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世田谷区立経堂図書館

世田谷区立経堂図書館 訪問記

last visit:2013/06/17

世田谷区立経堂図書館は、経堂駅のすぐそば、小田急線の高架下にある図書館。駅に近くて、座席が少ない「立ち寄り型図書館」で、充実したビジネスコーナーは通勤帰りに寄りたくなります。

§ 図書館の場所

経堂図書館は小田急線の経堂駅のすぐそば、駅の改札から見て新宿方面寄りの高架線路下にあります。経堂駅を出ると、駅前ロータリーがあり、それを挟んだ向こう側が経堂図書館という近さです。

ただ、線路の直下以外は屋根がなく、雨の日には駅前ロータリーの右側を通っても、左側を通っても濡れてしまうのが残念。強いて言えば、左回りで行く方が屋根が多いので、雨の日にはこちらがお薦めです。

§ 図書館内の様子

高架下という場所から想像できるように、ワンフロアの長方形の図書館です。入口は駅の改札に近い方(西側)と東側の2箇所があり、改札側から入るかたちで配置を説明しますと、入口入って左にカウンター、右先にに新聞・雑誌コーナー。その奥にガラス張りの「おはなしのへや」があり、その先に行くと、右に児童コーナー、左にネット閲覧PCや指定席制閲覧席。その奥が一般書架で、そのまま真っ直ぐ進むと東側出入口に抜けられます。こうして文章にすると本当に長方形の図書館なんだなぁという感じ。通路の左右に各コーナーがあるという、わかりやすい配置です。

カウンター向かって左には、ポーチ、バッグ、キャンドルなどの商品が陳列されていて、カウンターで購入できます。これは、世田谷区内の障害者施設で作られた製品で、世田谷図書館図書館カウンター三軒茶屋図書館カウンター二子玉川でも販売しています。こうした商品の製造・販売は以前から行っていますが、区内の図書館施設でも扱うようになったのは、2015年10月16日に図書館カウンター三軒茶屋が新設されたときから。いい事業だと思っても、遠い場所でしか販売していなかったら、なかなか足を運ばないものですが、普段から行く場所で販売していると購入しやすい。多くの人が利用する図書館で取り扱うことで、この事業があることを知る人も増える。他の世田谷区立図書館にもぜひ広まって欲しいです。

カウンター向かいの新聞雑誌コーナーは、開館当初は今より狭いスペースでしたが、脇にあった談話室を取り壊して拡張され、滞在しやすくなっています。経堂図書館は、当初「立ち寄り型図書館」として、座席が少ない分、狭いながらも蔵書数を確保する造りでした。が、途中で改装して、新聞・雑誌コーナーの座席を増やし、後述する指定席制閲覧席を設置するなど、滞在設備を増やしています。

駅の近くに図書館があるだけでも、通勤通学や外出の行き帰りに寄りやすくて助かりますが、更に滞在しやすければ、「仕事を終え、帰宅して、家事をして」と忙しい日常の間に、本や雑誌に触れて一息つく時間が作れる。実際、そのように利用している様子の人も見かけますし、曜日・時間帯によっては広くした新聞・雑誌コーナーも満席になり、一般書架の座席や指定席制閲覧席に新聞・雑誌を持ち込んで閲覧する人もいます。

§ 児童コーナー

児童が絵本を読む「おはなしのへや」はガラス張りの空間。もし、これが壁に囲まれた部屋だったら、細長い敷地をますます狭く感じがちなところを、うまく見せています。更に、児童コーナーの死角も減るので、安全面でもいい。ここでおはなし会をするときには、子どもがおはなしに夢中になる様子を外から見ることもできますが、裏を返せば、おはなしがつまらないと感じた子どもは、集中できずに部屋の外に目が行ってしまうかも。前に私がおはなし会の様子をみたときには、そういう子は目立ちませんでしたが、これって読み聞かせる方の力量も問われそう(笑)。おはなし会がない時間帯は部屋を開放しており、18時以降は子ども連れでない大人もおはなしのへやで読書することができます。

絵本は、小さい絵本を青ラベル、それ以外の絵本を赤ラベルと、サイズによって分けた上で、絵を描いた人の頭文字で分類されています。より正確に言うと、苗字が「あ」で始まる日本の絵本作家の本→苗字が「ア」で始まる外国の絵本作家の本→苗字が「い」で始まる日本人作家→「イ」で始まる外国人作家の本…といったかたちで、日本人と外国人の作家が交互に並んでいます。サイズで分類しているといっても、同じ棚の下段に青ラベルの絵本、上3段に赤ラベルの絵本が並んでいるので、好きな絵本作家に出会えたら、青赤両方をみて作品を探してみるといいです。

