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杉並区立柿木図書館

杉並区立柿木図書館 訪問記

last visit:2024/10/13

杉並区立柿木図書館は、西武新宿駅井荻駅の南の住宅地の中にある図書館。2021年4月2日に永福図書館がリニューアル移転して以降は建物として杉並区立図書館で一番古く、レトロな気分に浸れます。周囲に緑が多く、鳥のさえずりが聴こえてくるのも魅力です。

環八から150mとは思えないのどかさ

井荻駅を出ると線路に垂直にで~んと通っている環状八号線、それを南に進んで井荻トンネルの換気塔あたりで西へ曲がり、150mほど歩くと左に柿木図書館が現れます。この環八から柿木図書館までの道に生産緑地地区や有形文化財を所有する広い敷地のお屋敷などがあり緑がたくさん。Google Mapの柿木図書館周辺の航空地図を見ると、南側こそ建物ですが北・東・西は畑、自然の少ない東京においてはちょっとした自然林といってもいいくらいの木々に囲まれています。

環八のこの辺りは井荻トンネルに車が流れることもあり地上の交通量はそれほどでもない気がしますが、更に柿木図書館への路地に入るともう車の音はどこへやら、鳥のさえずりが聴こえるのどかな雰囲気。夏に行ったときには、蝉の声や虫の音の中を歩いたことも。図書館に着く頃には心がほぐされた気分になります。

現時点で杉並区立図書館で一番古い建物

壁に入っている「杉並区立柿木図書館」の書体も昭和的な感じがあるこの建物、1965年8月1日に開館してから移転や建て直しなどもなく現役で利用されており、今では杉並区立図書館で一番古い建物となりました。数年前までは同じ日に開館した旧・永福図書館の建物も現役でしたが、2021年4月2日から新しい永福図書館へと移転したため、この柿木図書館が最古参として活躍する唯一の建物となったわけです。

3階までありながらエレベーターがないなど不便な点もありますが、書店と比べて古い資料も揃っている図書館、その建物自体が時代を感じさせる。昔書かれた本や時の流れを感じさせる本などを読みたくなる雰囲気です。

建物は地下1階・地上3階の造り、といっても、全体の2/3くらいは2階建てで、その横に3階建ての建物がくっついているような構造です。1階が新聞・雑誌コーナーと児童コーナー。それ以外の資料の大部分や閲覧席が2階にあり、そこに収まらない一般書架の一部を階段を上がった3階の小さな区画に置いています。カウンターは1階にも2階にもあってどちらでも貸出が可能、2階のカウンターは時間によって閉まっていることもあります。地下にはイベントを行う講座室があり、イベントを行うときだけ地下に入れます。

1階の新聞・雑誌コーナーは大きな窓から緑が目に入り、新聞を見ながらふと外を眺めてぼーっとしたりしてしまいます。社会で起こっているあれこれと目の前の平和な緑の対比を思う一方、時代の変化はあれどこうして変わらないものもある…みたいな思考が頭に流れる。私にとって日常的に来る場所の図書館ではないこともあり、休日にのんびりする過ごしたくなる雰囲気です。

対して、児童コーナーは狭い空間にぎゅっと絵本や読みものが詰まっている印象です。靴を脱いであがれる読み聞かせコーナーもあり、普通の声量で読み聞かせをしていても児童コーナー内にいる人全員に聴こえてしまうくらい。読むのが上手な方がいると、大人の私も棚を見ながら一緒に聞き入ってしまいます。

2階は柿木図書館のメインフロアと言っていいでしょう。階段上がって右のそこだけ3階まである空間は、開館当初は閉架書庫だったところをどこかの時点で開架に改造したのではないかと推測しているのですが(確認はしていません。そのうち、図書館が建てられた頃の資料などで調べてみたいです)、児童コーナーと同様に「本がぎゅっと詰まっている」感が強い空間。左側はそれより少しゆったりと棚が並んでいます。家事関連本の棚や展示コーナーの辺りは棚と椅子の間隔が狭くて、立ち読みではなく座り読みをするのが自然なくらい。図書館の棚は書店のように平置き台がなく一番下の段まで本が入っていますが、椅子に座って一番下の段を物色できて助かります。

