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荒川区立冠新道図書サービスステーション

荒川区立冠新道図書サービスステーション 訪問記

last visit:2013/11/28

荒川区立冠新道図書サービスステーションは、明治通りを尾久橋通りをつなぐ、冠新道商興会という商店街の中にある図書館。児童・小説・暮らしの本に特化して資料を揃えています。

§ 商店街の中にある図書館

冠新道図書サービスステーション(以下、冠新道図書SS)は西日暮里駅の北東、京成本線新三河島駅の西にある商店街・冠新道商興会の中にある図書館です。商店街に近い図書館というのは都内にもいくつかありますが、冠新道図書SSは「商店街に近い」というより「商店街の中」にある図書館。というのも、花屋さんだったところを改修して図書館にした施設なんです。

荒川区では、図書館サービスの充実とコスト節約を両立させるために、図書館よりも小規模の「図書サービスステーション」を設置しており、2009年11月にオープンした冠新道図書SSは汐入図書サービスステーションに次いで2番目に設立された施設。右隣にはスーパー、対面右寄りにはドラッグストアがあり、買い物ついでにふらっと寄りたくなる図書館です。逆に、図書館への行き帰りに呼び込みに引き寄せられて買い物するパターンもあるかも。暮らしに密着している立地です。

§ 図書館内の様子

図書館としては小規模ですが、ほぼ壁沿いにしか棚がないので、ゆったりした空間です。入口から延びている通路が突き当たりで左に折れるかたちのL字状の区画で、入口を入ると左にカウンター、右の壁沿いに小説・雑誌・一般書の棚があります。左に折れた先は全て児童向けの絵本や児童書。机席はなく、四角い小さなソファが用意されています。

小さいながらもオストメイト対応の多機能トイレがあり、授乳やオムツ交換などができる部屋があるなど、設備が充実。ほとんどの書棚が壁沿いというのも、車椅子での利用も考慮しての設計なのでしょう。

花屋さん時代の名残として面白いのは、建物手前の駐輪場右の塀に水道の蛇口があること。現在はハンドルがなくて使えませんが、花屋さん時代はここにたくさんの花が並んでいて、この蛇口から水やりしていたんだなあと想像してしまいます。

§ 児童・小説・暮らしの本に特化された資料

一般書・児童書・雑誌を合わせても、8000冊弱という冠新道図書SSの資料は、いろんなジャンルに手を広げず、小説や暮らしの本、児童書に集中して蔵書を揃えています。

小説以外の一般書は、「旅行ガイド」「法律」「冠婚葬祭」「医学」「住宅」「家事全般(この中でいろいろ細かく分類されてます)」「育児」「ハーブ・園芸」「ペット」「スピーチ・司会」「手紙」のみ。総記(000)、哲学(100)、芸術(700)に該当する蔵書はないんです。雑誌も半分くらいが女性誌で、その他も「Tarzan」や「散歩の達人」「Tokyo Walker」など暮らし関連の雑誌が並んでいます。新聞は所蔵していません。

日本の小説・エッセイは、一緒になって著者姓名の五十音順で並んでいます。但し、複数の著者による作品集は、タイトル名を元に五十音順の並びに入れられています。例えば、阿刀田高(アトウダ タカシ)が書いたの本の次に、9人の作家による短編小説集『あなたに大切な香りの記憶はありますか?』が並び、その次に姉小路祐(アネコウジ ユウ)が書いた本がある、といった並びになります。

また、外国小説は文庫本が少しあるのみで単行本はなし。そして、100冊強ほどの外国小説文庫本の4割ほどはコージー・ミステリです。汐入図書SSも同様に外国小説は文庫本のみでしたが、内容に関してそうした傾向はなかったので、冠新道図書SSの皆さんはコージー・ミステリが好きなのかな(笑)。地元商店街の中という立地と日常ミステリというのはぴったりのようにも感じて、面白い蔵書傾向です。

