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夏目漱石ものしり博士認定試験

―2007年11月4日のイベント
visit:2007/11/04

新宿区立図書館では、夏目漱石生誕140年記念のイベントとして、2007年11月4日に中央図書館にて「夏目漱石ものしり博士認定試験」を行いました。私も応募させていただき、試験を受けてきました。

当日は試験を待ち望みすぎたのか、九段下で乗り換えるべきところを、神保町で都営新宿線を降りてしまい、神保町→九段下を半蔵門線で、九段下→高田馬場を東西線で、なんて無駄な乗換えをしてしまいました。朝から何やってんでしょう(笑)。

それでも無事、新宿区立中央図書館には10時の開館前に到着。試験は10時半からの予定だったのですが、10時半ちょっと過ぎにスタートしました。設置された席から察するに、応募者は30人弱といったところかな。来ない人もいたので受験者は20人弱といったところ。もうちょっといるかと思った、というか、もうちょっと上手に宣伝すれば、もっと集まったんじゃないかな。でも、受験する側とすれば、受験者が少ない方が、自分が上位に上がれるというもの(笑)。

しかし、問題が結構難しい!いや、本当に漱石を愛読している人にはそうでもないのかな。私なんて、図書館が面白そうなイベントをやるから参加しようと思って、慌てて漱石を読んでいるくらいなので、本当はこの試験を受けるレベルにありません(笑)。

それでもラッキーなことに、まさに昨日の記事に書いた「徴兵を免れるため」に「北海道」に戸籍を移したことが問題になっていたので、それで2問正解をGET!逆に高田馬場までの車中で読んできた年譜に書いてあった、敬愛していた嫂の名前「登世」が出てこずに落としてしまいました。あ、問題は、4択が15問、記述問題が25問でした。

試験の後は、予定では問題作成者である東京外国語大学の柴田勝二教授が解説をする予定だったのですが、所用で遅れるとのことで25分間のビデオを見ることに。大学院の試験監督の用事らしく、急に断れない人か誰かに頼まれてしまったのでしょうか。

このビデオは漱石の一生を辿るビデオだったのですが、生誕之地のそばのお店が吉野家ではなくお好み焼き屋で、「おぉ~、今は見られない映像だ」と思っちゃいました。それと、漱石が『吾輩は猫である』を書いたのが、今の私の歳(36)より後の38歳であることを知り、それなら私もまだまだこれから何かを成すかもと、要らぬ大望を抱いたり(笑)。

あと、今の我々から見れば、漱石が小説家として成功しているのを知っているので、東京帝国大学での出世の道を進むか、朝日新聞に入社して小説家になるかというところでの岐路をつい気にしなくなっちゃうけど、いくら朝日新聞入社という形を取るとはいえ、その岐路で人気商売といえる小説家の方を選んだというのは、勇気が要っただろうなあなんて感じました。

その後、休憩を挟んで答え合わせを兼ねた解説。この柴田教授が、「漱石が作品の中で帝国主義をどのように描いてるか」という本を出した方で、その視点からの解説がとても面白かったですね。三角関係は植民地を奪い合っている帝国同士を象徴していると読めるとか、坊っちゃんが東京に戻って落ち着いて生活するのも、けんかが象徴している戦争をしないで、文明を利用して平和に発展していこう(これも街鉄の技手が象徴)という思いが描かれているとか。

漱石のすごいところは、そういった読み方もできるし、もっと通俗的な人間ドラマとして読んでも面白いところですよね。メタファーを織り込んだ小説って、気楽に読書する一般人にはもっとつまんなくなってもおかしくないのに。だから今でも多くの人に読まれるんでしょうね。

解説の後には質疑応答の時間もありました。私は質問できるレベルではないので(数えてみたら、『猫』『草枕』『坊っちゃん』『こころ』『硝子戸の中』しか読んでないです 苦笑)黙っておりましたが、「漱石は女性を描けないと言われるのは鏡子夫人の影響?」という質問には、「鏡子夫人がモデルである猫の主人の夫人は細かく描けているし、それより女性は三角関係の中で取られあう人、つまり植民地のメタファーとして使われていることが細かく描かれない要因では」。「教授の読み方のように歴史的背景と照らし合わせて読み解くにはどうやって読めばいいかご指南を」の質問には、「リアリティ小説として読んだときに、矛盾を感じたり、唐突さを感じたりするところは何らかのメタファーとなっている可能性がある」と、私にはとても新鮮な説で面白かったですね。

あ、私が粗くまとめてレポートしているので、うまく伝わっていないかもしれませんが、ご自分の視点を押し付けるような方では全くなく、読み方を広げていただいたという感じで、本当に聞けてよかったです。

そして記念品として、漱石の写真の入ったクリアファイルと、新宿が作成した冊子「漱石山房秋冬 ~漱石をめぐる人々~」をいただきました。これって「漱石山房春夏」もどこかにあるんですかね。この冊子もいいですよ。個人的には漱石が「硝子戸の中」の中で嫌がっていた笑顔の写真を掲載しているのがいいですね~。また、この冊子にも3択クイズが掲載されていて、こっちの問題だったら10問中9問わかったのに(笑)!

あ、答え合わせの結果は、40問中19問正解でした。半分切ってるじゃん(笑)。この試験の結果の上位4名が12月1日に表彰されるそうなのですが、確実に私でないどなたかでしょう。表彰式の後は夏目房之介氏の講演会があり、私もそちらに応募しているので、万が一表彰されても準備はできております(笑)。

それにしても、これ、できればまたやって欲しいですね。個人的にはリベンジしたいし(笑)、なかなか面白かったので、継続すれば受験者ももっと増えるのではないでしょうか。それにもうちょっと宣伝もして。あ~、せっかくだから、職員さんに直接そう言ってくればよかったな。予定より時間がかかったので、終わったらすぐに帰っちゃったんですけど。

という訳で、新宿区立図書館さん、生誕140年事業での単発企画ではなく、ぜひまたやってください!