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世田谷区立粕谷図書館

世田谷区立粕谷図書館 訪問記

last visit:2013/08/25

世田谷区立粕谷図書館は、千歳烏山駅の南東にある図書館です。新聞・雑誌コーナーと児童コーナーのそばに地下庭園があり、建物地下にありながら開放的な景色の中で読書できますよ。都立蘆花恒春園が近い場所柄から、「徳富蘆花コーナー」があります。

§ 図書館の場所

粕谷図書館は京王線の千歳烏山駅から南南東方面に1km弱歩いたところにある図書館です。千歳烏山駅そばには烏山図書館があるし、小田急線に近づくと祖師ヶ谷大蔵駅と成城学園前駅の中ほどに砧図書館があるので、粕谷図書館を利用する方は駅まで行くより粕谷図書館に行った方が便利な地元の方が中心でしょう。

最寄駅の千歳烏山駅からの道のりとして、大きめの道路を通るわかりやすい行き方を紹介すると、駅の新宿寄りにある踏切から南(駅から新宿方向を望む向きからみて右方向)へすすみ、「千歳烏山駅南」交差点で斜め左へ、次の信号で右へ進み、400mほど進んだところにある「粕谷四丁目」交差点で左折、200m弱進むと道の左側に粕谷図書館が入っている粕谷区民センターが現れます。

ただ、大きい通りから一本奥まった路地に入るとギャラリーカフェがあったり、粕谷区民センターのそばにも「水際の散歩道」という遊歩道があったりして、そうした道も楽しいんですよね。既に粕谷図書館の場所がわかっている地元の方は、そうした道を楽しんでいるのではないでしょうか。粕谷図書館を出た後に、図書館の東にある蘆花恒春園へ寄り道するのもいいですよね。蘆花恒春園は緑が多いので、夏の暑い日も木陰の涼しい散歩を楽しめますよ。

§ 図書館内の様子

粕谷図書館は区民センターの地下になります。粕谷区民センターと粕谷児童館の建物がつながっていて、初めて来た人はどの入口から入ったらわかりにくいかもしれませんが、敷地の南側の入口(上記道のりですぐ目につく入口)が区民センターの入口。その入口を入るとすぐ左に地下への階段があり、地下全体が粕谷図書館です。

階段を下りると正面にカウンターがあり、カウンター向かって右が児童コーナー、カウンターの手前一帯が一般書架です。カウンター向かって左奥に新聞・雑誌コーナーがあり、カウンターと新聞・雑誌コーナーの間には検索機やパソコン利用席、CD棚もあります。

§ 児童コーナー

児童コーナーで真っ先にお薦めしたいのが、右奥にある畳敷きの靴脱ぎスペース。図書館の畳コーナーって、絨毯に比べてメンテナンスに手間がかかるせいか、近年少なくなっているんです。畳コーナーだったところが、そうでない造りに改修されてしまったり。粕谷図書館の畳コーナーは12畳もの広さがある上に、地下庭園に面していて外から光が入ってくる開放的な空間なんです。和室に合わせた日本の昔話を読むのもよし、あえて外国の物語を読んで空想を働かせるのもよし、ぜひこの畳コーナーを味わってください!

絵本は、日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、絵を描いた人の苗字の頭文字で分類されています。児童読み物は、低学年向けと高学年向けに分けたうえで、日本人作家と外国人作家を別々にして、著者姓名の五十音順に並んでいます。児童コーナーと一般書架が離れているせいか、少々話したりしても大丈夫。読み聞かせをしたり、何を読んだらいいかわからないときには気軽に職員さんに聞いたりして、本との出会いを楽しめますよ。

棚の上や壁に飾られているカードや工作も賑やかで、この空間にいるだけで楽しくなってきます。これらの工作物は、単に職員さんが手作りして飾っているだけでなく、それらの作品の作り方が書いてある本も一緒に紹介しています。可愛い、かっこいいと思う作品を見つけたら、本を借りて自分でも作ることができるというわけですね。

§ 一般書架

児童コーナーの冒頭で地下庭園に触れましたが、一般書架も新聞・雑誌コーナーの外に地下庭園があります。この新聞・雑誌コーナーは、なぜか地下庭園に背を向けて座る人の方が多いのですが、窓に向かって座ったほうが開放的な気分で気持ちいいです。

書架は、階段を囲むようにしてぐるりと配置されているので、階段の向こう側にある棚を見逃さないように気を付けてください。ただ、それを補うように書架内にたくさん配置図が貼ってあるので、今どこにいて、どこにどんな本があるのか、とてもわかりやすいです。検索票の見方もたくさん貼ってあるので、検索票と配置図を活用して、いろんなジャンルの本を読みたくなってきます。

