東浅草小学校でインタビュー
東浅草なかよし図書館は、区立図書館でありながら東浅草小学校内にあり、専用カードがないと入ることもできないという変わった公立図書館。台東区立中央図書館に許可をいただいて、区内在住の方や区内小中学校在学の方の家族が利用できる土日の様子を見せていただきましたが、東浅草小学校の生徒さんのみが利用できる平日の様子はどんな感じなのでしょう。
今回、「いまけんの東浅草日記」という、東浅草小学校を応援するブログを運営しているいまけんさんのご協力をいただき、東浅草小学校の生徒さん達、教員の方々、保護者代表としていまけんさんにお話をうかがうことができました。東浅草小学校に話を通してくださったり、いまけんさんには本当に感謝するばかりです。ありがとうございました。
インタビューの前にいまけんさんに学校の中を少し案内していただいたのですが、東浅草小学校には、東浅草なかよし図書館と学校の図書室の他に、廊下の一画を利用した図書コーナーもあるのです。私は2階と3階の図書コーナーを見学させていただいたのですが、2階の方には畳が敷いてあり、座って本を広げられるようになっています。こういうコーナーが廊下にあると、読書が堅苦しいものではなく、もっと身近なものに思えますよね。本棚が図書室に集中しているのではなく学校内のあちこちにあるという点も、気分を変えられたりしていいですね。
2階の図書コーナーの方は、吉田文庫という吉田實氏が寄贈した本や、待乳山小学校創立110周年記念文庫の棚もあります。東浅草小学校は、待乳山小学校と田中小学校が統合してできた学校なんですね。現在の東浅草小学校は待乳山小学校だった場所で、校舎も待乳山小学校時代から続くもの。階段付近などはなかなかモダンなデザインだし、今は入れないようにふさがれていますが地下には防空壕もあるのだそうです。
さて、今回インタビューに答えてくれたのは、2年生の女の子2人と3年生の男の子・女の子1人ずつ。それぞれの学年を担当していらっしゃる教員の方々にもお話を聞かせていただきました。
本棚がいろんなところにある東浅草小学校ですが、お話を聞いた感じだと生徒さんの方では特に使い分けをしているわけでもなく、ただ新しいのでやはり東浅草なかよし図書館をよく利用しているようです。でも、複数巻の本が東浅草なかよし図書館の方には途中までしかなくて(他の人が借りていたのかな)、学校の図書室の方を見たら続きがあったのでそれを利用して読んだという話も聞いたので、生徒さんたちは両者をしっかり使いこなしているようです。また、学校の図書室は完全な図書室というより、半分学習室のように使っているとのことで、調べ学習やじっくり読むのは学校の図書室の方になるのでしょう。
台東区立図書館の検索機も、「皆使える?」と聞いてみたら、4人とも堂々と「使える」という返事。さすがです。今回話を聞かせてくれた男の子は、かなり使いこなしているようで、『漫画の「NARUTO -ナルト-」は、「なると」とひらがなで検索すると出ないけど、「NARUTO」とアルファベットで検索すると出るんだよ」と話してくれました。
実際、検索システムって検索処理の仕組みがそれぞれ違うので、使いながらそのシステムでのコツを憶えていくことが必要なんですよね。そんじょそこらの台東区立図書館利用者より、お話してくれた男の子の方が台東区立図書館検索のコツを知っているかも!?
東浅草なかよし図書館ができる前に台東区立図書館に行ったことがあるかどうかを生徒さんたちに聞いてみたら、よく行っていたという生徒さんから一度も行ったことがなかったという生徒さんまで様々。一度も図書館に行ったことがなかった生徒さんが、学校内に区立図書館ができたことをきっかけに利用することになるというのはいいですね。もう少し大きくなって行動範囲が広がってきたら、区内の他の図書館にも行ってみるんだろうな。今回話を聞かせてもらった生徒さんだけでなく、全体的にも東浅草なかよし図書館ができたことで生徒さんの読書量は増えているのだそうです。
東浅草なかよし図書館は、平日は東浅草小学校の生徒さんのみに開放しているのですが、そのうち区立図書館の職員さんが来るのは週2回で、残りは保護者のボランティアさんがいらして図書館を開けているのですね。で、私、インタビューの前に全校でのスピーチ大会を少し見学させていただいたのですが、やはり最近の小学校は生徒さんの数が少ないんです。平日に来られる保護者さんが集まってシフトを調整するだけでも大変だろうと思うのですが、実際それをこなして運営なさっているってすごいです。
でも、そのスピーチ大会の様子を見て、これは人数が少ない利点かも、と思ったのが、生徒さんと学校と保護者さんがとても密接な雰囲気だったんですよね。人数が多いとなかなかあんな感じにはなれないんじゃないかなという、皆が顔見知り的な雰囲気。
また、1学年1クラスになってしまったことで余った教室を有効に利用していたりもするんですね。教室の一つは統合記念資料室になっていて、待乳山小学校と田中小学校、また以前は今の東浅草なかよし図書館にあたる部屋とその隣2部屋を区立幼稚園が使用していたこともあったそうなのですが、そういった歴史がわかる資料が揃っています。
小学生だとこういったことにはなかなか興味を持たないかもしれないけど、代々この辺に住んでいるお家なら、お父さんお母さんやおじいちゃんおばあちゃんの載っている卒業アルバムも見られるんじゃないかな。
小学校の話から図書館の話に戻りますが、東浅草なかよし図書館に関するこぼれ話として、イメージカラー(専用の図書館カードや蔵書のバーコードの上部の色)が紫になった理由を生徒さんが話してくれました。学校の中に区立図書館ができるにあたって、図書館の名前を生徒さんから募集して、1位の「なかよし」が図書館の名前として採用されたのですが、そのときの2位が「あさがお」だったのだそうです。そこで、朝顔の色である紫を東浅草なかよし図書館の色に決めたとのこと。
そんなあれこれを話してもらっているうちに予定の時間となり、生徒さん達にお礼を言ってインタビュー終了。スピーチ大会の後で疲れていたはずのところ、残ってお話してくれた生徒さん達には本当に大感謝!です。そして、これからもたくさん本を読んで楽しんでくださいね。
また、知らない人に図書館の話をすることになって緊張していたであろう生徒さんから、うまく話を引き出していただいた教員の方々にも大変感謝しております。お忙しいところ時間を割いていただいて、ありがとうございました。また、この取材を許可していただいた東浅草小学校にも感謝の意を申し上げます。
そして最後に、こうしてインタビューする機会を作っていただいたいまけんさんには本当に御世話になりました。いまけんさんのブログ、「いまけんの東浅草日記」をご覧いただけると、私が感じた、生徒さんと学校と保護者さんのいい雰囲気がわかると思うので、皆さんもぜひご覧ください。
<東浅草なかよし図書館は、単に小学校の中に区立図書館がポンとできた図書館ではなく、こうした周囲の方々に支えられて、見守られている図書館なんですね。