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葛飾区立鎌倉図書館

葛飾区立鎌倉図書館 訪問記

last visit:2014/11/22

葛飾区立鎌倉図書館は、位置としては京成小岩駅と京成高砂駅の真ん中辺りになる、住宅地の中の図書館です。いい感じでのんびりした雰囲気で、ゆったり過ごせます。

§ 図書館の場所

鎌倉図書館の最寄り駅は北総鉄道新柴又駅か、京成本線の京成小岩駅か京成高砂駅。詳しい道のりはこちらに書きましたが、最も近い新柴又駅からも1km弱、京成線の2駅からは1km以上歩くことになります。

周辺の寄り道スポットとしてお薦めしたいのは、鎌倉図書館から300m南にある「にがおえコインランドリー」というお店。京成小岩駅から鎌倉図書館までの道のりを調べているとき、室内の壁や天井に王貞治・寅さん・ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」の出演俳優陣など、有名人の似顔絵が所狭しと貼られているコインランドリーを発見し、その上手さについつい見入ってしまいました。ネットで「葛飾区 にがおえコインランドリー」で検索すると柴又のお店なども出てくるのですが、同じ人が何店舗かのコインランドリーに自分の似顔絵作品を飾っているのかも。鎌倉図書館の東側入口を出て右に進み、セブンイレブンがある十字路の次の十字路で左に曲がると、右先にこのコインランドリーがあるので、お時間があるときはぜひ覗いてみてください。

ところで「鎌倉」といえば、ほとんどの人が神奈川県の鎌倉を思い浮かべると思うのですが、どうして葛飾区のここが「鎌倉」という地名なのかご存知ですか?由来は単純で、鎌倉出身の源左衛門という人がこの土地で開墾し、出身地にちなんで名付けたのだとか。だから、元々は「鎌倉新田」ということになるようです。鎌倉図書館の児童エリアに、「葛飾百話」という本にある地名の説明が展示してあるので、詳しくお知りになりたい方はそちらをどうぞ。

§ 図書館内の様子

鎌倉図書館は2階建ての建物。資料は全て1階にあり、2階は閲覧室・会議室などの部屋が並ぶという構成です。入口は東側と西側の二か所あり、1階の中央にカウンター、カウンター正面に一般書架、カウンター向かって右に児童エリア、カウンター向かって左に新聞・雑誌コーナーという配置です。

ちなみに、カウンター向かっての左端には「返却BOX」と書かれた箱があり、本を返すだけならカウンターの職員さんに手渡さずにここに入れるだけでもOKです。カウンターに行列ができているときなどに便利ですが、職員さんの手が空いて箱にたまった本を返却手続きするまで図書館システム上は貸出中扱いになり、貸出上限冊数まで借りているときなどは次の貸出ができなくなるので、それを踏まえた上で使ってください。

この鎌倉図書館、葛飾区立図書館の地域館で最も面積が大きいと言っていい広さを有しています。数字的には膨大な広さの中央図書館(5078㎡)の次に面積が大きいのは新宿図書センター(2407㎡)ですが、中央図書館ができるまえの中央館だった新宿図書センターの現在の大きな役割は保管庫機能であり、利用者が入れるスペースとしてはそんなに広くはない。よって、新宿図書センターの次に面積が大きい鎌倉図書館(1827㎡)が実質的に最も面積が広い地域館と言えるのです。

§ 児童エリア

カウンター向かって右の児童エリアは、読み聞かせスペースも大きくてゆったりできる雰囲気です。児童エリアの入口はパディントンやプレッツェルのぬいぐるみがありますが、これはただの飾りではなく、よく見るとパディントンには「93 ボンド にあります」、プレッツェルには「E3 レイ にあります」という札がついています。そう、パディントンの本を探している人は児童読み物の「93 ボンド」の棚を見てくださいという案内にもなっているのです。こうしたキャラクターによる本選びもぜひ楽しんでください。

絵本は、日本のおはなしと外国のおはなしを別にして、絵を描いた人の姓名五十音順に並んでいます。児童読み物は、日本or外国という2分類ではなく、外国を「アジアのおはなし」「イギリス・アメリカのおはなし」「ドイツのおはなし」のように国・地域別に分けたうえで、著者姓名五十音順に並んでいます。

小さい子向けの読み物をお探しの際は、本の背に貼られた分類記号を参考にしてください。たとえば、日本人作家による児童読み物は「91」という分類になりますが、棚にある本をよく見ると「T91」のように頭に「T」がついている本があり、低学年向けを意味しています。

