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足立区立新田コミュニティ図書館

足立区立新田コミュニティ図書館 訪問記

last visit:2011/01/29

足立区立新田コミュニティ図書館は、荒川と隅田川の分岐点である足立区新田にある図書館。この地域は、その昔桜草の名所で、夏目漱石の「虞美人草」にも登場しているのです。花のように明るく心をなごませてくれる新田図書館は、足立区立図書館の中で、「園芸・ガーデニング」を担当しています。

§ 図書館の場所

新田図書館は、足立区だけの地図を見ると、南西のはずれでアクセスも悪そうなのですが、隅田川の向こうの北区は南北線王子神谷駅からだと歩いて15分。王子神谷駅を出て、北本通りを北上し、環七と交わったところで右折して、新神谷橋を渡ります。隅田川を渡って、橋を降りた右前方にある、新田二丁目第2アパートの2号棟の1,2階が新田地域学習センターで、その2階の一画が新田図書館です。

新田地域学習センターの入口が、建物の環七に面していない側にあるので、ちょっとわかりにくいかもしれません。新神谷橋を降りて少し歩くと、右に新田保育園があるので、その角で右折してください。その先の、郵便ポストがある角で左折すると、左の建物の真ん中辺に新田学習センター入口があります。

新神谷橋は隅田川の上流にかかる橋で、川幅もこの辺だとそんなに広くない。それが新神谷橋の辺りでぐねっと曲がっているのです。私の住んでいる江東区は、いかにも人工という感じの真っ直ぐな川が多いので、こういう景色には水の力を感じますね。

§ 図書館内の様子

新田地域学習センターに入り、2階に上がった右の突き当りが新田図書館。図書館エリアに入ると、左右にスペースが広がっていて、右にカウンターと新聞・雑誌コーナー、左に児童コーナーと一般書架があります。検索機やネット閲覧PCは、右のカウンターの並びに1台ずつあります。

花やポスターがたくさんあって、館内全体が賑やかな雰囲気。椅子のカバーは手作りっぽくて、温かみを感じます。冬の夕方などは、駅からの道のりが暗いので、新田図書館に着いたときに、暗闇の先の楽園にたどり着いた気さえしますよ(笑)。

§ 新聞・雑誌コーナー

新聞・雑誌コーナーは、手前が4人分の机席、奥は円状にソファが並んでいます。1人分のスペースも広くて、ゆったりと新聞・雑誌を読めますね。

雑誌ラックの右隣には「大人も絵本」コーナーがあります。私も図書館巡りをするまで、絵本なんて全然興味なかったんですけど(割と小さい頃から文字ものの方が好きだったし)、せっかく来たんだからと図書館の児童コーナーを覗くうちに、絵本も手に取るようになりました。絵本って意外と深いことを描いていたりするんですよね。また、児童書に関するガイド本もこちらにあります。

§ カウンター周り

新田図書館は中規模の図書館ですが、検索機はカウンターの並びに1台あるだけ。家や職場でネットが見られる人は、ネット上で資料検索を済ませてから図書館に来た方が、待たされる心配もないですね。

検索機の左にはネット閲覧PCがあり、さらに左の奥まったところには、漫画が隠されています。いや、隠しているわけではないのでしょうが(笑)、ネット閲覧PCを使っている人がいるときに、漫画の棚を見ようとすると、ネット閲覧PCの画面を覗いているみたいになっちゃうんです。「私が見ているのは、PC画面じゃなくて、漫画よ!」という雰囲気を発しながら、漫画の棚を見てました(笑)。

また、図書館エリア入ってすぐ右、カウンター手前の記載台下には、ダンボールで作られた「リサイクルボックス」があります。お手持ちの本を図書館に寄付したい場合は、この箱に本を入れるだけでOK。不要本を古本屋に売るのもいいですが、お世話になっている図書館に寄付してみるのもいかがでしょうか。

§ 児童コーナー

児童コーナーは、低い戸棚に囲まれた絵本コーナーと、一般書架の手前付近に並ぶ読み物の棚とに分かれています。絵本は出版社名の五十音順に並んでいます。読み聞かせコーナーは、薄いマットに手作りの布カバーがかかったものが並んでいて、思わず寝転がりたくなってしまいます(笑)。

§ 一般書架

一般書架を眺めていると、書棚の棚板に、関連する分類についての情報や、別置している資料の情報がたくさん貼られていることに気がつきます。例えば、「290 地理」の棚板に「滞在記、留学日記、冒険旅行記は、915にあります」という情報がある、といった具合。

