移転前の旧・港区立三田図書館
旧・三田図書館は2021年12月28日を最後に移転のための休館に入りました。その後、新しい三田図書館が2022年4月1日に移転開館しています。
以下は、移転前の旧・港区立三田図書館の訪問記です。
移転前の旧・港区立三田図書館 訪問記
三田図書館は地下鉄三田駅のそば。といっても、都営浅草線の三田駅からは本当にすぐですが、都営三田線の三田駅からは少し離れています。また、JR田町駅からも徒歩で行ける距離です。
三田駅から行く場合は、A3出口の階段・エレベーターを上がって左側に出て、目の前の道を左に進むと、100mも行かないうちに道の右側に三田図書館が現れます。田町駅からは西口(三田口)に出て、左先に伸びる自由通路で、第一京浜を越えた奥の階段で降ります。降りたところで左に進むと、同じように100m弱で右側に三田図書館が見えます。
建物としては地下1階から4階まであり、そのうち三田図書館は1階から3階まで。地下は食堂と視聴覚ホール、4階は郷土資料館がありましたが、現在は白金台に移設されました。図書館内の配置は、1階が児童コーナー・雑誌・CDに小説や芸術関係の本など、2階がそれ以外の一般書架、3階が読書席とラウンジです。
三田図書館の印象は、いつも賑わっているという感じ。周囲にはオフィスもあるし、慶應義塾大学をはじめ学校も多い。マンションもあるので住民もいるし、駅の近くだから途中下車して利用する定期券利用者もいるでしょう。2011年の来館者数を見ると、高輪図書館の約49万人、みなと図書館の約38万人、赤坂図書館の約38万人に対して、三田図書館は82万人という港区でダントツの数字で、どの時間に行っても利用者が多いという印象です。
1階は、建物入口入って通路を右へ進むと、左にカウンターがあり、右に児童コーナー、カウンターからみて右先に新聞・雑誌コーナー、カウンター正面にCDと文庫、カウンターからみて左に小説や芸術関連の本、ネット閲覧PCがあります。視聴覚資料としては、CDとDVDを所蔵しており、DVDは児童コーナーとそれ以外のコーナーの境目の棚に並んでいます。
上でとにかく賑わっていると書きましたが、児童コーナーは逆にいつ行ってもあまり人がいない印象です。やはり三田図書館の利用者の大多数は、通勤・通学で三田を訪れる人ということでしょうか。でも、少ないというだけで来ている子どもはいるし、畳コーナーなどもあってのんびりできるし、むしろ親子連れには穴場かも。
絵本は日本のおはなしも外国のおはなしも一緒にして、絵を描いた人の姓名五十音順に並んでいます。児童読みものも日本人作家のおはなしと外国人作家のおはなしを一緒にして、著者姓名の五十音順ですね。また、500冊以上ある英語絵本のほか、英語の児童読みものもあります。英語の児童読みものと一言で言っても、ハリーポッターシリーズやミヒャエル・エンデの『MOMO』のように分厚いものからJudy Moodyシリーズのような軽い読みものまでと幅広いです。外国語絵本(児童コーナー入って左奥)と外国語児童書(児童コーナー手前左の棚)は離れた場所にあるので、ご利用の方はご注意を。
新聞・雑誌コーナーも利用が多いです。移動の途中に情報収集している人も多いのか、たとえ満席でも少し待てば誰かが席を立つことが多いです。雑誌コーナーのそば、2階への階段の下にあたる棚は展示コーナーになっており、2か月程度でテーマを変えて、それに合った本やCDを展示しています。展示コーナーには、三田図書館のキャラクター「三田ネコ」の大きな姿も。この展示コーナーに持ってきた本がある棚には、一般書架の側面に「○○についての図書は、現在1階の特設コーナーの棚にもございます」という説明をつけてくれています。展示コーナーに移したせいで本が見つからないということも防げるし、今の特集が何かを知って見てみようという気になったりもしますね。こういう配慮は嬉しいものです。
カウンター正面のCDコーナーには試聴機もおいてあるので、ちょっと聴いてみたりもできます。また、CDの中でも語学CDは、CDコーナーではなく窓際のCD付図書の棚にあります。語学のCD付書籍って、図書館によってCDコーナーにあったり語学の棚にあったりするのですが、三田図書館はジャンルを問わず「CD付書籍」という形態でひとまとめなんですね。
奥の小説や芸術関係の棚は、椅子がぽつぽつとある程度で机はありません。3階のフロアほぼ全てが読書室なので、じっくりと読みたい方は3階へどうぞ。日本の小説はエッセイと一緒にして著者姓名の五十音順で並んでいます。但し、複数の著者による作品集は、タイトル名を元に五十音順の並びに入れられています。例えば、日向蓬(ヒナタ ヨモギ)が書いたの本の隣に、5人の作家による『微熱の夏休み』(ビネツノナツヤスミ)という本が並び、その隣に火野葦平(ヒノ アシヘイ)が書いた本がある、といったかたちになります。外国の小説は、国や地域で分類することなく、外国の小説でひとまとまりにしたうえで、著者姓名の五十音順に並んでいます。
1階が、借りる人、設備を利用する人、棚を物色する人、雑誌を読む人と、人の行き来が激しい印象であるのに対し、2階は机で調べ物や読書をしている人がほとんどの静的な空間です。棚がずらりと並んでいるけど、真ん中に1階からの吹き抜けがあるので、圧迫感はありません。
2階には机席が72席ありますが、そのうち24席が持参PC利用可能席です。建物の南東側(建物入口がある側)にある机席ではPC使用ができず、それ以外の窓際や書架中央にある机で使用できるというかたちです。但し電源はないので、バッテリーをしっかり充電してきてください。
3階の読書席は港区民用と一般用に分かれています。このことからも港区民以外の利用者、つまり通勤通学などで三田へ来る人の利用が多いことがうかがえます。
3階のラウンジは、食べるのはダメだけど飲みものはOKというスペースです。椅子もなく、立っている人にちょうどいい高さのカウンターがあるだけなので、根をつめた調べものの合間の休憩スペースというところ。ちなみに、地下の食堂「杏樹」は図書館が休みでも営業していることもあるみたいです。図書館付属の食堂というよりは、区の施設の中に図書館もあるし、一般のお店もある、という状態でしょうか。
冒頭にも書きましたが、三田図書館は人の出入りが多く、まさに都心の駅近図書館といった雰囲気。ここに配属された職員さんは、カウンター捌きがさぞかし鍛えられるのでは(笑)。ただ、返却と予約受取に来る人も多く、1階の賑わいに対して、2,3階が静かな空間であるのも面白い。貸出・返却のステーションのように利用している人も、じっくり調べものなどしたい人も便利に使える図書館だと思います。
私は自分が図書館愛好家なので、電車の中でスマホでも携帯電話でもなく本を読んでいる人を見ると嬉しくなってしまいます。その本が図書館から借りたものだったりすると、ますます同士のように思ったりして(笑)。でも、毎日の通勤通学時間を合わせると1か月でもかなりの時間になるし、その時間を読書に費やすとかなりの本が読めます。図書館で借りればお金を出して買うよりハードルが低く、少し興味がある程度の本にも気軽に挑戦できるので、棚をぶらぶらして気になった本をどんどん借りてみるのもよし。駅近図書館を上手に利用しましょう。