もちろん、図書SSを通じて他の荒川区立図書館の蔵書の検索・予約ができるので、それを通じて冠新道図書SSにはない本やCD・DVDなどを取り寄せられます。この小さな図書館施設で全てのジャンルを少しずつ所蔵するより、このようにジャンルを限った方が書架を活用できるし、「このジャンルが見たいときは冠新道図書SSへ」「あのジャンルが見たいときは他の区立図書館へ」と使い分けできますね。ちなみに冠新道から近い図書館は、東方向なら荒川図書館、南東方向なら日暮里図書館で、どちらも道のりにして1km強程度です。

小さいですが、2つの文庫本棚の間に、特集コーナーや吉村昭コーナーもあります。日暮里生まれの吉村さん、この先荒川区では図書館や吉村昭記念文学館などを合わせた複合施設が新設される予定があり、現在も区立図書館全館に吉村昭コーナーが設置されています。

児童書も、絵本の割合が高いです。並び順としては、絵本は日本人作家の作品も外国人作家の作品も一緒にして、絵を描いた人の姓名五十音順。児童読み物は日本人作家と外国人作家を一緒にして、「ようねんどうわ」「よみもの」と対象年齢によって分けたうえで、著者姓名五十音順に並んでいます。絵本以外の児童書も、読み物:ちしきの本の割合が2:1くらいなので、お子さんが調べものをしたいときなどは他の区立図書館に行った方がいいと思います。大人も子どもも、冠新道図書SSの棚では気軽に読書できる本との出会いを楽しみ、「これが読みたい」と決まっている場合は検索・予約機能を利用するのがいいようです。

§ 商店街の中のミニ図書コーナー

冠新道図書SSを一言でいうと、「商店街の中のミニ図書コーナー」に尽きると思います。商店街のテナントの一つとして、ミニ区立図書館があるかたちですね。

がっつりと調べものもできる図書館はもちろん必要ですが、それとは別に行きやすい場所にこうした施設があるのは嬉しいです。ちゃんとした図書館は、それなりに敷地や建設費が必要になりますが、こうした施設で区立図書館の本を取り寄せることができれば、コストをかけずに利便性があがります。特に、冠新道図書SSの場合は、区立図書館だけでなく、赤ちゃんステーションやオストメイト対応公共トイレの場所も兼ねており、区のサービス向上の意味合いも大きいです。

商店街にとっては、空き店舗が埋まるだけでなく、本を利用するついでに商店街で買物をする人が増えれば一石二鳥。また、利用者にとっても、同じ場所で買物も図書館利用もできて便利ですね。忙しい大人にとっては、「買い物に行ってくる」と言って家を出て読書を楽しめる場所としても重宝するかも(笑)。商店街の中にあるミニ図書館、上手に活用したいです。

荒川区立冠新道図書サービスステーション データ

住所東京都荒川区西日暮里6-25-14 →Google Mapで見る
Tel03-3800-3321
開館時間
火~金曜9:30~19:30
土・日曜、祝日、臨時開館日9:30~17:00
※臨時開館日とは、夏休みの終わり頃などに、本来休館日である月曜を、臨時に開館してくれる日です
定休日月曜(祝日は開館し、翌日休館)
第3木曜(祝日は開館)
12月29日~1月4日
最寄駅 京成本線 新三河島駅から徒歩5分
日暮里舎人ライナー 西日暮里駅から徒歩8分
東京メトロ千代田線 西日暮里駅から徒歩10分
JR山手線京浜東北線 西日暮里駅から徒歩12分
JR常磐線 三河島駅から徒歩13分
駐輪場建物入口手前に駐輪場あり
駐車場なし
所蔵資料
図書所蔵数10,077冊(2023/03/31現在、出典『荒川区の図書館 令和5年』)
CD所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『荒川区の図書館 令和5年』)
カセット所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『荒川区の図書館 令和5年』)
DVD所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『荒川区の図書館 令和5年』)
ビデオ所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『荒川区の図書館 令和5年』)
設備
ブックポスト建物入口向かって右に白い箱状のブックポストあり
自動貸出機なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
持参PC利用不可
LAN接続なし
飲食設備等蓋付き容器(ペットボトル・水筒など)の飲料に限り、館内での摂取可能。