また、医学の本の側面に「がん相談ホットライン」のチラシを置いていたり、後に述べるビジネスコーナーの対面の壁に、就業支援等のチラシを置いていたりも。どちらも貼られているのではなく、自由にもらえるようになっています。

図書館内の関連資料へと道案内してくれるだけでなく、図書館以外の施設・事業についての道案内もしてくれる。新田図書館に来ると、ただ一冊の本を読みに来ただけつもりだったのに、読みたい本が増えたり、図書館の外のどこかに行きたくなったり、世界が広がりそうですね。

また、別置している棚も面白いんです。その一つ、パソコンに関する書籍は、通常だと「547 通信工学」に分類される本も、新田図書館では一括して「007 情報科学」に分類し、一般書架左の壁際の奥の棚に置いています。新田図書館の面白いところは、そうやって分類が別になりがちなパソコン関連本を一緒に置くだけでなく、児童向けのパソコンの本も一緒にして置いてあるところ。

このパソコン関連本だけでなく、新聞・雑誌コーナー窓際の環境関連本コーナーも、大人向けの本と児童向けの本が並んでいるのです。児童向けの本って、実は大人にとっても、短時間で概要をつかめる入門書として便利。それに、環境関連のことならまだしも、パソコン関連などは必ずしも子どもより大人の方が知識が多いとは限らないでしょう。こうした、児童/一般(大人)の垣根を越えた配架というのは、他の図書館では出会えない本に出会えそうですね。

小説は著者名の五十音順で並んでいますが、複数の作家による小説本は、五十音順の並びの後に一まとめにされています。新田図書館の場合、著者が一人の小説は請求記号が著者名頭文字2文字(例えば、太田光著『マボロシの鳥』の請求記号は「/おお/」となる)、複数の作家による小説本は請求記号が「918」になるので、それも本を探す際の手掛かりにしてください。

また、入口側の壁沿いにあるノンフィクション関連の分類が細かいんです。「914 エッセイ 随筆」に始まって、「915 日記 紀行」、916内は更に細かく「人生 生き方」「医療 介護 ルポルタージュ」「事件 事故」「戦争」、「917 名言集 手紙集」、「918 心に残るいい話」といった具合。見出しがたくさんついていて、いろんな本に手を伸ばしたくなります。

§ 特集コーナー

月ごとでテーマを入れ替える特集コーナーは、図書館エリアに入ってすぐ左の棚にあるので、利用されている方はご存知でしょう。これとは別に、一般書架の窓際奥の棚上にも、小さい特集コーナーがあるんです。小さいけれど、入口ほど人通りがない分、じっくり立ち読みできるので、こちらもぜひチェックしたいところ。

新田図書館って、本を借りたときにくれる貸出票(貸出期限が記されている票です)に、その月の特集テーマも印刷されているのです。足立区は貸出処理と同時に図書館システムが印刷する貸出票ではなく、一枚の紙にたくさん印刷したものを裁断して作るタイプの、手間のかかる貸出票なのに、素晴らしい!特集を見て欲しいという、職員さんの気持ちが伝わってきます。

他の図書館の貸出票って、特に図書館システムが印刷するようになっているタイプのものだと、「返却期限を守りましょう」とか、つまらないことしか書いていないんですよね(笑)。でも実は、システム印刷タイプの方が、印刷の文言を変えるのは楽だし、必要以上に作ってしまって破棄することもない。このように貸出票に特集テーマや直近のイベント情報を掲載すれば、多くの利用者にアピールできると思います。これはぜひ、多くの図書館に真似して欲しいなあ。

§ 常設コーナーあれこれ

一般書架の左奥、壁の一つ手前の棚(6B)の一画はビジネスコーナー。コーナー内では、「事業を始めたい」「在宅で働きたい」「特許を取りたい」「お店を開きたい」「履歴書・職務経歴書・面接」「資格を取る」という分類で、資料が並んでいます。どちらかというと、今の事業を進展させようという人より、何か新しいことを始めようとする人向けという傾向が強いラインナップかな。

ビジネスコーナーの棚を振り返った壁には、足立区による就業支援事業のチラシなど、ビジネス関連のチラシがたくさん置いてあり、自由にもらうことができます。私のお薦めは、産業情報室が偶数月の1日に発行している『ほんナビ!』。ビジネス関連図書のブックレビューの冊子なのですが、単に本を紹介するだけでなく、職員さんが本田直之氏の『レバレッジ・リーディング』で提唱された読書法を実践したレポートの連載もあって、読み応えがあるんです。『ほんナビ!』は、新田図書館だけでなく、足立区立図書館の各館で置いていると思うので、機会があったらぜひ手に取ってみてください。

