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足立区立東和図書館

足立区立東和図書館 訪問記

last visit:2017/12/04

足立区立東和図書館は、亀有駅と北綾瀬駅の中間辺りにある、東和センター内の図書館です。2017(平成29)年8月まで行っていた改築工事により、ほとんどの資料や設備がある2階部分に加えて、3階に広々とした絵本コーナーができました。

§ 図書館の場所

東和図書館の最寄り駅は亀有駅です。地図アプリなどで調べると最短距離となる道のりがわかりますが、東和図書館・東和地域学習センターの広報誌「待夢」に駅からの道のりとして葛西用水親水水路を通るルートが記されていたことがあり、お散歩がてら行くとしたらそちらの方がお薦め。広い歩道なのでお子さん連れでも歩きやすいし、足立区HPの「花・桜の名所」にもこの親水水路が挙がっているので、春に行くならぜひこちらのルートを通ってみてください。

東和図書館は亀有駅の北西に位置しますが、駅の南には葛飾区立亀有図書館もあります。どちらも道のりにして1kmほどありますが、自転車などで行動範囲を少し広げれば、葛飾区立図書館と足立区立図書館の両方が使えるというロケーションです。

常磐線の荒川と中川に挟まれた区間は葛飾区と足立区の境目にあたりますが、図書館の配置は各自治体がそれぞれ自分の地域内での考えるので、境目に近いところは、下手をすると図書館手薄地域になるし、逆に転べば図書館密接地域にもなる。亀有駅の場合は密接というほど近くはありませんが、自治体別の図書総数合計ランキングで都内3位の足立区立図書館と、30冊借りられる葛飾区立図書館の両方が使えるのは便利。この辺にお住いの方はこの立地をぜひ活用してください。

§ 図書館内の様子

東和図書館は東和センターの2,3階にあります。東和センターは東和図書館と東和地域センターが入っている複合施設なのですが、建物としては更に、東和センターと東和住区センターが合わさって一つの建物になっており、入口も複数あるのでご注意ください。道路側から建物を見たときに、すぐ目に入る前面中央の入口が東和センターの入口、左奥にある入口が東和住区センターの入口です。

1982(昭和57)年5月に開館した東和図書館ですが、2016年から2017年にかけて建物全体を改修したので、現在の姿は新しい図書館のよう。改修前は2階の一画が東和図書館でしたが、改修後も2階の同じ面積を占めているうえに、3階に絵本エリアを増設したので、図書館エリアが拡張したかたちになりました。

§ メインとなる2階エリア

ほとんどの資料・設備がある2階は、図書館エリアに入ってすぐ右にカウンターがあり、左手前に新聞・雑誌コーナー、その奥から左にかけてが児童コーナー、その更に左に一般書架があるという配置です。図書館エリア入口から見て奥の窓際に閲覧席が集まっており、こちらは全席が申込制。それ以外には、新聞・雑誌コーナーにソファ席があります。全体的に棚が低くて、見通しがいい空間。全ての棚が同じ向きに並ぶシンプルな配置です。

児童書のなかでは、絵本が3階、児童向けの読み物やちしきの本は2階になります。ただ、児童読み物のうちやさしいものを集めた「はじめてのよみもの」コーナーと、短めの作品集などを集めた「朝どくしょ」コーナーは、後述する3階にあります。児童読み物が2か所に分かれてしまうのは不便な点もありますが、これらの本の対象である、まだ長い読み物には親しんでいないお子さんには、堅苦しさがなく比較的自由に過ごせる絵本コーナーで本を読むことが、本への親しみに繋がるかも。絵本自体も、子どものためだけのものではなく、大人の愛好者もたくさんいますし、年齢にかかわらず2階と3階をフル活用したいです。

