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杉並区立成田図書館

杉並区立成田図書館 訪問記

last visit:2017/09/26

杉並区立成田図書館は、南阿佐ヶ谷駅の南の、住宅街の中にある図書館。小さな図書館で、閲覧机も少ないので、閲覧よりは貸出に向いている図書館です。

§ 図書館の場所

成田図書館の最寄り駅は南阿佐ヶ谷駅で、南阿佐ヶ谷駅といえば杉並区役所のすぐそば。つまり、成田図書館は杉並区役所から一番近い図書館です。南阿佐ヶ谷駅の南側の住宅地をくねくねと進んだ中にあります。

区役所があるだけあって、位置としても杉並区の中心に近く、こう聞くと図書館も中心にふさわしい施設かと想像してしまいますが、予想に反して杉並区立図書館(杉並区立図書館条例で設置された図書館。高井戸地域区民センター図書室馬橋ふれあい図書室は該当しない)の中で一番面積が小さい図書館です。建物としても住宅地のなかに溶け込んでおり、駐輪場など一般の戸建てとは違う設備がなかったら、見逃してしまいそうです。

§ 図書館内の様子

まず、図書館に入る前に見つけて、おやと思ったのが、図書館が閉まっているときに本を返却できるブックポスト。投入口に「「中野区立図書館の資料は入れないでください」という注意書きがあるんです。中野区との境界線に近いところにある図書館ならともかく、杉並区の真ん中に近い成田図書館にも間違えていれる人がいるというのは不思議。まさか、確信的に中野区立図書館まで行くのが面倒でいれる人がいるのでしょうか。図書館利用者として、返すべきところに正しく返したいものです。

図書館は2階建てです。図書館の分類でいう0類(総記)、1類(哲学)、2類(歴史)、3類(社会科学)、8類(言語)、文学全集の一部、地域資料が2階にあるほかは、全部1階にあります。カウンターは1階で、5台ある検索機も全て1階にあります。

座席は雑誌コーナーや1階書架に点在する椅子席が中心で、机席は1,2階合わせても5席しかありません。そこで、2016年9月より試験的に、2階にある集会室の利用がないときには閲覧席として開放しています。

そんなわけで、ほとんどの資料・設備は1階に集まっています。1階入口を入ると、目の前にカウンターがあり、カウンターの右側一帯が一般書架で、カウンターを越えた奥に雑誌コーナーがあります。一般書架や雑誌コーナーより更に奥の一帯が児童エリアで、奥の窓は小さなテラス(利用者は入れません)に面しています。

§ 一般書架

一般書架は、前述したようにジャンルによって1,2階に分かれています。毎年発行されている杉並区立図書館要覧には芸術関係の資料が多いとあり、実際の棚を見ても、1階の入口から見て右側の壁沿いの棚一面に、芸術関係の本がずらりと集まっています。

図書館では辞典・事典などをひとまとめにして「参考図書コーナー」としているところが多いのですが、成田図書館にはそうしたコーナーがありません。といっても、所蔵していないわけではなく、百科事典は030、国語の辞書は813、昆虫図鑑は486というように、辞典・事典も単行本と一緒に、内容で分類された棚の中に点在しています。成田図書館から1.2km北西にいけば杉並区立中央図書館があるので、各種事典を使って調べ物をしたい人はそちらへどうぞということなのでしょうか。

ただ、単行本を読んでいてふと疑問に思ったことを調べたいときなどは、同じジャンルの単行本と事典類が一緒になっているのは便利。特に1階には机席がほとんどないので、その本があった棚のそばの椅子に座って読んでいる人が多いのですが、読んでいる途中にわからない専門用語などが出てきたら、本があった棚を探せばそのジャンルの事典があります。

また、新書の扱いも少し複雑で、新書サイズの本が集めた本棚があるのですが、ここにあるのは岩波新書の赤版、岩波ジュニア新書、丸善ライブラリー、カラーブックス、講談社現代新書、文庫クセジュ、中公新書のみ。それ以外の新書は、単行本と一緒にジャンルごとの棚に入っています。また、小説は単行本、新書サイズ、文庫本サイズで分かれています。つまり、宮部みゆきのように、単行本、新書版、文庫本それぞれで著書がある作家の小説を何か読もうかなと思ったときには、3箇所を見ることになります。

文庫本の並べ方も独特で、「小説」と「小説以外」に分けて、それぞれで著者姓名の五十音順です。「小説以外」には、言葉通り、歴史の本、健康の本、アートの本など、あらゆるジャンルが含まれており、それが全部合わさって著者姓名の五十音順に並ぶさまは、あまり図書館では見ないジャンル混在ぶり。この並び方だと自分からは見に行かないジャンルの本と出会える可能性もありますし、文庫でサイズが小さいと気楽に借りやすいので、この並び方を活用して読書の幅を広げたいです。

