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港区立郷土歴史館図書室

※港区立図書館は、全館休館(一部、閲覧等はできないが場所としての利用のみ実施)とシステム停止の予定があります。詳細はこちらをどうぞ。

港区立郷土歴史館図書室 訪問記

last visit:2018/11/05

港区立郷土歴史館図書室は、港区の歴史や文化に関する資料を集めた閲覧専用の図書室で、港区立図書館資料の予約受取場所としても利用できます。戦前に旧・公衆衛生院として建てられたゴシック調の建物が素敵です。

§ 図書室の場所

郷土歴史館は、白金台駅のすぐ近くにある「ゆかしの杜」の中にあります(駅からの道のりはこちら)。ゆかしの杜は港区の複合施設で、港区立郷土歴史館をはじめ、カフェ、ミュージアムショップ、あっぴぃ白金台(子育て広場と乳幼児一時預かり)、みなと保育サポート白金台、白金台学童クラブ、白金台区民協働スペース、港区立がん在宅緩和ケア支援センターが入っていますが、面積の大部分を占めているのが郷土歴史館です。三田図書館の上にあった郷土資料館を覚えている人もいると思いますが、それを移設し、名前を郷土歴史館に変えて、2018年11月1日にオープンしました。

この建物は、1938年に建設された旧・公衆衛生院を港区が取得し、保存・改修したもので、ゴシック調のデザインが素敵です。私がスマホで撮った写真をパノラマ機能で繋げたのが下の写真。曇天のため、綺麗に撮れているとは言いかねますが、それでも建物の雰囲気が伝わると思います。

港区立図書館 郷土歴史館

建物内も自由に見学できる部分は撮影可能ですが、照明の加減などのため、ここでお披露目できるレベルの写真をスマホで撮ることが難しいので、港区立郷土歴史館ウェブサイトの写真をどうぞ。図書室は3階の南端にあるので、行く際にはそこまでの内観も楽しんでください(正面入口を入ったフロアが2階なのでご注意を)。郷土資料館を歴史的価値のある建造物に移設して、郷土歴史館にした今回のリニューアルは大成功だと思います。

§ 図書室の様子

図書室は小中学校の教室1つ分程度の小さな部屋です。入ってすぐ右にカウンターがあり、左方に書棚が並んでいます。座席は、4人掛けのテーブルが3つあるほか、椅子席が11席。コピー機や港区立図書館の資料が検索できる検索機もあります。

郷土歴史館の図書室なので、所蔵資料は歴史・文化全般や港区の歴史・文化に関連するものが揃っています。馴染みやすい本としては、学習漫画の『日本の歴史』から一般向けの歴史読み物までありますし、23区それぞれの区史や、文化財調査報告書、昔話を聞き書きしたもの、学童疎開の記録など、本格的に調べた資料も多数あります。

「江戸楽」「エプタ」「Cultivate」「姓子と家紋」「考古学」「月間文化財」「博物館研究」など、歴史や文化に関する雑誌もバックナンバーを揃えています。赤坂にある乃木神社が発行している「洗心」もあり、図書館とは一味違うラインナップが興味をそそります。

港区の今の文化を感じられるのが「港区のミュージアム」コーナー。港区には国立新美術館、森美術館根津美術館など、多くの美術館・博物館があります。「港区のミュージアム」コーナーでは、それらのミュージアムで企画された展示の図録を収集しています。既に終わってしまった展示も、図録の中で楽しめます。

この図書室にある資料は、すべて閲覧のみで貸出はできません。ここの資料も港区立図書館の検索機で検索できるので、歴史や古い文化に関する本をよく読む人は、読みたい本を港区立図書館で検索したら、貸出不可の郷土歴史館所蔵資料だったことがあるのではないでしょうか。貸出できないのは残念ですが、図書館ではない施設にある資料も、図書館の検索機で検索できるようにしてあるのは便利です。

また、港区立図書館の窓口機能を有しており、この図書室のカウンターで、港区立図書館の図書館カードを作ったり、所蔵資料の予約受取、返却ができます。ゆかしの杜の中には児童関連を中心に港区の施設が入っているので、それらを日常的に利用している人は、この図書室を通じて港区立図書館を利用することができます。また、郷土歴史館が閉まっている時間帯でも、返却だけなら南エントランスにあるブックポストに入れることが可能です(ブックポストは朝4時半から深夜25時半まで)。