2階のうち、児童書の棚と一般書架の間にあたる棚(10番・11番)は、中高生コーナーになっています。棚を見ると、中高生向けの読み物や専門書が並ぶなか、「羅針本」「深い絵本」「背のび文庫」というラベルが貼った本があるのが目に入りますが、これは改修前からあったもの。「羅針本」は未来への道しるべとなる本を揃えたコーナーですが、本のラインナップをみると「視野を広げる本」という感じ。「深い絵本」は、本の作りとしては絵本ですが、内容としては大人が読んでも考えさせられるようなものを集めています。「背のび文庫」は、その名の通り、ちょっと背伸びした文学を読みたい中高生向けの文庫本を集めているコーナーです。検索機で本を調べたときには、「YB/あく/背のび」のように、請求記号の最後にコーナー名がつくので、探している本の最後に「背のび」「羅針本」などの名前が入っていたら、そのコーナーの棚を見てください。

ただ、現時点では、それらの本が置かれた棚に行っても何の説明もなく、ただこうしたラベルを貼った本を並べているだけなので、本に貼られた小さなラベルに気が付かなかったら、コーナーの存在自体に気づかない状態です。これらのコーナーは改修前からあったので、とりあえずその分類のまま並べているだけなのでしょう。なぜ図書館にこうしたコーナーがあるかというと、特定のテーマで本を集めることで、そこにある本を手に取って欲しいから。その目的のためにも、コーナーの存在をアピールするサインを設置したり、コーナーの意味を説明するなどしてくれたらと思います。

一般書架のほうでは、日本の小説が他の足立区立図書館とは少し違う並び方になっているので、注意が必要です。著者苗字の頭2文字と名前の頭1文字をとって、その五十音順に並んでおり、例えば、赤川次郎だったら「あかじ」となります。ですので、純粋な姓名五十音順とは並び方が前後する場合があり、例えば、姓名五十音順では、中野独人(なかの ひとり)→永山則夫(ながやま のりお)→中脇初枝(なかわき はつえ)となるところが、東和図書館では、永山則夫(なが の)→中脇初枝(なか は)→中野独人(なか ひ)という順になります。

対して、外国小説の翻訳は、「中国文学」「東洋文学」「英米文学」「ドイツ文学」のように国・地域別にわけたうえで、苗字の頭文字2文字で並んでいます。変に名前からも1文字とるより、こちらの方がシンプルでいい気がするのは私だけでしょうか。

小説に限らず、東和図書館にも限らず、足立区立図書館の蔵書に共通する話ですが、読みたい本が決まっていなくて何かいい本を探したいときには、気になった本を見つけた際に本の見返しを見てみてください。全ての本ではありませんが、本を買ったときに付いてくる帯を見返しに貼っていることがあります。本の帯にはその本の内容や推薦文などが載っていて選ぶ際の参考になるので、図書館用の装備をした後もこうして見られるのは嬉しいです。

§ 3階絵本コーナー

3階の絵本コーナーは、靴を脱いであがって絵本を床に広げることができるスペースだけを独立させたような区画です。入って左にカウンターがあり、部屋の壁沿いが本棚になっていて、左先にある下駄箱で靴を脱いで、絨毯敷きのスペースの中で自由に本を広げることができます。予約資料は、絵本であっても2階カウンターで確保していますが、貸出・返却は3階カウンターでもできます。

図書館だからといって静かにすることができないくらい小さなお子さんがいると来館しづらいと思う人もいますが、このように絵本コーナーが独立していると気兼ねなく利用しやすいです。ただ、現在の掲示物等では3階に絵本コーナーがあることがわかりづらい。更に、ここには、児童読み物の一部や、絵本をはじめとした子どもの本のブックガイド、子育てに関する本など、絵本以外の本もあるのですが、その点もわかりづらくて、今のままではせっかく所蔵している資料を利用者から遠ざけてしまっているように思います。絵本コーナーが3階にあること、絵本ガイドや子育て本も絵本コーナーにあることを、しっかりアピールして欲しいです。

