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荒川区立汐入図書サービスステーション

荒川区立汐入図書サービスステーション 訪問記

last visit:2017/11/16

荒川区立汐入図書サービスステーションは、ショッピングモール「べるぽうと汐入」のテナントとして入っている図書館施設です。買物の合間に図書館の資料を利用できます。おもちゃ図書館子育て交流サロンも併設されているので、小さいお子さん連れの方には特にお薦めです。

§ 図書館の場所

汐入図書サービスステーション(以下、汐入図書SS)は南千住駅の東側、隅田川にぐるっと囲まれた汐入と呼ばれる地域にあります。南千住駅からの道のりはこちらに書きましたが、団地の中にあるショッピングモール「べるぽうと汐入」のテナントの一つとして汐入図書SSが入居しており、べるぽうと汐入の中で一番大きなテナントのスーパーのSantokuの看板が道のりの途中に出ているので、初めて行くときにはそれを目印にするとわかりやすいです。

駅からべるぽうと汐入に向かうときには気づきにくいのですが、べるぽうと汐入から南千住駅に向かうとき、「南千住八丁目」交差点で立ち止まると、東京都立航空工業高専の建物や白鬚西ポンプ所が並ぶ向こうにスカイツリーが聳え立つのが見えて、その組み合わせがいいんです。三角屋根の白鬚西ポンプ所も、とてもポンプ所には思えないような可愛らしい建物で。隅田川沿いぐるりは都立汐入公園になっており、天気のいい日などは散歩もお薦めです。

§ 施設内の様子

べるぽうと汐入は高層住宅の1階部分にスーパーなどの店舗が入っているタイプのショッピングモールで、モール内の少し離れた2区画(事務室もいれると3区画)に汐入図書SSがテナントとして入っています。児童向けの本を集めた区画が一つ、大人向けの本や雑誌を集めた区画が一つで、大人向けの区画にカウンターがあります。

まず、べるぽうと汐入北側入口入った正面にあるのが、汐入図書SSの大人向けエリア(「南千住八丁目」交差点や汐入公園がある方が南)。ショッピングモールの中ほどにある区画なので扉などはなく、通路からふらっと入っていけるかたちになっているのが、図書館施設としては珍しいです。区画の隅にカウンターがあり、その周りに本棚が並んでいて、座席は小さなソファが6つあるのみ。ショッピングモールの1区画分だから、面積としても小さいです。

なので、蔵書数も少ないし、ジャンルとしては、日本の小説・エッセイ、生活実用書、旅行ガイド、地域資料、文庫の小説のみ。中でも大部分を占めるのが、日本の小説・エッセイです。単行本の外国小説はありませんし(文庫本の外国小説は少しあり)、哲学や自然科学などの専門書などもありません。ただ、身近な暮らしで必要となる法律書、学校案内、料理・裁縫、ペット、園芸、冠婚葬祭、住居など、生活実用書として所蔵している本のジャンルは幅広いです。また、新聞はなく、雑誌は女性誌と料理や育児などの生活関連雑誌に限定して所蔵しています。

小さい施設で所蔵できる本の量が限られているので、全ジャンルを少しずつ所蔵するより、暮らしに密着したジャンルに絞って所蔵することを選んだのでしょう。もちろん、検索機もあるし、荒川区立図書館資料の予約受取場所としても指定できるので、読みたい本が汐入図書SSになければ、他館から取り寄せればよし。カウンター向かって左には、荒川区立図書館の読書通帳の記帳機もあります。

こうした小さな施設でも地域資料をきちんと所蔵しているところは、荒川区立図書館の心意気を感じます。地域資料というとお堅い資料というイメージがあるかもしれませんが、荒川区ゆかりの作家・吉村昭さんの著作を集めたコーナーもあるので、小説が読みたいときなどにぜひ。吉村さんと荒川区との関わりについてまとめた冊子も配布しているので、それも合わせて手に取ってみてください。

そして、汐入図書SSのもう一つの区画が、北側入口入ってすぐ右の児童向け区画。こちらは、小さな区画をさらに2つに分けて、左側に「汐入おもちゃ図書館子育て交流サロン」を設置、右側を汐入図書SSの児童向け書架にしています。こちらも大人向けと同様に所蔵冊数は少なく、絵本、児童読み物、ちしきの本は所蔵していますが、紙芝居は所蔵していません。内訳としては、「絵本」:「児童読み物」:「ちしきの本」の割合が3:1:1くらいかな。蔵書数が少ないながら、児童向け百科事典なども所蔵しています。

絵本は、「絵本」「赤ちゃん絵本」「(サイズの)小さい絵本」「柳田邦男さんおすすめ絵本コーナー」と、内容やサイズによって分類されています。「柳田邦男さんおすすめ絵本コーナー」は、おそらく荒川区立図書館全館に設置されているコーナーで、柳田さんがお薦めする絵本約200冊を所蔵しています。棚の中にお薦め絵本のリストがあるので、それを見れば貸出中のものも含めてどんな絵本があるかがわかります。コーナーにある説明を読むと、子どもだけでなく、親子一緒に絵本を読んだり、大人が絵本を読んだりもして欲しいというメッセージを柳田さんからいただいたそうです。絵本や児童文学が好きな大人もたくさんいますし、このお薦め絵本に限らず、幅広く読書を楽しみたいです。

児童読み物は日本人作家と外国人作家を一緒にして、著者姓名の五十音順に並んでいますが、実は対象年齢によって「どうわ」と「よみもの」に分けてラベルを貼ってあり、「よみもの」は赤枠に白地のラベル、「どうわ」はそのラベルを緑透明テープで覆っています。例えば、読み物を読むようになったばかりのお子さんなら、緑透明テープの本を選ぶというように活用してください。また、児童読み物のうち、怪談の本は分類が「95」になり、児童読み物とは別(読み物の五十音順の並びの後半と、児童文庫の間)になっているのでご注意ください。