常設の特集コーナーとしては、1階入口入ってすぐ右(階段に向かって右)に「中高齢者の生活支援コーナー」があります。"支援"とつくと、支えが必要な弱い人を助けるようなイメージがありますが、「終活」「介護」「医療」「暮らし・生き方」「住まい」「仕事」「マネー」「健康」「エッセイ」「趣味・学び」「その他」というトピックで本を集めており、生活をより充実させるような本も含まれています。個人的には、この内容なら生活"応援"コーナーという名前にすればいいのではと思いますが、そうした本が読みたい方はこちらの棚を覗いてみてください。

英語で書かれた図書もあります。料理本や旅行ガイドなどもありますが、大部分は小説で、棚の場所としても英米文学の本の前にあり、小説原書と翻訳小説が近くに置かれるかたちになります。もちろん、必ずしも成田図書館で小説原書と翻訳小説を所蔵しているとは限りませんが、他館からの取り寄せも駆使して、原書と訳本を読み比べれば英語の勉強のみならず、文章表現の勉強にもなりそうです。

総記・哲学・歴史・社会科学・言語・地域資料などを利用したければ、2階へ行くことになります。1,2階をつなぐ階段の壁では、クリアケースを両面テープで壁に貼り付け、そこに本を入れて展示しているのですが、一部は両面テープが剥がれて本ごと落ちてしまいそうな気も。もしかしたら、このままでは落ちてしまうのではと思わせることで、手に取らせる手法でしょうか(笑)。本を丁寧に扱っていないように見えてしまい、私は展示方法を変えてもらいたいです。。

2階の集会室は、2016年9月から試験的に、集会室としての利用がないときに閲覧席として開放しています。平日は19:45まで、日祝は16:30までという制限がありますが、図書館の開館時間が平日は20時、日祝は17時までなので、開館している間はほとんど利用できると言っていいでしょう。2017年9月に行った時も「試験的に」という文言は外されていませんでしたが、貸出できない資料や分厚くて貸出には向かない本もありますし、ぜひ常態ルール化して欲しいです。

§ 児童エリア

高い本棚がならぶ1階の一般書架を抜けた奥が児童エリア。図書館全体の面積が小さいので、児童エリアも広くはありませんが、小さなテラスに面していてのんびりと過ごしたくなる空間です。

児童エリアの角にある靴脱ぎスペースは、仕切りに囲まれた空間なので、静かにできないくらい幼いお子さんを連れてきたときも安心して利用できます。この靴脱ぎスペースの外にも絵本は多数あり、靴脱ぎスペース向かって右には仕掛け絵本もあります。

こんなところにこんな本が、と思ったのが、児童読み物の中に漫画があること。児童読み物は国・地域別に分けたうえで著者姓名の五十音順に並んでいるのですが、日本の読み物の「テ」のところに手塚治虫の『ブラックジャック』があるんです。また、子どもより大人が読みそうな漫画は、一般書架の726の棚にあります。

児童エリアには子どもが読む本しかないと思っている人もいると思いますが、靴脱ぎスペース向かって左手前に「子育て応援コーナー」があり、妊娠出産・育児・子どもの健康・教育しつけに関する本が集まっています。お子さんができたら自然と児童エリアに行くかと思いますが、妊娠出産などお子さんが生まれる前に役立つ本もあるので、大人もぜひ覚えておいてください。

§ 貸出向きの図書館

冒頭で書いたように、成田図書館は杉並区立図書館の中で一番小さい図書館。最近は集会室を閲覧席として開放しているものの、集会室としての利用があれば使えないので、本を積んであれこれ調べたいときなどにはあまり向いていません。

その一方で、高井戸地域区民センター図書室・馬橋ふれあい図書室とは違って、図書館条例によって定められた図書館なので、読み物中心ではなくあらゆるジャンルの本が揃っています。つまり、コンパクトにいろいろなジャンルを網羅している。例えばお隣中野区の中央図書館など、ワンフロアに豊富な資料を所蔵している図書館だと、歩き疲れてしまうこともありますが、成田図書館では小説の本、スポーツ本、料理の本…などいろいろな本を見て回っても移動距離は少ないです。

閑静な住宅地のなかにあることもあり、普段の生活の中でちょっと寄るのにちょうどいい図書館という雰囲気。少し足をのばせば杉並区立中央図書館があるので、この辺にお住いの人なら、毎日の読書は成田図書館、本格的な調べ物をしたいときには中央図書館と、用途によって使い分けるのが肝だと思います。小さな図書館と中央図書館が近くにあるというメリットをぜひ活用してください。

杉並区立成田図書館 データ

住所東京都杉並区成田東3-28-5 →Google Mapで見る
Tel03-3317-0341
開館時間
月~土曜9:00~20:00
日曜・祝日・12月29,30日9:00~17:00
定休日第1,3木曜(祝日の場合は開館し、翌日以降の直近の平日を休館)
12月31日~1月4日
最寄駅 東京メトロ丸ノ内線 南阿佐ヶ谷駅から徒歩13分
駐輪場建物入口向かって右に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数99,185冊(2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』)
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって左の壁面にブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機なし
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC2台あり。利用は1回1時間まで。
持参PC利用館内で持参PCの使用可能。電源なし。
飲食設備等蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)の飲料に限り、館内での摂取可能