一般書架の中で、一番入口に近い棚(1A)には、家事関連本がずらり。いや、家事関連本だけでなく、育児・家族・女性・高齢者問題・青少年問題・健康法・住宅…と、幅広い生活関連本が集まっています。こう書くと女性向けの棚だと感じるかもしれませんが、「男を磨く」というコーナーもあるんですよ。男性も女性も使える、暮らしのコーナーといったところでしょうか。

§ 野新田の桜草

足立区立図書館では各館で特に力を入れるテーマを決めていて、新田図書館は「園芸・ガーデニング」をテーマとしています。その「園芸・ガーデニング」コーナーに行ってみると、以下のような説明がありました。

新田地域は、野新田といわれた頃から「桜草」の名所でした。かの夏目漱石も訪れ、「虞美人草」にも取り上げられています。その桜草群生地は昭和初期に絶滅してしまいましたが、現在は『野新田桜草の会』を中心に桜草の復活に力を注いでいます。
そこで、桜草の歴史資料を含め、足立区の樹木や花である桜やチューリップとともに、草花・園芸を中心に資料を集めました。また、家庭園芸が盛んなため、ガーデニング資料も収集しています。

「野新田(やしんでん)桜草の会」は新田小学校PTAによる会で、桜草の栽培をしたりしているのだそうです。その顧問の大久保幸治氏が、2006年6月から2007年3月まで、新田図書館だよりで「新田桜草物語」という文章を連載していて、このコーナーにもそれをまとめた冊子が置いてあったのですが、これがなかなか面白い。

桜草の出てくる昔話などを読みやすいようにまとめているのですが、その際に地元向けに「今の足立新田高校のあたりです。」とか「今の新田三丁目のバス停があるあたりに出ました。」とか現在の目印を織り込んでくれるので、読んでいると昔話がぐっと身近になるんです。特に私は初回自転車で来て、着くまでに何度も地図を見たので、読んでてその場所を知っていることが嬉しくなっちゃいました(笑)。

ちなみにその「野新田桜草の会」のホームページはこちら。トップ>桜草コレクション>「尾久の原桜草」の絵 などは、昔の新田もこんな感じだったのかなあと思いを馳せてしまいます(でも、この絵は新田じゃなくて尾久なんですけどね)。

足立区立新田コミュニティ図書館 特集・行事・図書館だより感想記

  ビブリオバトル
―2015年10月3日のイベント
足立区にある東京未来大学の学生さんによる団体「BookLink」と新田図書館の共催でビブリオバトルを開催しました。第1ゲームは全国大学ビブリオバトル2015の予選も兼ねた大学生によるゲーム、第2ゲームは一般参加のゲームで、さまざまな本が紹介されました。

足立区立新田コミュニティ図書館 データ

住所東京都足立区新田2-2-2 新田地域学習センター2階 →Google Mapで見る
Tel03-3912-1767
開館時間9:00~20:00
※12月28日・1月4日は9:00~17:00
定休日月末日(土・日曜・祝日の場合は開館し、直前の金曜に休館)
毎月1回施設点検日
12月29日~1月3日
最寄駅 東京メトロ南北線 王子神谷駅から徒歩15分
駐輪場建物南西側(新神谷橋側)に駐輪場あり
駐車場建物南西側(新神谷橋側)に一般用駐車場3台分あり
SNS等
所蔵資料
図書所蔵数55,192冊(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』)
CD所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』)
DVD所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』)
ビデオ所蔵数なし(2023/03/31現在、出典『足立区の図書館 令和4年度事業報告書』)
設備
ブックポスト建物入口向かって左に青い箱型ブックポストあり
自動貸出機なし
図書の除菌書籍消毒機「デンネツ殺菌ブッククリーンCOCOCHI」あり
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCネット閲覧PC1台あり。9:00~19:30までの申込みが必要で、00分と30分を区切りに、30分単位での利用。次に待っている人がいなければ延長可能。
持参PC利用パソコン利用席で持参PCの使用可能。電源あり。
LAN接続館内用無線LAN「あだちFreeWi-Fi」の利用可能
飲食設備等建物2階の階段・エレベーターを上がった左に飲物自販機1台あり
その他設備
  • 館内用ブックカートあり
  • 新田地域学習センター入口向かって手前左に喫煙コーナーあり