§ 建物探索

この図書室を利用するなら、図書室だけでなく建物全体を探索したいところ。区の施設として活用するための改修をしていますが、エントランスホール・寮・講堂・院長室・食堂など、建設当初の様子を残しているエリアも多く、低コストでの建設が求められる現在の公共施設では見られない意匠を目にすることができます。建物の正面エントランス入って左にある受付で、「ゆかしの杜(旧公衆衛生院)歴史的建造物見学のご案内」というパンフレットをもらい、それに載っている見学ルート通りに進むと、建設当初の姿を保存してあるエリアを一巡りできます。

1階のカフェ「VEGETABLE LIFE」は、ご近所にある結婚式場の八芳園がプロデュースするカフェで、提携農家から届く有機野菜を使ったメニューを揃えています。営業時間が郷土歴史館と一緒なので、朝9時からモーニングメニューも味わうこともできます。ランチメニューをいただいたところ、素材の味を活かした程よい味付けでとても美味しかったです。テイクアウトもできますし、有機野菜の販売もしていて、郷土歴史館と一緒に17時(土曜は20時)で閉まってしまうのが残念なくらい。とても居心地のいい空間です。

このカフェの裏には学校歴史資料展示室があり、港区内で統合によってなくなってしまった小中学校の記録が展示されています。この展示で知ったのですが、統合などで学校が閉校になってしまうときは、閉校記念誌や閉校記念品などを作成するものなんですね。私が通った多摩市の中学も統合によって閉校したのですが、記念誌が発行されたかどうか知らず、母校と縁遠くなってしまっているのを感じてしまいました。展示で印象的なのは、聖坂小学校のところに、誰が書いたかわからない「昭和八年頃の聖坂小学校近辺の町並み」というイラストマップ。小学校のそばに商店街がある環境だったようで、見ていると、学校帰りの子どもと買物しにきた住民で賑わう町の様子が想像されます。

2階のミュージアムショップには、港区の教育委員会や郷土歴史館の発行物はもちろん、絵葉書、手ぬぐい、クリアホルダー、ブックカバー、マグカップ、一筆箋などのオリジナルグッズ、そして郷土歴史館のロゴが入った子ども服も販売しています。子ども服が多いのは、この建物にあっぴぃ白金台(子育て広場と乳幼児一時預かり)、みなと保育サポート白金台、白金台学童クラブなどの児童関連施設が入っているからでしょう。郷土歴史館のロゴは、Google Mapで見るとよくわかりますが、建物を上から見たときのかたちになっています。

また、5階にあるがん在宅緩和ケア支援センター「ういケアみなと」は、港区のプレスリリースによると、自治体が独自に施設を設置し緩和ケア支援を実施する都内初のケースだそう。建物建設当時は防疫や上下水道など公衆衛生の調査・研究・教育が求められていたのに対し、現在は病気になった後のケアも求められる時代なんだと思うと、80年の間の公衆衛生や医療の進歩を感じます。

こんなかたちで、歴史的価値のある建物の中に、その建物にふさわしい郷土歴史館と、日常的に利用する保育サポートや学童クラブが共存しているのが面白い。郷土歴史館は中央エントランス、児童関連施設とがん在宅緩和ケア支援センターは南エントランスと入口が分かれていて、建物の荘厳とした雰囲気を保てる共存になっています。建物自体から、所蔵物・展示・資料まで、ここにあるさまざまなものをぜひ堪能してください。

港区立郷土歴史館図書室 データ

住所東京都港区白金台4-6-2 郷土歴史館3階 →Google Mapで見る
Tel03-6450-2107(郷土歴史館)
開館時間
日~金曜、祝日9:00~17:00
土曜9:00~20:00
定休日第3木曜(祝日の場合は開館し、前日の水曜を休館)
12月29日~1月3日
最寄駅 東京メトロ南北線都営三田線 白金台駅から徒歩2分
駐輪場ゆかしの杜に駐輪場はないが、南エントランスのそばに港区立白金台駅自転車駐輪場があり、一時利用も可能です。一時利用は、24時間毎150円、但し最初の2時間が無料、利用は4:30~25:30。
駐車場一般用駐車場はなし。建物南西側に障害者用駐車場が2台分あり。
所蔵資料
音声資料
CDカセットレコード
なしなしなし

映像資料
DVDビデオLD
なしなしなし
※ DVD・ビデオは広報DVD・ビデオを除いた市販ビデオ・DVDの有無を表しています
設備
ブックポスト郷土資料館南エントランスにブックポストあり。利用時間は朝4:30から深夜1:30まで。
自動貸出機なし
自動返却機なし
セルフ予約受取なし
音声試聴設備なし
映像視聴設備なし
ネット閲覧PCなし
LAN接続館内で港区の公衆無線LAN(Minato City Wi-Fi)の利用可能
飲食設備等1階にカフェ「VEGETABLE LIFE」あり。営業時間は郷土歴史館の開館時間と一緒。