大人向けの本だけど児童エリアにあるのが、保育社の鉄道に関する本。保育社のカラーブックス「日本の私鉄」は、文体やふりがなの少なさという面では完全に大人向けの本ですが、鉄道の写真がたくさん挿入されていて子どもの人気もあるため、鎌倉図書館に限らず児童エリアに置いている場合が多いんです。この本に限らず、絵本も児童文学も大人が読んでいいし、児童向けの知識の本は大人にとっても手軽な入門書です。児童エリアは子ども用と決めつけず、大人の方にもぜひ活用して欲しいです。

§ 一般書架

一般書架を巡ると、あちこちに凝った手作り看板があり目をひきます。例えば、カウンタ正面の壁沿いに旅行コーナーがあり、ガイドブックなどが置いてあるのですが、看板にはロケットの絵が描いてあるんです。旅行コーナーの看板に宇宙を描いてしまうとは、発想が壮大で私は大好きです(笑)。

家事関連本のコーナーにも手作りの看板があり目を引きます。家事関連本は、一つのジャンルにさまざまな項目が含まれるジャンルですが、手芸では「ししゅう」「編み物」「レース編み」「組みひも・マクラメ」「手まり」「リボンアート」等々、料理なら「日本料理」「西洋料理」「肉料理」「魚介料理」「麺類」「アウトドア・弁当」等々、細かく分類しているので、目的の本が探しやすいです。すぐそばに長椅子もあるので、いろんな本を見比べながら何を作るか考えることができます。

外国語図書も英語・中国語・ハングルを中心に揃っています。小説のほか、柔道について書かれた英語の本、家庭医学・漢方について書かれた中国語の本、ヨガについてのハングルの本など、実用書も何冊かあります。小説などの文字ものは、その言語を読めない人には何だかさっぱりわかりませんが、写真やイラストなどの入った実用本なら何となく言わんとすることが想像できて、適当に手に取って見ていても面白いです。

日本の小説は、著者姓名五十音順に並んでいます。但し、複数作家による小説本は「913.6」という分類になり、一人の作家による小説本とは離れた棚(1番)に並びます。好きな作家さんが他の作家さんと一緒にアンソロジーを出しているなら、そちらの棚もお見逃しなく。また、外国小説は、「中国文学」「東洋文学」「英米文学」「ドイツ文学」のように国・地域別にわけたうえで、著者苗字頭文字で分類しています。

西側に近い壁沿いの楽譜コーナーには、ピアノ、ギター、ハーモニカ等々、いろんな楽器の楽譜が揃っています。曲のジャンルも、クラシック、ジャズ、歌謡曲はもちろん、アニソンバンドスコアなども。葛飾区立図書館はどの館もこうした楽譜を多く所蔵しており、音楽を趣味としている人にはお薦め。図書館は文芸作品を読むのが好きな人だけでなく、全ての人が求める資料が揃っているところ。音楽好きの方にもぜひ活用して欲しいです。

また、一般書架のうち東寄り(正面入口に近いほう)の棚には、一般的な図書館の分類とは別に常設でテーマに沿った本を集めているコーナーが2つあります。まず一つは「消費生活コーナー」で、暮らしに密着している法律の本や、食品の安全、リサイクル、悪徳商法に関する本までいろいろ揃っています。何か困ったときに参考にするだけでなく、備えあれば憂いなしとでも言いますか、こういう知識は知っておいて損はなし。貸出冊数に余裕がある際には覗いてみたい棚です。

「消費生活コーナー」の裏には「いきいきライフコーナー」があります。図書館でこの手のコーナー名だと、仕事を退いたシニア向けに趣味やセカンドライフを楽しむ本が集まるコーナーになりがちなのですが、鎌倉図書館の「いきいきライフコーナー」はもっと積極的。地域活動や町おこしに関する本格的な本が揃っています。具体的に並んでいる本を挙げると、『住み開き 家から始めるコミュニティ』『町内会のすべてが解る!疑問難問100問100答』『「まち歩き」をしかける』『まちの幸福論 コミュニティデザインから考える』といったかたち。この棚のおかげではないかもしれません(立石在住の方だったので)が、私が鎌倉図書館で開催されたワークショップに参加したとき、ご一緒した利用者の方の一人が実際に住み開きを行っている方でした。

また、「かつしか まちナビ」というシニアが創るミニコミ誌を図書館で配布しており(鎌倉図書館だけでなく、葛飾区立図書館全体で配布しています。ネット上でもこちらからバックナンバーも含めて読めます)、昔の葛飾を知る皆さんが現在を取材して書いた記事が読み応えあり。第31号には、鎌倉図書館の児童エリアに掲示してあるのとは別の地名「鎌倉」の由来の説も紹介されていたりして、地元のシニアの皆さんは図書館職員さんより調べものがうまいかも?!私も皆さんのように、歳を重ねても図書館巡りを続けようと刺激を受けました。