日本の小説は著者名の姓名の五十音順で並んでおり、複数作家による作品集は「ん」に分類され、「わ」の後にまとめられています。外国の小説は、国別分類はしておらず、“外国文学”でひとまとめにして、日本の小説と同様に、著者姓名の五十音順。複数作家による作品集も、日本の小説と同様に「ン」に分類されています。外国文学の場合、作品集だけでなく、「ン」で始まる作家名もあるというのが面白いところです。

書架を見ていると、「290 地理」の棚に「地名のことは8番・45番書架へ」、「548 情報工学」の棚に「OA・コンピューター関連の棚は[007 情報科学][336 経営管理]の棚にもあります」といった具合に、近い内容なのに図書館の分類だと離れてしまうジャンルについての情報が書いてあります。何か本を探していてうまく見つからないときは、探す棚を間違えているかもしれないので、これらの情報も参考にしてください。

§ 徳富蘆花コーナー

世田谷区立図書館は各館で地域にちなんだ特設コーナーを設置しているのですが、粕谷図書館の特設コーナーは「徳富蘆花コーナー」。地下への階段を下りて左に回り込んだところに、徳富蘆花の姿が大きく掲示されています。もちろん、粕谷図書館の東にある都立蘆花恒春園にちなんでのコーナー。蘆花恒春園は、徳富蘆花が晴耕雨読の生活を過ごした土地と家屋を、蘆花の没後10周年に夫人が東京市に寄付して公園となり、更に周囲の土地も買収して今の姿になりました。

粕谷図書館の徳富蘆花コーナーには、壁に蘆花恒春園の写真などが掲げられているほか、手前の展示ケースに蘆花愛用の財布や奥様の眼鏡など、展示ケースの下の棚に蘆花全集や蘆花日記、蘆花研究本、またお兄さんの徳富蘇峰に関する本が並んでいます。掲示物や展示ケースの中身は、ずっと同じではなく、期間によって入れ替えているかもしれません。資料の中には、地元商店街が作った蘆花恒春園周辺のお散歩マップなどもありますよ。

徳富蘆花と言われても、文学史で名前は聞いたことあっても、どんな人かわからないという人にお薦めなのは、『蘆花生誕百三十年記念講演会「芦花の偉大さ」』という資料。この資料、作家の出久根達郎氏が世田谷文学館で行った講演を文章に起こしたものなのですが、徳富蘆花のことがわかるだけでなく、スケベオヤジの側面も紹介して親しみやすさ(?)を見せた上で、大作家たちへ与えた影響をまとめている、とっても面白い講演なんです。当サイトでも世田谷区ならでは本として紹介していますが、ぜひ実物も読んでください!

何かと競争していかなければならない現代ですが、晴耕雨読にたどり着いた文豪が住んでいた地となると、本の世界に浸りたくなってしまいますね。仕事の日は難しくても、休みの日には図書館の本に囲まれて、充実した読書の時間を過ごしたい!粕谷区民センター1階には喫茶店もあるので、長時間過ごすにもいい図書館です。本を傍らにいい時間を過ごしましょう。

世田谷区立粕谷図書館 データ

住所東京都世田谷区粕谷4-13-6 粕谷区民センター地階 →Google Mapで見る
Tel03-3305-1661
開館時間
火~日曜9:00~19:00
祝休日、12月28日・1月4日9:00~17:00
定休日月曜(祝日は開館し、翌日を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 京王線 千歳烏山駅から徒歩13分
駐輪場区民センター入口手前、入口向かって右側(建物東側)、区民センター北側(入口と反対側)、敷地の北西の防火倉庫の周囲に駐輪場あり。
駐車場一般用駐車場はなし。区民センター入口向かって手前左に障害者用駐車場1台分あり。
所蔵資料
図書所蔵数97,542冊(2023/03/31現在、出典『世田谷のとしょかん 令和5年度版』※団体貸出センターの図書数は中央図書館の図書数に加算
CD所蔵数3,775点(2023/03/31現在、出典『世田谷のとしょかん 令和5年度版』)
カセット所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『世田谷のとしょかん 令和5年度版』)
設備
ブックポスト建物南側入口向かって左にブックポストあり。開館中の使用については明記なし。
自動貸出機自動貸出機2台あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用パソコン等専用席(3席)で持参PCの使用可能。座席の利用には申込が必要で、利用は1時間。電源あり。
LAN接続館内に「docomo wifi」「ソフトバンク wifi」のアクセスポイントあり
飲食設備等建物1階に喫茶「ぴあ」あり。営業時間10:00~17:00、ラストオーダー16:30。月曜休。但し、改築工事の状況に応じて、ここも休むと思われます。
その他設備
  • カウンター前の記載台上に投書箱「利用者の声」あり
  • 各階多機能トイレ内にオムツ交換台あり(正確には、女子トイレ内の多機能トイレにはオムツ交換台があるのを確認していますが、男子トイレ内の多機能トイレは私が入れないのでわかりません)