもと資料を少しずつ置くのではなく、予約取り寄せで利用できる資料はいさぎよくその機能に任せて、新聞・雑誌の最新号閲覧や子どもが直接本を手に取って選べる棚や靴脱ぎスペースなど、場所として必要な機能に絞って行うという方針なんでしょうね。

確かに、大人の行動範囲なら他の図書館にも行けるし、予約機能も使いこなせる。対して、子どもは車が多い港区内の別の図書館へといわれても心配ですし、小さい子は予約機能などを自分で使いこなせるとは限らない。それに絵本などは、やはり手に取って実際の絵を見て選びたいですよね。ただ単に図書館の機能を縮小して臨時窓口を開くのではなく、こうした機能に絞り込んだ割り切りのよさに、天晴れ!と言いたいです。

§ 機能を厳選した臨時施設

所蔵物を詳しくみていくと、絵本の棚には外国語絵本も英語・中国語・ハングルと3カ国語揃えていたり(英語が多数で、中国語・ハングルはそれぞれ十数冊ずつです)、貸出できる布絵本や、靴脱ぎスペースで遊べる木のおもちゃなど、児童コーナーは臨時でない図書館に比べても遜色ないくらい。絵本は日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、絵を描いた人の姓名五十音順に並んでいます。児童読み物も同様に、日本人作家のおはなしも外国人作家のおはなしも一緒にして、著者姓名五十音順にならんでいます。

また、授乳室もありますし、おはなし会も開催されています。考えてみれば、たまたま子どもが生まれた年に図書館の改築期間だったせいで、別の年に生まれた子どもが受けられるサービスを受けられないとしたら不公平。そうしたことも考えて、おはなし会も開催できる広さの事務所を臨時施設に選んだのかもしれません。

また、「麻布・六本木地域に関する資料」の脇では「麻布・六本木歴史散歩」という発行物も配布しています。これは麻布図書館で発行していたもので、臨時施設になってもそのまま発行し続けているようですね。年に1~数号しか発行していないらしき歩みの遅い発行物ですが、その分なかなか読みごたえあって、私の手元にある「平成24年度1号(10号)」(おそらく通算10号の意。2012(平成24)年12月に行ってこれが最新号として配布されていたことからも発行頻度は少ないことがわかります)で取り上げられている南葵文庫の話なんかもとても面白いですよ。

図書館がこうして機能を絞って臨時施設を運営しているわけですから、利用者のほうもうまく活用したいですね。新聞・雑誌コーナーなどは、棚と椅子の間も広くとっていて既存の港区立図書館よりゆったり過ごせるくらいです。これまで地域資料に関心がなかった人も、大人向け資料がそれしかないということで手に取ってみたら面白さに気付くかもしれませんね。ここにない資料は予約で取り寄せるとともに、手に取って見られる限られた資料もぜひ楽しんでください。