児童読み物も、童話・低学年向け物語は赤ラベル、その他の物語は青ラベルに分類したうえで、絵本と同様に、日本の作家と外国の作家を交互にして、著者の姓名五十音順で並んでいます。つまり、頭文字が「あ」の日本人作家の読み物が著者五十音順に→頭文字が「ア」の外国人作家の読み物が著者五十音順に→頭文字が「い」の日本人作家の読み物→頭文字が「イ」の外国人作家の読み物…というかたち。ちしきの本の棚は、やや見出しが少なくさっぱりしているので、目当ての本が見つからなかったら、遠慮なく職員さんに聞いてみましょう。

ゆるキャラ好きの方は、こども向け図書館だより「ぶっくる」に載っている経堂図書館キャラクターの蝶「きょうちゃん」にもご注目。いや、よく見ると館内のあちこちにきょうちゃんの姿があるので、児童だけに向けたキャラクターではないんですね。2013(平成25)年春号の「ぶっくる」に載っていた自己紹介によると、2006年の開館当時のスリムな姿と比べて、現在のきょうちゃんはややふっくら。おそらく現実的にはイラストご担当の職員さんの異動などで描き手が変わったためだと思いますが、頑張っているけどなかなか若い頃の体重に戻れない私は、思わずふっくらしたきょうちゃんに親近感を持ってしまいます(笑)。

§ 一般書架

コンパクトな面積の一般書架ですが、その狭い中に仕切りで囲まれた区画があり、指定席制閲覧席とネット閲覧PCが設置されています。この区画の入口に閲覧席利用受付システムがあり、ここの指定席を利用する場合は、利用者が自分でこのシステムを操作して席を取ります。ネット閲覧PCを利用する場合は、このシステムではなく、カウンターでの申込が必要です。

閲覧席利用受付システムの使い方は、画面の表示に従って利用時間と座席を選ぶだけ。利用時間は、60分・90分・120分の中から選ぶかたちで、利用時間の終了が近づいた頃に次の予約が入っていなければ、延長手続きをすることで、引き続き同じ座席を利用することができます。但し、1日の合計利用時間が1人6時間までという制限があります。こうしてシステムで管理しているので、最初に選んだ時間より早く退出するときには、終了手続きを取るのを忘れないようにしてください。

5台あるネット閲覧PCは、利用・予約状況がカウンター内向かって左側の壁の表でわかるようになっています。ここにPC番号と利用時間を書いたカードがPC台数×時間帯数分ずらっと並んでいて、カードがそこにあればその時間帯は利用可能、カードがなければ利用・予約されているという仕組み。時間帯にもよるでしょうが、私が訪問した限りでは、かなりの率で埋まっています。

システム管理していると書くと、座席だけが並ぶ専用区画を想像する人もいるでしょうが、この中にも棚があり、ジネスに関連するジャンルの本が並んでいます。分類まるごと指定席制閲覧席エリアのビジネスコーナーに置いてあるのが、以下の本。

325 商法・商事法330 経済331 経営学・経済問題332 経済史・経済体制
333 経済政策334 人口・土地・資源335 企業・経営336 経営管理
337 貨幣338 金融・銀行・信託339 保険340~349 財政
350~359 統計360 社会361 社会学364 社会保障
365 生活・消費者問題366 労働経済・労働問題500~509 技術・工学580~589 製造工業
670~678 商業
また、「159 人生訓・教訓」は、ビジネスに関連するものがビジネスコーナーに、それ以外の本は一般書架のなかにあります。

医学の棚は、特に見出しが充実しています。「内科」「外科」といった大枠のジャンル名だけでなく、「糖尿病」「アレルギー」「パニック症候群」「うつ」「認知症・アルツハイマー」「がん」といった病名で見出しがついているので、本が探しやすい。特に医学の本は、その病気にかかった本人やその周囲の方など、現に悩んでいる方が読むことが多いので、本を探すのに更に苦労するようだと本当に嫌になってしまいますよね。こうやって、病名で分類してくれると利用者としては助かります。

日本の小説・エッセイは一緒にして、著者名の五十音順に並んでいます。但し、複数の作家の作品集は、五十音順の「ん」という分類で、著者名頭文字が「わ」である本の次にまとめて置いてあります。外国の小説は、国・地域ごとに分けたりせず“外国小説”でひとまとめにして、著者姓名の五十音順。複数作家の作品集を「ン」に分類しているのも、日本の小説と同様の並べ方です。