児童読み物のうち3階にあるのは「はじめてのよみものコーナー」と「朝どくしょコーナー」で、入口から見て右の棚にあります。「はじめてのよみもの」は絵本から読み物にステップアップする段階にお勧めの本、「朝どくしょ」は短めの名作選など読書が苦手な子どもにも読みやすい本を集めたコーナーです。お子さんが絵本より長い物語を読めそうになってきたら、ここにある本に挑戦してみてください。

入口からみて左端にある子育て本コーナーには、赤ちゃんの名前に関する本、家庭での教育・しつけの本、こどもの病気、婦人科・産科、妊娠・出産、子育てエッセイなど、一般的な図書分類では別々の棚になってしまう子育て関連本が一か所に集まっています。ただ、3階の子育て本コーナーとは別に、2階に「599 育児」の分類があるので、子育ての本が見たい人は2階も3階も見ないといけない状態。あまりいい配置とは思えません。

また、子育て関連では、図書館の蔵書だけでなく、3階カウンターで配布している「ベビーライフカレンダー」も参考になります。東和図書館だけでなく、足立区で発行しているもののようで、妊娠3カ月、5カ月などの各段階で参考になる本の紹介や、生まれた後の赤ちゃん向けの図書館サービスが紹介されています。簡易的な冊子なので、ここに自分で知った本の情報を付け足して、オリジナルカレンダーを作るといいと思います。

もう一つ気になることがあって、改修前には布絵本サークル「たまご文庫」さんが寄贈した布絵本が約20点あったのですが、改修後の開架では見当たらなくなってしまいました。次回来たときには、布絵本がどうなったのか聞いてみようと思います。

§ まだ整理中の段階

改修工事を終えてリニューアル開館してからしばらく経つ東和図書館ですが、まだ整理中の段階にあるというのが率直な印象です。料理本も内容によって色別シールをつけて分類しているものの、何色が何を示すのかという分類の説明がないし、「羅針本」「深い絵本」「背のび文庫」などのコーナーも本に小さくラベルを貼っているだけ。新しい分類をするような大掛かりなことではなく、改修前から行っていた分類をもとに、そういう分類になっていることがわかる棚にすればいいだけなので、そろそろそうした作業にも手を付けて欲しいです。

建物・設備が新しくなっただけでも閲覧席利用者が増えているのを感じますし、更に本が探しやすくなれば、図書館利用がますます増えるはず。1年近く臨時窓口だけしか利用できなかった東和地域の皆さんに、待っただけあったと思われるようないい図書館に発展することを願っています。

足立区立東和図書館 データ

住所東京都足立区東和3-12-9 足立区東和センター2,3階 →Google Mapで見る
Tel03-3628-6203
開館時間9:00~20:00
※12月28日・1月4日は9:00~17:00
定休日月末日(土・日曜・祝日の場合は開館し、直前の金曜に休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 JR常磐線 亀有駅から徒歩18分
駐輪場建物入口手前右に駐輪場あり
駐車場建物正面向かって左(北側)に、一般向け駐車場13台、障害者向け駐車場1台分あり
SNS等
所蔵資料
図書所蔵数59,688冊(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』)
CD所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』)
DVD所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』)
ビデオ所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』)
設備
ブックポスト東和地域学習センター入口手前左右に、上部が白で下部が水色の箱型ブックポストあり。開館中の使用は不可。
自動貸出機なし
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
図書の除菌LIVA図書除菌機あり
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PC2階図書館エリア入口入って左手前にネット閲覧PC1台あり。利用は中学生以上、但し保護者同伴の場合は小学生以下も利用可能。9:00~19:30までの申込みが必要で、00分と30分を区切りに、30分単位での利用。次に待っている人がいなければ延長可能。
持参PC利用パソコン利用席で持参PCの使用可能。電源あり。
LAN接続
  • 館内用無線LAN「JapanConnected-FreeWi-Fi」の利用可能
  • ソフトバンクWi-Fiスポットに東和センターは登録されていますが、図書館エリアでは電波は入りませんでした。
飲食設備等1階ロビーに飲料自販機3台あり