2階のコピー機のそばに特に何の説明もなく萱葺き屋根の民家の模型が展示してあり、ご近所の人が作って寄贈したのかなと想像していましたが、それから10年以上経った2024年に来た際にふと気が付きました。環八からの道に有形文化財を所有する広い敷地のお屋敷があると書きましたが、模型の制作者・井口氏の苗字とそのお屋敷のお宅の苗字が同じだ。井口家は江戸時代から明治時代にかけて旧下井草村の村役を務めた家柄だそうで(参照:杉並区ウェブサイト内 有形文化財 井口公家所蔵文書)、この模型も実際にあった民家の模型なのかもしれません。この地域には模型の民家が現存していてもおかしくないのどかさがある。

図書館の並び方を活かして本と出会う

棚を細かく見ていくと、岩波新書、ハヤカワ・ポケット・ミステリ、ハーレクイン・ロマンスはそれぞれでひとまとまりになっています。こうして特定のシリーズが並んでいるのをみると読破してみたくなる…と思うのは、私が図書館制覇なんていうサイトを作るような人間だからか(笑)。

それと、これは柿木図書館だけでなく杉並区立図書館共通の並べ方だと思うのですが、小説ではない文庫本についてすべてのジャンルを一緒にして著者名五十音順に並んでいるんです。想像してみてください、もし図書館の本が総記・哲学・歴史・社会科学…というジャンルで分かれていなくてすべて合わせて著者名で並んでいたら、なかなかカオスな状態になるはず。杉並区立図書館では文庫本というサイズに限ってそのような並べ方をしているんです。

「文庫本で手軽に読める歴史の本が読みたい」のようなときはジャンルでまとまっていないので探しづらいですが、ジャンルがごちゃまぜなので思わぬ本との出会いがある。古本屋の値段均一の棚のよう、といえば感じが伝わるでしょうか。

杉並区立図書館は以前は在住地等に関わらず誰でも登録できたのが、今は杉並区に在住・在学・在勤の人と渋谷区・世田谷区・中野区・練馬区・三鷹市・武蔵野市に在住の人に限られていて、江東区在住・在勤の私は借りることはできません。でも、こうして地元の図書館とは違う並べ方をしている図書館に行き、そこで見つけた本を地元で借りたり買ったりするのが楽しい。ちなみに今回は外山滋比古『思考の整理学』をあらためて読もうと決めて帰りました。こののどなか雰囲気が思考を整理したくなる気持ちを呼んだんだろうなと思いながら、環八へと歩いたのでした。

杉並区立柿木図書館 特集・行事・図書館だより感想記

―2008年10月27日から11月9日までの展示

杉並区立柿木図書館 データ

住所東京都杉並区上井草1-6-13 →Google Mapで見る
Tel03-3394-3801
開館時間
月~土曜9:00~20:00
日曜・祝日・12月29,30日9:00~17:00
定休日第1月曜(祝休日の場合は開館し、直後の平日を休館)
第3木曜(祝休日の場合は開館し、直後の平日を休館)
12月31日~1月4日
最寄駅
西武新宿線 井荻駅から徒歩10分
駐輪場建物の東側(環八側)に駐輪場あり
2024/10/13に現地訪問にて確認
駐車場なし
2024/10/13に現地訪問にて確認
所蔵資料
図書所蔵数110,995冊
2017/04/01現在、出典『平成29年度 東京都公立図書館調査』
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト建物入口向かって左にブックポストあり
2024/10/13に現地訪問にて確認
自動貸出機なし
2024/10/13に現地訪問にて確認
自動返却機なし
2024/10/13に現地訪問にて確認
セルフ予約受取なし
2024/10/13に現地訪問にて確認
図書の除菌なし
2024/10/13に現地訪問にて確認
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC2台あり。利用は1回1時間、次に待っている人がいなければもう1時間まで延長可能。
持参PC利用館内で持参PCの使用可能
LAN接続2階窓際で、杉並公衆無線LANの利用可能
2024/12/29に杉並区ウェブサイトにて確認
飲食設備等なし
2024/10/13に現地訪問にて確認