また、通路途中や一般書架の中にICタグ式自動貸出機があり、カウンターまで行かなくても、利用者が自分で貸出手続きできます。自動貸出機は多くの自治体で導入されていますが、世田谷区の自動貸出機は、利用者カードを読み込ませた後、そのまま置きっぱなしにして次の操作に進める仕組みなので、利用者カードを置き忘れてしまいがち。利用する方は気をつけてください。

§ にぎわい、ふれあい、むすびあう、立ち寄り型図書館

経堂図書館は新設される際、高架下という制約や、商店街が四方に伸びる真ん中に位置するという場所柄などから、「立ち寄り型図書館」というコンセプトで作ったそうで、キーワードは「にぎわい」「ふれあい」「むすびあい」とのこと。オープン初日に行ったときは、地元の方が「あら~、こんなところでお会いして~」なんて挨拶があちこちで交わされていて、本当に賑わって触れ合っているって感じでした(笑)。

また、経堂図書館では、大人のための朗読会をほぼ毎週行っています。ときには、経堂図書館ではなく、経堂地区会館別館(経堂駅の西北西400mほどのところにある建物)で開催することもあるようです。最近、大人のための朗読会は少しずつ増えてきましたが、数か月に一度のイベントとして行うことが多く、頻度でいうと経堂図書館は23区立図書館で一番といえるはず。これも、ボランティアさんが行っている朗読会なので、「にぎわい」「ふれあい」「むすびあい」の一環といえそうですね。大人のための朗読会なら私も入れるので、いつか行ってみたいです。

館内の通路の掲示板には、サークルや個人の活動の広報ポスターを貼ることができる「地域情報コーナー」もあります。営利目的ではない活動を対象にしているとのことなので、経堂近辺でサークル活動などをしている方は、ぜひアピールの橋として活用してください。

「立ち寄り型図書館」にふさわしい特徴といえば、火曜から土曜の閉館時間が21時、日・月曜・祝休日も20時までと、世田谷区では一番遅くまで開いている点も挙げられます。以前は火~土曜は21:30まで開館していたのですが、震災後の節電で21時閉館となり、現在もそれを継続中。それでも、世田谷区では群を抜いて遅くまで開館している図書館です。会社・学校や遊んだ帰りにも図書館に寄ってみましょう!

駅からこんなに近いと、経堂が最寄り駅の方はもちろん、定期券で経堂を通過する方も途中下車して利用してみていいと思います。経堂図書館は愛称が「本の駅」で、図書館だよりの名前にもこの愛称が使われているのですが、経堂の在住・在勤・在学者に限らず、小田急線を使う人に「本の駅」として立ち寄って欲しいという意味も込められていると思います。児童コーナーの一番カウンター寄りの本棚(36番)の上には、段ボールで作った電車にカエルのぬいぐるみが乗っているのですが、よくみるとこの電車にも「本の駅行き」と書いてあり、何とも可愛いです。電車に乗って、いざ図書館へ!

世田谷区立経堂図書館 データ

住所東京都世田谷区宮坂3-1-30 →Google Mapで見る
Tel03-5451-0071
開館時間
火~土曜9:00~21:00
日・月曜、祝休日9:00~20:00
12月28日・1月4日9:00~17:00
定休日第3木曜
12月29日~1月3日
最寄駅 小田急小田原線 経堂駅から徒歩1分
小田急小田原線 豪徳寺駅から徒歩14分
東急世田谷線 山下駅から徒歩14分
駐輪場東側入口向かって左に経堂図書館専用の駐輪場33台分あり。ロックをかけるタイプの駐輪場で、カウンターに言えば専用コインをもらい、それを精算機に入れるとロックが解除されます。
駐車場一般用駐車場はなし。西側入口向かって右に障害者用駐車場1台分あり。
所蔵資料
図書所蔵数80,803冊(2021/03/31現在、出典『世田谷のとしょかん 令和3年度版』※団体貸出センターの図書数は中央図書館の図書数に加算
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト西側入口向かって左(歩道に面した看板の更に左の奥まったところ、職員用出入口の脇)にブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機ICタグ式自動貸出機が3台あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC5台あり。利用は1回50分、x時00分~x時50分という枠での利用です。
持参PC利用談話室の椅子(18席)で持参PCの利用可能。電源なし。
LAN接続館内に「docomo wifi」「ソフトバンク wifi」「フレッツスポット」のアクセスポイントあり
飲食設備等なし