§ 2階はシンプルに閲覧室のみ

2階はフロア中央が1階からの吹き抜けになっているという、わりと贅沢な空間の使い方をしており、資料は全く置いていません。このフロアにあるのは、閲覧室が2部屋のほか、イベントなどを行う会議室やオムツ交換・授乳ができる「赤ちゃんの駅」があるのみ。1階の資料を2階で読む場合は、2階へ持ち込む前にカウンターで貸出手続きをする必要があります。

2つの閲覧室は、第一閲覧室が中学生以上なら誰でも使える部屋、第二閲覧室が社会人・大学生・高校3年生専用と分かれています。第一閲覧室は長机、第二閲覧室が大きな机に向かい合って座るタイプとなっているので、社会人・大学生・高校3年生はそれも踏まえて好みの部屋を選ぶといいでしょう。持参PCが使える席は、第一閲覧室のほうに2席あります。

§ 地域の人に活用されている図書館です

鎌倉図書館は鉄道駅から離れた住宅地の中にあるため、周辺にお住いの方の利用が中心のはず。なのに、平均来館者数は中央図書館、立石図書館に次いで3番目なのです。立石図書館は中央図書館と同様に、平日土曜は22時まで、日曜祝日も20時までと開館時間が長いので別にするとしたら、地域館のなかで1日に訪れる人が一番多い図書館だとも言えます。こうした立地で来館者数が多いというのは、いかに地域の人たちに活用されているかの表れです。

そのように利用されている理由の一つかなと思うのが、意見箱の充実ぶり。私は図書館巡りをするうえでチェックしている項目がいくつかあり、利用者が意見を投書できる意見箱の設置や、そこに入れられた意見への回答掲示がきちんとされているかというのもその一つなのですが、鎌倉図書館には1階に3つも意見箱が設置されており、全ての箱の脇に投書された意見への回答をファイリングしたものが置いてあります。残念ながら意見箱の設置さえしていない図書館もあるなか、この姿勢は素晴らしい。まだ多摩地域の図書館は制覇していないから確かなことは言えませんが、意見箱密度は鎌倉図書館が都内で一番ではと思っています。

投書された意見の中には、図書館に対するものもあれば、他の利用者に対するものもあり、図書館が居心地よい空間であるためには、利用者もお互い気を配って利用することが必要だと感じます。葛飾区鎌倉は庶民的で居心地いい町で、図書館でもその雰囲気が感じられるので、これからもこのままでいて欲しいなあと。

数字的に来館者が多いとはいえ、面積が広くて閲覧室も充実しているので、座席も確保しやすい。上に書いた配置のシンプルさからもわかるように空間の使い方もゆったりしていて、居心地がとてもいいです。じっくりと本の世界に浸りたくなる鎌倉図書館、私にとってこれからもまた何度も行きたい図書館の一つです。

葛飾区立鎌倉図書館 特集・行事・図書館だより感想記

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―2014年10月24日から11月26日までの企画
図書館職員さんが中高生向けにテーマに沿ってオススメの本を数冊選んで英字新聞に包んだ袋を借りる企画です。中に入っている本は借りてからのお楽しみ。包みに書かれたテーマで選ぶのが楽しいです。

葛飾区立鎌倉図書館 データ

住所東京都葛飾区鎌倉2-4-5 →Google Mapで見る
Tel03-3650-7741
開館時間
火~土曜一般エリア9:00~20:00
児童室9:00~18:00
日曜・祝日9:00~17:00
定休日月曜・第4木曜(祝日は開館し、翌日を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 北総鉄道北総線 新柴又駅から徒歩14分
京成本線 京成小岩駅から徒歩18分
京成本線北総鉄道北総線 京成高砂駅から徒歩19分
駐輪場東側入口向かって右手前に駐輪場あり
西側入口向かって左手前に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数113,411冊(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
CD所蔵数3,605点(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
カセット所蔵数30点(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
DVD所蔵数60点(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
ビデオ所蔵数なし(2023/04/01現在、出典『葛飾の図書館 令和4年度事業年報』)
設備
ブックポスト図書館の東側入口向かって左の壁面にブックポストあり
自動貸出機ICタグ自動貸出機1台あり
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC2台あり
持参PC利用2階第1閲覧室に持ち込みパソコン席2席あり。電源なし。
LAN接続館内で、葛飾区立図書館公衆無線LANサービス(Katsushika_Library_Wi-Fi)の利用が可能。葛飾区立図書館公衆無線LANサービスの利用方法はこちらです。
飲食設備等蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)の飲料に限り、机席での摂取可能。但し、飲むとき以外は鞄にしまってくださいとのこと。