小さいお子さん連れの方にとっては、読書のための空間で静かにしなければいけない図書館より、このように多少騒いでも大丈夫な商店街内の図書館施設の方が使いやすいと思います。実際、好きな本を熱心に音読している子どももいたりして、何とも微笑ましい光景です。

§ 汐入おもちゃ図書館子育て交流サロン

児童向け区画に設置されている「汐入おもちゃ図書館子育て交流サロン」は、荒川区社会福祉協議会が運営しているおもちゃ図書館の汐入支店といったところでしょうか。配布しているパンフレットによると、「さまざまな個性を持つ子どもたちが魅力あるおもちゃを媒介にし、共に育ちあう場所であると同時におかあさんたちにとっても井戸端会議の場になっています」とのこと。市販のおもちゃだけでなく手作りおもちゃもあるようで、様々なおもちゃで遊びながら近所の親子同士でお付き合いできる場所なんですね。

広さとしては3組くらいの親子が入ったらいっぱいになるくらいかな。でも、来た人がそれぞれ個別に遊べるくらい広いより、その場にいる子どもが自然に同じおもちゃで一緒に遊ぶくらい狭い方が、施設の主旨に適っているんでしょうね。また、子育てに関する相談受付や、壊れたおもちゃを修理する「おもちゃ病院」を開いたり、週に一度だけ一時預かりをしてくれる時間も設けているとのことで、小さいお子さんをお持ちの方の支えになる施設といえそう。汐入おもちゃ図書館子育て交流サロンに関する詳しい情報は、こちらをご覧ください。

§ 商店街の空きスペースをうまく活用

ショッピングモールのテナントとして入居しているというユニークな施設の汐入図書SS。経緯としては、商店街からテナントが抜けて新しいテナントがなかなか見つからなかったところを、区が図書館施設として使うことになったそうです。日本経済新聞東京版2007年9月7日朝刊によると

べるぽうと汐入商店街振興組合の高山治男理事長は「八年程度店舗が入らなかった所にようやく決まった。商店街の活性化につながれば」と話す。区側には「図書館を新たに建設するより、費用が少なくて済む」(荒川区)との事情もある。

とのこと。商店街にとっては集客が見込め、図書館側にとってもコストをかけずに図書館施設を増やせる。更に利用者からすると、汐入図書SSがなければ一番近い図書館ということになる南千住図書館でさえ道のりにして1.5kmほどでやや遠かった。そこに汐入図書SSができたんですから、断然便利になったはず。実際、汐入図書SSカウンター内の予約取置棚の冊数の多さをみると、この辺りの皆さんがこの施設を活用していることがわかります。夕方頃に行くと買い物袋をぶら下げてやってくる人も多く、この辺りの皆さんの暮らしに汐入図書サービスステーションの存在が溶けこんでいるのも感じます。

最初から利便性を考えて、公共施設と商業施設の複合施設を作り、公共施設部分に図書館を設置する例はときどきありますが、ショッピングモールの空き店舗に図書館施設が入居するというのは、全国的にも珍しいかもしれません。荒川区では、この汐入図書SSに次いで、冠新道商店街の中にも冠新道図書サービスステーションを開設しており、これからもこうした施設が増えるかも?!

汐入地域にお住まいの方は、予約受取や気軽に読む小説などなら汐入図書SSで、多くの本がある本棚から手にとって選びたいというときには南千住図書館で、と使い分けるのもいいですよね。利用者・図書館・商店街の三者をつなぐ汐入図書SS、図書館施設の新しいあり方としても注目に値する施設です。

荒川区立汐入図書サービスステーション データ

住所東京都荒川区南千住8-12-5-114 べるぽうと汐入東館1階 →Google Mapで見る
Tel03-3807-8130
開館時間
火~金曜9:30~19:30
土・日曜、祝日、臨時開館日9:30~17:00
※臨時開館日とは、夏休みの終わり頃などに、本来休館日である月曜を、臨時に開館してくれる日です
定休日月曜(祝日は開館し、翌日休館)
第2木曜(祝日は開館)
12月29日~1月4日
最寄駅 東京メトロ日比谷線JR常磐線つくばエクスプレス 南千住駅から徒歩15分
駐輪場べるぽうと汐入西側入口向かった両側に駐輪場あり
駐車場べるぽうと汐入北側入口を出て、右に少し歩いたところに、べるぽうと汐入提携有料駐車場あり。7:00~24:00は30分100円、24:00~7:00は60分100円、1日最大1500円。但し、Santoku汐入店で、1000円以上の買物をすると60分無料、2000円以上の買物をすると120分無料。べるぽうと汐入商店街で、1000円以上の買物をすると30分、2000円以上の買物をすると60分無料。
所蔵資料
図書所蔵数12,630冊(2023/03/31現在、出典『荒川区の図書館 令和5年』)
CD所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『荒川区の図書館 令和5年』)
カセット所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『荒川区の図書館 令和5年』)
DVD所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『荒川区の図書館 令和5年』)
ビデオ所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『荒川区の図書館 令和5年』)
設備
ブックポストべるぽうと汐入北側入口の向かって左に白い箱状のブックポストあり
自動貸出機なし
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用不可
LAN接続なし
飲食設備等建物同フロアにインド料理店「フルバリ」、「ラーメン亭 リトルチャイナ」、スーパーの「Santoku」あり
その他設備カウンター向かって左に読書通帳記帳機1台あり